ティーケイ・タンカーズ(TNK)四半期決算|2Qは+52%に減速

コロナ以降にコンテナ運賃が高騰し、ダナオス(DAC)などのコンテナ銘柄が短期間で10倍にも高騰しています。コンテナに続きバルク船や原油タンカーの運賃も上昇基調にありますね。実際に、23年1Qの売上は前年比+126%、2Qは+52%に減速しています。

  • 「コロナによる原油低迷で、20年に株価は60%も暴落…」
  • 「タンカー市況が好転し、20年11月から1.5倍になる…」
  • 「世界中の脱炭素化で、もう原油需要は回復しないのだろうか…」

ティーケイ・タンカーズは、原油タンカーを保有し海上輸送するカナダ企業です。大型船のSuezmax、中型船のAftermaxとLR2、29隻を保有しています。原油や天然ガスの輸送、浮遊式生産貯蔵出荷設備を保有するティーケイ(TK)のグループ企業ですね。

個人的には、ティーケイ・タンカーズは投資したい銘柄のひとつです。

なぜならば、低迷する海運業界でも、着実に売上を伸ばしてるからです。19年度の売上高は過去最高水準で、営業利益率も13%まで改善しています。20年はスポット価格の上昇で得た利益で、純負債額の45%を返済した点も好感できます

中型船は前四半期比で24%も上昇し、市況回復の兆しは見え始めています。

自己資本比率も60%と高く、EPSやBPSも他の競合よりも悪くない数値を残しています。また、フリーCFの黒字に成功してる点も高く評価できます。タンカーの注文数は歴史的な低水準で、同社のCEOはタンカー市況を楽観視しています。

23年8月時点の予想PERは2.0倍と割安です。

TNKの投資判断したい人向け
  1. TNKの4半期決算(23年4-6月)は?
  2. TNKの過去10年間の売上高や営業利益は?
  3. 歴史的な注文数で、22年は原油タンカーも高騰か?

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20年3月に米国株を初めて、2.5年で運用額を10倍に増やしました

ただし、大幅に増えた理由は運の要素が大きいです。20年や21年は歴史的な好相場で、素人でも読みやすい相場でしたね。ただし、22年現在は500社以上の銘柄分析を行い経験を積んだことで、なんとかプラスを維持しています。

過去の実績の詳細については、次の記事を参考にしてください。

参考:【自己紹介】米国株1.5年で運用額を10倍の「4727万円」に増やす

ティーケイ・タンカーズ(TNK)の四半期決算は?

ティーケイ・タンカーズ(TNK)の四半期決算を紹介します。

22年4Q決算(22年12月31日)

4Qの内容は...
  1. 売上高:3.67億ドル前年比+129%
  2. 営業利益:1.54億ドル(前年度−0.21億ドル)
  3. 純利益:1.46億ドル(前年度−0.39億ドル)
  4. 1株当たり利益:4.30ドル(前年度−1.17ドル)

23年1Q決算(23年3月30日)

1Qの内容は...
  1. 売上高:3.94億ドル前年比+126%
  2. 営業利益:1.81億ドル(前年度−0.77億ドル)
  3. 純利益:1.69億ドル(前年度−0.13億ドル)
  4. 1株当たり利益:4.90ドル(前年度−0.41ドル)

23年2Q決算(23年6月30日)

2Qの内容は...
  1. 売上高:3.70億ドル前年比+52%
  2. 営業利益:1.59億ドル(+367%
  3. 純利益:1.51億ドル(+439%
  4. 1株当たり利益:4.43ドル(+427%

2Qの売上高は前年比+52%で3.70億ドル、営業利益は+367%で1.59億ドルでした。22年4Qや23年1Qに続き、2Qの売上も減速しています。営業利益率は42.9%と急速に上昇しています。

23年2Qの配当金は0.25ドル(2.5%)が支払われます。

、特別配当で1ドルを宣言しています。

船舶の供給は歴史的な低水準で、同社CEOは将来の見通しに強気です。ロシア紛争は、原油タンカーの航路距離を長くするため、運賃の上昇圧力がありますね。

23年2Q時点の運賃は次の通りです。

  • Suezmax:56,008ドル(Q4)→55,891ドル(Q1)→57, 577ドル
  • Aframax / LR2:52,136ドル→67,346ドル→50,100ドル

8月5日時点のSuezmaxの運賃は42,800ドル、Aframaxは48,300ドルで取引しています。

• GAAP 純利益は 1 億 5,120 万ドル、または 1 株当たり 4.43 ドルと報告されました。 2023 年第 2 四半期の調整純利益 (1) は 1 億 4,940 万ドル、または 1 株あたり 4.38 ドルです (本リリースの付録 A に記載されている項目を除く)。

• Teekay Tankers の固定配当方針に沿って、2023 年 6 月 30 日に終了する四半期の 1 株あたり 0.25 ドルの現金配当を発表しました

• 合計 5,720 万ドルの 4 つのセール・リースバック融資契約に基づく船舶購入オプションを行使するよう通知しました。 これらの船舶は、以前に発表された 3 億 5,000 万ドルの 19 隻のリボルビング信用枠の一部として借り換えられる予定です。

• 1 日あたり平均約 20,600 ドルの傭船 2 隻に対して 2 つの 1 年間延長オプションを行使。 同社は 8 隻のチャーター船を 1 日あたり平均約 25,000 ドルでレンタルしています。

CEOコメント:

ティーケイ・タンカーズの社長兼最高経営責任者ケビン・マッケイ氏は、「中型タンカーの用船市場は、本質的に耐久性があると当社が信じている需要と供給のファンダメンタルズの恩恵を受けて、2023年第2四半期に再び非常に好調でした」とコメントした。 「ティーケイタンカーズは、主にスポット市場に展開している中型の所有船や用船船団を擁し、この市場環境の最大の受益者であり、多額のフリーキャッシュフローを生み出しています。」

「第2四半期の中型タンカーの堅調な需要は、米国湾岸とロシアの両国からの高い輸出量の継続によって支えられ、その多くは中国とインドからの過去最高の輸入需要を満たすために使われその結果、タンカーのトンマイルが大幅に増加した」 要求。 ロシア輸入品に対するEU制裁の発動に伴う取引活動への当初の混乱を市場がほぼ乗り越えたことで、原油取引パターンは航海距離の大幅な延長を特徴とする新たな常態に落ち着いた。 第 3 四半期のスポット金利の緩和は、この時期の典型的な季節性を反映していますが金利は現在、過去 15 年間のどの第 3 四半期を大きく上回っています。 今後、今年下半期には石油需要が増加すると予想されており、堅調な冬市場が予想されます。 一方、ここ数カ月で行われた新造船発注の量が限られていることと、2026年までの造船所の能力不足により、中型船隊の成長は中期的には厳しく制限されることがほぼ確実となっている。 同じ期間に潜在的にリサイクル年齢に達する世界の船団の大部分と組み合わせると、これらの明確なファンダメンタルズは、中型タンカー市場が中期的に引き続き好調になるはずであるという私たちの見解を裏付けています。」

「このような状況を背景に、当社の大幅なフリーキャッシュフロー創出と財務規律によってバランスシートが変革されたことにより、ティーケイタンカーズのバランスの取れた資本配分方針により、当社は株主に1株当たり0.25ドルという十分な支持を得た四半期配当を提供することができ、同時に当社は次のような立場に立つことができます。」 適切なタイミングで当社の車両に再投資してください。」

タンカー市場:

中型原油タンカーのスポットレートは、2023 年第 2 四半期も引き続き非常に堅調でした。ロシアの長距離原油輸出の増加と米国からの高水準の原油輸出によって供給された、中国とインドの原油輸入量は過去最高を記録しました。 湾は、好調なスポットタンカー料金の主な要因でした。 中型スポットタンカーの運賃は、季節基準に沿って緩やかな水準ではあるものの、2023 年第 3 四半期初めの時点で依然として非常に高い水準にあります。

Kplerのデータによると、インドと中国の海上原油輸入量は、2023年第2四半期に日量1,560万バレル(mb/日)という過去最高を記録した。 これは、過去 12 か月にわたる中国とインドの石油需要の力強い回復を反映し、前年比 180 万/日、または約 13% の増加でした。 中東の輸出がOPEC+の供給削減によって制限される中、2023年第2四半期にはアジアの輸入のうち大西洋盆地からの輸入の割合が増加し、タンカーのトンマイル需要の増加につながった。

中型タンカー市場は、2022年初頭のロシアのウクライナ侵攻に伴う貿易パターンの変化の結果、航海距離が長くなったことで恩恵を受け続けている。2023年第2四半期には、ロシアの全原油輸出量の約90%がインドとインドに出荷された。 中国は、VLCC がロシアの港から直接荷積みできないことを考慮すると、中型タンカーに対してかなりのトンマイル需要を生み出しています。 さらに、ロシアの原油輸出は2023年第2四半期に増加し、5月には3年ぶりの最高値となる日量390万バレルに達した。 当社はロシアの石油を輸送していませんが、これらの変化は全体のトンマイル需要を増加させ、より広範なタンカー市場に利益をもたらしました。 2023 年第 2 四半期の中型タンカーの料金は、米国など他の主要積載地域からの高い輸出水準によっても支えられ、原油輸出は 3 四半期連続で日量 400 万トンを超える過去最高を記録しました。

今後、国際エネルギー機関(IEA)は、非OECD諸国、特に新型コロナウイルス感染症の解除後に輸送用燃料需要が力強く回復している中国からの旺盛な需要が見込まれるため、2023年下半期に世界の石油需要が増加すると予想している。 これは、OECD諸国の成長鈍化を補って余りあるものです。 IEAは、2023年全体では世界の石油需要が日量220万バレルの増加で過去最高の日量10210万バレルになると予想し、2024年にはさらに110万バレル/日の石油需要が増加して日量10320万バレルになると予想している

OPEC+グループは原油価格を支援するために石油供給を制限する行動を取り続けており、サウジアラビアは2023年7月と8月に日量1メガバイトの供給削減を発表し、延長のオプションもある一方、ロシアは原油削減を約束している。 2023 年 8 月以降、輸出は日量 0.5 メガバイト増加します。 これにより、短期的には海上原油量の減少につながる可能性があり、2023年第3四半期の原油タンカー需要にマイナスとなる可能性がある。ただし、これらの削減の影響は、長距離移動の増加によって相殺される可能性がある。 中国とインドの石油需要が引き続き旺盛であれば、大西洋盆地の石油をアジアに供給する。 さらに、短期的には供給が抑制されるため、今年下半期には世界の石油在庫が減少すると予想されており、これが原油価格を下支えし、今年後半にはOPEC+の供給削減の緩和につながる可能性がある

船団供給のファンダメンタルズは引き続き非常に良好であり、世界のタンカー受注残は既存のタンカー船団の約 5% と歴史的低水準に近いままです。 2023 年までに 1,300 万デッド重量トン (mdwt) をわずかに超えるタンカーが発注されており、これは年換算ベースで 10 年間の平均レベルである約 27 mdwt と一致しています。 さらに、タンカーの注文件数は、今後数年で廃止に直面する可能性がある古い船舶の艦隊に比べてまだ比較的小さいため、船舶の増加は中期的に低いままとなるはずです。 造船所の生産能力は現在、2025年の引き渡しに向けてほぼ完売しているため、今後2〜3年間の船隊の増加は低い可能性が高く、2023年には約2%の船隊の増加が予想され、2024年と2025年の両方で船隊の増加は無視できるレベルになると予想されます

要約すると、タンカー市場は、本質的に耐久性があると当社が考える強力な需給ファンダメンタルズに支えられ、非常に堅調な状況が続いています。 スポットタンカー金利は、通常の季節的要因により、2023 年第 3 四半期初めの時点でも依然として高い水準にありますが、今年前半に見られた非常に高い金利と比べると鈍化しています。 当社は、非常に好調な船隊供給のファンダメンタルズにより、タンカー市場は今冬も非常に堅調で、今後 2 ~ 3 年間は市場の強さが続くと考えています。

参考:TEEKAY TANKERS LTD. REPORTS 2Q 2023 RESULTS

23年3Q決算(23年9月…)

23年3Q決算は、11月5日に公開予定です。

では、売上高や営業利益の10年間の推移はどうでしょうか?

ティーケイ・タンカーズ(TNK)の損益計算書は?

ティーケイ・タンカーズは2007年に166ドルで上場しました。08年5月に最高値194ドルをつけた後は、一貫して下落しています。23年8月の株価は44ドル前後で推移しています。

その1:売上高と営業利益の10年間の推移は?

過去10年間の決算書を見ると、売上高は順調に増加しています。18年以降は営業利益も改善し、営業利益率は13%まで回復しています。20年はスポット価格の一時的な急騰もあり利益を押し上げています。

21年後半に市況が上向けば、業績は好調を維持しそうですね。

その2:BPSとEPSの10年間の推移は?

過去10年間のBPS(1株あたり純資産)とEPS(1株あたり純利益)です。原油タンカーは過去10年間、厳しい状況だったことが分かりますね。しかしながら、他の原油タンカー企業と比較すると、数値はそこまで悪くはありません。

1株あたりの資産も利益を減らさずに、健闘していると言えます。

その3:営業CFと投資CFの10年間の推移は?

過去10年間のフリーCF(営業CF−投資CF)は、黒字の年も多く競合と比較して好調だと言えますね。フリーCFがマイナスなのは、大きく設備投資した15年だけです。自己資本比率は60%と高いし、20年には45%の純債務削減に成功しています

では、私たちはどのように投資判断すれば良いのでしょうか?

ティーケイ・タンカーズ(TNK)の注目点は?

ティーケイ・タンカーズに投資する上で注目すべきポイントを紹介します。 スコーピオ・タンカーズは石油タンカーを所有し、原油や石油製品を世界中に輸送する会社です。そのため、原油タンカーの運賃価格に比例して、売上高や利益が増えます。

注目1:原油タンカー運賃は過去10年で最低水準?

参考:不定期船・タンカー運賃指標の推移(BDI/WS)

日本郵船による、不定期船(水色)とタンカー運賃(青色)の推移です。

タンカー運賃は、20年3月に一時的に200まで急騰しています。その理由は、20年3月に陸上の貯蔵タンクが一杯になり、洋上タンカーのスポット価格が高騰したからです。しかしながら、5月以降はタンクの問題が解消され、運賃は過去10年で最も低水準です

世界的に原油の消費量が急減したことで、船舶の数が過剰だからです。

タンカー運賃は原油価格には依存せず、原油の海上運搬量(需要)と船舶数(供給)に依存します。20年5月から原油価格は急回復しているが、原油タンカーの需給は緩いです

コロナによる影響で、20年の原油消費量は過去水準ですね。では、原油タンカーの運賃の指標は何を見れば良いのでしょうか?

注目2:タンカー運賃の指標はサイズ毎に確認できる?

参考:Tanker Worldscale Rate

原油タンカー運賃の指標を見るには、SIMPSONというサイトが掲示しています。船舶サイズごとに、過去6ヶ月間のタンカー運賃を調べられます。最も小さい37000サイズの運賃を見ると、21年あたりから価格が上昇しています。

では、20年3月のコロナショックでは、どれだけ石油需要が急落したのでしょうか?

注目3:21年Q3にコロナ以前の水準まで回復する?

参考:World Crude Oil Supply and Demand Forecast, 2020-2021

21年以降の原油の供給と需要予測です。

世界の原油消費量(緑色)を見ると、19年Q4の101百万バレルから、20年2Qに84百万バレルまで急落しました。しかしながら、21年Q3には98百万バレルまで回復し、22年Q3には過去最高水準を更新します

消費量が回復するということは、原油タンカーの需要が上昇しますね。

需要が上昇する中でも、タンカーの供給量はあまり伸びません。なぜならば、コンテナ船やバルク船と同様に、環境規制で新しい船舶が作られていないからです。鉄鉱石の価格が2倍に上昇したことで、新たな設備投資には膨大な資金が必要になります。

そのため、コンテナやバルク運賃で起きた上昇は、いずれは原油にも波及します。

環境問題で原油の需要が落ち込んだように見えます。しかしながら、世界規模で見ると、原油の需要や消費量は伸び続けていますそのため、原油タンカーの数が増えなければ、タンカー運賃は上昇するしかありません。

参考:世界のエネルギー消費と資源

ティーケイ・タンカーズのチャーター料金は、前四半期と比較して増加しています。

注目4:中型船のチャーター運賃は24%も増加?

参考:Fourth Quarter and Annual 2020 Earnings Presentation

ティーケイ・タンカーズの定期船とスポット運賃の前四半期の比較です。

20年4月をピークにタンカー運賃は下落基調にありました。しかしながら、21年2月あたりから、中型船を中心に運賃が反転し始めています。LR2は前四半期比で24%、Aftermaxは11%、大型船のSuzemaxは3%上昇しています。

市況が反転した時に、最初に影響を受けるのが中小型船ですね20年1Qを機に、タンカー運賃が上向く可能性は高いです。

まとめ:ティーケイ・タンカーズ(TNK)決算は?

ティーケイ・タンカーズの注目ポイントは...
  1. 2007年に上場した、原油タンカー保有するカナダの海運企業
  2. 大型船のSuezmax、中型船のAftermaxとLR2を29隻保有
  3. 低迷する海運業界でも、売上高は右肩上がりで増えている
  4. 19年の売上高は過去最高で、営業利益率は13%まで改善
  5. 20年のスポット価格上昇で、純負債額を45%も返済する
  6. 自己資本比率が60%と高く、EPSとBPSも競合より良い
  7. 海運の多くはフリーCFが赤字だが、黒字を維持している
  8. 前四半期比で、中型船のチャーター運賃が24%も上昇してる
  9. 環境規制で船舶が作られず、需給はタイトになる可能性が高い

個人的には、ティーケイ・タンカーズは投資したい銘柄のひとつです。

なぜならば、低迷する海運業界でも、着実に売上を伸ばしてるからです。19年度の売上高は過去最高水準で、営業利益率も13%まで改善しています。20年はスポット価格の上昇で得た利益で、純負債額の45%を返済した点も好感できます

中型船は前四半期比で24%も上昇し、市況回復の兆しは見え始めています。

自己資本比率も60%と高く、EPSやBPSも他の競合よりも悪くない数値を残しています。また、フリーCFの黒字に成功してる点も高く評価できます。タンカーの注文数は歴史的な低水準で、同社のCEOはタンカー市況を楽観視しています。

参考:ユーロナブ(EURN)の四半期決算|20年4Qの売上高は−61%

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