世界経済は順調に回復する中でも、原油や石油製品タンカーの需要は弱いままですね。21年2Qの売上は前年比−33%、3Qは−4%と引き続き弱いです。しかしながら、22年2Qは+124%、3Qは+188%と加速しています。
- 「コロナによる原油低迷で、株価は30%も暴落している…」
- 「タンカー市況が好転し、20年11月から1.5倍に上昇…」
- 「世界中の脱炭素化で、もう原油需要は回復しないのだろうか…」
トームは原油と原油製品を海上輸送するイギリスの海運企業です。中型船のLR2/LR1を19隻、小型船のMRを54隻、全部で73隻を保有しています。また、オーダー中の新規造船は10隻と積極的に設備投資をしています。
個人的には、トームは投資したい銘柄のひとつです。
なぜならば、過去最低水準の製品タンカーの運賃は、いずれ上昇すると思うからです。世界の原油消費量の予測を見ると、21年後半には以前の水準に戻し、22年後半には過去最高水準を更新します。
原油市況が回復すれば、同社の業績も力強く回復します。
需要が上昇する中でも、タンカーの供給量はあまり伸びません。なぜならば、コンテナ船やバルク船と同様に、環境規制で新しい船舶が作られていないからです。トームによると、原油製品タンカーの注文数は過去最低水準の7%です。
22年1Qは原油製品タンカーの市況がタイトになっています。22年11月時点の予想PER7倍は割安ですね。
- トームの4半期決算(22年7-9月)は?
- トームの過去10年間の売上高や営業利益は?
- コンテナやバルク船と同様に、原油タンカーも高騰するのか?
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20年3月に米国株を初めて、2.5年で運用額を10倍に増やしました。
ただし、大幅に増えた理由は運の要素が大きいです。20年や21年は歴史的な好相場で、素人でも読みやすい相場でしたね。ただし、22年現在は500社以上の銘柄分析を行い経験を積んだことで、なんとかプラスを維持しています。
過去の実績の詳細については、次の記事を参考にしてください。
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トーム(TRMD)の四半期決算は?

トーム(TRMD)の四半期決算を紹介します。
22年1Q決算(22年3月31日)
- 売上高:2.094億ドル(前年比+68%)◯
- 営業利益:0.226億ドル(前年度−0.116億ドル)
- 純利益:0.104億ドル(前年度−0.213億ドル)
- 1株当たり利益:0.12ドル(前年度−0.28ドル)◯
22年2Q決算(22年6月30日)
- 売上高:3.385億ドル(前年比+124%)◯
- 営業利益:1.187億ドル(+857%)
- 純利益:1.066億ドル(+44倍)
- 1株当たり利益:1.31ドル(+43倍)◯
22年3Q決算(22年9月30日)
- 売上高:4.481億ドル(前年比+188%)◯
- 営業利益:2.286億ドル(前年度−0.037億ドル)
- 純利益:2.173億ドル(前年度−0.141億ドル)
- 1株当たり利益:2.63ドル(前年度−0.19ドル)◯
3Qの売上高は前年比+188%で4.481億ドル、営業利益は2.286億ドルでした。22年1Qや2Qと比較して、3Qの売上も加速していますね。営業利益率は51%と過去最高水準を記録しています。
配当金は0.58ドルから、1.46ドル(利回20%)に上げています。
22年3Q時点のスポット価格は次の通りです。
ただし、22年11月時点の運賃はLR2が55,105ドル、LR1が47,661ドル、MRが43,268ドルと横ばいです。原油タンカーと比較すると、伸び率が低下してる点は注意が必要ですね。
- LR2:52,595ドル(前年比+298%)
- LR1:51,089ドル(+337%)
- MR:43,284ドル(+244%)
- Handy:12,505ドル(+99%)
22年4Q決算(22年12月…)
22年4Q決算は、23年2月10日に公開予定です。
では、売上高や営業利益の10年間の推移はどうでしょうか?
トーム(TRMD)の10年の損益計算書は?

トームは2018年に7.6ドルで上場しています。上場後も株価は横ばいで推移し、22年11月は28ドル前後で推移しています。
その1:売上高と営業利益の10年間の推移は?

過去10年間の決算書を見ると、過去10年比で売上高は伸びていません。売上高が減少しているのは、船舶を処分する事で規模を縮小したからです。不採算を処分したことで、営業利益ベースでは回復傾向にありますね。
21年の営業利益率は、−1.4%まで落ち込んでいます。
その2:BPSとEPSの10年間の推移は?

過去10年間のBPS(1株あたり純資産)とEPS(1株あたり純利益)です。過去10年間は海運業界全体にとって悪い時期でしたね。BPSは下落を続けている上に、EPSも不安定に推移しています。
その3:営業CFと投資CFの10年間の推移は?

過去10年間のフリーCF(営業CF−投資CF)は、赤字が多いですね。13年以前は古い船舶を売却していたが、15年以降は積極的に設備投資をしていますね。しかしながら、需給が悪く営業CFは増えず、設備投資の回収には至っていません。
では、私たちはどのように投資判断すれば良いのでしょうか?
トーム(TRMD)の注目すべきポイントは?

トームに投資する上で注目すべきポイントを紹介します。トームは原油タンカーと原油製品を運搬するプロダクトタンカーを保有する会社です。
注目1:中型船を19隻、小型船を54隻保有してる?
トームが保有する船舶数は全部で73隻です。
中型船のLR2/LR1を19隻、小型船のMRを54隻を保有しています。また、オーダー中の新規造船は10隻もありますね。トームはガソリン、ジェット燃料、ナフサ、ディーゼル油などの原油製品を主に運搬しています。
以前はバルク船も所有していたが、15年に最後の2隻を売却しています。
プロダクトタンカーの注文数は、過去最低水準にあると言います。
注目2:新規造船の注文書数の割合は過去最低水準の7%?
プロダクトタンカーの船舶数に対する注文書の割合です。
プロダクトタンカーの注文数の割合は、過去最低水準の7%です。これは、金融危機以降の09年や10年よりも低い数値ですね。プロダクトタンカーとは、ガソリン、ジェット燃料などの精製後の原油を運搬するタンカーです。
コンテナ船、バルク船、原油タンカーと同様に、需給関係が締まる事を示しています。
では、原油タンカーの市況はどのように推移しているでしょうか?
注目3:原油タンカー運賃は過去10年で最低水準?
日本郵船による、不定期船(水色)とタンカー運賃(青色)の推移です。
タンカー運賃は、20年3月に一時的に200まで急騰しています。その理由は、20年3月に陸上の貯蔵タンクが一杯になり、洋上タンカーのスポット価格が高騰したからです。しかしながら、5月以降はタンクの問題が解消され、運賃は過去10年で最も低水準です。
世界的に原油の消費量が急減したことで、船舶の数が過剰だからです。
タンカー運賃は原油価格には依存せず、原油の海上運搬量(需要)と船舶数(供給)に依存します。20年5月から原油価格は急回復しているが、原油タンカーの需給は緩いです。
コロナによる影響で、20年の原油消費量は過去水準ですね。では、原油タンカーの運賃の指標は何を見れば良いのでしょうか?
注目4:タンカー運賃の指標はサイズ毎に確認できる?
原油タンカー運賃の指標を見るには、SIMPSONというサイトが掲示しています。船舶サイズごとに、過去6ヶ月間のタンカー運賃を調べられます。最も小さい37000サイズの運賃を見ると、21年あたりから価格が上昇しています。
では、20年3月のコロナショックでは、どれだけ石油需要が急落したのでしょうか?
注目5:21年Q3にコロナ以前の水準まで回復する?
21年以降の原油の供給と需要予測です。
世界の原油消費量(緑色)を見ると、19年Q4の101百万バレルから、20年2Qに84百万バレルまで急落しました。しかしながら、21年Q3には98百万バレルまで回復し、22年Q3には過去最高水準を更新します。
消費量が回復するということは、原油タンカーの需要が上昇しますね。
需要が上昇する中でも、タンカーの供給量はあまり伸びません。なぜならば、コンテナ船やバルク船と同様に、環境規制で新しい船舶が作られていないからです。鉄鉱石の価格が2倍に上昇したことで、新たな設備投資には膨大な資金が必要になります。
そのため、コンテナやバルク運賃で起きた上昇は、いずれは原油にも波及します。
環境問題で原油の需要が落ち込んだように見えます。しかしながら、世界規模で見ると、原油の需要や消費量は伸び続けています。そのため、原油タンカーの数が増えなければ、タンカー運賃は上昇するしかありません。
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20年3月に米国株を初めて、2.5年で運用額を10倍に増やしました。
ただし、大幅に増えた理由は運の要素が大きいです。20年や21年は歴史的な好相場で、素人でも読みやすい相場でしたね。ただし、22年現在は500社以上の銘柄分析を行い経験を積んだことで、なんとかプラスを維持しています。
過去の実績の詳細については、次の記事を参考にしてください。
まとめ:トーム(TRMD)の四半期決算は?
- 2018年に上場した、原油製品タンカーの英国企業
- 全部で73隻のタンカーを保有、注文中は10隻もある
- 中型船LR2/LR1を19隻、小型船MRを54隻を保有する
- 船舶を大量に処分し、14年以降は売上高は横ばいが続く
- 競合と比較して利益率は低く、19年の営業利益率は13%
- 原油製品タンカーの注文数は、過去最低水準の7%しかない
- コンテナやバルク船に続いて、21年はタンカー運賃も上昇
個人的には、トームは投資したい銘柄のひとつです。
なぜならば、過去最低水準の製品タンカーの運賃は、いずれ上昇すると思うからです。世界の原油消費量の予測を見ると、21年後半には以前の水準に戻し、22年後半には過去最高水準を更新します。
原油市況が回復すれば、同社の業績も力強く回復します。
需要が上昇する中でも、タンカーの供給量はあまり伸びません。なぜならば、コンテナ船やバルク船と同様に、環境規制で新しい船舶が作られていないからです。トームによると、原油製品タンカーの注文数は過去最低水準の7%です。
ただ、短期的にはアジアのロックダウン、中国の停電などで需要は低いですね。タンカー市況が回復するのは、電力問題が落ち着いた22年以降になるかもしれません。
原油タンカー銘柄で1番のお勧めは、ユーロナブ(EURN)です。なぜならば、財務が最も健全で売上高が拡大しているからです。原油タンカー企業に投資する際には、財務が健全で成長が見込める企業に投資するべきですね。
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