コロナ以降にコンテナ運賃が高騰し、ダナオス(DAC)などのコンテナ銘柄が短期間で10倍にも高騰しています。コンテナに続きバルク運賃も上昇基調にありますね。では、この流れは原油タンカー銘柄にも波及するのでしょうか?
- 「コロナによる原油低迷で、株価は50%も暴落している…」
- 「PERは3.8倍と最低水準だが、株価は上昇しないのか…」
- 「世界中の脱炭素化で、もう原油需要は回復しないのだろうか…」
DHTホールディングスは、原油タンカーを保有し世界中に輸送する英国の海運会社です。原油タンカーは最も大型サイズのVLCCを28隻保有しています。原油タンカー運賃は過去最低水準に落ち込んでいるが、22年から上向く可能性が高いです。
個人的には、DHTホールディングスは投資したい銘柄のひとつです。
なぜならば、過去最低水準のタンカー運賃は、いずれ上昇すると思うからです。タンカー運賃は原油価格には依存しません。原油の海上運搬量(需要)と船舶数(供給)で決まります。世界の原油消費量の予測を見ると、22年後半には過去最高を更新します。
実際に、足元のタンカー運賃は22年に上昇を始めていますね。世界的な原油の需要は増え始めるも、船舶の注文数は歴史的低水準にあります。中国景気減速やロシア危機など懸念材料はあるも、22年にタンカーの強気相場が訪れそうです。
- DHTの4半期決算(23年4-6月)は?
- DHTの過去10年間の売上高や営業利益は?
- コンテナやバルク船と同様に、原油タンカーも高騰するのか?
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20年3月に米国株を初めて、2.5年で運用額を10倍に増やしました。
ただし、大幅に増えた理由は運の要素が大きいです。20年や21年は歴史的な好相場で、素人でも読みやすい相場でしたね。ただし、22年現在は500社以上の銘柄分析を行い経験を積んだことで、なんとかプラスを維持しています。
過去の実績の詳細については、次の記事を参考にしてください。
記事の内容を簡単に知りたい
DHTホールディングスの四半期決算は?

DHTホールディングスの四半期決算を紹介します。
22年4Q決算(22年12月31日)
- 売上高:1.678億ドル(前年比+100%)◯
- 営業利益:0.677億ドル(前年度−0.007億ドル)
- 純利益:0.618億ドル(前年度−0.028億ドル)
- 1株当たり利益:0.38ドル(+19倍)◯
23年1Q決算(23年3月30日)
- 売上高:1.31億ドル(前年比+72%)✖️
- 営業利益:0.46億ドル(前年度−0.18億ドル)
- 純利益:0.38億ドル(前年度−0.17億ドル)
- 1株当たり利益:0.23ドル(前年度−0.02ドル)✖️
23年2Q決算(23年6月30日)
- 売上高:1.52億ドル(前年比+53%)
- 営業利益:0.63億ドル(➕4.2倍)
- 純利益:0.57億ドル(➕57倍)
- 1株当たり利益:0.35ドル(+5.8倍)
2Qの売上高は前年比+53%で1.52億ドル、営業利益は0.63億ドルでした。22年4Qや23年1Qと比較して、2Qの売上は減速してますね。営業利益率は41%と高いですね。
22年4Qの配当金は0.38ドル(利回り16%)、1Qは0.23ドル(10%)、2Qは0.35(14%)です。また、23年2QのVLCCの固定価格とスポット見込みは次の通りです。
- VLCC固定価格:3.61万ドル→3.48万ドル→3.62万ドル
- VLCCスポット:6.38万ドル→7.00万ドル→6.48万ドル
同社CEOは、23年のタンカー市況についても強気に発言しています。
• 2023年第2四半期に、同社は1日あたり定期用船相当収益を合わせて56,300ドルの平均収益を達成しました。この内訳は、定期チャーターの当社VLCCで1日あたり36,200ドル、スポット市場で運航する当社のVLCCで1日あたり64,800ドルです。 スポット市場で操業する同社の VLCC の結果は、排出ごとに測定して、2023 年第 2 四半期の 1 日あたり 61,800 ドルでした。
•2023年第2四半期の調整後EBITDAは8,980万ドルでした。 同四半期の純利益は5,710万ドルで、これは基本株1株当たり0.35ドルに相当する。
• 2023 年の第 2 四半期に、当社は 3 つの排気ガス浄化システムの設置を完了し、現在、保有するすべての船舶にそのようなシステムが装備されています。
• 2023 年の第 2 四半期に、当社は公開市場で 1,072,344 株の自社株を総額 890 万ドル、平均価格 8.25 ドルで購入しました。 すべての株式は受領時に消却され、このうち251,879株(自己株式210万ドルに相当)は2023年7月に消却された。
• 当社は、2023 年の第 2 四半期について、発行済み普通株式 1 株当たり 0.35 ドルの現金配当を、2023 年 8 月 23 日時点の記録株主に対して 2023 年 8 月 30 日に支払うと発表しました。これは、54 回連続の四半期現金配当となります。 純利益の 100% を支払うという当社の資本配分方針に沿っています。 株式は2023年8月22日から配当落ちで取引される。
• Webber Researchが発行した2023年ESGスコアカードレポートでは、DHTは再び上位4分の1に入り、海運会社64社中6位にランクされました。 また、DHT は、レポートに含まれるすべての原油タンカー会社の中で第 1 位にランクされました。
当四半期中、貨物市場は大幅な変動を経験しました。 しかし、以前の比較可能な期間と比較すると、エコ設計の船舶と排気ガス浄化システムを備えた船舶により、安値は大幅に高くなり、1 日あたり 3 万ドル後半から 4 万ドル前半の水準で底を打っており、当社の純利益と現金を大きく上回っています。 損益分岐点レベル。 これは、現在の基礎的な貨物市場が均衡と逼迫の間にあり、容易に上向きの動きと当社の収益向上のきっかけとなることを示唆しています。
石油市場の主要な政府機関による暗黙のバランスは、下半期の見通しが依然強気であるにもかかわらず、一般需要の上方修正を受けて引き締められている。 これまでの景気回復が予想よりも顕著であるにもかかわらず、中国の需要は上方修正された。 サウジアラビアとロシアからの供給削減の発表と、サウジの公式販売価格の引き上げにより在庫が引き出されており、原油価格を強化するというサウジの戦略は危うくなり始めている可能性がある。 特定の市場、特に中国はロシアを含む大西洋から不足分を調達していると考えられており、そのため輸送距離が増加する可能性が高い。 現在の在庫の減少とその後の在庫再構築の期間、そして今年下半期の需要増加の予測が組み合わさって、当社の事業にとって有益な市場となる前兆となるはずです。
最近では、主に 2026 年の引き渡しに向けて最大 10 隻の VLCC が発注されているにもかかわらず、大型タンカーの新規契約に対する一般の関心は非常に限られていると当社は理解しています。 これは、そのような価格を正当化するための大幅な設計改善が行われていない造船所からの高い提示価格、負債資本コストの増加、および脱炭素化の野心と目標を確実に達成するための将来の燃料(以下、価格と入手可能性)に関連する不確実性を反映しています。
現在進行中の興味深い供給力学は、世界の VLCC 船隊の約 15 ~ 18% がいわゆる影の市場で使用されているとブローカーが推定していることです。 重要な結果は、2 つの異なる市場が発展しており、これら 2 つの市場間での相互雇用がまったくまたは非常に限定的に行われているため、フリートの生産性が低下していることです。
この建設的な市場環境において、当社は当社の戦略のメリットを確信しています。 当社は、資産からの強力な収益創出、競争力のあるコストベース、低い財務レバレッジにより、可能な限り効率的に事業を運営することに引き続き注力していきます。 このような状況を踏まえ、当期純利益の100%を四半期配当として還元することが株主の皆様に貢献できるものと考えております。
23年3Q決算(23年9月…)
23年3Q決算は、11月10日に公開予定です。
では、売上高や営業利益の10年間の推移はどうでしょうか?
DHTホールディングスの10年の損益計算書は?

DHTホールディングスは2005年に143ドルで上場しました。07年7月に最高値217ドルを付けるも、その後は大きく低迷しています。23年8月は9.7ドル前後で推移しています。
その1:売上高と営業利益の10年間の推移は?

過去10年間の決算書を見ると、売上高は順調に増えている事が分かります。19年の売上高は10年比の6倍で5.35億ドル、営業利益率も26%と高いです。20年TTMの一時的な特需を抜かしても、十分に成長してきた企業だと言えます。
その2:BPSとEPSの10年間の推移は?

過去10年間のBPS(1株あたり純資産)とEPS(1株あたり純利益)です。好調な業績とは対照的に、1株あたりで見ると苦境だった事が分かりますね。BPSは横ばいが続き、EPSもほぼ利益が出ていない水準です。
この10年間は、原油タンカーにとって苦境だったと言えます。
その3:営業CFと投資CFの10年間の推移は?

過去10年間のフリーCF(営業CF−投資CF)は、長く低迷していたことが分かります。DHTは積極的にタンカーを増やすことで、売上高を増やしてきましたね。19年には設備投資は縮小し、営業CFはプラスに転換しています。
海運全般に言える事だが、環境規制の圧力があり新規に造船するのが難しくなっています。一方で、過去の古い船舶は廃棄が進んでいます。
では、私たちはどのように投資判断すれば良いのでしょうか?
DHTホールディングスの注目すべきポイントは?

DHTに投資する上で注目すべきポイントを紹介します。ユーロナビは石油タンカーを所有し、原油や石油製品を世界中に輸送する会社です。そのため、原油タンカーの運賃価格に比例して、売上高や利益が増えます。
注目1:全地球GPSは25年に1287億ドルに拡大?
日本郵船による、不定期船(水色)とタンカー運賃(青色)の推移です。
タンカー運賃は、20年3月に一時的に200まで急騰しています。その理由は、20年3月に陸上の貯蔵タンクが一杯になり、洋上タンカーのスポット価格が高騰したからです。しかしながら、5月以降はタンクの問題が解消され、運賃は過去10年で最も低水準です。
世界的に原油の消費量が急減したことで、船舶の数が過剰だからです。
タンカー運賃は原油価格には依存せず、原油の海上運搬量(需要)と船舶数(供給)に依存します。20年5月から原油価格は急回復しているが、原油タンカーの需給は緩いです。
コロナによる影響で、20年の原油消費量は過去水準ですね。では、原油タンカーの運賃の指標は何を見れば良いのでしょうか?
注目2:タンカー運賃の指標はサイズ毎に確認できる?
原油タンカー運賃の指標を見るには、SIMPSONというサイトが掲示しています。船舶サイズごとに、過去6ヶ月間のタンカー運賃を調べられます。最も小さい37000サイズの運賃を見ると、21年あたりから価格が上昇しています。
では、20年3月のコロナショックでは、どれだけ石油需要が急落したのでしょうか?
注目3:21年Q3にコロナ以前の水準まで回復する?
21年以降の原油の供給と需要予測です。
世界の原油消費量(緑色)を見ると、19年Q4の101百万バレルから、20年2Qに84百万バレルまで急落しました。しかしながら、21年Q3には98百万バレルまで回復し、22年Q3には過去最高水準を更新します。
消費量が回復するということは、原油タンカーの需要が上昇しますね。
需要が上昇する中でも、タンカーの供給量はあまり伸びません。なぜならば、コンテナ船やバルク船と同様に、環境規制で新しい船舶が作られていないからです。鉄鉱石の価格が2倍に上昇したことで、新たな設備投資には膨大な資金が必要になります。
そのため、コンテナやバルク運賃で起きた上昇は、いずれは原油にも波及します。
環境問題で原油の需要が落ち込んだように見えます。しかしながら、世界規模で見ると、原油の需要や消費量は伸び続けています。そのため、原油タンカーの数が増えなければ、タンカー運賃は上昇するしかありません。
DHTは市況が厳しい中でも、財務体質を健全化してきました。
注目4:財務の健全化と株主還元に積極的である?
DHTの予定償却(返済額)と平均負債の推移です。
20年2Qと3Qのスポット価格高騰で得た収益で、DHTは財務を健全化しています。20年4Qに大きな額の債務を返済し、1船舶当たりの借入金を減らしています。守備的に経営する中でも、DHTは配当金の払い出しも積極的に行なっています。
20年11月には、1株当たり0.20ドルを分配しています。市況全体が厳しい中でも、財務の健全化と株主還元に尽くしていると言えます。
▼▼2022年12月は資産が6000万円を超える▼▼

20年3月に米国株を初めて、2.5年で運用額を10倍に増やしました。
ただし、大幅に増えた理由は運の要素が大きいです。20年や21年は歴史的な好相場で、素人でも読みやすい相場でしたね。ただし、22年現在は500社以上の銘柄分析を行い経験を積んだことで、なんとかプラスを維持しています。
過去の実績の詳細については、次の記事を参考にしてください。
まとめ:DHTホールディングスの四半期決算は?
- 2005年に上場した、英国の原油タンカーの海運企業
- 原油タンカーを所有し、世界中に輸送する海運大手である
- 規模が大きいタンカーが多く、最大規模のVLCCを28隻保有
- 19年の売上高は過去最高、営業利益率は26%と高い
- 一時的な陸上のタンク不足で、20年の売上高は過去最高に上昇
- 原油タンカー運賃は、08年の金融危機と同水準まで低下した
- コロナの経済停止で、石油需要は20年2Qに20%も急落
- 環境規制で船舶が作られず、需給はタイトになる可能性が高い
- 20年の臨時収入を得て、4Qは債務返済と株主還元を行なった
個人的には、DHTホールディングスは投資したい銘柄のひとつです。
なぜならば、過去最低水準のタンカー運賃は、いずれ上昇すると思うからです。タンカー運賃は原油価格には依存しません。原油の海上運搬量(需要)と船舶数(供給)で決まります。世界の原油消費量の予測を見ると、22年後半には過去最高を更新します。
実際に、足元のタンカー運賃は22年に上昇を始めていますね。世界的な原油の需要は増え始めるも、船舶の注文数は歴史的低水準にあります。中国景気減速やロシア危機など懸念材料はあるも、22年にタンカーの強気相場が訪れそうです。
原油タンカーで大手は、ベルギーのユーロナブですね。
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