コロナ以降にコンテナ運賃が高騰し、ダナオス(DAC)などのコンテナ銘柄が短期間で10倍にも高騰しています。コンテナに続きバルク運賃も上昇基調にありますね。では、この流れは原油タンカー銘柄にも波及するのでしょうか?
- 「コロナによる原油低迷で、株価は60%も暴落している…」
- 「PERは9倍と最低水準だが、株価は上昇しないのか…」
- 「世界中の脱炭素化で、もう原油需要は回復しないのだろうか…」
NATは、原油タンカーを所有し世界中に輸送するノルウェーの海運大手です。NATは大型船スエズマックスタンカーを25隻保有しています。原油タンカー運賃は過去最低水準に落ち込んでいるが、22年から上向く可能性が高いです。
個人的には、NATは投資したい銘柄のひとつです。
なぜならば、過去最低水準のタンカー運賃は、いずれ上昇すると思うからです。タンカー運賃は原油価格には依存しません。原油の海上運搬量(需要)と船舶数(供給)で決まります。世界の原油消費量の予測を見ると、22年後半には過去最高を更新します。
実際に、足元のタンカー運賃は22年に上昇を始めていますね。世界的な原油の需要は増え始めるも、船舶の注文数は歴史的低水準にあります。中国景気減速やロシア危機など懸念材料はあるも、22年にタンカーの強気相場が訪れそうです。
22年3Qの売上は+408%%に加速しています。
- NATの4半期決算(22年7-9月)は?
- NATの過去10年間の売上高や営業利益は?
- 歴史的な注文数で、原油タンカーの強気相場到来か?
▼▼2022年12月は資産が6000万円を超える▼▼

20年3月に米国株を初めて、2.5年で運用額を10倍に増やしました。
ただし、大幅に増えた理由は運の要素が大きいです。20年や21年は歴史的な好相場で、素人でも読みやすい相場でしたね。ただし、22年現在は500社以上の銘柄分析を行い経験を積んだことで、なんとかプラスを維持しています。
過去の実績の詳細については、次の記事を参考にしてください。
記事の内容を簡単に知りたい
ノルディック・アメリカン・タンカーズの四半期は?

ノルディック・アメリカン・タンカーズ(NAT)の四半期決算を紹介します。
22年1Q決算(22年3月31日)
- 売上高:1.552億ドル(前年比−18%)✖️
- 営業利益:−2.097億ドル(前年度−1.838億ドル)
- 純利益:−2.698億ドル(前年度−2.503億ドル)
- 1株当たり利益:−0.14ドル(前年度−0.16ドル)✖️
22年2Q決算(22年6月30日)
- 売上高:1.09億ドル(前年比+33%)
- 営業利益:—億ドル(—%)
- 純利益:−0.039億ドル(+86%)
- 1株当たり利益:−0.02ドル(+88%)
22年3Q決算(22年9月30日)
- 売上高:4.738億ドル(前年比+408%)◯
- 営業利益:1.714億ドル(+794%)
- 純利益:1.000億ドル(前年度−0.395億ドル)
- 1株当たり利益:0.05ドル(前年度−0.02ドル)◯
3Qの売上高は前年比+408%で4.738億ドル、営業利益は+794%で1.714億ドルでした。22年1Qや2Qと比較して、3Qの売上と利益は加速しています。営業利益率は36%と過去最高に高い水準ですね。
市況は上向きつつあるも、財務は依然として悪いですね。22年1Qは市場で資金調達(ATM)を行い、配当を0.02ドルに増やすなど、好ましい経営ではありません。
ただし、22年3Qは大幅に上向き、配当も0.05ドルに上げています。4Qの配当は2倍になる見通しだと述べています。
同社CEOは引き続き、タンカー市況について強気ですね。
1 2022 年の第 3 四半期における当社艦隊の平均定期用船相当額 (TCE) は、第 2 四半期の 1 隻あたり 1 日あたり 20,080 ドルから上昇し、1 隻あたり 1 日あたり 27,850 ドルになりました。料金は第 4 四半期に劇的に上昇し、これまでのところ、スポット航海日の 74% が 1 隻あたり 1 日あたり平均 54,100 ドルの TCE で予約されています。当社の運営費は、1 船あたり 1 日あたり 8,000 ドルです。
2 2022 年第 3 四半期の純利益は 1,000 万ドル、または 1 株当たり利益 (EPS) は 0.05 ドルでした。第 2 四半期の純損失は -400 万ドル、EPS は -0.02 ドルでした。 2022 年第 3 四半期の利息、税金、減価償却費および償却前の調整後利益 (EBITDA) は、前四半期の 2 倍になり、2022 年第 2 四半期の 1,420 万ドルの EBITDA と比較して、2,960 万ドルの黒字となりました。
3 以前に発表したとおり、2022 年の第 3 四半期の配当金は 1 株あたり 5 セント ($0.05) となり、2022 年 12 月 20 日に、2022 年 12 月 6 日の時点で記録にある株主に支払われます。これまでの第 4 四半期の業績に基づく、第 4 四半期の配当は、第 3 四半期の配当と比較して 2 倍になると予想しています。この配当は、2023 年 2 月に発表され、2023 年 3 月に支払われる予定です。
4 政治的不確実性は、当社の船舶に対する需要を常に刺激してきました。私たちが現在直面している地政学的な現実を考えると、石油は過去よりも長い距離を輸送する必要があり、タンカーのトンマイルと需要が増加します。
5 グローバル艦隊に加わる予定の新しいスエズマックス タンカーのオーダーブックは、現在、2024 年までに 11 隻 (世界のスエズマックス艦隊の 2%) に達しています。
6トンマイルの拡大と低供給の伸びの組み合わせは、2023年以降の当社の船舶にとって強気のニュースです. NAT には 19 隻の 100 万バレルのスエズマックス タンカーが水上にあり、日曜日と祝日を含めて毎日収益を上げています。
7 多目的スエズマックス タンカーの NAT 艦隊は、急速に変化する状況下でクライアントが要件を効率的に管理するのに役立つ、世界中での積み込みと荷降ろしの柔軟性を提供します。
8 入念な航海計画と船舶の速度調整により、NAT 艦隊は排出量を削減しています。
9 NAT は、上場タンカー会社の中で最低の債務水準の 1 つです。 2022 年 9 月 30 日の時点で、当社の純負債は 2 億 2,400 万ドルで、1 隻あたり 1,120 万ドルに相当します。 NAT の目的は、多かれ少なかれ借金をなくすことです。これは過去のケースでした。
10 2022 年の第 3 四半期およびその他の期間の財務情報は、このレポートの後半に含まれています。
Out Feet:
2022 年 9 月 30 日の時点で、当社の艦隊は、それぞれ 100 万バレルの石油を持ち上げる能力を備えた、よく整備された 20 隻のスエズマックス タンカーで構成されていました。私たちの艦隊にはスエズマックスしかありません。 10月に新オーナーに引き渡された「Nordic Cosmos」の売却後、当社は19隻のスエズマックスタンカーを保有しています。
私たちは、乗組員、貨物、環境の安全のために、船舶を最高水準に維持するよう細心の注意を払っています。石油会社による当社船舶の検査 (「審査」) の結果は、当社船隊の優れた品質とメンテナンスを反映しています。
パンデミック中、そして現在ウクライナでの紛争中の主な運用上の課題は、乗組員と、船員と船を保護するための私たちの仕事に関連しています。
NAT には、世界最大のスエズマックス タンカーの艦隊があります。私たちのような資本集約的な業界では、船の慎重なメンテナンスと拡張のタイミングと資金調達は、財務の安定性と現金配当の支払いへのコミットメントの両方を確保するための重要な要素です。Fainance:
2022 年 9 月 30 日現在、当社の純負債 (総負債から流動資産を差し引いたもの) は 2 億 2,430 万ドルで、これは 20 隻の船舶に基づいて 1 隻あたり 1,120 万ドルに相当します。
2 つの資金調達契約の詳細は次のとおりです。1) 2022 年 9 月 30 日時点での CLMG/Beal Bank への総未払い残高 (負債の現在の部分を含む) は 1 億 5,300 万ドルでした。 .
2) Ocean Yield を通じて資金提供された 5 隻の船舶は、2022 年 9 月 30 日現在、負債の現在の部分を含めて、合計 1 億 8,430 万ドルの未払い残高を持っています。
長期債務の現在の部分は、取引費用を差し引いた合計 4,600 万ドルで貸借対照表に表示されます。この数字には、売却目的で保有される船舶に関連する予想債務返済の 2,080 万ドル、CLMG/Beal Bank に関連する長期債務の現在の部分である 1,140 万ドル、および Ocean Yield の資金調達に関連する 1,380 万ドルが含まれます。 Beal Bank/CLMG との借入契約に従って、1,390 万ドルの制限付き現金は、当社の船舶の将来の入渠のために保有される預金に関連しています。
2022 年の初めから 8 月中旬まで、2022 年 2 月 14 日付けの 6,000 万ドルの At-The-Market (「ATM」) 登録のうち総額 3,360 万ドルを利用しました。それ以来、ATM を利用していません。
2022 年の第 3 四半期には、1 株あたり 5 セント ($0.05) の現金配当が宣言されています。これは当社の四半期連続配当数 101 です。船舶の市場が上昇している中で、より高い配当が期待できます。
配当金は、2022 年 12 月 20 日に、2022 年 12 月 6 日に登録された株主に支払われます。
タンカーマーケット:
地政学的な現実を早急に解決することはできないため、エネルギー安全保障は引き続き世界の舞台で中心的な役割を果たします。これらの状況を考えると、商業用石油在庫は依然として低すぎて安心できず、需要は緩和の兆しをほとんど見せていません。エネルギー安全保障、需要、制裁により、石油は長距離輸送を余儀なくされます。これらの課題を解決するための鍵は輸送であり、当社の汎用性と柔軟性に優れたスエズマックス オイル タンカーはこのタスクに適しています。
供給側では、2022 年 9 月 30 日の時点で、世界のスエズマックス船隊 (シャトル、製品、およびジョーンズ法タンカーを除く) は 572 隻であり、11 隻しか発注されていません (世界のスエズマックス船団の 2%)。これは歴史的に見ても低いオーダーブックです。今年納入が予定されている 32 隻の在来型スズマックス タンカーのうち、31 隻はすでに納入されており、2022 年の残りの期間には、1 隻の在来型スエズマックス タンカーが納入される予定です。 2023 年に造船所から引き渡される予定のスエズマックス タンカーは 7 隻のみで、2024 年の発注書には 3 隻のスエズマックス タンカーしかありません。
これに加えて、造船所の容量はバルク船、ガス船、コンテナ船によって大幅に予約されており、2025 年のこちら側で質の高い造船所を備えた追加のスエズマックス タンカーを建造する能力は非常に限られています。これは、長期的な市場のダイナミクスにとって非常に良いニュースです。私たちの業界では。
上記のすべては、タンカーの短期的および長期的な見通しにとって朗報です。タンカー市況は冬に向けて引き続き堅調に推移すると考えております。
タンカーの供給量は、短期的には弾力的ではありません。エリア内に船が多すぎると、レートが下がる傾向があります。船が不足すると料金が高くなる傾向があります。短期スポット タンカーのレートは不安定になることが予想されます。
22年4Q決算(22年12月…)
22年4Q決算は、23年2月1日に公開予定です。
では、売上高や営業利益の10年間の推移はどうでしょうか?
ノルディック・アメリカン・タンカーズの計算書は?

NATは1997年に18ドルで上場した銘柄です。2005年2月に最高値53ドルを付けるも、その後は一貫して下落基調にあります。22年11月は3.6ドル前後で推移しています。
その1:売上高と営業利益の10年間の推移は?

過去10年間の決算書を見ると、15年が売上高と利益のピークでしたね。利益が出にくい構造で、営業利益と純利益は赤字の年が多いです。20年はスポット価格上昇の恩恵を受けて、一時的に営業利益率が30%まで上昇しています。
その2:BPSとEPSの10年間の推移は?

過去10年間のBPS(1株あたり純資産)とEPS(1株あたり純利益)です。原油タンカーは過去10年間、厳しい状況だったことが分かりますね。BPSは長く下落基調にあり、EPSも多くの年で赤字です。
その3:営業CFと投資CFの10年間の推移は?

過去10年間のフリーCF(営業CF−投資CF)は、赤字の年が多いです。10年と11年、14年〜16年に積極的に設備投資をしています。設備投資を減らしてからは、フリーCFも黒字に転じています。
では、私たちはどのように投資判断すれば良いのでしょうか?
ノルディック・アメリカン・タンカーズの注目点?

NATに投資する上で注目すべきポイントを紹介します。NATは石油タンカーを所有し、原油や石油製品を世界中に輸送する会社です。そのため、原油タンカーの運賃価格に比例して、売上高や利益が増えます。
注目1:原油タンカー運賃は過去10年で最低水準?
日本郵船による、不定期船(水色)とタンカー運賃(青色)の推移です。
タンカー運賃は、20年3月に一時的に200まで急騰しています。その理由は、20年3月に陸上の貯蔵タンクが一杯になり、洋上タンカーのスポット価格が高騰したからです。しかしながら、5月以降はタンクの問題が解消され、運賃は過去10年で最も低水準です。
世界的に原油の消費量が急減したことで、船舶の数が過剰だからです。
タンカー運賃は原油価格には依存せず、原油の海上運搬量(需要)と船舶数(供給)に依存します。20年5月から原油価格は急回復しているが、原油タンカーの需給は緩いです。
コロナによる影響で、20年の原油消費量は過去水準ですね。では、原油タンカーの運賃の指標は何を見れば良いのでしょうか?
注目2:タンカー運賃の指標はサイズ毎に確認できる?
原油タンカー運賃の指標を見るには、SIMPSONというサイトが掲示しています。船舶サイズごとに、過去6ヶ月間のタンカー運賃を調べられます。最も小さい37000サイズの運賃を見ると、21年あたりから価格が上昇しています。
では、20年3月のコロナショックでは、どれだけ石油需要が急落したのでしょうか?
注目3:21年Q3にコロナ以前の水準まで回復する?
21年以降の原油の供給と需要予測です。
世界の原油消費量(緑色)を見ると、19年Q4の101百万バレルから、20年2Qに84百万バレルまで急落しました。しかしながら、21年Q3には98百万バレルまで回復し、22年Q3には過去最高水準を更新します。
消費量が回復するということは、原油タンカーの需要が上昇しますね。
需要が上昇する中でも、タンカーの供給量はあまり伸びません。なぜならば、コンテナ船やバルク船と同様に、環境規制で新しい船舶が作られていないからです。鉄鉱石の価格が2倍に上昇したことで、新たな設備投資には膨大な資金が必要になります。
そのため、コンテナやバルク運賃で起きた上昇は、いずれは原油にも波及します。
環境問題で原油の需要が落ち込んだように見えます。しかしながら、世界規模で見ると、原油の需要や消費量は伸び続けています。そのため、原油タンカーの数が増えなければ、タンカー運賃は上昇するしかありません。
まとめ:ノルディック・アメリカン・タンカーズ決算
- 2001年に上場した、原油タンカーのノルウェー企業
- スエズマックスタンカー25隻を保有、100万バレルの輸送量
- 営業経費が高く、20年4Qは売上げ以上の営業損失額を出す
- 利益が出にくい構造で、過去10年で営業利益が赤字の年も多い
- 10年と11年、14〜16年に積極的に設備投資を行う
- 陸上のタンク不足で、20年の売上高は過去最高水準に上昇
- 環境規制で船舶が作られず、需給はタイトになる可能性が高い
個人的には、NATは投資したい銘柄のひとつです。
なぜならば、過去最低水準のタンカー運賃は、いずれ上昇すると思うからです。タンカー運賃は原油価格には依存しません。原油の海上運搬量(需要)と船舶数(供給)で決まります。世界の原油消費量の予測を見ると、22年後半には過去最高を更新します。
実際に、足元のタンカー運賃は22年に上昇を始めていますね。世界的な原油の需要は増え始めるも、船舶の注文数は歴史的低水準にあります。中国景気減速やロシア危機など懸念材料はあるも、22年にタンカーの強気相場が訪れそうです。
原油タンカーの大手企業は、ベルギーのユーロナブですね。
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