カード決済を提供するアメリカンエキスプレスは、経済再開で最も恩恵を受ける銘柄ですね。21年後半は外出規制が緩和され、買い物で外に出る人が増えています。21年4Qは前年比+30%、22年1Qは+29%と業績は好調です。
- 「84年に5ドルで上場、株価は34倍に高騰してる…」
- 「世界市場は2社が独占、AXPは米国内で3位に伸ばす…」
- 「カード発行体であり、営業利益率は21%と高くない…」
アメリカンエキスプレス(AXP)は、米国3位のカード決済会社です。世界市場はビザ(V)とマスターカード(MA)の2強で、同社はカードの発行体でもあり金融危機の影響を受けます。幅広く事業を展開しているため、営業利益率は20%前後と2社よりも大きく下回ります。
個人的には、アメリカンエキスプレスは投資したい銘柄ではないです。
なぜならば、決済業界全体は競争激化により、レッドオーシャン化するからです。ネット決済やBNPLなどの新興市場の登場により、既存勢力であるカード決済はシェアを奪われそうですね。カード決済の2強と比較して、同社の営業利益率は高くはありません。
資金力があるアマゾンなど大手小売企業の参入は悲観材料です。
アマゾンは英国でビザと提携を解消するなど競争が激化しています。また、オンライン決済ではペイパル、BNPL(後払い決済サービス)ではアファームなどの新興企業がシェアを伸ばしそうです。カード決済でも市場を独占できている訳でもなく、アメリカンエキスプレスは微妙な立ち位置にあります。
そのため、22年4月時点の予想PERは19倍と、大手2社よりも低い水準にあります。将来の見通しを踏まえると、この水準は妥当だと言えそうですね。
- AXPの4半期決算(22年1-3月)は?
- AXPの過去10年間の売上高や営業利益は?
- ネット決済やBNPLなど、22年は競争が激化する?
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20年3月に米国株を初めて、2.5年で運用額を10倍に増やしました。
ただし、大幅に増えた理由は運の要素が大きいです。20年や21年は歴史的な好相場で、素人でも読みやすい相場でしたね。ただし、22年現在は500社以上の銘柄分析を行い経験を積んだことで、なんとかプラスを維持しています。
過去の実績の詳細については、次の記事を参考にしてください。
記事の内容を簡単に知りたい
アメリカンエキスプレス(AXP)の四半期決算は?

アメリカンエキスプレス(AXP)の四半期決算を紹介します。
21年3Q決算(21年9月30日)
- 売上高:109.28億ドル(前年比+25%)
- Global Consumer Services:64億ドル(+21%)
- Global Commercial Services:32億ドル(+28%)
- Global Merchant and Network Services:13億ドル(+28%)
- 営業利益:23.57億ドル(+76%)
- 純利益:18.26億ドル(+70%)
- 1株当たり利益:2.27ドル(+74%)
21年4Q決算(21年12月31日)
- 売上高:121.45億ドル(前年比+30%)
- Global Consumer Services:69億ドル(+23%)
- Global Commercial Services:36億ドル(+30%)
- Global Merchant and Network Services:15億ドル(+31%)
- 営業利益:—億ドル(—%)
- 純利益:17.19億ドル(+20%)
- 1株当たり利益:2.18ドル(+24%)
22年1Q決算(22年3月31日)
- 売上高:117.35億ドル(前年比+29%)◯
- Global Consumer Services:69億ドル(+27%)
- Global Commercial Services:35億ドル(+31%)
- Global Merchant and Network Services:14億ドル(+30%)
- 営業利益:—億ドル(—%)
- 純利益:20.99億ドル(−6%)
- 1株当たり利益:2.74ドル(+1%)◯
1Qの売上高は前年比+29%で117.35億ドル、純利益は−6%で20.99億ドルでした。21年3Qや4Qに続き、22年1Qの売上は好調ですね。純利益率は17.8%で過去と平均して悪くはありません。
経済再開に伴い、オフラインで買い物をする人が増えていますね。
決済ビジネスは競争が激化している分野です。これまで決済市場は、ビザ(V)とマスターカード(MA)が独占してきましたね。しかし、買い物がオンラインに移行する過程で、様々な企業から挑戦を受けています。オンライン決済で最も強いのはペイパル(PYPL)で売上を拡大しています。
ビザやマスターカードと違い、同社は自身がカードの発行体です。そのため、世界経済の危機の時には回収リスクがあり、影響を受ける銘柄のひとつです。また、ラベラーズチェックや旅行代理業、保険業など様々なサービス事業を行なっていますね。
同社のCEOによると、順調に消費が回復し会員数も増えているといいます。22年Qの売上予想は、前年比+19%と好調が続きます。
会長兼最高経営責任者のスティーブン・J・スケリは、次のように述べています。 「収益は、カード会員がFX調整ベースで世界全体で35%の成長を遂げたことにより、前年比で29%増加し、3月には月間最高額に達しました。
「この業績は、顧客の獲得、エンゲージメント、維持など、持続可能で長期的な成長に不可欠な分野への継続的な投資によって可能になりました。この四半期に、米国のコンシューマープラチナカードとゴールドカード、および米国の買収として、300万枚の新しい独自のカードを追加しました。ビジネスプラチナカードは、この四半期で過去最高を記録しました。旅行活動が引き続き活発化する中、3月にはデルタカードの月次取得も記録的に増加しました。
「また、ミレニアル世代とZ世代のカード会員、およびFX調整ベースで昨年に比べてそれぞれ56%と30%増加した中小企業による強力な支出に牽引され、顧客カテゴリ全体でエンゲージメントが増加しました。 。私たちのネットワークへの支出の最大のカテゴリーである商品とサービスの支出は、この四半期も引き続き加速し、昨年に比べてFX調整ベースで21%増加しました。旅行およびエンターテインメントの支出は、1年前にFX調整ベースで121%増加し、消費者旅行の継続的な力により、3月に初めて世界的に初めてパンデミック前のレベルに達しました。
「当社の顧客維持率は、四半期を通じて非常に高いレベルにとどまり、顧客がAmericanExpressMembershipに高い価値を置いていることを示しています。
「これらの結果は、通年の予想に沿ったものであり、18〜20%の収益成長と1株当たり利益が9.25〜9.65ドルであるという通年のガイダンスを再確認しています。」
支払利息控除後の第1四半期の連結総収益は117億ドルで、前年の91億ドルから29%増加しました。この増加は主に、前年度と比較したカード会員の支出の増加を反映しています。
貸倒引当金の連結引当金は、1年前の6億7500万ドルの利益と比較して、3300万ドルの利益をもたらしました。この変更は主に、当四半期の正味準備金のリリースが1年前と比較して大幅に減少したことを反映していますが、当四半期の正味償却額の減少により部分的に相殺され、信用指標は過去最低に近いままです。
連結費用は91億ドルで、前年の67億ドルから34%増加しました。これは、主にネットワークボリュームの30%の増加による顧客エンゲージメントコストの増加を反映しています。営業費用も増加しました。これは主に、前年度のAmex Venturesの株式投資による純利益と、当四半期の報酬費用の増加を反映しています。
連結実効税率は22.6%で、前年の25.3%から下がった。この減少は主に、当四半期の個別の税制上の優遇措置を反映しています。
22年2Q決算(22年6月…)
22年2Q決算は、7月23日に公開予定です。
では、売上高や営業利益の10年間の推移はどうでしょうか?
アメリカンエキスプレス(AXP)の損益計算書は?

アメリカンエキスプレスは84年に5ドルで上場しています。株価は景気動向の影響を受けるも、最高値を更新し続けています。20年3月は67ドルに下落するも、22年4月は180ドル前後で推移しています。
その1:売上高と営業利益の10年間の推移は?

過去10年間の決算書を見ると、売上は波があるも上昇傾向にあります。ビザやマスターカードと比較すると、右肩上がりに上昇できるとは言えないですね。純利益率は15%前後と2強と比較すると弱いです。
その2:BPSとEPSの10年間の推移は?

過去10年間のBPS(1株あたり純資産)とEPS(1株あたり純利益)です。自己資本比率は13$と少し低いですね。ただ、自社株買いに積極的で、BPSもEPSも安定して推移しています。
その3:営業CFと投資CFの10年間の推移は?

過去10年間のフリーCF(営業CF−投資CF)は、順調に推移しています。投資CFは少なく、ビザやマスターカードと同様に優良ビジネスであることを示しています。競合2社が市場を独占しているが、同社も十分な利益をあげています。
では、私たち投資家はどのように判断すれば良いのでしょうか?
アメリカンエキスプレス(AXP)の注目ポイントは?

アメリカンエキスプレス(AXP)の注目ポイントを紹介します。
注目1:米国2社が世界市場の37%を占めている?
16年時点の世界的なクレジットカードのシェアです。
世界最大のクレジットカード会社は、中国のユニオンペイで43%を占めます。世界2位は米国のビザ(V)で21%、マスターカード(MA)は16%と続きます。マスターカードは欧州に強く、海外売上比率は79%と高いのが特徴です。
参考:ビザ(V)の四半期決算|21年4Qは前年比+28%に加速
ユニオンペイは競合がいない中国の利用者が99%を占めています。そのため、実質的には、ビザとマスターカードが世界2強だと言えます。EC大国である中国は、非キャッシュの利用率が米国よりも高く、米国2社は新たに参入しています。
アメリカンエキスプレスはランクインしてないが、世界4位前後の規模です。また、カード発行体としても高いシェアを持ちます。
では、米国内ではどれくらいのシェアを持つでしょうか?
注目2:流通総額は米国3位で0.82兆ドル?
米国内のクレジットカードの流通総額です。
流通総額が最も大きいのはビザで、過半数以上のシェアを持ち2.08兆ドルで圧倒しています。次いで、2位がマスターカードで0.91兆ドル、3位にアメリカンエキスプレスで0.82兆ドルと続きます。
近年はカード決済のシェアを奪う形で、オンライン決済が台頭しています。では、挑戦者であるオンライン決済はどれくらいシェアを伸ばしてるでしょうか?
注目3:オンライン決済は25年に20%に上昇?
実店舗とオンライン決済の比率です。
世界的なトレンドとして、ECやモバイルなどのオンライン決済が広く浸透しています。オンライン決済ではペイパル(PYPL)が一強でシェアを伸ばしていますね。16年に9%だった決済比率は、25年には20%まで上昇します。対照的に、実店舗での決済は91%から80%に低下します。
では、米国内でのEC比率はどのように推移してるでしょうか?
注目4:米国EC化率はコロナ禍で14.3%に上昇?
米国ECのEC化率の推移です。
19年の米国ECの売上高は3431億ドル、24年には4765億ドルに達する見込みです。コロナ禍の20年は米国のEC化を進め、一時的には14.3%まで急上昇しています。ペイパルはこうした状況で恩恵を受ける銘柄ですね。EC化率は中国が最大で44%と最もオンライン決済が浸透しています。
では、Eコマースの主要決済プレーヤーはどうでしょうか?
注目5:EC決済は競合が多く競争が激化する?
Eコマース決済企業の市場シェアです。
Eコマースの決済でシェアが大きいのは、中国UnionPay、アメリカンエキスプレス(AXP)、マスターカード(MA)の3社ですね。他には、ペイパルやビザ、中国企業のアリペイやテンぺイがランクインしています。伝統的なクレジット企業に加えて、ネット決済に強いハイテク企業も参入しています。
クレジットカード決済と比較して、ネット決済は競争が激化しそうです。
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20年3月に米国株を初めて、2.5年で運用額を10倍に増やしました。
ただし、大幅に増えた理由は運の要素が大きいです。20年や21年は歴史的な好相場で、素人でも読みやすい相場でしたね。ただし、22年現在は500社以上の銘柄分析を行い経験を積んだことで、なんとかプラスを維持しています。
過去の実績の詳細については、次の記事を参考にしてください。
まとめ:アメリカンエキスプレスの銘柄分析は?

- 84年に上場した、米国3位のカード決済企業である
- 世界カード決済の2強は、ビザとマスターカードである
- AXPはカード発行体でもあり、金融危機の影響は大きい
- カード以外にも事業展開し、営業利益率は22%と低い
- 大手2社に加え、大手小売アマゾンやネット決済が競合
個人的には、アメリカンエキスプレスは投資したい銘柄ではないです。
なぜならば、決済業界全体は競争激化により、レッドオーシャン化するからです。ネット決済やBNPLなどの新興市場の登場により、既存勢力であるカード決済はシェアを奪われそうですね。カード決済の2強と比較して、同社の営業利益率は高くはありません。
資金力があるアマゾンなど大手小売企業の参入は悲観材料です。
アマゾンは英国でビザと提携を解消するなど競争が激化しています。また、オンライン決済ではペイパル、BNPL(後払い決済サービス)ではアファームなどの新興企業がシェアを伸ばしそうです。カード決済でも市場を独占できている訳でもなく、アメリカンエキスプレスは微妙な立ち位置にあります。
そのため、22年1月時点のPERは16倍と、大手2社よりも低い水準にあります。将来の見通しを踏まえると、この水準は妥当だと言えそうですね。
マスターカードの最大のライバルは、ビザではなくペイパルですね。ペイパルはネット決済の6割を占め、EC時代に合わせて急激にシェアを伸ばしています。カード決済企業が、どれくらいシェアを奪われるかに注目したいですね。
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