ユーロナブ(EURN)四半期決算|23年1Qは+197%に減速

原油タンカーのユーロナブは、経済再開で恩恵を受ける銘柄ですね。ただ、経済再開後も原油供給量は回復しておらず低迷は続きます。ただ、22年4Qの売上は前年比+214%、23年1Qは+197%に減速しています。

  • 「コロナによる原油低迷で、株価は過去最低水準にある…」
  • PERは3.8倍と最低水準だが、もう株価は上昇しないのか…」
  • 「世界中の環境規制で、もう原油需要は回復しないのだろうか…」

ユーロナブは、原油タンカーを所有し世界中に輸送するベルギーの海運大手です。20年3月に陸上の貯蔵タンクが一杯になった影響で、売上高は前年比で156%も増加しましたね。しかし、21年後半は過去最低水準まで落ち込んでいます。

個人的には、ユーロナブは投資したい銘柄のひとつです。

なぜならば、過去最低水準のタンカー運賃は、いずれ上昇すると思うからですタンカー運賃は原油価格には依存しません。原油の海上運搬量(需要)と船舶数(供給)で決まります。世界の原油消費量の予測を見ると、22年後半には過去最高を更新します。

需要が上昇する中でも、タンカーの供給量は弱いです。

なぜならば、コンテナ船やバルク船と同様に、環境規制で新しい船舶が作られていないからです。すでに運賃が上昇したコンテナ船の建造が優先されるため、需給関係はよりタイトになる可能性が高いです。

22年2月のロシアのウクライナ侵略により、更なる上昇圧力がありますね。23年5月の予想PER6.0倍は割安です。

EURNの投資判断したい人向け
  1. ユーロナブの4半期決算(23年1-3月)は?
  2. ユーロナブの過去10年間の売上高や営業利益は?
  3. コンテナやバルク船と同様に、タンカーも高騰するのか?

▼▼2022年12月は資産が6000万円を超える▼▼

20年3月に米国株を初めて、2.5年で運用額を10倍に増やしました

ただし、大幅に増えた理由は運の要素が大きいです。20年や21年は歴史的な好相場で、素人でも読みやすい相場でしたね。ただし、22年現在は500社以上の銘柄分析を行い経験を積んだことで、なんとかプラスを維持しています。

過去の実績の詳細については、次の記事を参考にしてください。

参考:【自己紹介】米国株1.5年で運用額を10倍の「4727万円」に増やす

ユーロナブ(EURN)の四半期決算は?

ユーロナブ(EURN)の四半期決算を紹介します。

22年3Q決算(22年9月30日)

3Qの内容は...
  1. 売上高:2.24億ドル(前年比+125%
  2. 営業利益:—億ドル(—%)
  3. 純利益:0.16億ドル(+115%
  4. 1株当たり利益:—ドル(—%

22年4Q決算(22年12月30日)

4Qの内容は...
  1. 売上高:3.68億ドル(前年比+214%
  2. 営業利益:2.358億ドル(前年度−0.713億ドル)
  3. 純利益:2.350億ドル(前年度−0.721億ドル
  4. 1株当たり利益:1.17ドル(前年度−0.36ドル

23年1Q決算(23年3月30日)

1Qの内容は...
  1. 売上高:3.39億ドル(前年比+197%
  2. 営業利益:1.71億ドル(前年度−0.43億ドル)
  3. 純利益:1.75億ドル(前年度−0.43億ドル
  4. 1株当たり利益:0.87ドル(前年度−0.22ドル

1Qの売上高は前年比+197%で3.39億ドル、営業利益は1.71億ドルでした22年4Qと比較すると、23年1Qの売上は減速していますね。営業利益率は50%まで上昇しています。

21年後半はタンカー市況は不調だが、22年には上向き始めています。同社CEOは、23年のタンカー市況について強気に発言しています。

23年1Qの配当金は0.7ドル(17%)と大幅に引き上げています。また、特別配当により、2Q中に合計して1.8ドルが支払われると言います。

22年1Qに対する、23年1Qの運賃は次の通りです。

  • VLCC
  •  Spot rate:51,400ドル(+275%
  •  Time charter:48,500ドル(+1%)
  • SUEZMAX
  •  Spot rate:70,600ドル(+355%
  •  Time charter:31,700ドル(+4%

23年2Q時点ではVLCCは67,000ドル、スエズは62,000ドルで取引されています。

• 好調な収益が第1四半期決算に反映
• 反季節的反発により、3月の貨物市場は最強となる
• 第 1 四半期の配当 1 株あたり 70 セント 米ドル
• 更なる価値創造への道筋を提供する監査役会の新たな構成
• 2023 年第 2 四半期から現在までのスポット料金: VLCC 非スクラバーの場合、1 日あたり 67,000 米ドルで 62% 固定Suezmax の場合は 51% が 1 日あたり 62,000 米ドルに固定

Euronav の CEO、Hugo De Stoop 氏は次のように述べています。「第 1 四半期に記録された反季節的な強さは、大型原油タンカー貨物市場で数年にわたるアップサイクルを継続するための強力で耐久性のある原動力が整っているという当社の見解を裏付けています。」 私たちの自信は株主への利益還元に反映されています。 2022 年の最終配当と第 1 四半期に関連する配当を合わせると、2023 年第 2 四半期に 1 株あたり 1.80 米ドルが返還されることになります。当社は好調な収益を享受していることに加えて、イエメンの国連と協力して、次のような解決策を提供できることを誇りに思っています。 潜在的な環境問題です。」

MARKET & OUTLOOK

第 1 四半期の主な特徴は、季節に反して運賃が上昇したことです。 1 月から 3 月にかけて、VLCC とスエズマックスの両方で料金が毎月改善されました。 この異常な取引パターンは、VLCC 部門とスエズマックス部門の両方で 1990 年以来これが発生したのは 3 回目ですが、大型原油タンカー市場の強力なファンダメンタルズを支えています。
私たちの市場の主要な構造的推進力は引き続き維持されており、以下の点はほとんど変化しません。
(a) 契約 – VLCC はゼロ、スエズマックス社は年初からわずか 6 社
(b) 船隊の能力 – 第 1 四半期中、船舶の平均速度は変化なし
(c) 造船能力 – 他の LNG/コンテナにより 2025/6 年末まで制約される
注文
(d) 資産価値 – 5 ~ 10 年物のヴィンテージが依然として上昇しており、引き続き十分にサポートされています
四半期末以降、VLCCとスエズマックスの両セグメントの金利が低下しており、OPEC+による2023年5月からの減産発表が逆風となる可能性が高い。 ただし、これらの削減は主に中東の供給源に焦点を当てます。 極東市場の場合、需要と消費の伸びの主な原動力は極東にあるため、代替原油調達は大西洋バレルから調達する必要があり、そのため約2倍の距離の輸送が必要となります タンカー市場に有利なこのトンマイルの増加により、中東の貨物供給の減少による損失の一部が相殺されるはずです。
資産価値
原油タンカーの資産価値上昇のペースは引き続き緩和されており、引き続き築5~10年の船舶が中心となっています。 2023年第1四半期中に、築5年と10年のVLCCの価値は5%と9%上昇し、スエズマックスのVLCCはそれぞれ5%と11%上昇した。 当四半期中、新古品のトン数クラスは安定していました。

Crude oil demand

IEAは、2023年を通じて原油需要が2023年第1四半期の71万バレル/日から、2023年第4四半期には260万バレル/日まで急激に加速すると予測し続けている。世界の石油需要は、2023暦年中に記録的な1億200万バレル/日の消費量に達すると予想されている。 世界の原油消費が初めて新型コロナウイルス感染症以前の水準に回復する中、この回復は航空交通量を回復させ、鬱積した中国の需要を解放することになるだろう。

Vessel Supply

2023年第1四半期終了までの8四半期で、VLCCは2社、スエズマックスは17社のみと契約した。 Suezmax の契約は、2022 年第 4 四半期の 9 件の注文に続き、第 1 四半期には 5 件の注文と「加速」しました (出典: Clarksons)。 受注高は依然として歴史的な低水準にあり、2023年3月末時点でVLCCはわずか1.7%、スエズマックス比率は3.5%となっている。 このような好調な貨物市場を考慮すると、第 1 四半期中に VLCC またはスエズマックス船のリサイクルは行われなかったのは当然のことです。

Freight rates – 新たなトレンド

第 1 四半期には、VLCC 部門とスエズマックス部門の両方で、運賃の前月比の連続的な改善が記録されました。 また、貨物運賃が上昇したにもかかわらず、VLCC またはスエズマックスのいずれのカテゴリーにおいても、船舶の速度が 2022 年第 1 四半期と第 4 四半期の平均速度に変化がなく抑制されていたことも心強いです (出典: Clarksons)。
より長期の定期用船ではさらなる奨励が行われています。 定期チャーターの機会は増加しており、期間も長くなってきています。 これまでのサイクルでは、定期用船市場がさらに発展し、サイクルが緩和されるにつれて船主にオプションと機会が提供されるはずであることが示されています。
したがって、大型原油タンカー市場は、強力なファンダメンタルズに基づいて数年にわたるアップサイクルを継続できる有利な立場にあります。 原油タンカー市場には季節性が組み込まれているため、運賃を四半期ごとに連続的に改善することは困難になる可能性があります。 季節要因により、第 2 四半期と第 3 四半期に貨物量が減少する傾向があります (製油所のメンテナンス プログラム、北半球の春のエネルギー消費量の減少、在庫計画などのため)。
2023 年の第 2 四半期のこれまでのところ、タンカー国際プールの Euronav VLCC 非スクラバー フリートは 1 日あたり約 67,255 米ドルを獲得し、利用可能な日数の 62% が固定されました。 スポット市場で取引されている Euronav の Suezmax フリートは、利用可能な日数の 51% が固定されており、1 日あたり平均約 62,000 米ドルの収益を上げています。

参考:Euronav announces 1Q 2023 results

23年2Q決算(23年6月…)

23年2Q決算は、8月11日に公開予定です。

では、売上高や営業利益の10年間の推移はどうでしょうか?

ユーロナブ(EURN)の10年の損益計算書は?

ユーロナブは2015年に11ドルで上場しています。15年7月に最高値16ドルを付けるも、その後は低調な株価が続いていますね。23年5月は15ドル前後で推移しています。

その1:売上高と営業利益の10年間の推移は?

過去10年間の決算書を見ると、原油市況に大きく影響を受けています。20年に好調だった理由は、一時的に陸上の貯蔵施設が一杯になったからです。21年は原油需要減で落ち込むも、22年は大きく回復する可能性が高いです。

その2:BPSとEPSの10年間の推移は?

過去10年間のBPS(1株あたり純資産)とEPS(1株あたり純利益)です。原油タンカーは過去10年間、厳しい状況が続いていました。原油市況が回復する21年後半以降に注目したいですね。

その3:営業CFと投資CFの10年間の推移は?

過去10年間のフリーCF(営業CF−投資CF)は、常に不安定に推移していますね。海運関連は市況動向が激しく、世界経済の影響を大きく受けます。14年以降は設備投資が圧縮し、新規造船に積極的ではありません。

では、私たちはどのように投資判断すれば良いのでしょうか?

ユーロナブ(EURN)の注目すべきポイントは?

ユーロナブに投資する上で注目すべきポイントを紹介します。ユーロナビは石油タンカーを所有し、原油や石油製品を世界中に輸送する会社です。そのため、原油タンカーの運賃価格に比例して、売上高や利益が増えます。

注目1:原油タンカー運賃は過去10年で最低水準?

参考:不定期船・タンカー運賃指標の推移(BDI/WS)

日本郵船による、不定期船(水色)とタンカー運賃(青色)の推移です。

タンカー運賃は、20年3月に一時的に200まで急騰しています。その理由は、20年3月に陸上の貯蔵タンクが一杯になり、洋上タンカーのスポット価格が高騰したからです。しかしながら、5月以降はタンクの問題が解消され、運賃は過去10年で最も低水準です

世界的に原油の消費量が急減したことで、船舶の数が過剰だからです。

タンカー運賃は原油価格には依存せず、原油の海上運搬量(需要)と船舶数(供給)に依存します。20年5月から原油価格は急回復しているが、原油タンカーの需給は緩いです

コロナによる影響で、20年の原油消費量は過去水準ですね。では、原油タンカーの運賃の指標は何を見れば良いのでしょうか?

注目2:タンカー運賃の指標はサイズ毎に確認できる?

参考:Tanker Worldscale Rate

原油タンカー運賃の指標を見るには、SIMPSONというサイトが掲示しています。船舶サイズごとに、過去6ヶ月間のタンカー運賃を調べられます。最も小さい37000サイズの運賃を見ると、21年あたりから価格が上昇しています。

では、20年3月のコロナショックでは、どれだけ石油需要が急落したのでしょうか?

注目3:19年4Q比で石油需要は20%も急落した?

参考:コロナ禍でタンカーマーケットが急騰した理由とは

コロナショック時の原油の需要と供給の推移です。

20年2Qの原油需要は、19年4Qと比較して20%近く急落しています。これだけ原油の需要が急落すると、海上で運搬する原油量も減少しますね。原油タンカーの価格が上昇するには、需要が回復し消費量が増える必要があります。

では、コロナによる急落で、日本のタンカー運賃はどれくらい下がったのでしょうか?

注目4:タンカー運賃は10月に前年比−82%に急落?

参考:タンカー運賃(ペルシャ湾→日本、VLCC)の推移

中東から日本のタンカー運賃の推移です。

日本のVLCC(260,000)の運賃は、20年4月に前年比+282%まで上昇しました。4月をピークに下落し始め、10月には前年比−82%まで急落しています。21年1月は徐々に回復するも前年比−64%、WSは33.4と金融危機の08年の同水準です。

コロナによる原油の影響がいかに大きいかが分かります。

しかしながら、個人的には原油タンカー企業に対して強気に見ています。なぜならば、世界の原油消費量は増え続け、22年前半には消費量はコロナ以前に回復するからです

注目5:21年Q3にコロナ以前の水準まで回復する?

参考:World Crude Oil Supply and Demand Forecast, 2020-2021

21年以降の原油の供給と需要予測です。

世界の原油消費量(緑色)を見ると、19年Q4の101百万バレルから、20年2Qに84百万バレルまで急落しました。しかしながら、21年Q3には98百万バレルまで回復し、22年Q3には過去最高水準を更新します

消費量が回復するということは、原油タンカーの需要が上昇しますね。

需要が上昇する中でも、タンカーの供給量はあまり伸びません。なぜならば、コンテナ船やバルク船と同様に、環境規制で新しい船舶が作られていないからです。鉄鉱石の価格が2倍に上昇したことで、新たな設備投資には膨大な資金が必要になります。

そのため、コンテナやバルク運賃で起きた上昇は、いずれは原油にも波及します。

環境問題で原油の需要が落ち込んだように見えます。しかしながら、世界規模で見ると、原油の需要や消費量は伸び続けていますそのため、原油タンカーの数が増えなければ、タンカー運賃は上昇するしかありません。

参考:世界のエネルギー消費と資源

では、ユーロナブのタンカー運賃はどのように推移しているでしょうか?

注目6:20年4QのVLCC価格は前年比+25%?

参考:EURONAV ANNOUNCES FOURTH QUARTER 2020 RESULTS

20年4Qのユーロナビのタンカー運賃です。

スポット価格が前年比で急落してる理由は、陸上の貯蔵タンクが一杯で恩恵を受けたからですね。契約船の運賃を見ると、大型船VLCCの価格は前年比で25%も上昇していますね。タンカー運賃の上昇機運が少しずつ高まっているかもしれません。

▼▼2022年12月は資産が6000万円を超える▼▼

20年3月に米国株を初めて、2.5年で運用額を10倍に増やしました

ただし、大幅に増えた理由は運の要素が大きいです。20年や21年は歴史的な好相場で、素人でも読みやすい相場でしたね。ただし、22年現在は500社以上の銘柄分析を行い経験を積んだことで、なんとかプラスを維持しています。

過去の実績の詳細については、次の記事を参考にしてください。

参考:【自己紹介】米国株1.5年で運用額を10倍の「4727万円」に増やす

まとめ:ユーロナブ(EURN)の四半期決算は?

ユーロナブの注目ポイントは...
  1. 2015年に上場した、原油タンカーのベルギー企業
  2. 原油タンカーを所有し、世界中に輸送する海運大手である
  3. 陸上のタンク不足で、20年の売上高は過去最高水準に上昇
  4. 原油タンカー運賃は、08年の金融危機と同水準まで低下した
  5. コロナの経済停止で、石油需要は20年2Qに20%も急落
  6. 21年Q3には、原油消費量はコロナ以前の水準まで回復する
  7. 環境規制で船舶が作られず、需給はタイトになる可能性が高い

個人的には、ユーロナブは投資したい銘柄のひとつです。

なぜならば、過去最低水準のタンカー運賃は、いずれ上昇すると思うからですタンカー運賃は原油価格には依存しません。原油の海上運搬量(需要)と船舶数(供給)で決まります。世界の原油消費量の予測を見ると、22年後半には過去最高を更新します。

需要が上昇する中でも、タンカーの供給量は弱いです。

なぜならば、コンテナ船やバルク船と同様に、環境規制で新しい船舶が作られていないからです。すでに運賃が上昇したコンテナ船の建造が優先されるため、需給関係はよりタイトになる可能性が高いです。

ただ、21年後半は変異株の影響もあり、足元の運賃は上昇していません。22年2月時点のVLCC価格は12500ドル/1日(−40%)、SUEZMAXは11300ドル(−9%)と弱いままです。

OPEC+によると、供給量がコロナ前の水準に戻るのは22年7月としています。原油タンカーと同様に、石油製品のタンカーも需給がタイトになりそうです。

参考:トーム(TRMD)四半期決算|21年2Qは前年比-33%に減速

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