コンテナ運賃に引き続き、バルク船やLNG船の運賃も20年8月から高騰しています。しかしながら、液化天然ガス(LPG)を輸送するステルスガスの株価は上昇していません。では、世界経済が21年に急回復するならば、LPGの価格も上昇するのでしょうか?
- 「コロナ後に海運株が上昇するも、GASSの株価は低迷してる…」
- 「バルクやLNG運賃が高騰したなら、LPG運賃も上昇するはずだ…」
- 「PERが9倍と低く、株価は高値よりも9分の1も割安だ…」
ステルスガスは、液化天然ガス(LPG)を海上輸送するギリシャの海運企業です。液化天然ガスとはプロパンやブタンから精製される石油ガスです。メタンとエタンから精製される天然ガスとは流通する市場が異なりますね。
個人的には、ステルスガスは投資したい銘柄ではありません。
なぜならば、市場が急拡大しているLNGとは違い、LPGは伸びていないからです。過去3年間の欧州、インド、中国でのLPGの輸入額は増加していません。日本国内でプロパンガス(LPG)の流通が増えてない理由は、価格競争で天然ガスに勝てないからです。
ガス管で供給される都市ガス(天然ガス)と違い、プロパンガスはタンクに充填して各家庭に供給されます。そのため、利便性と価格の点で不利ですね。
ただし、コロナで海運業界全般で船舶の供給不足が続いいます。同様の現象がLPGでも起きるか観察したいですね。22年5月の予想PERは8.7倍と割安です。
- ステルスガスの4半期決算(22年1-3月)は?
- ステルスガスの過去10年間の売上高や営業利益は?
- ドライバルクやLNG市況が好調なら、LPG市況も上向く?
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20年3月に米国株を初めて、2.5年で運用額を10倍に増やしました。
ただし、大幅に増えた理由は運の要素が大きいです。20年や21年は歴史的な好相場で、素人でも読みやすい相場でしたね。ただし、22年現在は500社以上の銘柄分析を行い経験を積んだことで、なんとかプラスを維持しています。
過去の実績の詳細については、次の記事を参考にしてください。
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ステルスガス(GASS)の四半期決算は?

ステルスガス(GASS)の四半期決算を紹介します。
21年3Q決算(21年9月30日)
- 売上高:3748万ドル(前年比+1%)
- 営業利益:360万ドル(−36%)
- 純利益:122万ドル(+55%)
- 1株当たり利益:—ドル(—ドル)
21年4Q決算(21年12月30日)
- 売上高:3605万ドル(前年比−4%)
- 営業利益:−3754万ドル(前年度292万ドル)
- 純利益:−3873万ドル(前年度−74万ドル)
- 1株当たり利益:−1.02ドル(前年度−0.02ドル)
22年1Q決算(22年3月31日)
- 売上高:3587万ドル(前年比−4.2%)
- 営業利益:819万ドル(+186%)
- 純利益:760万ドル(+10倍)
- 1株当たり利益:0.20ドル(+10倍)
1Qの売上高は前年比−4.2%で3587万ドル、営業利益は+186%で819万ドルでした。4Qに続き、22年1Qの売上も減速しています。ただし、営業利益率は22.8%と上向いていますね。
中国ロックダウンやロシア危機などで世界経済の不確実性は高いが、同社のCEOはファンダメンタルは悪くないと言います。
より広範なLPG市場で純粋なプレーヤーになるという戦略的決定に続いて、これはステルスガス艦隊がさまざまなサイズのLPGキャリアのみで構成されていた第1四半期でした。第1四半期中、LPG市場の改善は引き続き上昇傾向にあり、当社はなんとか資本を投入し、760万ドルの利益を改善しました。これは、長年にわたって最高の四半期業績の1つです。調整後の四半期のEPSは0.23ドルでした。また、特に乗組員とバンカーの価格に関連するコスト圧力を抑えることができ、コストベースを押し上げ続けています。
とはいえ、ウクライナでの戦争とCOVID-19のパンデミック、特に中国の状況に関して、私たちは困難な地政学的環境で活動を続けており、将来の不確実性をさらに高めています。今では、高いインフレ圧力と金利上昇の結果として、経済の不確実性を追加することもできます。これらすべてがLPG輸送市場にどのように影響するか、そして貿易パターンの変化から利益を得ることができるかどうかはまだ決定されていません。これはまだ方向性を模索している市場だからです。
今後、特にこのような激動の時代において、市場の現実を予測することはできません。ただし、当社の大規模な船隊、市場の強力なファンダメンタルズ、2022年第1四半期のLPGレートの改善、および健全な資本構造は、直面する可能性のある潜在的な市場の混乱に関係なく、信頼できる強みです。
22年2Q決算(21年6月…)
21年2Q決算は、8月27日に公開予定です。
では、売上高や営業利益の10年間の推移はどうでしょうか?
ステルスガス(GASS)の損益計算書は?

ステルスガスは2005年に13ドルで上場しました。07年に最高値19ドルを付けるも、その後は下落傾向にあります。22年6月は2.7ドル前後で推移しています。
その1:売上高と営業利益の10年間の推移は?

過去10年間の決算書を見ると、売上高は順調に増加しています。また、LNGタンカー企業ほどではないが、営業利益率も比較的高いですね。20年の営業利益率は20%もあります。
その2:BPSとEPSの10年間の推移は?

過去10年間のBPS(1株あたり純資産)とEPS(1株あたり純利益)です。過去10年間低迷している海運業界の中では悪くはないですね。BPSは横ばい、EPSは赤字の年もあります。
その3:営業CFと投資CFの10年間の推移は?

過去10年間のフリーCF(営業CF−投資CF)は、赤字の年が多いです。ステルスガスは積極的に設備投資している会社だと言えますね。ただし、他のLNGタンカー企業と比較して、売上高の伸びは大きくありません。
では、私たちはどのように投資判断すれば良いのでしょうか?
ステルスガス(GASS)の注目ポイントは?

ステルスガスに投資する上で注目すべきポイントを紹介します。ステルスガスは液化石油ガス(LPG)を運搬する海運企業です。LPGとは天然ガスを精製して作られるため、天然ガスの市況に類似しています。
注目1:LPG輸出額は過去3年間で増加してない?
ステルスガスによる、世界LPGの過去3年間の輸出額推移です。
LPG輸出が最も多いのは欧州地域、中国、インド、日本と続きます。日本はLNGの輸出額が世界1位だが、LPGでは4番点ですね。また、LPGの貿易規模はLNGと比較して小さく、過去3年比でもあまり増えていません。
LPGとは、「Liquefied Petroleum Gas」の略称で液化石油ガスです。
石油ガスの主成分はプロパンやブタンで、油田や天然ガス田の内部に混じった状態で存在しています。これを地下から採掘し分類し、不純物を取り除き精製することでLPGとして加工されます。LNGは融点が低いため、天然ガスより液化して輸送しやすいです。
天然ガスはメタンとエタンを液化したものですね。
世界的には天然ガスの需要は伸びているが、プロパンガス(LPG)は伸びてません。ではなぜ、プロパンガスの需要が低いのでしょうか?
注目2:国内では18年からプロパンガス価格が上昇してる?
日本国内のプロパンガス価格は、18年あたりから上昇しています。しかしながら、日本ではプロパンガスは減少傾向にあります。
日本の家庭では、都市ガス(天然ガス)とプロパンガスが使われています。配管を通して供給される都市ガスに対し、プロパンガスはボンベに充填して家庭まで運びます。そのため、プロパンガスは価格が高く、費用対効果が悪いからです。
ただし、プロパンガスには災害時に強いメリットがありますね。世界でも、天然ガスはパイプラインで供給できるため需要が高いです。
まとめ:ステルスガス(GASS)の決算は?
- 2005年に上場した、LPGタンカーのギリシャ企業
- 天然ガス(LNG)とプロパンガス(LPG)は流通網が異なる
- 欧州、インド、中国、日本で過去3年間の輸入量は増えてない
- LPGは空気よりも2倍も重く、パイプライン輸送に適してない
- ガス管で輸送できるLNGの方が、利便性が高くコストも低い
- 環境規制で船舶が作られず、需給はタイトになるかも
個人的には、ステルスガスは投資したい銘柄ではありません。
なぜならば、市場が急拡大しているLNGとは違い、LPGは伸びていないからです。過去3年間の欧州、インド、中国でのLPGの輸入額は増加していません。日本国内でプロパンガス(LPG)の流通が増えてない理由は、価格競争で天然ガスに勝てないからです。
ガス管で供給される都市ガス(天然ガス)と違い、プロパンガスはタンクに充填して各家庭に供給されます。そのため、利便性と価格の点で不利ですね。
ただし、コロナで海運業界全般で船舶の供給不足が続いいます。同様の現象がLPGでも起きるか観察したいですね。22年5月の予想PERは8.7倍と割安です。
LPG船の競合企業は、米国企業のドリアン(LPG)です。ただし、同社も長期契約が多く業績に変化はありません。ドリアンは年間配当利回りが60%になったことで、注目を集めています。
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