遠隔医療のテラドックは、コロナで最も恩恵を受けた銘柄のひとつです。しかし、経済再開に伴い、3桁の売上成長率は急減しています。22年2Qと3Qの売上は前年比+17%と減速気味です。
- 「コロナは追い風で、株価は20年から3.4倍にも高騰…」
- 「遠隔医療は規制緩和が進み、28年に市場規模は4倍になる…」
- 「前年比+150%成長でも、株価の暴落は続いている…」
テラドックは、遠隔医療のプラットフォームを提供する米国企業です。医師は24時間体制で、月額会員はネットやビデオで自由にアクセスできます。遠隔医療の規制緩和の後押しがあり、21年は3桁で売上高が拡大し会員数は5千万人を超えています。
個人的には、テラドックは投資したい銘柄ではないです。
なぜならば、過去に黒字化したことがない上に、営業損失額は21年に拡大してるからです。19年は営業利益率が−13%まで改善するも、20年は−38%まで悪化しています。遠隔医療は差別化が難しく、儲かりにくいビジネスだと言えます。
規制緩和により、遠隔医療関連のスタートアップは増え続けています。
また、アマゾンが本格的に参入するなど、競争は激化しています。「Amazon Care」は従業員のための総合的な福利厚生パッケージを企業単位で提携するため、ビジネスモデルや顧客層はテラドックと重なります。
アマゾンの有料会員数が1億人、薬の配送など競争優位性が高いですね。経済再開が進む22年3Qは前年比+17%に減速し、4Q予想も+14%と弱いですね。
- テラドックの4半期決算(22年7-9月)は?
- テラドックの過去10年間の売上高や営業利益は?
- 3桁で売上高が成長するも、投資すべきでない理由は?
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20年3月に米国株を初めて、2.5年で運用額を10倍に増やしました。
ただし、大幅に増えた理由は運の要素が大きいです。20年や21年は歴史的な好相場で、素人でも読みやすい相場でしたね。ただし、22年現在は500社以上の銘柄分析を行い経験を積んだことで、なんとかプラスを維持しています。
過去の実績の詳細については、次の記事を参考にしてください。
記事の内容を簡単に知りたい
テラドック(TDOC)の四半期決算は?

テラドック(TDOC)の四半期決算を紹介します。
22年1Q決算(22年3月31日)
- 売上高:5.653億ドル(前年比+25%)✖️
- Access Fees Revenue:4.913億ドル(+29%)
- 米国:4.21億ドル(+29%)
- 海外:0.70億ドル(+29%)
- Visit Fee Revenue:0.679億ドル(+12%)
- Other:0.608億ドル(−45%)
- 営業利益:−66.69億ドル(前年度−0.846億ドル)
- 純利益:−66.74億ドル(前年度−1.99億ドル)
- 1株当たり利益:−41.58ドル(前年度−1.31ドル)✖️
22年2Q決算(22年6月30日)
- 売上高:5.92億ドル(前年比+17%)
- 営業利益:—億ドル(—%)
- 純利益:−31.01億ドル(−2217%)
- 1株当たり利益:−0.43ドル(+25%)
22年3Q決算(22年9月30日)
- 売上高:6.114億ドル(前年比+17%)◯
- Access Fees Revenue:5.40億ドル(+20%)
- 米国:4.65億ドル(+21%)
- 海外:0.74億ドル(+19%)
- Visit Fee Revenue:0.65億ドル(+5%)
- Other:0.57億ドル(−43%)
- 営業利益:−0.71億ドル(前年度−0.60億ドル)
- 純利益:−0.73億ドル(前年度−0.84億ドル)
- 1株当たり利益:−0.45ドル(前年度−0.53ドル)◯
3Qの売上高は前年比+17%で6.114億ドル、営業利益は−0.71億ドルでした。22年1Qや2Qに引き続き、売上は低調ですね。営業利益率は−11.6%と悪いですね。
21年4Qの米国有料訪問者1人当売上は、2.49ドル(+52%)でした。
22年4Qの売上予想は、6.32億ドル(+14%)と減速気味です。22年の通期売上予想は、24.02億ドルに引き下げています。
22年4Q決算(22年12月…)
22年4Q決算は、12年1月28日に公開予定です。
では、売上高や営業利益の10年間の推移はどうでしょうか?
テラドック(TDOC)の10年の損益計算書は?

テラドックは15年に28ドルで上場しました。株価は緩やかに上昇していたが、コロナによる都市封鎖で株価は急騰しています。21年2月に最高値293ドルを付けるも、22年11月は29ドル前後で推移しています。
その1:売上高と営業利益の10年間の推移は?

過去10年間の決算書を見ると、売上高はかなり順調に伸びています。20年の売上高は10.9億ドル、7年で50倍にも増えました。しかしながら、課題は利益率の低さで、20年の営業利益率は−38%にも拡大しています。
営業損失額は拡大し続けており、一向に黒字化する見通しはないです。営業利益が増えない理由は、競争激化にあると思っています。
その2:BPSとEPSの10年間の推移は?

過去10年間のBPS(1株あたり純資産)とEPS(1株あたり純利益)です。売上高の上昇に伴い、BPSは順調に増加しています。20年にBPSが大きく増えたのは、新たな資金調達とリボンゴヘルス買収によるものだと思います。自己資本比率は90%と高いです。
BPSと対照的に、EPSは20年に大きく下落しています。
その3:営業CFと投資CFの10年間の推移は?

過去10年間のフリーCF(営業CF−投資CF)は、19年以外は全て赤字ですね。20年はコロナ禍で売上高が伸びたが、営業CFは依然として赤字です。遠隔医療ビジネスは競合も多く、利益を得にくいビジネスだと言えますね。
では、私たちはどのように投資判断すれば良いのでしょうか?
テラドック(TDOC)の注目すべきポイントは?

テラドック(TDOC)に投資する上で注目すべきポイントを紹介します。テラドックは、月額制で会員は医師に24時間アクセスでき、遠隔医療のプラットフォームを提供しています。20年時点で会員数は5150万人で、法人で契約する顧客も多いです。
注目1:遠隔医療市場は28年には4倍の2989億ドル?
米国の遠隔医療の市場規模の推移です。
米国の遠隔医療市場は21年に727億ドルでした。年率22.4%で拡大し、28年には4倍の2989億ドルに拡大すると予想されています。コロナを契機に、先進国や中国で規制緩和が進んでいますね。
オンライン医療で強いのが米国よりも中国で、AIを活用した遠隔医療が進んでいます。では、テラドックの業績はどれくらい好調なのでしょうか?
注目2:ユーザー単価は慢性患者数は右肩上がりで増加?
21年1Qの決算資料による、テラドックの業績推移です。
支払いした会員数(右上図)の数は増えていません。しかし、売上高(左上図)やPMPM(右下図)はしっかりと伸びていますね。PMPMとはper member per monthの略で、ひと月あたりのユーザー単価です。
リボンゴヘルスを買収したことで、慢性的なケアの登録者数も増えています。慢性的なケアとは、糖尿病や高血圧などの継続的な治療です。
では、テラドックの市場シェアはどれくらいあるのでしょうか?
注目3:16年時点の診療件数は75%の市場シェア?
テラドックが公表する、16年時点のテレヘルスの市場シェアです。
テラドックが占めるの市場シェア(遠隔医療サービス)は、診療件数ベースで70%だと言います。16年時点の会員数は2200万人、21年現在は5150万人にも及びます。
しかしながら、現在は競合が増え、儲かりにくいビジネスだと思います。
世界中で規制緩和が進み、競合企業は着実に増え続けていますね(参考:医療崩壊を防げ 遠隔診療スタートアップ12社)。テラドックのビジネスモデルは、医師と患者を増やしプラットフォームを提供するだけで差別化できる要素は少ないです。
先行する中国でも、アリババやテンセントが参入し黒字化企業は皆無です。
将来的にテラドックの脅威となる企業は、アマゾンの「Amazon Care」です。従業員のための総合的な福利厚生パッケージを企業単位で提携するため、ビジネスモデルは重なります。また、オンライン医療だけではなく、物流網を生かして薬の配送も行います。
アマゾンの有料会員数は1億人で、アマゾンの方が優位性が高いですね。
テラドックも市場拡大に合わせて会員数を確保すると思うが、アマゾンほどは売上が伸びないかもしれません。21年に営業損失額が膨らんでいるのも、競合による競争優位性が低下しているからかもしれないですね。
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20年3月に米国株を初めて、2.5年で運用額を10倍に増やしました。
ただし、大幅に増えた理由は運の要素が大きいです。20年や21年は歴史的な好相場で、素人でも読みやすい相場でしたね。ただし、22年現在は500社以上の銘柄分析を行い経験を積んだことで、なんとかプラスを維持しています。
過去の実績の詳細については、次の記事を参考にしてください。
まとめ:テラドック(TDOC)の四半期決算は?
- 15年に上場した、遠隔医療を提供する米国企業である
- 月額制で24時間体制の医療プラットフォームを提供する
- 売上高は右肩上がりで拡大、21年1Qは前年比+150%
- 営業利益率は−13%に改善するも、21年は−38%に悪化
- 遠隔医療は規制緩和が進み、新興やハイテクの競合が増える
- Amazon Careが本格的にサービス開始し、競争は激化する
個人的には、テラドックは投資したい銘柄ではないです。
なぜならば、過去に黒字化したことがない上に、営業損失額は21年に拡大してるからです。19年は営業利益率が−13%まで改善するも、20年は−38%まで悪化しています。遠隔医療は差別化が難しく、儲かりにくいビジネスだと言えます。
規制緩和により、遠隔医療関連のスタートアップは増え続けています。
また、アマゾンが本格的に参入するなど、競争は激化しています。「Amazon Care」は従業員のための総合的な福利厚生パッケージを企業単位で提携するため、ビジネスモデルや顧客層はテラドックと重なります。
アマゾンの有料会員数が1億人、薬の配送など競争優位性が高いですね。経済再開が進む21年4Qは前年比+45%に減速し、22年1Q予想は+25%とさらに弱いです。ただ、営業利益率は−7.4%まで改善しており、今後の動向に注視したいです。
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