半導体の受託開発であるTSMCは、クラウド、5G、AI、自動運転で最も恩恵を受ける銘柄ですね。コロナ禍でも業績は好調で、22年も続く見込みです。ただし、23年1Qの売上成長率は、前年比+3.6%に急減速しています。
- 「22年1月の予想PER28倍は、割安なのだろうか…」
- 「世界的な受託生産会社で、市場の過半数を独占している..」
- 「米中貿易の懸念はあるも、3年で1000億ドルの設備投資…」
TSMC(TSM)は、半導体を受託生産する業界最大手の台湾企業です。半導体企業の売上高では、1位のインテル、2位のサムソンに次ぐ3位です。ファンドリとしては最大規模で、TSMC1社だけで世界の過半数のシェアを獲得しています。22年も市況は強く、今後3年間で1000億ドルを設備投資に費やします。
個人的には、TSMは投資したい銘柄のひとつです。
なぜならば、ファウンドとしては過半数のシェアを持ち、他の圧倒しているからです。2位は米国GFSで10%、3位はサムソンで9%しかありません。21年の売上高は過去最高額で、営業利益率も41%に切り上がっています。
ただ、23年1Qは半導体市況が急激に冷え込んでいますね。また、米中衝突など、今後は懸念材料も多そうです。
半導体に投資するならば、市況サイクルの底で投資したい局面です。ただ、地政学的なリスクを考慮すると、当面は投資したい銘柄ではありません。地政学リスクがあるため、22年4月時点の予想PERは16倍と割安です。
- TSMC直近の4半期決算(22年1-3月)は?
- TSMCの過去10年間の売上高や営業利益は?
- 22年も業績は好調だが、投資すべきでない理由は?
▼▼2022年12月は資産が6000万円を超える▼▼

20年3月に米国株を初めて、2.5年で運用額を10倍に増やしました。
ただし、大幅に増えた理由は運の要素が大きいです。20年や21年は歴史的な好相場で、素人でも読みやすい相場でしたね。ただし、22年現在は500社以上の銘柄分析を行い経験を積んだことで、なんとかプラスを維持しています。
過去の実績の詳細については、次の記事を参考にしてください。
TSMCの四半期決算は?

TSMCの四半期決算を紹介します。
23年3Q決算(22年9月30日)
- 売上高:6131億TWD(前年比+47%)
- 営業利益:—億TWD(—%)
- 純利益:2808億TWD(+79%)
- 一株利益:1.79TWD(+66%)
23年4Q決算(22年12月30日)
- 売上高:6255億TWD(前年比+42%)
- 営業利益:—億TWD(—%)
- 純利益:2959億TWD(+78%)
- 一株利益:1.82TWD(−71%)
23年1Q決算(23年3月30日)
- 売上高:5086億TWD(前年比+3.6%)✖️
- 営業利益:2312億TWD(+3.3%)
- 純利益:2069億TWD(+2.1%)
- 一株利益:7.98TWD(+2.1%)○
1Qの売上高は前年比+3.6%で5086億TWD、営業利益は+3.3%で2312億TWDでした。22年3Qと4Qと比較して、23年1Qは急激に減速しています。ただし、営業利益率は45.4%と悪くはないですね。
同社CEOは、23年2Qも顧客の在庫調整が続くと述べています。
23年2Qの売上予想は、156億ドル(4742億台湾ドル)、前年比−12%と減速が続きます。
第 1 四半期では、5 ナノメートルの出荷がウェーハ総売上高の 31% を占めました。 7ナノメートルが20%を占めました。 7ナノメートル以上の高度な技術として定義される高度な技術は、ウェーハ総収益の51%を占めています。
TSMC の副社長兼最高財務責任者である Wendell Huang は次のように述べています。 「2023 年第 2 四半期に入っても、当社のビジネスは、顧客のさらなる在庫調整の影響を受け続けると予想しています。」
23年2Q決算(23年6月…)
23年2Q決算は、7月21日に公開予定です。
では、売上高や営業利益の10年間の推移はどうでしょうか?
TSMCの10年間の損益計算書は?

TSMCは97年に4.6ドルで上場しています。株価は右肩上がりで上昇し、常に最高値を更新し続ける銘柄ですね。20年3月は46ドルに下落するも、23年4月は89ドル前後で推移しています。
その1:売上高と営業利益の10年間の推移は?

過去10年間の決算書を見ると、売上と利益は右肩上がりで拡大しています。過去10年で売上は4倍近く上昇し、21年の営業利益率も41%と高いです。景気動向の影響や米中貿易摩擦の懸念はあるも、順調に規模を拡大しています。
その2:BPSとEPSの10年間の推移は?

過去10年間のBPS(1株あたり純資産)とEPS(1株あたり純利益)です。自己資本比率は62%と高いですね。EPSは過去10年で3.5倍にも拡大しています。
その3:営業CFと投資CFの10年間の推移は?

過去10年間のフリーCF(営業CF−投資CF)も、安定して推移しています。半導体企業の受託生産者であるTSMCは、設備投資が少なくないビジネスです。ただし、価格競争力は他を圧倒し、十分な営業CFを稼いでいますね。今後3年で1000億ドルの設備投資をすると言及しています。
では、私たち投資家はどのように投資判断すれば良いのでしょうか?
TSMCの注目すべきポイントは?

TSMCに投資する上で、注目すべき点を紹介します。
注目1:世界3位の半導体メーカで世界1位の受託生産?
19年の半導体企業の売上高では、世界3位の半導体メーカーです。
1位インテルの売上高は698億ドル、2位はサムソンで517億ドル、3位はTSMCで345億ドルです。2018年の売上高と比較すると、サムソンをはじめ多くの半導体メーカーが売上高を落としていますね。売上高が大きく落ち込んだ理由は、世界中でスマホの販売不振が大きいです。
世界中の下請け企業であるTSMCは、不調な2019年でもプラス成長を維持しています。
また、 TSMCは半導体受託生産で世界1位のメーカーでもあります。TSMC1社だけで、世界の46.3%のシェアを占めます。2番手は米国のグローバルファウンダリーズで9.9%、3番手がサムソンで9.2%しかありません。半導体受託生産としては、不動の地位を手に入れています(参考:台湾TSMC、独り勝ち)。
では、TSMC製品別の売上高比率を見てみましょう。
注目2:スマホと高性能PCで売上高の80%を占める?
TSMCが提供する製品の割合と、前四半期の成長率です。
TSMCが製造する製品で多いのは、スマートフォンと高性能PCで全体の80%を占めます。IoTや完全自動運転の半導体が期待されているが、実際にはまだまだ伸びていない事が分かりますね。また、前四半期の成長率を比較すると、伸びている分野は高性能PCだけです。
高性能PCの需要が高い理由は、クラウド事業社からの需要が高いからです。
好調なクラウド事業とは対照的に、2019年はスマホの販売不振や米中貿易摩擦の影響で12.1%のマイナス成長でした。2020年はプラス5.4%の成長率が期待されていたが、コロナの影響で先が見通せない状況です。2020年は5GやIoTで期待されるも、現時点では高性能PC以外の需要は高くない点に注意が必要ですね。
では、TSMCはどれくらい競争力が高いのでしょうか?
注目3:7nmプロセスが売上高の7割を占める?
TSMCは、世界市場の46%を独占する半導体のファウンドリー(受託生産)です。
TSMCが世界中に半導体メーカーに選ばれる理由は、高い技術力があるからですね。TSMCは、微細化の最先端技術で、米国のインテルや韓国のサムソンと競っています。TSMCとサムスン電子は7nm(10億分の1メートル)の半導体を量産し、次世代の5nmや3nmの開発をしています。
その一方で、インテルはようやく10nmの量産に着手したところです。また、2020年2Q決算(7月)では、7nmの開発に遅れていることも発表しましたね。
TSMCの決算資料を見ると、すでに大量の7nm製品を市場に供給している事が分かります。また、2020年6月には、車載IC向けに世界初の7nm製造を発表しています。7nmの車載ICは、先進運転支援システム(ADAS)や自動運転に使われます。(参考:「世界初」TSMCが7nmの車載IC向け製造プロセス)
では、TSMCの地域別の売上高はどうなっているでしょうか?
注目4:地域別の売上高は米国だけで58%を占める?

TSMCの海外売上高を見ると、米国市場が全体の58%を占めます。
台湾メーカーにも関わらず、中国の売上高比率は意外と多くはありません。米国に市場に次いで、中国が21%、アジア太平洋、欧州と中東地域、最後に日本市場がきます。前年度と比較すると、売上割合が伸びている地域は中国です。
では、TSMCはどれくらい貿易摩擦の影響を受けるのでしょうか?
注目5:米中貿易摩擦で売上高が14%も落ちる?
半導体業界に投資する上では、米中貿易摩擦の影響を考える必要がありますね。米国企業と同盟国は、ファーウェイへの輸出を禁止しています。
地域別の売上比率を考えると、米国向けが60%を占めるため米政権の意向に沿う可能性が高いです。ただし、ファーウェイの比率も高いため、実際にどう動くか予想は難しいです。
しかしながら、21年以降はバイデン政権に移行することで、貿易摩擦が緩和する可能性もあります。現状より米中貿易が制限されないならば、TSMCには大きな追い風になります。TSMCは総額120億ドルの半導体工場をアリゾナに製造しています。
ただし、米中貿易摩擦がどちらに動くかは実際には分かりません。
▼▼2022年12月は資産が6000万円を超える▼▼

20年3月に米国株を初めて、2.5年で運用額を10倍に増やしました。
ただし、大幅に増えた理由は運の要素が大きいです。20年や21年は歴史的な好相場で、素人でも読みやすい相場でしたね。ただし、22年現在は500社以上の銘柄分析を行い経験を積んだことで、なんとかプラスを維持しています。
過去の実績の詳細については、次の記事を参考にしてください。
まとめ:TSMCの四半期決算は?

- 世界3位の半導体メーカー、世界1位の受託生産である
- 半導体の受託生産では、業界シェアの46%を占めている
- 2桁成長で売上高を伸ばし、営業利益率も35%以上と高い
- コロナ後も2桁成長を維持してるが、貿易摩擦のリスクは無視できない
- 貿易摩擦が深刻化した場合、競合他社に市場を奪われる可能性がある
- 生産委託市場で46%を占めるも、サムソンと技術的な差は大きくない
- 輸出が禁止されたファーウェイは、売上高の14%を占めている
- トランプ政権が選挙で負けても、貿易摩擦は変わらない
個人的には、TSMは投資したい銘柄のひとつです。
なぜならば、ファウンドとしては過半数のシェアを持ち、他の圧倒しているからです。2位は米国GFSで10%、3位はサムソンで9%しかありません。21年の売上高は過去最高額で、営業利益率も41%に切り上がっています。
半導体市況は、22年も好業績が続く見込みです。
ただ、市況サイクルは3-4年で、長期的には懸念材料も多いですね。米中貿易摩擦により、設備投資は米国と中国の両方で過剰に増えています。コロナ後の経済再開で実需が高いのは事実だが、いずれは市況の転換点に立ちますね。
市況関連銘柄に投資するならば、サイクルの最悪期に投資するべきです。
そのため、22年1月時点の予想PER28倍と高いが、積極的に投資したい局面ではありません。23年以降はどこかで供給過剰に陥るため、そのタイミングで投資したいですね。
世界最大の半導体企業はインテルですね。
クラウドや人工知能の市場拡大で、最も恩恵を受けているのはエヌビディアです。半導体の製造業ながらも、売上前年比は3桁に近い水準を記録しています。TSMCと同様に、NVDAも株価は伸び悩み買いやすい水準ですね。
コメントを残す