米国の自動車業界は、日本車の影響で長い間不調でしたね。しかしながら、近年はEV車や完全運転車で注目を集めています。そんな中で米国で販売台数2位のフォードは、PERが13倍で割安に放置されています。現在の自動車業界の状況を考えると、フォード株は割安と言えるのでしょうか?
- 「GMのPERは6倍しかない、割安な時に購入した方が良い…」
- 「EV車や完全運転車で、自動車業界が盛り上げる可能性が高い…」
- 「コロナが収束し経済が正常化すれば、株価が戻る可能性が高い…」
フォードは、1903年に設立した歴史ある自動車メーカーですね。米国市場で最も販売台数が多い車はGM社だが、フォードは2番手に位置しています。
しかしながら、長期的にも短期的にも、フォードは保有したい銘柄ではありません。
なぜならば、市場シェア2位でも、営業利益率は0.4〜2%と儲からないビジネスだからです。2018年から世界的な自動車の販売不振が続いています。欧州と中国を中心に自動車の需要が急減し、GMの販売台数も急落しています。さらには、2020年1Qはコロナの影響で、販売台数が急落しましたね。
自動車産業は、競争が激しい上にトレンドもあるため、安定して稼ぐのが難しいですね。
新しいモデルが次々に開発され、新車を投入しても売れるとは限りません。また、電気自動車EVやAIの完全自動車の開発もあり、設備投資や開発研究費用も膨大です。そのため、コロナが収束し経済が正常化しても、長期で保有したい銘柄ではありません。
- フォード直近の4半期決算(2020年1〜3月)は?
- フォードの過去10年間の売上高や営業利益は?
- 自動車業界は利益率が小さく、儲からないビジネスモデル?
▼▼2022年12月は資産が6000万円を超える▼▼
20年3月に米国株を初めて、2.5年で運用額を10倍に増やしました。
ただし、大幅に増えた理由は運の要素が大きいです。20年や21年は歴史的な好相場で、素人でも読みやすい相場でしたね。ただし、22年現在は500社以上の銘柄分析を行い経験を積んだことで、なんとかプラスを維持しています。
過去の実績の詳細については、次の記事を参考にしてください。
フォード(FORD)の四半期決算は?
フォードの四半期決算を紹介します。
第1Q決算(2020年4月30日)
- 売上高:343億ドル(前年同期比−15%)
- 純利益:−20億ドル(前年度11億ドル)
- 一株利益:−0.5ドル(前年度0.29ドル)
フォードは1903年に設立した、長い歴史がある自動車メーカーです。1913年に組み立て工程にベルトコンベアを導入し、流れ作業を実現した事で有名ですね。しかしながら、近年の米国自動車メーカーは、中国や韓国も参入しかつてほどの勢いはありません。
1-3月期の決算は、コロナの影響を大きく受けた決算でした。売上高は前年同期比で15%減の343億ドル、純利益はマイナスで20億ドルです。前年度は黒字だったけれども、コロナの影響で赤字に転落しましたね。売上高の規模が同じGM社よりも、遥かに悪い決算になりました。
2020年3月の世界の自動車販売台数は、昨年同月比39%減となる555万台だと報道されています(参考:2020年3月は39%の大幅減!)。そのため、4-6月期も大幅なマイナスになる可能性が高いですね。
第2Q決算(2020年8月)
2020年8月に公開予定。
では、フォードの売上高や営業利益の10年間の推移はどうでしょうか?
フォードの10年間の損益計算書は?
2008年に5000ドルだったフォードの株価は、2020年には6980ドルに推移しています。フォードに100万円を投資したら、1.3倍の130万円に増えていた事になります。では、過去10年間にどのように成長してきたのでしょうか?
フォードの損益計算書やキャッシュフローを紹介します。
その1:売上高と営業利益の10年間の推移は?
過去10年間の決算書を見ると、フォードの売上高は少しずつだけど増加傾向にあります。しかしながら、営業利益や純利益は増えていません。売上高が増加する一方で、営業利益率は減少傾向にありますね。2019年の営業利益率は0.4%まで低下しています。
営業利益が低下した理由は、中国や韓国の自動車メーカーの勢いが強い事、それからEV車に強いテスラの台頭があるのかもしれません。米国自動車メーカーの不振は今後も続きそうですね。
その2:BPSとEPSの10年間の推移は?
過去10年間のBPS(1株あたり純資産)は、比較的安定して推移していますね。しかしながら、EPS(1株あたり純利益)は安定しているとは言えません。フォードは、年々利益を出せない構造になっているように見えますね。
その3:営業CFと投資CFの10年間の推移は?
フリーCF(営業CF−投資CF)は、他の自動車メーカーと比較して安定しています。投資CFは少なく、経営に合わせた健全な投資をしていると言えますね。過去10年間でフリーCFがプラスなのは評価できる内容です。自己資本比率は、12〜14%で大きく動く事なく推移しています。
では、私たち投資家は、フォードに投資する上で何を判断すれば良いのでしょうか?
フォードに投資する上で注目ポイントは?
フォードに投資する上で、注目すべきポイントを紹介します。
注目1:2019年の販売台数は2年連続でマイナス?
リーマンショック以降、自動車の販売台数は右肩上がりで増えていました。
しかしながら、2019年は販売数の低迷が予測され、2018年に続き2年連続でマイナスになる可能性が高いと言います。低迷する原因は、販売台数が世界で最も多い中国のスローダウンです。実際に、2019年の自動車販売台数は前年比8.2%減でした(参考:2019年の自動車販売台数は前年比8.2%減)。
それでも、2020年以降は再び上昇に転じ、2023年には1億台に到達すると予測しています。
ただし、このデータはコロナ危機以前に予測されたものですね。日本自動車販売協会連合会は、コロナの影響を受けた2020年上半期の販売台数を発表しています。日本市場では前年同期比19.3%減、2年ぶりのマイナスでした(参考:コロナ禍影響大きく19.3%減の139万9694台)。
北米や欧州の先進国、新興国でも販売台数が大きく減少すると予測できますね。では、フォード車は世界でどれくらい販売されているのでしょうか?
注目2:フォードは世界で6番目に販売台数が多い?
自動車メーカーというと、トヨタやホンダなどの日本車、VWなどのドイツ車が思い浮かびますね。
しかしながら、意外にもアメリカ車もまだまだ勢いがあります。米国のゼネラルモーターズは世界で4番目、フォードは世界で6番目に売れています。ただし、販売台数を見るとフォルクスワーゲンの半分以下、5位のヒュンダイ(韓国)より下位ですね。
日本ではアメリカ車は少ないが、北米や南米、中国ではそれなりに売れています。
2020年には、テスラがトヨタの時価総額を抜いて世界1位になりました。しかしながら、テスラは会社規模が小さく、販売台数では上位10社に入りません。では、フォードは米国ではどれくらい人気が高いのでしょうか?
注目3:米国市場ではフォード車は2番目に売れている?
米国で人気が高いのは、やはり米国の自動車メーカーですね。
米国の自動車メーカーが1位GMと2位フォード、4位クライスラーでランクインしています。北米で人気が高い日本車はトヨタとホンダで、それぞれ3位と6位に入ります。日本車に対する自動車関税は2.5%しかなく、EUや韓国、中国よりも優遇されてる結果かもしれません。
1位GMと2位フォードの販売台数は、2017年度よりも減少している点には注意が必要ですね。では、フォードの地域別の売上高を見てみましょう。
注目4:米国と中国市場だけで売上高の67%を占める?
フォードが最も売れている地域は、本社がある米国が過半数です。
次に売れている地域は中国、その次にブラジル、カナダ、ドイツと続きます。全体的に、北米と中国、南米での売上高の割合が高い事が分かりますね。フォードの営業利益が悪化している原因は、中国からの需要が落ちている可能性が高いです。
注目5:2019年から電気自動車に本格参入する?
EV車で好調なテスラと違い、米国メーカーは販売不振に陥っています。
将来のエンジン車とEV車の世界的なトレンドを見ると、電気自動車の割合が高くなる事が予想されていますね。そのため、テスラ、ゼネラルモーターズに次いで、2019年11月にフォードもEVの新車を発表しました(参考:米フォードが初の電気自動車を投入へ )。
しかしながら、EV市場では既にテスラが、独占的な地位を確立しています。後発者であるフォードが、EV市場でシェアを獲得するのは困難かもしれません。
参考:テスラの四半期決算|アナリスト予想を上回り時間外で7%上昇
注目6:自動車業界の利益率は低くフォードは0.4〜2%?
- トヨタ自動車:6.2%
- 三菱自動車:5.3%
- GM:3.0〜4.0%
- ホンダ:3.8%
- フォード:0.4〜2%
- テスラ:0.3%
自動車業界は利益率が低く、儲かりにくいビジネスモデルです。
儲からない理由は、世界中に自動車メーカーがあり競争が激しい分野だからです。1970年代以降は、日本メーカーが高性能で安価な自動車を大量に販売しました。2000年以降は、韓国や中国などの新興国が、安い人件費を利用して安価生産しています。
新興国の勢いがある中で、先進国の自動車メーカーが高い利益を出すのは難しいですね。また、毎年リリースする新車が売れるとは限らず、不安定でリスクが高いビジネスだとも言えます。iPhoneのブランド戦略で、営業利益が35%を超えるアップルとは正反対ですね。
▼▼2022年12月は資産が6000万円を超える▼▼
20年3月に米国株を初めて、2.5年で運用額を10倍に増やしました。
ただし、大幅に増えた理由は運の要素が大きいです。20年や21年は歴史的な好相場で、素人でも読みやすい相場でしたね。ただし、22年現在は500社以上の銘柄分析を行い経験を積んだことで、なんとかプラスを維持しています。
過去の実績の詳細については、次の記事を参考にしてください。
まとめ:フォード(FORD)の四半期決算は?
- 2019年の世界の販売台数は、2年連続でマイナスだった
- GMは、世界で6番目に販売台数が多いメーカーである
- 米国市場では市場首位だが、営業利益率は3〜4%と儲からない
- エンジン車の販売不振を受けて、2019年にEV車に本格参入する
- コロナの影響で、4〜6月期は世界中で販売台数が落ち込んでいる
フォードは、1903年に設立した歴史ある自動車メーカーですね。米国市場で最も販売台数が多い車はGM社だが、フォードは2番手に位置しています。
しかしながら、長期的にも短期的にも、フォードは保有したい銘柄ではありません。
なぜならば、市場シェア2位でも、営業利益率は0.4〜2%と儲からないビジネスだからです。2018年から世界的な自動車の販売不振が続いています。欧州と中国を中心に自動車の需要が急減し、GMの販売台数も急落しています。さらには、2020年1Qはコロナの影響で、販売台数が急落しましたね。
自動車産業は、競争が激しい上にトレンドもあるため、安定して稼ぐのが難しいですね。
新しいモデルが次々に開発され、新車を投入しても売れるとは限りません。また、電気自動車EVやAIの完全自動車の開発もあり、設備投資や開発研究費用も膨大です。そのため、コロナが収束し経済が正常化しても、長期で保有したい銘柄ではありません。