コロナ以降にコンテナ運賃が高騰し、ダナオス(DAC)などのコンテナ銘柄が短期間で10倍にも高騰しています。コンテナに続きバルク船や原油タンカーの運賃も上昇基調にありますね。実際に、22年2Qの売上は前年比+96%、3Qは+142%に加速しています。
- 「コロナによる原油低迷で、20年に株価は60%も暴落…」
- 「タンカー市況が好転し、20年11月から1.5倍になる…」
- 「世界中の脱炭素化で、もう原油需要は回復しないのだろうか…」
ティーケイ・タンカーズは、原油タンカーを保有し海上輸送するカナダ企業です。大型船のSuezmax、中型船のAftermaxとLR2、29隻を保有しています。原油や天然ガスの輸送、浮遊式生産貯蔵出荷設備を保有するティーケイ(TK)のグループ企業ですね。
個人的には、ティーケイ・タンカーズは投資したい銘柄のひとつです。
なぜならば、低迷する海運業界でも、着実に売上を伸ばしてるからです。19年度の売上高は過去最高水準で、営業利益率も13%まで改善しています。20年はスポット価格の上昇で得た利益で、純負債額の45%を返済した点も好感できます。
中型船は前四半期比で24%も上昇し、市況回復の兆しは見え始めています。
自己資本比率も60%と高く、EPSやBPSも他の競合よりも悪くない数値を残しています。また、フリーCFの黒字に成功してる点も高く評価できます。タンカーの注文数は歴史的な低水準で、同社のCEOはタンカー市況を楽観視しています。
22年11月時点の予想PERは3.6倍と割安です。
- TNKの4半期決算(22年7-9月)は?
- TNKの過去10年間の売上高や営業利益は?
- 歴史的な注文数で、22年は原油タンカーも高騰か?
▼▼2022年12月は資産が6000万円を超える▼▼

20年3月に米国株を初めて、2.5年で運用額を10倍に増やしました。
ただし、大幅に増えた理由は運の要素が大きいです。20年や21年は歴史的な好相場で、素人でも読みやすい相場でしたね。ただし、22年現在は500社以上の銘柄分析を行い経験を積んだことで、なんとかプラスを維持しています。
過去の実績の詳細については、次の記事を参考にしてください。
記事の内容を簡単に知りたい
ティーケイ・タンカーズ(TNK)の四半期決算は?

ティーケイ・タンカーズ(TNK)の四半期決算を紹介します。
22年1Q決算(22年3月31日)
- 売上高:1.74億ドル(前年比+21%)
- 営業利益:−0.073億ドル(+33%)
- 純利益:−0.139億ドル(+34%)
- 1株当たり利益:−0.41ドル(+34%)
22年2Q決算(22年6月30日)
- 売上高:2.42億ドル(前年比+96%)
- 営業利益:0.34億ドル(前年度−1.19億ドル)
- 純利益:0.28億ドル(前年度−1.29億ドル)
- 1株当たり利益:0.84ドル(前年度−3.83ドル)
22年3Q決算(22年9月30日)
- 売上高:2.79億ドル(前年比+142%)◯
- 営業利益:0.75億ドル(前年度−0.41億ドル)
- 純利益:0.68億ドル(前年度−0.52億ドル)
- 1株当たり利益:2.00ドル(前年度−1.54ドル)◯
3Qの売上高は前年比+142%で2.79億ドル、営業利益は0.75億ドルでした。22年1Qや2Qに続き、3Qの売上も加速しています。営業利益率は26.8%と急速に回復していますね。
船舶の供給は歴史的な低水準で、同社CEOは将来の見通しに強気です。ロシア紛争は、原油タンカーの航路距離を長くするため、運賃の上昇圧力がありますね。
•報告された GAAP 純利益は 6,810 万ドル、または 1 株あたり 2.00 ドルです。 2022 年第 3 四半期の調整純利益 (1) は 5,790 万ドル、または 1 株あたり 1.70 ドルです (このリリースの付録 A に記載されている項目を除く)。
• 第 3 四半期のスポット タンカー レートは、スエズマックスが 1 日あたり 33,200 ドル、アフラマックスが 1 日あたり 35,900 ドルと、通常の季節的な傾向とは逆に好調です。中型タンカーの平均スポット レートは、2008 年以来の第 3 四半期で最高でした。
• 高い営業レバレッジと好調なスポット タンカー レートにより、当四半期は堅調なキャッシュ フローが発生し、当社の債務削減努力が支えられました。当社の純負債 (2) は、前四半期から 6,600 万ドル減少して 4 億 8,600 万ドルになりました。
• スポット タンカーの料金は改善を続けています。同社は第 4 四半期から現在まで、スエズマックス フリートで 1 日あたり 40,000 ドル、アフラマックス フリートで 1 日あたり 36,600 ドル、LR2 フリートで 1 日あたり 44,700 ドルという強力なスポット レートを確保しています。四半期累計のレートは、昨年の第 4 四半期のレートに比べて約 2 ~ 3 倍高くなっています。CEOコメント:
Teekay Tankers の社長兼 CEO である Kevin Mackay は、次のように述べています。
「ロシアからの輸入に対するヨーロッパの全面的な制裁は、今後数か月以内に発効すると予想されているが、中型タンカーは、変化する石油貿易パターンの不均衡な受益者であることをすでに示している.ウクライナでの戦争の開始以来、長い-アフラマックスとスエズマックスの平均航続距離は大幅に伸びており、石油市場の出来事に応じて VLCC 料金が大きく変動したにもかかわらず、チャーター料金は持続的に上昇しています。 ”
「より広いマクロ環境には、不確実性の原因があります。特に、ウクライナでの戦争による波紋の拡大と、さまざまな世界経済全体でのインフレの継続的な上昇、および大規模なパンデミック関連のロックダウン後の中国での経済活動の正常化の可能性です。それにもかかわらず、特に少なくとも2025年まで中型タンカーの注文が記録的に低かった結果として、今後も市場が引き締まっていることに対する強力なファンダメンタルズ・サポートが見られます。」
「このような背景に対して、Teekay Tankers はそのキャッシュ フローを利用して、バランス シートを大幅に強化し、純負債とフリート キャッシュ フローの損益分岐点レベルを持続的に削減し、Teekay Tankers を長期的な株主価値を創出できるように位置付けています。」タンカー市場:
2022 年の第 3 四半期には、ウクライナの紛争が世界の石油取引パターンを再形成し続けているため、原油タンカーのスポット レートは季節に反して上昇しました。ロシアの原油のヨーロッパへの短距離輸出は減少し続けており、侵略前の 2.7 mb/d と比較して、2022 年の第 3 四半期には 1 日あたり平均 170 万バレル (mb/d) になりました。この石油の多くは、中型タンカーでインドと中国にリダイレクトされており、タンカーのトンマイル需要が大幅に増加しています。さらに、ヨーロッパはロシアの石油を、米国湾岸、ラテンアメリカ、西アフリカ、中東など、より遠い場所からの輸入に置き換えており、中型タンカーのトンマイル需要にさらに貢献しています。これらの変更にもかかわらず、欧州連合は 2022 年 9 月にロシアから 1.5 mb/d の海上原油と 0.8 mb/d の精製製品をまだ輸入していました。これらの輸入は、2022 年 12 月 5 日と 2023 年 2 月 5 日に禁止される予定です。 、それぞれ、今後数か月でタンカーのトンマイル需要がさらに高まると予想されます。これらの貿易パターンの変化の完全な影響は、天候の遅れなどの通常の冬の要因や、ヨーロッパでの記録的な高騰の天然ガス価格の結果としてのガスから石油への切り替えによる石油需要の増加と相まって、タンカーを引き起こすと予想されます市場は、冬の間から 2023 年前半にかけて堅調に推移すると予想されます。
将来を見据えると、インフレ圧力と金利上昇の一部が原因で世界経済が減速する可能性があることは、2023 年の見通しがより不確実になったことを意味します。それにもかかわらず、主要な石油機関は、継続的なガスから石油への切り替えと、アジア、特に中国でのCOVID後の予想される石油需要の回復により、来年も比較的堅調な石油需要の伸びを予測しています。世界の石油需要は、IEA、EIA、および OPEC の予測の平均に従って、2023 年に 1.8 mb/d 増加すると予想されており、これにより、需要は COVID 前のレベルに戻ります。 IEA によると、非 OPEC+ の供給は 2023 年に 1.8 mb/d の堅調な増加が予測されており、そのほとんどは、米国、ブラジル、ガイアナ、ノルウェー、カナダなどの大西洋海盆の供給業者からのものであると予想されています。石油需要の伸びの大部分はアジア諸国からもたらされると予想されるため、これは大西洋盆地から太平洋盆地への長距離輸送の増加につながるはずであり、これはトンマイル需要にとってプラスになるでしょう.ただし、これを相殺するのは、新たな供給削減ラウンドによる OPEC+ からの供給の減少と、EU の海上輸入禁止が発効した後の潜在的なロシアからの生産の減少です。 2022 年 10 月初旬、OPEC+ は、2022 年 11 月から 2023 年末まで有効な、既存のベースラインからの 2 mb/d の供給削減を発表しました。しかし、多くの国はすでに現在の目標をはるかに下回って生産しているため、実際の純削減は生産量は 1 mb/d に近づく可能性があり、生産量の削減のほとんどは中東からのものです。これは海上貿易量にとってはマイナスですが、アジア諸国が大西洋盆地からより多くのバレルを調達する可能性があり、輸送距離が長くなる可能性があります.
新しいタンカーの注文が不足しているため、注文書が急速に縮小しているため、艦隊の供給ファンダメンタルズは引き続き非常にポジティブに見えます。 2022 年 9 月 30 日の時点で、500 万重量トン弱の新しいタンカーが発注されています。このペースでは、2022 年のタンカーの総発注量は 1980 年代以来の低水準に設定されています。過去数か月の比較的好調なタンカー市場を考えると、これは非常に珍しいことです。なぜなら、過去には貨物運賃が上昇した時期に新しいタンカーの注文が増加する傾向があったからです。しかし、当社は、新造船の価格が非常に高いこと、2025 年末までにコンテナ船と LNG 運搬船の注文が多かったために造船所の能力が不足していること、船舶技術に関する不確実性が、現在の好転時に所有者が新しいタンカーを注文することを思いとどまらせていると考えています。その結果、既存の艦隊の割合として測定した場合、発注書は 2022 年 10 月の時点で 4% 強という記録的な低さにまで落ち込んでいます。廃棄レベルに影響を与える可能性がある老朽化したタンカー艦隊と相まって、当社は比較的2023 年のフリートの伸びは低く、2024 年と 2025 年にはフリートの伸びがマイナスになる可能性があります。
要約すると、タンカー市場は、ロシアの石油輸出のヨーロッパからの継続的なルート変更と、その後の他のより遠いソースからの輸入のヨーロッパへの埋め戻しにより、今後数か月間堅調に推移すると予想されます。これらは両方ともかなりのトンマイルを生み出しています。中型タンカーセクターの需要。タンカー市場も 2023 年に堅調に推移すると予想されますが、世界的な経済リスクと石油需要への潜在的な影響により、ここ数か月で見通しがより不確実になっています。しかし、当社は、数十年で最高のフリート供給ファンダメンタルズにより、今後2〜3年間は前向きな見通しを維持しており、今後数年間でタンカー料金をサポートすると考えています
22年4Q決算(22年12月…)
22年4Q決算は、23年2月4日に公開予定です。
では、売上高や営業利益の10年間の推移はどうでしょうか?
ティーケイ・タンカーズ(TNK)の損益計算書は?

ティーケイ・タンカーズは2007年に166ドルで上場しました。08年5月に最高値194ドルをつけた後は、一貫して下落しています。22年11月の株価は33ドル前後で推移しています。
その1:売上高と営業利益の10年間の推移は?

過去10年間の決算書を見ると、売上高は順調に増加しています。18年以降は営業利益も改善し、営業利益率は13%まで回復しています。20年はスポット価格の一時的な急騰もあり利益を押し上げています。
21年後半に市況が上向けば、業績は好調を維持しそうですね。
その2:BPSとEPSの10年間の推移は?

過去10年間のBPS(1株あたり純資産)とEPS(1株あたり純利益)です。原油タンカーは過去10年間、厳しい状況だったことが分かりますね。しかしながら、他の原油タンカー企業と比較すると、数値はそこまで悪くはありません。
1株あたりの資産も利益を減らさずに、健闘していると言えます。
その3:営業CFと投資CFの10年間の推移は?

過去10年間のフリーCF(営業CF−投資CF)は、黒字の年も多く競合と比較して好調だと言えますね。フリーCFがマイナスなのは、大きく設備投資した15年だけです。自己資本比率は60%と高いし、20年には45%の純債務削減に成功しています。
では、私たちはどのように投資判断すれば良いのでしょうか?
ティーケイ・タンカーズ(TNK)の注目点は?

ティーケイ・タンカーズに投資する上で注目すべきポイントを紹介します。 スコーピオ・タンカーズは石油タンカーを所有し、原油や石油製品を世界中に輸送する会社です。そのため、原油タンカーの運賃価格に比例して、売上高や利益が増えます。
注目1:原油タンカー運賃は過去10年で最低水準?
日本郵船による、不定期船(水色)とタンカー運賃(青色)の推移です。
タンカー運賃は、20年3月に一時的に200まで急騰しています。その理由は、20年3月に陸上の貯蔵タンクが一杯になり、洋上タンカーのスポット価格が高騰したからです。しかしながら、5月以降はタンクの問題が解消され、運賃は過去10年で最も低水準です。
世界的に原油の消費量が急減したことで、船舶の数が過剰だからです。
タンカー運賃は原油価格には依存せず、原油の海上運搬量(需要)と船舶数(供給)に依存します。20年5月から原油価格は急回復しているが、原油タンカーの需給は緩いです。
コロナによる影響で、20年の原油消費量は過去水準ですね。では、原油タンカーの運賃の指標は何を見れば良いのでしょうか?
注目2:タンカー運賃の指標はサイズ毎に確認できる?
原油タンカー運賃の指標を見るには、SIMPSONというサイトが掲示しています。船舶サイズごとに、過去6ヶ月間のタンカー運賃を調べられます。最も小さい37000サイズの運賃を見ると、21年あたりから価格が上昇しています。
では、20年3月のコロナショックでは、どれだけ石油需要が急落したのでしょうか?
注目3:21年Q3にコロナ以前の水準まで回復する?
21年以降の原油の供給と需要予測です。
世界の原油消費量(緑色)を見ると、19年Q4の101百万バレルから、20年2Qに84百万バレルまで急落しました。しかしながら、21年Q3には98百万バレルまで回復し、22年Q3には過去最高水準を更新します。
消費量が回復するということは、原油タンカーの需要が上昇しますね。
需要が上昇する中でも、タンカーの供給量はあまり伸びません。なぜならば、コンテナ船やバルク船と同様に、環境規制で新しい船舶が作られていないからです。鉄鉱石の価格が2倍に上昇したことで、新たな設備投資には膨大な資金が必要になります。
そのため、コンテナやバルク運賃で起きた上昇は、いずれは原油にも波及します。
環境問題で原油の需要が落ち込んだように見えます。しかしながら、世界規模で見ると、原油の需要や消費量は伸び続けています。そのため、原油タンカーの数が増えなければ、タンカー運賃は上昇するしかありません。
ティーケイ・タンカーズのチャーター料金は、前四半期と比較して増加しています。
注目4:中型船のチャーター運賃は24%も増加?
ティーケイ・タンカーズの定期船とスポット運賃の前四半期の比較です。
20年4月をピークにタンカー運賃は下落基調にありました。しかしながら、21年2月あたりから、中型船を中心に運賃が反転し始めています。LR2は前四半期比で24%、Aftermaxは11%、大型船のSuzemaxは3%上昇しています。
市況が反転した時に、最初に影響を受けるのが中小型船ですね。20年1Qを機に、タンカー運賃が上向く可能性は高いです。
まとめ:ティーケイ・タンカーズ(TNK)決算は?
- 2007年に上場した、原油タンカー保有するカナダの海運企業
- 大型船のSuezmax、中型船のAftermaxとLR2を29隻保有
- 低迷する海運業界でも、売上高は右肩上がりで増えている
- 19年の売上高は過去最高で、営業利益率は13%まで改善
- 20年のスポット価格上昇で、純負債額を45%も返済する
- 自己資本比率が60%と高く、EPSとBPSも競合より良い
- 海運の多くはフリーCFが赤字だが、黒字を維持している
- 前四半期比で、中型船のチャーター運賃が24%も上昇してる
- 環境規制で船舶が作られず、需給はタイトになる可能性が高い
個人的には、ティーケイ・タンカーズは投資したい銘柄のひとつです。
なぜならば、低迷する海運業界でも、着実に売上を伸ばしてるからです。19年度の売上高は過去最高水準で、営業利益率も13%まで改善しています。20年はスポット価格の上昇で得た利益で、純負債額の45%を返済した点も好感できます。
中型船は前四半期比で24%も上昇し、市況回復の兆しは見え始めています。
自己資本比率も60%と高く、EPSやBPSも他の競合よりも悪くない数値を残しています。また、フリーCFの黒字に成功してる点も高く評価できます。タンカーの注文数は歴史的な低水準で、同社のCEOはタンカー市況を楽観視しています。
コメントを残す