米中貿易摩擦など、中国との対立が進む中で軍需企業が注目されています。しかしながら、コロナによる航空事業の落ち込みで、20年4月に株価は32%も下落しました。21年に航空事業が回復することを考えると、ゼネラルダイナミクスを購入するべきでしょうか?
- 「航空事業が影響を受けたことで、20年4月に32%も下落した…」
- 「安定した軍事企業を、PER13倍の割安水準で購入できるかも…」
- 「中国、中東、中央アジアなど、地政学リスクが増えれば株価は上昇する…」
ゼネラルダイナミクス社は、世界で6番手軍事用重機を製造するメーカーです。商用や軍用のジェット機、装甲車、戦車、重機関銃、迫撃砲の兵器、それから戦術通信システムなど幅広く扱います。軍用関連は景気の影響を受けずに安心して保有できます。
しかしながら、個人的にはゼネラル社は投資したい銘柄ではありません。
なぜならば、軍用機以外にも商用ジェット機を扱う同社は、コロナの影響も受けているからです。20年4月に株価は32%も下落したが、21年でも株価は低迷し続けています。航空産業は回復が遅く、ゼネラル社の航空事業が回復するのはまだ先です。
基本的に、軍事関連は景気の影響を受けず優良企業が多いです。
ゼネラル社も毎年着実に成長を続ける軍事企業の1社ですね。しかしながら、軍事関連に投資するならば、業界大手のロッキードマーチンが財務的に優れています。もしくは、コロナからの回復を期待するならば、レイセオンの方が安全に投資できます。
業界5番手のゼネラル社に投資する利点は少なそうです。
- ゼネラル株の4半期決算(2020年4-6月)は?
- ゼネラル株の過去10年間の売上高や営業利益は?
- 競合他社であるロッキードマーチンやレイセオンを購入すべき理由は?
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20年3月に米国株を初めて、2.5年で運用額を10倍に増やしました。
ただし、大幅に増えた理由は運の要素が大きいです。20年や21年は歴史的な好相場で、素人でも読みやすい相場でしたね。ただし、22年現在は500社以上の銘柄分析を行い経験を積んだことで、なんとかプラスを維持しています。
過去の実績の詳細については、次の記事を参考にしてください。
記事の内容を簡単に知りたい
ゼネラルダイナミクス(GD)の四半期決算は?
ゼネラルダイナミクスの四半期決算を紹介します。
20年2Q決算(2020年6月30日)
- 売上高:92.64億ドル(前年比−3%)
- Aerospace:19.74億ドル(−7.6%)
- Combat Systems:17.54億ドル(+5.7%)
- Information Technology:18.84億ドル(−12.7%)
- Mission Systems:11.81億ドル(−7.5%)
- Marine Systems:24.71億ドル(+6.3%)
- 営業利益:8.41億ドル(−22%)
- 純利益:6.25億ドル(−22%)
- 1株当たり利益:2.18ドル(−21%)
ゼネラルダイナミクスは、米国の軍事用重機メーカーです。扱う製品は多岐に渡り、中・大型軍用機や商用ジェット機の製造、装甲車、戦車、重機関銃、迫撃砲の兵器のほか、潜水艦、水上艦、商船も扱います。また、戦術通信システム、無線・衛星通信システム、諜報・監視システムも開発しています。
軍事関連の売上高では、世界で6番手の軍事企業になります。
20年2Qの売上高は前年比3%減で92.64億ドル、営業利益は22%減で8.41億ドルでした。3つの事業が前年比で大きく減少しています。成長軌道にある軍事企業の中では、珍しく業績が低迷していますね。
20年3Q決算(2020年9月30日)
- 売上高:94.31億ドル(前年比−3.4%)
- Aerospace:19.75億ドル(−20.8%)
- Combat Systems:18.01億ドル(+3.5%)
- Information Technology:20.29億ドル(−2.0%)
- Mission Systems:12.21億ドル(+0.1%)
- Marine Systems:24.05億ドル(+7.6%)
- 営業利益:10.84億ドル(−10.9%)
- 純利益:8.34億ドル(−8.7%)
- 1株当たり利益:2.90ドル(−7.6%)
20年4Q決算(2020年12月31日)
- 売上高:104.81億ドル(前年比−2.7%)
- Aerospace:24.35億ドル(−16.9%)
- Marine Systems:28.57億ドル(+11.4%)
- Combat Systems:19.60億ドル(−0.6%)
- Information Technology:32.29億ドル(−2.3%)
- 営業利益:12.93億ドル(−1.1%)
- 純利益:10.02億ドル(−1.8%)
- 1株当たり利益:3.49ドル(−0.6%)
20年4Qの売上高は前年比2.7%減で104.81億ドル、営業利益は1.1%減で12.93億ドルです。好調な軍事企業の業績とは対照的に、20年のゼネラルダイナミクスの業績は上向いていません。
航空関連の業績が不調なのは、軍用機だけではなく商用ジェット機も扱うからです。商用ジェットは、コロナ禍で影響を受けているため業績が伸び悩んでいます。
コロナから1年近く経つも、航空関連はまだまだ回復していません。そのため、ゼネラルダイナミクスの航空部門もしばらくは低迷が続きます。
21年1Q決算(2021年3月…)
21年1Q決算は、4月28日公開予定です。
では、ゼネラルダイナミクスの売上高や営業利益の10年間の推移はどうなっているのでしょうか?
ゼネラルダイナミクスの10年間の損益計算書は?
ゼネラルダイナミクスは84年に90ドルを付けています。08年の株価を超えた13年以降は株価が上昇し、18年に229ドルの最高値を付けていますね。
その1:売上高と営業利益の10年間の推移は?
過去10年間の決算書を見ると、売上高も利益も安定している事が分かりますね。売上高は18年に上昇傾向にあり、営業利益率は10%台で安定しています。ただし、16年以降に営業利益率が低迷している点と、20年(TTM)に売上高が減少してる点は懸念材料です。
その2:BPSとEPSの10年間の推移は?
過去10年間のBPS(1株あたり純資産)とEPS(1株あたり純利益)も安定して推移しています。ゼネラル社は、自社株買と配当の増配をしているが、無理がないペースで行っている事が分かりますね。
その3:営業CFと投資CFの10年間の推移は?
過去10年間のフリーCF(営業CF−投資CF)は、安定し常に黒字を維持しています。営業CFは成長軌道にないが、投資CFは低く抑えられていますね。ただし、同業社のロッキードマーチンや、レイセオンと比較すると、やや物足りない数値だと言えます。
では、私たち投資家はゼネラル社をどのように投資判断すれば良いのでしょうか?
ゼネラルダイナミクスに投資する上での注目ポイントは?
ゼネラルダイナミクスに投資する上で注目すべきポイントを紹介します。
注目1:世界6位の軍需産業で売上高は195億ドル?
ストックホルム国際平和研究所が発表した、2017年の軍需企業の売上高ランキングです。
ゼネラル社(ジェネラル)は、売上高195億ドルで世界6位の軍事企業です。世界1位はロッキードマーチン社で、ゼネラル社の2倍以上の売上高があります。ローキードマーチンが圧倒的なシェアを誇るが、2〜6位の売上高に大きな違いはないですね。
今後の軍需企業の売上高を予想するには、米国の軍事費用の推移を見る必要がありますね。米国や主要国の軍事費用はどのように推移しているのでしょうか?
注目2:米国の軍事費は世界1位で7318億ドルもある?
2019年時点の米国を含む上位5カ国の軍事費推移です。
軍事費は米国が7318億ドルと、特出している事が分かりますね。この時期は財政が緊迫していた事と、伝統的に戦争反対の民主党が政権だった事が挙げられます。オバマ大統領以降は、再び上昇傾向にありますね。
米国の次に特出して多いのは中国です。一進一退で中央アジアや中東、アフリカを目指す中国は、経済成長に伴い急激に拡大しています。中国に対応するためにも、今後も米国の軍需費は増え続ける事が予想できます。
ただし、GDP比で見た場合に、米国の軍事費が特出して高い訳ではありません。
注目3:軍事費は世界1位だが対GDP比は3.41%だけ?
米国の軍事費のGDP比は、3.41%と意外と多くはありません。
軍事費に対するGDPが最も大きいのは、サウジアラビアで7.98%です。次にロシアが3.88%、3番手に米国、4番手に韓国の2.67%と続きます。軍事費が急拡大している中国は1.89%、自衛隊を持つ日本は0.93%だけです。
アメリカと中国のGDP比は、まだまだ伸び代があると言えますね。また、欧州や日本と違い両国とも経済成長が続いているため、軍事費費用が拡大する余地も高いです。
では、ゼネラル社の事業別の売上高はどのようになっているのでしょうか?
注目4:軍艦システムが売上高の21%を占める?
事業 | 19Q2 | 20Q1 | 20Q2 | 前年比 |
---|---|---|---|---|
航空宇宙 | 2136 | 1691 | 1974 | -7.60% |
戦闘システム | 1659 | 1708 | 1754 | 5.70% |
諜報監視システム | 2158 | 1988 | 1884 | -12.70% |
防衛システム | 1277 | 1116 | 1181 | -7.50% |
軍艦システム | 2325 | 2246 | 2471 | 6.30% |
合計 | 9555 | 8749 | 9264 | -3.00% |
ゼネラル社の事業別売上高と、前年比の推移です。
民間機も製造するボーイング社やレイセオンテクノロジーズと違い、ゼネラル社は軍事専門です。事業別で最も大きな割合を占めるのが、軍艦システムで26%、次いで航空宇宙が21%と続きます。航空機事業もあったが、過去にロッキードマーチンに売却しています。
前年比の売上高を見ると、諜報監視システム、防衛システム、航空宇宙事業は大きく低迷しています。対して、戦闘システムや軍艦システムは成長軌道にあります。ゼネラル社は、事業の選択と集中を行っているのかもしれません。
では、ゼネラル社の売上高は過去にどのように推移してきたのでしょうか?
注目5:20年2Qに売上高成長率は−3%まで下落?
ゼネラル社の四半期毎の売上高の推移です。
成長率が好調だった18年と比較して、19年以降は若干の低迷傾向にありますね。軍需企業は景気動向に影響を受けないはずだが、20年にはマイナス成長に陥っています。一貫して成長軌道にある業界最大手のロッキードマーチンとは対照的な結果ですね。
18年以降に株価が低迷している原因は、成長率が大きく鈍化しているからです。成長率が鈍化している原因は、3つの事業が大きく低迷しているからです。低迷している原因は不明だが、現時点でゼネラル社に投資する理由は特にないですね。
注目6:20年2Qの配当金利回りは3.18%もある?
ゼネラル社の配当金と配当性向の推移です。
過去10年間の配当性向は30%台と安定している上に、配当金は増配傾向にありますね。20年は一時的に業績が悪化しているが、長期的に見ると軍需関連は安泰だと言えます。配当利回りは2%台で推移し、20年2Qは、業績低迷で3.18%まで上昇しています。
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20年3月に米国株を初めて、2.5年で運用額を10倍に増やしました。
ただし、大幅に増えた理由は運の要素が大きいです。20年や21年は歴史的な好相場で、素人でも読みやすい相場でしたね。ただし、22年現在は500社以上の銘柄分析を行い経験を積んだことで、なんとかプラスを維持しています。
過去の実績の詳細については、次の記事を参考にしてください。
まとめ:ゼネラルダイナミクスの四半期決算は?
- 1899年に創業した、世界で6番手の軍事用重機メーカーである
- 商用ジェット機、装甲車などの兵器、潜水艦、情報システムも扱う
- 売上高と利益は安定、営業利益率は常に10%を超えている
- 売上高成長率は、18年以降から鈍化傾向にある
- 諜報監視、防衛、戦闘システム事業の前年比の低迷が大きい
- 営業利益率は安定するも、16年以降は11%と低下傾向にある
- ロッキードやレイセオンと比較すると、優良株とは言えない
個人的には、ゼネラル社は投資したい銘柄ではありません。
なぜならば、軍用機以外にも商用ジェット機を扱う同社は、コロナの影響も受けているからです。20年4月に株価は32%も下落したが、21年でも株価は低迷し続けています。航空産業は回復が遅く、ゼネラル社の航空事業が回復するのはまだ先です。
基本的に、軍事関連は景気の影響を受けず優良企業が多いです。
ゼネラル社も毎年着実に成長を続ける軍事企業の1社ですね。しかしながら、軍事関連に投資するならば、業界大手のロッキードマーチンが財務的に優れています。もしくは、コロナからの回復を期待するならば、レイセオンの方が安全に投資できます。
業界5番手のゼネラル社に投資する利点は少なそうです。
軍需企業で1社だけ投資するならば、ロッキードマーチンを選びます。なぜならば、軍需関連で最大手で、21年1月時点でPERは13倍と割安だからです。
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