トーム(TRMD)四半期決算|23年1Qは+86%に減速

世界経済は順調に回復する中でも、原油や石油製品タンカーの需要は弱いままですね。21年2Qの売上は前年比−33%、3Qは−4%と引き続き弱いです。しかしながら、22年2Qは+124%、3Qは+188%と加速しています。

  • 「コロナによる原油低迷で、株価は30%も暴落している…」
  • 「タンカー市況が好転し、20年11月から1.5倍に上昇…」
  • 「世界中の脱炭素化で、もう原油需要は回復しないのだろうか…」

トームは原油と原油製品を海上輸送するイギリスの海運企業です。中型船のLR2/LR1を19隻、小型船のMRを54隻、全部で73隻を保有しています。また、オーダー中の新規造船は10隻と積極的に設備投資をしています

個人的には、トームは投資したい銘柄のひとつです。

なぜならば、過去最低水準の製品タンカーの運賃は、いずれ上昇すると思うからです世界の原油消費量の予測を見ると、21年後半には以前の水準に戻し、22年後半には過去最高水準を更新します。

原油市況が回復すれば、同社の業績も力強く回復します。

需要が上昇する中でも、タンカーの供給量はあまり伸びません。なぜならば、コンテナ船やバルク船と同様に、環境規制で新しい船舶が作られていないからです。トームによると、原油製品タンカーの注文数は過去最低水準の7%です

23年も引き続き原油製品タンカー市況はタイトです。

23年5月時点の予想PER3.6倍は割安ですね。

トームの投資判断したい人向け
  1. トームの4半期決算(23年1-3月)は?
  2. トームの過去10年間の売上高や営業利益は?
  3. コンテナやバルク船と同様に、原油タンカーも高騰するのか?

▼▼2022年12月は資産が6000万円を超える▼▼

20年3月に米国株を初めて、2.5年で運用額を10倍に増やしました

ただし、大幅に増えた理由は運の要素が大きいです。20年や21年は歴史的な好相場で、素人でも読みやすい相場でしたね。ただし、22年現在は500社以上の銘柄分析を行い経験を積んだことで、なんとかプラスを維持しています。

過去の実績の詳細については、次の記事を参考にしてください。

参考:【自己紹介】米国株1.5年で運用額を10倍の「4727万円」に増やす

トーム(TRMD)の四半期決算は?

トーム(TRMD)の四半期決算を紹介します。

22年3Q決算(22年9月30日)

3Qの内容は...
  1. 売上高:4.481億ドル前年比+188%)◯
  2. 営業利益:2.286億ドル(前年度−0.037億ドル)
  3. 純利益:2.173億ドル(前年度−0.141億ドル)
  4. 1株当たり利益:2.63ドル(前年度−0.19ドル)◯

22年4Q決算(22年12月30日)

4Qの内容は...
  1. 売上高:4.47億ドル前年比+136%
  2. 営業利益:—億ドル(—%)
  3. 純利益:2.29億ドル(➕2892%)
  4. 1株当たり利益:4.45ドル(+10982%)◯

23年1Q決算(23年3月30日)

1Qの内容は...
  1. 売上高:3.90億ドル前年比+86%
  2. 営業利益:1.63億ドル(+7.4倍)
  3. 純利益:1.53億ドル(+11倍)
  4. 1株当たり利益:1.80ドル(+15倍)

1Qの売上高は前年比+86%で3.90億ドル、営業利益は1.63億ドルでした。22年3Qや4Qと比較して、23年1Qの売上は減速していますね。営業利益率は41%と依然として高いです。

配当金は1.46ドル(利回19%)に引き下げています。

23年1Q時点のスポット価格は次の通りです。

  • LR2:65,245ドル(前年比+279%
  • LR1:44,141ドル(+119%
  • MR:37,058ドル(+124%
  • Handy:—ドル(—%)

5月5日時点のLR2の運賃は59, 197ドル、LR1は45,578ドル、MRは35,804ドルで取引されています。

Results:

2023 年第 1 四半期の TCE: USD/日 41,717 (2022 年第 1 四半期: USD/日 16,743)
• 2023年第1四半期の税引前利益:1億5,510万米ドル(2022年第1四半期:1,070万米ドル)
• EPS: 2023年第1四半期: 1.87米ドル/株、12.99デンマーククローネ/株 (2022年第1四半期: 0.13米ドル/株、0.86デンマーククローネ/株)
• 投下資本利益率: 2023 年第 1 四半期: 29.2% (2022 年第 1 四半期: 4.4%)
• 2023 年第 1 四半期の配当は 1 株あたり 1.46 米ドル、予想総配当は 1 億 2,110 万米ドルと発表されました。 支払予定日は、2023年5月23日に記録されている株主に基づき、2023年6月6日です。配当落ち日は2023年5月22日となります。

以前発表したように、当社は中古 LR1 船 7 隻と中古 MR 船 3 隻の取得を完了し、TORM の保有船隊の総規模は完全納入ベースで 88 隻に増加しました
• 2023 年 5 月 11 日の時点で、当社は 7 隻の LR1 船舶を受領しました。 3 隻の MR 船は 2023 年 5 月末までに引き渡される予定です。
• 以前に発表したように、当社は4億3,300万米ドルの銀行契約およびリース契約の借り換えの確約を獲得し、これにより債務満期を2028年まで延長し、債務満期の大部分を2029年まで延長する可能性があります。さらに、追加の中古船舶への融資の確約も獲得しました。 同じ有効期限で最大 1 億 2,300 万ドルまで。 取引は2023年第2四半期末までに完了する予定だ。
• 2023 年第 1 四半期中に、全車両で計画されていた 77 台のスクラバーのうち、合計 59 台のスクラバーの設置に達しました。
• 仲介業者の評価に基づくと、TORM の艦隊の市場価値は、2023 年 3 月 31 日時点で引き渡し船舶を含めて 28 億 9,330 万米ドルで、2022 年 12 月 31 日以来 2 億 4,300 万米ドルまたは 9% 増加しました。
• ブローカーの評価に基づき、チャーターコミットメントを除いた TORM の連結純資産価値 (NAV) は 25 億 6,020 万米ドルと推定されました。

Market development

プロダクトタンカー市場は、2023 年の第 1 四半期も引き続き好調を維持しましたが、不安定で前四半期よりも低い水準にありました。 最新の新造船や中古のプロダクトタンカーの価格はここ数年で高止まりしている。
第 1 四半期の初め、製品タンカーの運賃は、米国湾岸での製油所のメンテナンスが通常よりも早く行われたこ、中間留分在庫の増加による欧州への貿易の流れの鈍化と相まって、下落しました。 しかし、EUによるロシア石油製品の禁止とG7価格差制度が2023年2月5日に発効すると、ロシアが石油製品の方向転換に成功する一方、EUが製品を遠方(特に中東)から調達することでプロダクトタンカーのトンマイルが増加した。 遠く離れた目的地に輸出します。 フランスの製油所でのストライキの影響で中間留分在庫が若干下落した。

Market outlook

第 2 四半期のプロダクトタンカー市場は不安定な状況が続いていますが、概して堅調な水準にあります。 OPEC+によるプロダクトタンカーの驚くべき減産の影響は限定的であり、欧州のロシア産ディーゼル離れによる貿易距離の延長がそれを上回ると予想される。 これは、中東のジャザンおよびアル・ズール製油所の増強によってさらに促進される可能性があります 中期的には、市場は引き続き低オーダーブックと製油所の状況の変化に支えられています。

参考:2023 Q1 Results

23年2Q決算(23年6月…)

23年2Q決算は、8月11日に公開予定です。

では、売上高や営業利益の10年間の推移はどうでしょうか?

トーム(TRMD)の10年の損益計算書は?

トームは2018年に7.6ドルで上場しています。上場後も株価は横ばいで推移し、23年5月は30ドル前後で推移しています。

その1:売上高と営業利益の10年間の推移は?

過去10年間の決算書を見ると、過去10年比で売上高は伸びていません。売上高が減少しているのは、船舶を処分する事で規模を縮小したからです不採算を処分したことで、営業利益ベースでは回復傾向にありますね。

21年の営業利益率は、−1.4%まで落ち込んでいます。

その2:BPSとEPSの10年間の推移は?

過去10年間のBPS(1株あたり純資産)とEPS(1株あたり純利益)です。過去10年間は海運業界全体にとって悪い時期でしたね。BPSは下落を続けている上に、EPSも不安定に推移しています。

その3:営業CFと投資CFの10年間の推移は?

過去10年間のフリーCF(営業CF−投資CF)は、赤字が多いですね。13年以前は古い船舶を売却していたが、15年以降は積極的に設備投資をしていますね。しかしながら、需給が悪く営業CFは増えず、設備投資の回収には至っていません

では、私たちはどのように投資判断すれば良いのでしょうか?

トーム(TRMD)の注目すべきポイントは?

トームに投資する上で注目すべきポイントを紹介します。トームは原油タンカーと原油製品を運搬するプロダクトタンカーを保有する会社です。

注目1:中型船を19隻、小型船を54隻保有してる?

参考:FULL-YEAR AND Q4 2020 RESULTS

トームが保有する船舶数は全部で73隻です。

中型船のLR2/LR1を19隻、小型船のMRを54隻を保有しています。また、オーダー中の新規造船は10隻もありますね。トームはガソリン、ジェット燃料、ナフサ、ディーゼル油などの原油製品を主に運搬しています。

以前はバルク船も所有していたが、15年に最後の2隻を売却しています。

プロダクトタンカーの注文数は、過去最低水準にあると言います。

注目2:新規造船の注文書数の割合は過去最低水準の7%?

参考:FULL-YEAR AND Q4 2020 RESULTS

プロダクトタンカーの船舶数に対する注文書の割合です。

プロダクトタンカーの注文数の割合は、過去最低水準の7%です。これは、金融危機以降の09年や10年よりも低い数値ですね。プロダクトタンカーとは、ガソリン、ジェット燃料などの精製後の原油を運搬するタンカーです。

コンテナ船、バルク船、原油タンカーと同様に、需給関係が締まる事を示しています。

では、原油タンカーの市況はどのように推移しているでしょうか?

注目3:原油タンカー運賃は過去10年で最低水準?

参考:不定期船・タンカー運賃指標の推移(BDI/WS)

日本郵船による、不定期船(水色)とタンカー運賃(青色)の推移です。

タンカー運賃は、20年3月に一時的に200まで急騰しています。その理由は、20年3月に陸上の貯蔵タンクが一杯になり、洋上タンカーのスポット価格が高騰したからです。しかしながら、5月以降はタンクの問題が解消され、運賃は過去10年で最も低水準です

世界的に原油の消費量が急減したことで、船舶の数が過剰だからです。

タンカー運賃は原油価格には依存せず、原油の海上運搬量(需要)と船舶数(供給)に依存します。20年5月から原油価格は急回復しているが、原油タンカーの需給は緩いです

コロナによる影響で、20年の原油消費量は過去水準ですね。では、原油タンカーの運賃の指標は何を見れば良いのでしょうか?

注目4:タンカー運賃の指標はサイズ毎に確認できる?

参考:Tanker Worldscale Rate

原油タンカー運賃の指標を見るには、SIMPSONというサイトが掲示しています。船舶サイズごとに、過去6ヶ月間のタンカー運賃を調べられます。最も小さい37000サイズの運賃を見ると、21年あたりから価格が上昇しています。

では、20年3月のコロナショックでは、どれだけ石油需要が急落したのでしょうか?

注目5:21年Q3にコロナ以前の水準まで回復する?

参考:World Crude Oil Supply and Demand Forecast, 2020-2021

21年以降の原油の供給と需要予測です。

世界の原油消費量(緑色)を見ると、19年Q4の101百万バレルから、20年2Qに84百万バレルまで急落しました。しかしながら、21年Q3には98百万バレルまで回復し、22年Q3には過去最高水準を更新します

消費量が回復するということは、原油タンカーの需要が上昇しますね。

需要が上昇する中でも、タンカーの供給量はあまり伸びません。なぜならば、コンテナ船やバルク船と同様に、環境規制で新しい船舶が作られていないからです。鉄鉱石の価格が2倍に上昇したことで、新たな設備投資には膨大な資金が必要になります。

そのため、コンテナやバルク運賃で起きた上昇は、いずれは原油にも波及します。

環境問題で原油の需要が落ち込んだように見えます。しかしながら、世界規模で見ると、原油の需要や消費量は伸び続けていますそのため、原油タンカーの数が増えなければ、タンカー運賃は上昇するしかありません。

参考:世界のエネルギー消費と資源

▼▼2022年12月は資産が6000万円を超える▼▼

20年3月に米国株を初めて、2.5年で運用額を10倍に増やしました

ただし、大幅に増えた理由は運の要素が大きいです。20年や21年は歴史的な好相場で、素人でも読みやすい相場でしたね。ただし、22年現在は500社以上の銘柄分析を行い経験を積んだことで、なんとかプラスを維持しています。

過去の実績の詳細については、次の記事を参考にしてください。

参考:【自己紹介】米国株1.5年で運用額を10倍の「4727万円」に増やす

まとめ:トーム(TRMD)の四半期決算は?

トームの注目ポイントは...
  1. 2018年に上場した、原油製品タンカーの英国企業
  2. 全部で73隻のタンカーを保有、注文中は10隻もある
  3. 中型船LR2/LR1を19隻、小型船MRを54隻を保有する
  4. 船舶を大量に処分し、14年以降は売上高は横ばいが続く
  5. 競合と比較して利益率は低く、19年の営業利益率は13%
  6. 原油製品タンカーの注文数は、過去最低水準の7%しかない
  7. コンテナやバルク船に続いて、21年はタンカー運賃も上昇

個人的には、トームは投資したい銘柄のひとつです。

なぜならば、過去最低水準の製品タンカーの運賃は、いずれ上昇すると思うからです世界の原油消費量の予測を見ると、21年後半には以前の水準に戻し、22年後半には過去最高水準を更新します。

原油市況が回復すれば、同社の業績も力強く回復します。

需要が上昇する中でも、タンカーの供給量はあまり伸びません。なぜならば、コンテナ船やバルク船と同様に、環境規制で新しい船舶が作られていないからです。トームによると、原油製品タンカーの注文数は過去最低水準の7%です

ただ、短期的にはアジアのロックダウン、中国の停電などで需要は低いですね。タンカー市況が回復するのは、電力問題が落ち着いた22年以降になるかもしれません。

原油タンカー銘柄で1番のお勧めは、ユーロナブ(EURN)です。なぜならば、財務が最も健全で売上高が拡大しているからです。原油タンカー企業に投資する際には、財務が健全で成長が見込める企業に投資するべきですね。

参考:ユーロナブ(EURN)の四半期決算|20年4Qの売上高は−61%

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