半導体市場は、クラウド、5G、AI、自動運転などで最も好調な業界です。しかし、業界最大手のインテルは、好調な半導体業界で唯一低迷しています。2000年の高値を越えられず、22年11月時点で予想PERは10倍と割安ですね。
- 「半導体は好調だが、00年の高値より株価は25%低い…」
- 「利益率は29%と高いが、競合AMDとNVIDIAに負けてる…」
- 「世界1位の半導体企業だが、PERは12倍と割安水準にある….」
インテル(INTC)は、売上高世界1位の半導体メーカーです。2位の韓国サムソンは、中国のモバイル出荷台数が減速し不調です。19年は高性能PCのデータセンター向けが好調で、20年は在宅ワーク需要でPCが好調ですね。
個人的には、インテルは投資したい銘柄ではないです。
なぜならば、バリュー的には割安だが、競合2社に負けているからです。営業利益率は29%と高いが、21年2Qの売上前年比は−2%で伸び悩みます。売上比率51%を占めるCCG部門は競合AMDに、34%のDCG部門はAMDとエヌビディアに劣勢です。
また、半導体企業の在り方自体も大きく変わりつつあります。
例えば、アップルは自社でチップを製造し、処理速度が大幅に向上したと高い評価を受けていますね。汎用的に大量生産していた時代と異なり、目的に応じた製造に変わりつつあります。AMDがシェアを伸ばしてる理由も、ノートPCに特化しているからです。
22年11月時点で予想PER10倍と割安だが、欲しい銘柄ではありません。
- インテル直近の4半期決算(22年7-9月)は?
- インテルの過去10年間の売上高や営業利益は?
- PER12倍の優良企業でも、株価が割安な理由は?
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20年3月に米国株を初めて、2.5年で運用額を10倍に増やしました。
ただし、大幅に増えた理由は運の要素が大きいです。20年や21年は歴史的な好相場で、素人でも読みやすい相場でしたね。ただし、22年現在は500社以上の銘柄分析を行い経験を積んだことで、なんとかプラスを維持しています。
過去の実績の詳細については、次の記事を参考にしてください。
記事の内容を簡単に知りたい
インテル(INTC)の四半期決算は?

インテル(INTC)の四半期決算を紹介します。
22年1Q決算(22年3月31日)
- 売上高:183.53億ドル(前年比−6.8%)◯
- CCG:92.9億ドル(−13%)
- Desktop:26.4億ドル(−5%)
- Notebook:59.5億ドル(−15%)
- Other:6.94億ドル(−31%)
- DCG:60.3億ドル(+22%)
- NEX:22.1億ドル(+23%)
- AXG:2.19億ドル(+21%)
- Mobileye:3.9億ドル(+5%)
- Foundry:2.8億ドル(+175%)
- Other:0.6億ドル(−96%)
- 営業利益:43.41億ドル(+17%)
- 純利益:81.13億ドル(+141%)
- EPS:1.98ドル(+141%)◯
22年2Q決算(22年6月30日)
- 売上高:153億ドル(前年比−21%)
- 営業利益:—億ドル(—%)
- 純利益:−4.54億ドル(−108%)
- EPS:0.29ドル(−77%)
22年3Q決算(22年9月30日)
- 売上高:153億ドル(前年比−20%)◯
- CCG:81億ドル(−17%)
- Desktop:32億ドル(+3%)
- Notebook:44億ドル(−26%)
- Other:4.92億ドル(−33%)
- DCG:42億ドル(−27%)
- NEX:23億ドル(+14%)
- AXG:1.85億ドル(+8%)
- Mobileye:4.50億ドル(+38%)
- Foundry:1.71億ドル(−2%)
- 営業利益:−1.75億ドル(前年度52.27億ドル)
- 純利益:10.19億ドル(−85%)
- EPS:0.25ドル(−85%)◯
3Qの売上高は前年比−20%で153億ドル、営業利益は−1.75億ドルでした。22年1Qと2Qに続き、3Qの売上は減速しています。また、営業利益率も−1.1%と赤字に転落しています。
22年はノートPCとデータセンター向けが急落しています。この2つは、AMDとエヌビディアにシェアを奪われている分野ですね。車載向けMobileyeは、22年10月に新規上場を発表しています。
22年4Qの売上予想は145億ドル(前年比−30%)、22年通期は635億ドルに下方修正しています。
22年4Q決算(22年12月…)
22年4Q決算は、23年1月29日に公開予定です。
では、売上高や営業利益の10年間の推移はどうでしょうか?
インテル(INTC)の10年間の損益計算書は?

インテルは1984年に0.5ドルで上場しました。00年5月に最高値74ドルを付けるも、その後は長く低迷しています。20年3月は45ドルまで下落し、22年11月は27ドル前後で推移しています。
その1:売上高と営業利益の10年間の推移は?

過去10年間の決算書を見ると、売上と利益は緩やかに上昇してます。売上高世界1位の半導体メーカーで、営業利益率も29%と高いです。しかし、競合エヌビディアやAMDにシェアを奪われる懸念で、株価は長く伸び悩んでいますね。
バリューエーション的には割安だと言えます。
その2:BPSとEPSの10年間の推移は?

過去10年間のBPS(1株あたり純資産)とEPS(1株あたり純利益)です。BPSもEPSも順調に拡大していますね。10年で23%の自社株買い、配当金も2倍近く増えています。配当利回りは2.5%と高く、30%前後の持続可能な配当性向です。
その3:営業CFと投資CFの10年間の推移は?

過去10年間のフリーCF(営業CFー投資CF)は、順調に増加しています。コロナ禍の20年から、半導体サイクルで需要は増えています。近年業績が好調なファウンドリ企業と違い、大規模な設備投資をして自社製造するメーカーです。
投資CFを上回る安定した営業CFを稼いでいますね。では、私たち投資家はどのような点に注目すれば良いのでしょうか?
インテル(INTC)の注目ポイントは?

インテル(INTC)の注目すべき点を紹介します。
注目1:半導体世界1位はインテルで698億ドル?
19年時点の半導体メーカーの売上高ランキングです。
半導体メーカー世界1位は、インテルで売上高は698億ドルです。2位は韓国サムソンで556億ドル、3位は台湾TSMCで345億ドル、4位は韓国SK Hynixで228億、5位米国マイクロンが199億ドルと続きます。
19年は世界的な景気後退で、半導体需要は低下していました。中国でモバイル出荷数が減速し、これまで好調だった韓国や台湾企業が減速していましたね。対照的に、PCに強いインテルは好調で、データセンター向け高性能PCが成長を牽引してました。
では、インテルの売上構成比はどうでしょうか?
注目2:PCとデータセンター向けで売上高84%を占める?

インテルの21年時点の売上構成比です。
売上構成比が最も高いのは、PC向け半導体のCCG部門で51%を占めます。次いで、データセンター向けが34%、メモリとストレージのNSG部門が7%、IoTG部門が5%、車載向けMobileye部門が3%、プログラム可能なFPGA半導体のPSG部門が2%です。
PCとデータセンター向けだけで、売上の85%を占めます。
19年はモバイル向け半導体が不調で、代わりに高性能PCが好調でしたね。在宅ワーク需要でデスクトップやノートPCの需要は増しています。しかし、これまで成長を牽引してきた、デスクトップ向けの売上高は不調です。
では、主要2部門の売上はどのように推移しているでしょうか?
注目3:売上比率85%のCCGとDCG部門の推移?

PC向け(CCG部門)とデータセンター向け(DCG部門)の売り上げ推移です。
四半期毎の売上高推移を見ると、好調なPC向けに対してデータセンター向けは伸び悩んでいます。クラウド市場が急拡大したことで、これまでDCG部門が成長を牽引していました。しかし、データセンター向けは競合NVIDIAにシェアを奪われています。
また、PC向けも期待される以上に伸びていません。
パンデミックによる在宅ワークの拡大で、デスクトップやノートPCの売上は好調です。しかし、この分野でも競合のAMDにシェアを奪われ、期待する以上に伸びていません。
では、具体的にはどれくらいシェアを奪われているのでしょうか?
注目4:PC向け半導体は競合AMDにシェアを奪われてる?
過去8年間のインテルとAMDのCPUシェアです。
世界中のPCに搭載されている半導体の8割は、インテル製品だと言われています。しかし、16年に10nmの立ち上げに失敗した事で、20年は65%まで落とします。対照的に、7nmの生産に成功したAMDは、17%から33%に上昇します。
AMDが開発した「Ryzen」は、高性能で人気が高いです。
高性能なCPU(集積面積が低いほど性能が高い)の開発に成功した上に、インテルより価格を低く設定しています。Ryzenは価格帯が6千〜1万円ほど安く、ベンチマークスコアでも圧倒しています(参考:何故CPUにAMD Ryzen が選ばれるのか?)。
主要家電量販店の週次の結果によると、最新の販売台数ではインテルを上回ります。秋葉原の家電量販店では、AMDを指名買いするお客さんが増えたといいます。
参考:AMDの四半期決算|前年比+54%成長でも投資すべきでない理由は?
同じことは、データセンター向け半導体でも起きています。
注目5:データセンタ向けはNVIDIAに奪われている?
競合エヌビディアの事業別売上高の推移です。
データーセンター事業が、19年から右肩上がりで増えていますね。エヌビディアはゲーム機器向けに、GPU(3Dグラフィックス半導体)を開発する会社です。3Dグラフィック用に作られたGPUは、処理負荷が高い人工知能の演算と相性が良いです。
人工知能に対応するために、クラウド事業者はAI対応のサーバPCを増やしています。AI投資が加速してるため、間接的にインテルはシェアを奪われていますね。インテルとは対照的に、エヌビディアは前年比+83%で拡大してます。
参考:エヌビディアの四半期決算|データセンターは前四半期+8%で急減速?
インテルの主力2部門の低迷は、21年以降も続きそうです。
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20年3月に米国株を初めて、2.5年で運用額を10倍に増やしました。
ただし、大幅に増えた理由は運の要素が大きいです。20年や21年は歴史的な好相場で、素人でも読みやすい相場でしたね。ただし、22年現在は500社以上の銘柄分析を行い経験を積んだことで、なんとかプラスを維持しています。
過去の実績の詳細については、次の記事を参考にしてください。
まとめ:インテル(INTC)の四半期決算は?

- インテルは、半導体メーカーで世界1位の売上高を持つ
- PCとデータセンター向けで、売上高の84%を占める
- クラウドの需要が高く、4年間で74%も成長した
- 新興企業2社に、主要2部門のシェアが奪われている
- インテルよりも、AMDやNVIDAの存在感が増している
個人的には、インテルは投資したい銘柄ではないです。
なぜならば、バリュー的には割安だが、競合2社に負けているからです。営業利益率は29%と高いが、21年2Qの売上前年比は−2%で伸び悩みます。売上比率51%を占めるCCG部門は競合AMDに、34%のDCG部門はAMDとエヌビディアに劣勢です。
また、半導体企業の在り方自体も大きく変わりつつあります。
例えば、アップルは自社でチップを製造し、処理速度が大幅に向上したと高い評価を受けていますね。汎用的に大量生産していた時代と異なり、目的に応じた製造に変わりつつあります。AMDがシェアを伸ばしてる理由も、ノートPCに特化しているからです。
22年2月時点で予想PER14倍と割安だが、将来性を考慮すると妥当な水準かもしれません。21年の半導体市場は年率+20%、ロジック半導体は+17%に対し、インテルの成長率は1%に止まります。
半導体市場は、競合の動向に注視する必要がありますね。AMDとNVIDIAは、インテルのシェアを奪うことで急速に拡大しています。AMDは売上高前年比+92%で伸びていますね。
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