コロナによる原油やガス価格の暴落で、エネルギー株に投資する人が増えています。欧州や中国の電力問題で、21年後半に天然ガス市況が上向いています。23年1Qは売上前年比−26%、2Qは−60%に減速しています。
- 「世界各国の経済活動再開で、利益を得られるはずだ…」
- 「破綻するシェール株もあるが、原油が上昇するはずだ…
- 「予想PER10倍と割安で、安全にバリュー投資ができる…」
EQTは、天然ガスを採掘する米国最大のシェール企業です。天然ガスの採掘量が多いアパラチア地域で活動しており、収益の大半はマーセラスシェール層からです。
個人的には、EQTは投資したい銘柄のひとつです。
なぜならば、欧州のエネルギー危機もあり、世界的に天然ガスの需要が増しているからです。代替品である石炭も、ガスと同様に価格が上昇していますね。そのため、同社の売上は3桁増で、22年の営業利益率も57%も上昇しています。
ただ、今後の天然ガス市況を予想するのは難しいですね。
22年8月に9.5ドルで高値をつけた天然ガスは、11年には急落しています。欧州での需要が急増したが、米国内では輸送能力が足りず余っているからです。また、欧州危機が落ち着いたり、中国で石炭を増やすなど、不確定要素も高いですよね。
以上を踏まえると、天然ガス関連は原油ほどは自信を持って購入できません。ただし、23年7月時点の予想PER14倍は割安だといえますね。
- EQT株の4半期決算(23年4-6月)は?
- EQT株の過去10年間の売上高や営業利益は?
- 21年後半に天然ガス価格は高騰、22年も続くのか?
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20年3月に米国株を初めて、2.5年で運用額を10倍に増やしました。
ただし、大幅に増えた理由は運の要素が大きいです。20年や21年は歴史的な好相場で、素人でも読みやすい相場でしたね。ただし、22年現在は500社以上の銘柄分析を行い経験を積んだことで、なんとかプラスを維持しています。
過去の実績の詳細については、次の記事を参考にしてください。
EQTの四半期決算は?

EQTの四半期決算を紹介します。
22年4Q決算(22年12月30日)
- 売上高:80.91億ドル(前年比+6%)
- 営業利益:—億ドル(—%)
- 純利益:17.12億ドル(−5%)
- 1株当たり利益:0.42ドル(+2%)
23年1Q決算(23年3月30日)
- 売上高:18.17億ドル(前年比−26%)
- 営業利益:—億ドル(—%)
- 純利益:12.19億ドル(+180%)
- 1株当たり利益:1.70ドル(+109%)
23年2Q決算(23年6月30日)
- 売上高:10.18億ドル(前年比−60%)○
- Sales of natural gas:8.48億ドル(−75%)
- Gain on derivatives:1.64億ドル(前年度−0.84億ドル)
- Net marketing:0.06億ドル(−19%)
- 営業利益:−0.34億ドル(前年度13.61億ドル)
- 純利益:−0.66億ドル(前年度8.91億ドル)
- 1株当たり利益:−0.18ドル(前年度2.19ドル)○
2Qの売上高は−60%で10.18億ドル、営業利益は−0.34億ドルでした。22年4Qや23年1Q比較すると、2Qの売上は減速していますね。また、営業利益率は−3.3%と低いですね。
8月24日に再高値を付けた天然ガス価格は、11月には急落していますね。欧州のガス危機は依然としてあるも、米国内のガス価格の動向を注視したいですね。
• 第 2 四半期の生産量は 471 Bcfe、非支配株主を除く資本支出は 4 億 7,000 万ドルで、それぞれのガイダンス範囲の中間点と一致
• 現金営業費用は 1 マクフェあたり 1.37 ドルで、ガイダンスの下限に近い
• 2023 年の第 2 四半期に 8 億ドルの負債を返済。 2021年12月にキャピタル・リターンの枠組みを開始して以来、19億ドルの負債を返済
• 48 時間で 18,200 フィートを掘削する新世界記録を達成する優れた掘削パフォーマンス。 ベンチマーク調査では、EQT の掘削がピア平均より 68% 高速であることが示されています
• 完成効率は前年比 20% 向上。 第2四半期に約4マイルの水平掘削を完了、これは米国のシェール掘削の歴史の中で最も長いものの一つである
• 債務返済目標のリスクを軽減するために、2024 年のヘッジブックに追加。 2024 年の生産量の約 30% が MMBtu あたり 3.64 ドルの加重平均下限でヘッジされる
• スコープ 1 およびスコープ 2 の温室効果ガス排出量が前年比約 20% 削減されたことを強調する 2022 年 ESG レポートを発表。(1) 2023 年の排出量には空気圧交換プログラムによる追加のメリットが見込まれる
• リスク調整された LNG 戦略を開始。 レイクチャールズ LNG で年間 100 万トンの料金を徴収するための基本協定 (HOA) に署名
• Tug Hill および XcL Midstream の買収に関して FTC と協力し続ける。 2023 年第 3 四半期に閉鎖予定
社長兼最高経営責任者(CEO)のトビー・Z・ライス氏は次のように述べています。 これらの成果は、EQT のクラス最高の実行能力と、最高のパフォーマンスを達成するという点で限界を押し上げる当社の継続的な取り組みを強調しています。」
ライス氏は続けて、「資本収益の面では、当四半期中に8億ドルの追加債務を返済することで、バランスシート目標の達成に向けて新たな重要な一歩を踏み出しました。 2021年末に株主還元の枠組みを開始して以来、当社は現在、合計19億ドルの負債を返済しており、これにより当社のレバレッジプロファイルは段階的に改善されました。 また、当社はメキシコ湾岸の年間 100 万トンの通行能力に関する HOA にも署名し、当社のリスク調整済み LNG 戦略の最初の実施を示しました。 当社の規模、同業者をリードする在庫量、および環境特性により、EQT は国内外でのエネルギー安全保障と排出削減目標を促進する独自の地位を確立しています。」
23年3Q決算(23年9月…)
23年3Q決算は、10月26日に公開予定です。
では、売上高や営業利益の10年間の推移はどうでしょうか?
EQTの過去10年間の損益計算書は?

EQTは1980年に0.6ドルで上場しました。14年に59ドルをつけるも、その後は長く低迷しています。23年7月は39ドル前後で推移しています。
その1:売上高と営業利益の10年間の推移は?

過去10年間の決算書を見ると、19年と20年は低迷し21年に回復しています。21年は売上高が前年比+82%に増え、営業利益率は20%まで上昇しています。
その2:BPSとEPSの10年間の推移は?

過去10年間のBPS(1株あたり純資産)とPS(1株あたり純利益)です。BPSは20年に下落していますね。また、EPSは16年以降からは赤字が続いています。
その3:営業CFと投資CFの10年間の推移は?

過去10年間のフリーCF(営業CF−投資CF)は、徐々に上向いています。投資CFは低く抑えられている上に、営業CFも伸びていません。全体的に事業は縮小傾向にあるといえます。
では、私たちはどのように投資判断すればいいのでしょうか?
EQTの注目ポイントは?

EQTの注目すべきポイントを紹介します。
注目1:21年11月のガス価格は前年比+3倍?
過去10年間の天然ガス価格の推移です。
2008年に13ドルを付けた天然ガスは、14年のシェール革命を経て価格は長く低迷しています。ただし、20年3月に1.6ドルだったが、21年9月には3倍以上の5.5ドルを付けています。
欧州と中国の電力危機もあり、11月も高値で推移しています。
注目2:シェールガスの生産量は右肩上がりで増加?
シェールガスの生産量は、一貫して上昇傾向にあります。
特に生産量が著しく増えているのは、AppalachiaとPermian地方ですね。15年の原油価格暴落で、コストが高いシェールオイル やガスの生産量が一部の地域で鈍化しました。しかしながら、技術開発でコスト削減に成功した事で再び生産量は増加しています。
2000年代始め、北米の天然ガス生産の主役はメキシコ湾の海上でした。
しかしながら、シェール革命とその後の技術革新によるコスト削減で、米国内陸地に天然ガスの生産地が移動しています。メキシコ湾の天然ガス生産量は、2002年から5分の1に低下しました。米国内陸地に移動した理由は、シェールオイル やガスの方が生産コストが低いからです。
同社は生産量が増えているアパラチア地方で活動しています。
注目3:米国は45年ぶりに世界最大の産油国になった?
米国は2018年に世界最大の産油国になりました。
1日当たりの石油生産量は、2013年にサウジアラビアやロシアを抜いています。2018年の年間平均生産量は1095万BDとなり、45年ぶりに世界1位の産油国です。2019年も勢いは止まらず、生産量は増加を続けています。
生産量が急増した理由は、2010年代に始まったシェール革命の影響が大きいです。シェール層から天然ガスを取り出す技術は、石油にも応用する事で生産量を増やしています。
また、天然ガスの生産量は、米国とロシアが中東諸国の4倍以上の生産量があります。シェール革命で天然ガスの生産量が増え続けている米国は、世界2位のロシアとも差を広げつつあります。
意外と知られてない事実だが、米国はすでに世界4番手の天然ガス輸出大国です。米国内で余った天然ガスは、液体化(LNG)して海外に輸出しています。
▼▼2022年12月は資産が6000万円を超える▼▼

20年3月に米国株を初めて、2.5年で運用額を10倍に増やしました。
ただし、大幅に増えた理由は運の要素が大きいです。20年や21年は歴史的な好相場で、素人でも読みやすい相場でしたね。ただし、22年現在は500社以上の銘柄分析を行い経験を積んだことで、なんとかプラスを維持しています。
過去の実績の詳細については、次の記事を参考にしてください。
まとめ:EQTの四半期決算は?

- 1925年に創業、天然ガスの採掘量が多いシェール企業
- ガスの生産量が多い、アパラチア盆地で活動している
- 米国は20年に、ロシアとカタールに次ぐ輸出大国である
- 08年から天然ガス価格は安く、長い間低迷していた
- 営業CFも投資CFも伸びず、事業は縮小傾向にある
- 21Q3の売上は前年比+200%だが、ヘッジが原因で赤字である
個人的には、EQTは投資したい銘柄ではありません。
なぜならば、天然ガス市況は急激に上向くも、22年初めには落ち着くと思うからです。21年後半に欧州や中国の電力問題が発生し、21年10月に米国天然ガス価格は前年比3倍の6.2ドルを付けました。これにより、21年3Qの売上高は前年比+200%と好調です。
ただ、中国が石炭の生産を増やすなど、冬以降は落ち着きそうですね。
天然ガスは安価だったために、原油や石炭のシェアを奪う形で拡大してきました。しかし、高値を維持するならば、今度は逆に原油や石炭などに変わる可能性があります。また、長期的には脱炭素化など、22年以降の動きを予想するのは難しいです。
ただし、22年2月時点の予想PERは10倍で割安だといえますね。
赤字企業に投資するよりも、収益性が高い方が安心して投資できますね。また、特別配当を含むと、21年3Qの配当利回りは6%前後と高いです。
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