コンテナ運賃に引き続き、バルク船やLNG船の運賃も20年8月から高騰しています。しかし、長期契約が多い液化天然ガス(LPG)の市況は、比較的に穏やかに推移しています。22年1Qの売上は前年比−21%に減速しています。
- 「コロナ後に市況が好転し、株価は1年で6倍に上昇した…]
- 「アジアを中心に急回復、21年初には運賃が7倍に高騰した…」
- 「環境規制が進むならば、原油や石炭よりもLNGは有利だ…」
ドリアンLPGは、大型のLPG船(VLGC)を保有する米国の海運企業です。液化天然ガス(LPG)とはプロパンやブタンから精製される石油ガスです。メタンとエタンから精製される天然ガスとは流通する市場が異なりますね。
個人的には、ドリアンLPGは投資したい銘柄ではありません。
なぜならば、市場が急拡大しているLNGとは違い、LPGは伸びていないからです。また、LPGは長期契約が多く、市況の影響を受けにくい点もマイナスです。LPG市況は好調だが、22年1Qの売上成長率は−21%と低いですね。
ただし、コロナで海運業界全般で船舶の供給不足が続いいます。同様の現象がLPGでも起きるか観察したいですね。21年4Qは配当金2.5ドル(年間利回り60%)を発表したことで話題になりました。
22年5月の予想PERは15倍と割安水準にあります。
- ドリアンLPGの4半期決算(22年1-3月)は?
- ドリアンLPGの過去10年間の売上高や営業利益は?
- 石油製品の需給はタイトだが、LPG船も恩恵があるか?
▼▼2022年12月は資産が6000万円を超える▼▼

20年3月に米国株を初めて、2.5年で運用額を10倍に増やしました。
ただし、大幅に増えた理由は運の要素が大きいです。20年や21年は歴史的な好相場で、素人でも読みやすい相場でしたね。ただし、22年現在は500社以上の銘柄分析を行い経験を積んだことで、なんとかプラスを維持しています。
過去の実績の詳細については、次の記事を参考にしてください。
記事の内容を簡単に知りたい
ドリアンLPG(LPG)の四半期決算は?

ドリアンLPG(LPG)の四半期決算を紹介します。
21年3Q決算(21年9月31日)
- 売上高:6552万ドル(前年比−22%)
- 営業利益:1564万ドル(+189%)
- 純利益:1410万ドル(+2521%)
- 1株当たり利益:0.35ドル(+3400%)
21年4Q決算(21年12月31日)
- 売上高:6859万ドル(前年比−22%)
- 営業利益:2255万ドル(−46%)
- 純利益:1658万ドル(−53%)
- 1株当たり利益:0.41ドル(−42%)
22年1Q決算(22年3月31日)
- 売上高:7958万ドル(前年比−21%)
- 営業利益:3747万ドル(−20%)
- 純利益:3538万ドル(−20%)
- 1株当たり利益:0.88ドル(−6%)
1Qの売上高は前年比−21%で7958万ドル、営業利益は−20%で3747万ドルです。21年3Qや4Qに続き、22年1Qは大きく減速しています。ただし、営業利益率は47%と高いですね。
ウクライナ危機もあり、プロパン、ブタン、ナフサは22年3月に高値をつけていますね。しかしながら、以降は下落基調にあります。21年4Qの配当は2.5ドル(年間利回り60%)だったが、22年1Qは配当を出しません。
当社の会長兼社長兼最高経営責任者であるジョン・ハジパテラスは、次のようにコメントしています。 IPO以来4億ドルを超える株主への資本還元。海上および陸上での従業員の優れた業績を認めるのは正しいことです。彼らの誠実さとプロ意識により、現在の異常な地政学的状況と進行中のCOVIDから生じる課題を克服することができます。 19の関連する運用上の問題。フリート開発だけでなく、従業員の幸福と、パフォーマンス効率を高め、炭素フットプリントを削減するテクノロジーにも投資しています。」
2021年3月31日に終了した3か月間の純利益は44.0百万ドル、つまり1株あたり0.93ドルでしたが、2022年3月31日に終了した3か月間の純利益は35.4百万ドル、つまり1株あたり0.88ドルでした。
2021年3月31日に終了した3か月間の調整後純利益は40.8百万ドル、つまり1株あたり0.86ドルでしたが、調整後純利益は2022年3月31日に終了した3か月間で24.7百万ドル、つまり1株あたり0.62ドルでした。 2022年3月31日に終了した3か月間の純利益を、派生商品の未実現利益690万ドル、船舶の処分利益380万ドルに調整しました。 2021年3月31日に終了した3か月間の純利益は、デリバティブ商品の未実現利益330万ドルに調整されました。このプレスリリースの後半に記載されている、調整後純利益への純利益の調整を参照してください。
2021年3月31日に終了した3か月と比較した2022年3月31日に終了した3か月の調整後純利益の16.1百万ドルの減少は、主に(i)収益の20.0百万ドルの減少、および(ii)260万ドルの増加に起因します。利息および財務費用とチャーターされたVLGCからのチャーター雇用費用90万ドルは、一般管理費4.1百万ドル(前期は偶発債務および対応する費用400万ドルを含む)、290万ドルの減少により部分的に相殺されました。船舶の運営費、および減価償却費として140万ドル。
下記の「収益」でさらに説明するように、当社のフリートのTCEレートは2022年3月31日に終了した3か月間で43,372ドルで、前年同期の49,474ドルのTCEレートから12.3%減少しました。 TCEの計算方法に関するその他の情報については、以下の「財務情報」の表の脚注7を参照してください。総艦隊利用率(ヘリオスプールに配備された船舶の利用率を含む)は、2021年3月31日に終了した3か月間の95.3%から2022年3月31日に終了した3か月間の89.3%に減少しました。
2022年3月31日に終了した3か月間の船舶の1日あたりの営業費用は、前年同期の10,198ドルから9,370ドルに減少しました。詳細については、以下の「船舶の営業費用」をご覧ください。
船舶の処分による利益は、2022年3月31日に終了した3か月間で380万ドルに達し、キャプテンニコラスMLの売却に起因していました。 2021年3月31日に終了した3か月間、船舶の処分による利益はありませんでした。
市場の見通しと更新
2022年の第1暦四半期におけるLPG市場への主な影響は、ロシアとウクライナの間の紛争による影響でした。ブレント原油の価格は四半期を通じて上昇し、2022年3月には1メートルトンあたり平均123ドルに達しました。その後、すべての製品価格(プロパン、ブタン、ナフタ)も上昇しました。しかし、原油と比較したプロパンとブタンの価格は、2021年の第4暦四半期から2022年の第1暦四半期に東西両方で下落しました。
北西ヨーロッパでは、プロパンは2021年12月のブレントの70%から2022年3月には58%に低下し、ブタンも同様の傾向をたどり、2021年12月のブレントの86%から2022年3月には71%に低下しました。プロパンの価格は、ブレントと比較して、2021年の第4四半期の平均80%から2022年の第1四半期の67%に低下し、ブタンは2021年の第4四半期のブレントの88%から77%に低下しました。 2022年の第1暦四半期のブレント。
ナフサの価格はこの四半期も上昇を続け、北西ヨーロッパでのプロパンナフサのスプレッドは2022年1月のマイナス64ドル/メートルトンから2022年2月のマイナス108メートルトンに拡大し、3月にはさらに拡大してマイナス139ドル/メートルトンになりました。全体として、北西ヨーロッパのプロパンナフサスプレッドは、2021年の第4暦四半期の平均プラス26ドル/メートルトンから、2022年の第1暦四半期のマイナス103ドル/メートルトンに拡大しました。
プロパン-ナフサの広がりが広がるにつれ、極東および北西ヨーロッパでのスチームクラッカーによるエチレンの生産には、プロパンがナフサと比較して有利でした。しかし、マージンは引き続き圧力を受けています。ナフサは、北西ヨーロッパでは四半期末までにマイナスのマージンを示し、極東では一貫してマイナスのマージンを示していました。原料としてのプロパンの場合、北西ヨーロッパのマージンは、2022年1月の1メートルトンあたり652ドルから2022年2月の1メートルトンあたり424ドルに低下し、2022年3月には1メートルトンあたり約399ドルに落ち着きました。
東部では、平均して、マージンは、ナフサを利用したエチレンの生産で1メートルトンあたりマイナス260ドル、プロパンで1メートルトンあたりマイナス47ドルでした。四半期を通じて、極東蒸気分解装置の原料としてのプロパンのマージンは改善し、2022年2月と3月にプラスに転じました。しかし、マージンが圧迫されたため、一部の石油化学プラントの稼働率が低下したか、メンテナンスが進められました。これは、下流のオレフィンとポリオレフィンのダイナミクスに対する市場の敏感さを浮き彫りにします。これは極東のPDHプラントにも当てはまり、2021年の第1暦四半期と比較して2022年の第1暦四半期のマージンが改善されたにもかかわらず、2021年の第4暦四半期の1メートルトンあたり平均マイナス11ドルから上昇する圧力を受け続けました。 2022年の第1暦四半期の平均で1メートルトンあたり46ドルになりました。2022年の第1暦四半期に稼働すると予想されていた新しい容量は遅れました。
バルト海運指数は、2022年の第1暦四半期の平均で1メートルトンあたり約57ドルであり、2021年の第4暦四半期のバルチック海運指数のパフォーマンスを1メートルトンあたり2ドル下回っています。
現在、VLGCオーダーブックは、現在のグローバルフリートの約20%を占めています。 2024年末までに、約600万立方メートルの環境収容力に相当する67のVLGCが世界の艦隊に追加されると予想されています。世界の艦隊の平均年齢は現在約10.6歳です。
上記の市場見通しの更新は、業界の情報源から得られた情報、データ、および見積もりに基づいており、そのような傾向が続くこと、または運賃、輸出量、VLGCオーダーブックまたはその他の市場指標の予想される進展が実現することを保証することはできません。この情報、データ、および見積もりには、いくつかの仮定と制限が含まれ、リスクと不確実性があり、さまざまな要因に基づいて変更される可能性があります。このような情報、データ、見積もりを過度に重視しないように注意してください。当社は、第三者の情報を独自に検証したり、最新の情報が利用できないことを検証したりしていません。
季節性:
液化ガスは、主に工業用および家庭用暖房、化学および製油所の原料、輸送用燃料、および農業で使用されます。 LPG輸送市場は、冬季の暖房用のプロパンとブタンの消費量の増加を見越して、歴史的に春と夏の月に強くなっています。さらに、これらの月の予測不可能な気象パターンは、船舶のスケジューリングと特定の商品の供給を混乱させる傾向があります。したがって、当社の船舶の需要は、6月30日および9月30日に終了する四半期に強くなり、12月31日および3月31日に終了する四半期に比較的弱くなる可能性があります。活動は期待される季節的な結果を生み出していません。 12月31日および3月31日までの通常は弱い会計四半期中に当社のタイムチャーターのいずれかが失効する限り、同様のレートで当社の船舶を再チャーターすることは不可能な場合があります。その結果、当社はより低い料金を受け入れるか、当社の船舶のオフハイヤー時間を経験しなければならない可能性があり、それは当社の事業、財政状態および経営成績に悪影響を与える可能性があります。
22年2Q決算(22年6月…)
22年2Q決算は、8月17日に公開予定です。
では、売上高や営業利益の10年間の推移はどうでしょうか?
ドリアンLPG(LPG)の損益計算書は?

ドリアンLPGは2014年に19ドルで上場しました。コロナで20年に7ドルを付けるも、22年6月は16ドル前後で推移しています。
その1:売上高と営業利益の10年間の推移は?

過去10年間の決算書を見ると、売上高は20年がピークですね。営業利益は変動が大きく、22年は33%と比較的に高い収益性です。
その2:BPSとEPSの10年間の推移は?

過去10年間のBPS(1株あたり純資産)とEPS(1株あたり純利益)です。急速に業績が伸びているため、数値のブレが大きいですね。21年のEPSは1.67ドルと大幅に上昇しています。
その3:営業CFと投資CFの10年間の推移は?

過去10年間のフリーCF(営業CF−投資CF)は、黒字化に成功しています。とりわけ、コロナ危機以降の20年は順調に営業CFを得ていますね。
では、私たちはどのように投資判断すれば良いのでしょうか?
ドリアンLPG(LPG)の注目ポイントは?

ドリアンLPGに投資する上で注目すべきポイントを紹介します。ドリアンLPGは液化石油ガス(LPG)を運搬する海運企業です。LPGとは天然ガスを精製して作られるため、天然ガスの市況に類似しています。
注目1:LPG輸出額は過去3年間で増加してない?
ステルスガスによる、世界LPGの過去3年間の輸出額推移です。
LPG輸出が最も多いのは欧州地域、中国、インド、日本と続きます。日本はLNGの輸出額が世界1位だが、LPGでは4番点ですね。また、LPGの貿易規模はLNGと比較して小さく、過去3年比でもあまり増えていません。
LPGとは、「Liquefied Petroleum Gas」の略称で液化石油ガスです。
石油ガスの主成分はプロパンやブタンで、油田や天然ガス田の内部に混じった状態で存在しています。これを地下から採掘し分類し、不純物を取り除き精製することでLPGとして加工されます。LNGは融点が低いため、天然ガスより液化して輸送しやすいです。
天然ガスはメタンとエタンを液化したものですね。
世界的には天然ガスの需要は伸びているが、プロパンガス(LPG)は伸びてません。ではなぜ、プロパンガスの需要が低いのでしょうか?
注目2:国内では18年からプロパンガス価格が上昇してる?
日本国内のプロパンガス価格は、18年あたりから上昇しています。しかしながら、日本ではプロパンガスは減少傾向にあります。
日本の家庭では、都市ガス(天然ガス)とプロパンガスが使われています。配管を通して供給される都市ガスに対し、プロパンガスはボンベに充填して家庭まで運びます。そのため、プロパンガスは価格が高く、費用対効果が悪いからです。
ただし、プロパンガスには災害時に強いメリットがありますね。世界でも、天然ガスはパイプラインで供給できるため需要が高いです。
まとめ:ドリアンLPG(LPG)の四半期決算は?
- 2014年に上場した、LPGタンカーの米国企業
- 天然ガス(LNG)とプロパンガス(LPG)は流通網が異なる
- 欧州、インド、中国、日本で過去3年間の輸入量は増えてない
- LPGは空気よりも2倍も重く、パイプライン輸送に適してない
- ガス管で輸送できるLNGの方が、利便性が高くコストも低い
- 環境規制で船舶が作られず、需給はタイトになるかも
- 21年4Qに配当金2.5ドル、年間利回り60%で注目
個人的には、ドリアンLPGは投資したい銘柄ではありません。
なぜならば、市場が急拡大しているLNGとは違い、LPGは伸びていないからです。また、LPGは長期契約が多く、市況の影響を受けにくい点もマイナスです。LPG市況は好調だが、22年1Qの売上成長率は−21%と低いですね。
ただし、コロナで海運業界全般で船舶の供給不足が続いいます。同様の現象がLPGでも起きるか観察したいですね。21年4Qは配当金2.5ドル(年間利回り60%)を発表したことで話題になりました。
22年5月の予想PERは15倍と割安水準にあります。
LPG船の競合企業は、ギリシャ企業のステルスガス(GASS)です。ただし、同社も長期契約が多く業績に変化はありません。
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