コロナによる原油やガス価格の暴落で、エネルギー株に投資する人が増えています。欧州や中国の電力問題で、21年後半に天然ガス市況が上向いています。22年2Qの売上は前年比+87%、3Qは+287%に加速しています。
- 「世界各国の経済活動再開で、シェール株は必ず利益を得られる…」
- 「破綻するシェール株もあるが、原油が上昇すれば大きく儲けられる…」
- 「予想PER6.2倍と割安で、安全にバリュー株投資ができるはず…」
アンテロ・リソーシズは、2002年に創業したシェール系の石油会社です。シェールガスの生産量が多い、アパラチア盆地で活動しています。天然ガスの割合が67%を占め、NGL(液体天然ガス)は米国2位の生産量を誇ります。
アンテロ・リソーシズは、投資したい銘柄ではありません。
個人的には、EQTは投資したい銘柄のひとつです。
なぜならば、欧州のエネルギー危機もあり、世界的に天然ガスの需要が増しているからです。代替品である石炭も、ガスと同様に価格が上昇していますね。そのため、同社の売上は3桁増で、22年の営業利益率も49%に上昇しています。
ただ、今後の天然ガス市況を予想するのは難しいですね。
22年8月に9.5ドルで高値をつけた天然ガスは、11年には急落しています。欧州での需要が急増したが、米国内では輸送能力が足りず余っているからです。また、欧州危機が落ち着いたり、中国で石炭を増やすなど、不確定要素も高いですよね。
22年11月時点の予想PERは3.2倍で割安だといえますね。
- AR株の4半期決算(22年7-9月)は?
- AR株の過去10年間の売上高や営業利益は?
- 21年後半に天然ガス価格は高騰、22年も続くのか?
▼▼2022年12月は資産が6000万円を超える▼▼
20年3月に米国株を初めて、2.5年で運用額を10倍に増やしました。
ただし、大幅に増えた理由は運の要素が大きいです。20年や21年は歴史的な好相場で、素人でも読みやすい相場でしたね。ただし、22年現在は500社以上の銘柄分析を行い経験を積んだことで、なんとかプラスを維持しています。
過去の実績の詳細については、次の記事を参考にしてください。
記事の内容を簡単に知りたい
アンテロ・リソーシズ(AR)の四半期決算は?
アンテロ・リソーシズ(AR)の四半期決算を紹介します。
22年1Q決算(22年3月30日)
- 売上高:17.89億ドル(前年比+30%)
- 営業利益:—億ドル(—%)
- 純利益:−1.56億ドル(−909%)
- 1株当たり利益:−8.74ドル(−673%)
22年2Q決算(22年6月30日)
- 売上高:24.58億ドル(前年比+87%)
- 営業利益:—億ドル(—%)
- 純利益:7.65億ドル(+246%)
- 1株当たり利益:1.68ドル(+1193%)
22年3Q決算(22年9月30日)
- 売上高:20.64億ドル(前年比+287%)◯
- Natural gas sales:17.36億ドル(+96%)
- Natural gas liquids sales:6.20億ドル(+3%)
- Oil sales:0.67億ドル(+21%)
- Marketing:1.59億ドル(−31%)
- Derivatives:−5.30億ドル(前年度−12.5億ドル)
- 営業利益:7.74億ドル(前年度−6.84億ドル)
- 純利益:5.59億ドル(前年度−5.49億ドル)
- 1株当たり利益:1.72ドル(前年度−1.75ドル)✖️
3Qの売上高は+287%で20.64億ドル、営業利益は7.74億ドルです。22年1Qと2Qに続き、3Qも売上は加速していますね。営業利益率は37.5%と高いですね。
21年の営業損失額の大半は、デリバティブ取引によるものです。シェールビジネスでは、天然ガス価格にヘッジしてる企業は少なくありません。
デリバティブ取引の損失が消えたことで、22年は売上と利益が加速しています。
純生産量は平均 3.2 Bcfe/d で、これには 171 MBbl/d の液体が含まれます
ヘッジ前の天然ガス価格は、Mcf あたり 8.69 ドル、NYMEX 価格に対して Mcf あたり 0.49 ドルのプレミアムを実現
実現した C3+ NGL 価格は 1 バレルあたり 50.61 ドル、または WTI の 55%
純利益は 5 億 6,000 万ドル、調整後純利益は 5 億 3,100 万ドル (非 GAAP)
調整済み EBITDAX は 8 億 7,800 万ドル (非 GAAP) でした。営業活動による純キャッシュは11億ドル
フリー キャッシュ フローは 7 億 9,700 万ドル (非 GAAP)
四半期中に総負債を 4 億 400 万ドル削減
四半期中に 3 億 8,200 万ドルの株式を購入
四半期末の純負債は 11 億 7,000 万ドル (Non-GAAP)
過去 12 か月間の純負債は、調整後 EBITDAX が 0.4 倍に減少 (非 GAAP)Antero Resources の会長兼最高経営責任者兼社長である Paul Rady 氏は次のようにコメントしています。米国全体でベーシスの差が拡大しているときに、Antero の差別化された戦略は、NYMEX に Mcf あたり 0.49 ドルのプレミアムをもたらしました。 LNG コリドーに沿った直接販売契約を通じて、追加の LNG 施設が稼働するにつれて、NYMEX ヘンリー ハブに対するベーシス プライシングのプレミアムがさらに増加すると予想しています。今日のバランスシートの強さと強力なフリーキャッシュフローの見通しにより、今後数四半期で株主に大きな資本利益をもたらすことができます。」
ラディ氏は次のように続けています。 2021 年の ESG の成果は、従業員の安全を維持しながら、私たちが生活し、事業を行っているコミュニティに引き続き注力していることを示しています。私たちは、2025 年までにスコープ 1 および 2 の GHG 排出量を正味ゼロにするというコミットメントを大きく前進させ、2019 年以降、同業他社をリードする GHG 排出量を 36% 削減しています。 エネルギー貧困に生きる人々の健康、安全、生活を直接改善します。」
Antero Resources の最高財務責任者である Michael Kennedy は、次のように述べています。
「当社の株式買戻し承認額が 10 億ドル増加したことは、当社の事業戦略とそれが生み出す大きなフリー キャッシュ フローに対する当社の自信を浮き彫りにしています。」
ケネディ氏は、次のように付け加えました。債務削減に積極的に取り組んでいるため、現在、フリーキャッシュフローの大部分を株主に還元する態勢が整っています。」調整済み純利益、調整済み EBITDAX、フリー キャッシュ フロー、純負債を含む非 GAAP 財務指標の説明については、「非 GAAP 財務指標」を参照してください。
22年3Q決算(22年12月…)
22年4Q決算は、23年1月26日に公開予定です。
では、売上高や営業利益の10年間の推移はどうでしょうか?
アンテロ・リソーシズ(AR)の損益計算書は?
アンテロリソーシズは、14年に53ドルで上場しています。シェール革命後は下落が続き、20年3月には0.8ドルまで下落しています。22年11月は34ドル前後で推移していますね。
その1:売上高と営業利益の10年間の推移は?
過去10年間の決算書を見ると、20年を抜かすと売上は順調に拡大していますね。経済再開が進む21年の売上は前年比で+58%、営業利益は22%と好調です。天然ガスの売上比率が高く、ガス市況に大きく依存します。
その2:BPSとEPSの10年間の推移は?
過去10年間のBPS(1株あたり純資産)とEPS(1株あたり純利益)です。BPSは19年から縮小し、EPSは多くの年で赤字です。ヘッジをしていたため、21年も赤字は続いています。
その3:営業CFと投資CFの10年間の推移は?
過去10年間のフリーCF(営業CF−投資CF)は、順調に拡大していますね。19年以降は大きな設備投資を行っていません。21年の営業CFは増えていますね。
では、私たちはどのように投資判断すればいいのでしょうか?
アンテロ・リソーシズ(AR)の注目ポイントは?
アンテロリソーシズの注目ポイントを紹介します。
注目1:21年11月のガス価格は前年比+3倍?
過去10年間の天然ガス価格の推移です。
2008年に13ドルを付けた天然ガスは、14年のシェール革命を経て価格は長く低迷しています。ただし、20年3月に1.6ドルだったが、21年9月には3倍以上の5.5ドルを付けています。
欧州と中国の電力危機もあり、11月も高値で推移しています。
注目2:シェールガスの生産量は右肩上がりで増加?
シェールガスの生産量は、一貫して上昇傾向にあります。
特に生産量が著しく増えているのは、AppalachiaとPermian地方ですね。15年の原油価格暴落で、コストが高いシェールオイル やガスの生産量が一部の地域で鈍化しました。しかしながら、技術開発でコスト削減に成功した事で再び生産量は増加しています。
2000年代始め、北米の天然ガス生産の主役はメキシコ湾の海上でした。
しかしながら、シェール革命とその後の技術革新によるコスト削減で、米国内陸地に天然ガスの生産地が移動しています。メキシコ湾の天然ガス生産量は、2002年から5分の1に低下しました。米国内陸地に移動した理由は、シェールオイル やガスの方が生産コストが低いからです。
同社は生産量が増えているアパラチア地方で活動しています。
注目3:米国は45年ぶりに世界最大の産油国になった?
米国は2018年に世界最大の産油国になりました。
1日当たりの石油生産量は、2013年にサウジアラビアやロシアを抜いています。2018年の年間平均生産量は1095万BDとなり、45年ぶりに世界1位の産油国です。2019年も勢いは止まらず、生産量は増加を続けています。
生産量が急増した理由は、2010年代に始まったシェール革命の影響が大きいです。シェール層から天然ガスを取り出す技術は、石油にも応用する事で生産量を増やしています。
また、天然ガスの生産量は、米国とロシアが中東諸国の4倍以上の生産量があります。シェール革命で天然ガスの生産量が増え続けている米国は、世界2位のロシアとも差を広げつつあります。
意外と知られてない事実だが、米国はすでに世界4番手の天然ガス輸出大国です。米国内で余った天然ガスは、液体化(LNG)して海外に輸出しています。
▼▼2022年12月は資産が6000万円を超える▼▼
20年3月に米国株を初めて、2.5年で運用額を10倍に増やしました。
ただし、大幅に増えた理由は運の要素が大きいです。20年や21年は歴史的な好相場で、素人でも読みやすい相場でしたね。ただし、22年現在は500社以上の銘柄分析を行い経験を積んだことで、なんとかプラスを維持しています。
過去の実績の詳細については、次の記事を参考にしてください。
まとめ:アンテロ・リソーシズ(AR)の決算は?
- 2002年に創業、シェール系の新興石油会社である
- シェールガスの生産量が多い、アパラチア盆地で活動
- 天然ガスの割合が67%を占め、NGLは米国2位の生産量
- 15年の原油暴落で悪化するも、その後は業績を回復してる
- 19年初の原油低迷でも、売上高は上昇し利益も改善している
個人的には、アンテロリソーシズは投資したい銘柄ではありません。
なぜならば、天然ガス市況は急激に上向くも、22年初めには落ち着くと思うからです。21年後半に欧州や中国の電力問題が発生し、21年10月に前年比3倍の6.2ドルを付けました。これにより、21年3Qの売上高は前年比+99%と好調です。
ただ、中国が石炭の生産を増やすなど、冬以降は落ち着きそうですね。
天然ガスは安価だったために、原油や石炭のシェアを奪う形で拡大してきました。しかし、高値を維持するならば、今度は逆に原油や石炭などに変わる可能性があります。また、長期的には脱炭素化など、どのように推移するか予想は難しいです。
同社はヘッジを掛けているため、ガス市況が好調でも赤字です。ただし、同社によると22年1月にはヘッジを半分まで減らし、22年1Qには1倍を下回ると言います。それまでに市況が好調ならば、21年には9億ドルのフリーCFが得られると言います。
21年11月時点の予想PERは6.2倍で割安だといえますね。
天然ガスに投資するならば、パイオニア・ナチュラル・リソーシズ(PXD)の方が安全に投資できます。パイオニアは原油の割合も多い上にヘッジが少なく、営業利益率が29%まで上昇しているからです。
赤字企業に投資するよりも、収益性が高い方が安心して投資できますね。また、特別配当を含むと、21年3Qの配当利回りは6%前後と高いです。
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