テスラの四半期決算|前年比40%増でコロナ危機から回復した?

コロナの影響を最も受ける4-6月決算でしたが、アナリスト予想を大幅に上回る60.3億ドルで着地しています。また、7-9月の2Qでは前年比42%増で、早くもコロナ危機を脱出し業績が回復しましたPERが700倍を超えるテスラ株を、私たち投資家は投資すべきでしょうか?

  • PERが600倍でも、売上高は2桁成長でまだまだ割安だ…」
  • 「EV車で競合他社がいない、まだまだ右肩上がりで増えるはず…」
  • 「1日で株価が10%も上昇した、1日も早く購入した方が良い…」

2Q決算はアナリスト予想を大幅に上回り、前年度の営業赤字と純利益を解消しました。

しかしながら、個人的にはテスラ株は長期でも短期でも保有したい銘柄ではありません。なぜならば、EV車は補助金や税優遇で支えられた国策銘柄だからです競合他社が少なく独占状態でも、政府の政策が変わればEV車の状況はガラリと変わりますね。

世界販売台数首位のVWやトヨタが参入しないのは、将来の量産効果が予測できないからですテスラが不安定なEV市場に参入できるのは、VWやトヨタと比較して規模が17分の1と小さすぎるからです。

テスラの株価を正当化するために、自動車業界のアップルだと評価する人もいますよね。

しかしながら、アップルは製品の付加価値が高く、営業利益率で25%を超えます対して、テスラは2019年にようやく営業利益が黒字化に成功するも、営業利益率は0.3%に過ぎません(2020年2Qは5%に改善)。ブランドが高く競争優位性が高いApple製品と、規制に守られたEV車を比較するべきでないですね。

仮にテスラ株が成長率を維持して株価を正当化しても、現時点で投資する利点は見つかりません税制優遇や補助金が消えた後でも、成長を維持できるか見極める必要があります。

テスラの投資判断したい人向け
  1. テスラ直近の4半期決算(2020年1〜3月)は?
  2. テスラの過去10年間の売上高や営業利益は?
  3. テスラ株のPER600倍を正当化できない理由は?

テスラ(TSLA)の四半期決算は?

テスラの四半期の決算を紹介します。

第1Q決算(2020年3月31日)

第1Q決算の内容は...
  1. 売上高:59.85億ドル(前年比+32%
  2. 営業利益:2.83億ドル(+15.4%
  3. 純利益:0.16億ドル(−85%)
  4. 一株利益:0.09ドル(−85%)

テスラは、2003年に設立した電気自動車(EV)に強みがある自動車メーカーです。

2020年1Qの売上高は、前年比+32%で大幅な増収でした。売上高の2桁成長を続けるテスラだが、営業利益が黒字化したのは2019年3Q以降です。営業利益は前年比15%増だが、純利益はマイナスでした。ただし、営業利益率は4%と、過去決算と比較して改善傾向にあります。

しかしながら、コロナによる影響でEV車の販売数も影響を受けています。

4月のヨーロッパのEV車の販売台数は17%減、米国では55%の減少です。コロナの影響が長引けば、好調なテスラの決算にも悪影響を与えます。ただし、次の四半期決算である4−6月期が底値になる可能性も高いですね。

第2Q決算(2020年6月30日)

第2Q決算の内容は...
  1. 売上高:60.3億ドル(前年同期比−5%
  2. 営業利益:3.27億ドル(前年度−1.67億ドル)
  3. 純利益:1.04億ドル(前年度−408億ドル)
  4. 一株利益:0.5ドル(前年度−2.31ドル

2Qの売上高は前年よりも5%下回る60.3億ドルだが、アナリスト予想の50.3億ドルを大幅に超えて着地しましたまた、営業利益も純利益も、赤字だった前年度と比較して大幅に改善しています。営業利益率は過去最大の5%で、徐々に利益を出せる体質に変わりつつあります。

この決算結果を受け、決算発表後の時間外取引で最大7%まで上昇しました。

テスラ株は、意外にもコロナの影響が軽微で、アナリストの予想を大幅に上回る好決算でしたね。2020年4月のヨーロッパのEV車の販売台数は17%減、米国では55%減と報道されていました。しかしながら、テスラに至っては1-3月期の売上高59.8億ドルよりも、逆に4-6月期の売上高が微増でした

全自動車メーカーが不調に陥る中で、唯一赤字決算を免れた企業かもしれません。徐々に経済が正常化されるため、テスラは加速度的に売上高を拡大させる可能性が高いですね。

第3Q決算(2020年9月30日)

第2Q決算の内容は...
  1. 売上高:76.1億ドル(前年比+42%
  2. 営業利益:8.09億ドル(+210%
  3. 純利益:3.31億ドル(+131%
  4. 一株利益:0.27ドル(+69%

20年3Qの売上高は前年比42%増で76.1億ドル、営業利益は210%増で8.09億ドルでした

コロナの影響で2Qは前年割れだったが、3Qで大きく持ち直している事が分かりますね。苦境に喘ぐ他の自動車企業と違い、一足早くコロナ危機を脱したことになります。好決算を受けて、テスラの株価は再び上昇していますね。

第4Q決算(2021年1月)

2021年1月に公開予定。

では、テスラの売上高や営業利益の10年間の推移はどうでしょうか?

テスラの10年間の損益計算書は?

2010年に20 ドルだったテスラの株価は、2020年には82倍の1643ドルまで急成長していますね。テスラに100万円を投資すれば、8200万円まで増えていた事になります。また、2020年の伸び率が大きく、大型株にも関わらず年比だけで4倍になりました。

テスラの損益計算書やキャッシュフローを紹介します。

その1:売上高と営業利益の10年間の推移は?

過去10年の決算書を見ると、順調に売上高を拡大しています。2010年に1.17億ドルだった売上高は、210倍の245億ドルまで増えています。ただし、営業利益や純利益は順調だとは言えないですね。営業利益が黒字に転換したのは2019年、純利益はまだ黒字化に成功していません

営業利益率も大幅に改善するも、まだ1%未満と低水準である点には注意が必要です。

その2:BPSとEPSの10年間の推移は?

過去10年間のBPS(1株あたり純資産)は、比較的に安定していると言えます。しかしながら、長く赤字経営が続いているため、EPS(1株あたり純利益)は安定しているとは言えません黒字化に成功して、安定してEPSを維持できるか注目する必要がありますね。

その3:営業CFと投資CFの10年間の推移は?

営業CFが黒字化したのは2018年、フリーCF(営業CFー投資CF)が黒字化したのは2019年です。EV車で先行開発しているテスラは、営業CFが大きい企業だと言えますね。自己資本比率は15〜20%を維持し、資金調達も行っています(参考:株価上昇を受けてテスラが公募増資で最大2500億円調達へ)。

コロナによる影響で、再びフリーCFが赤字になる可能性もあります

では、テスラ株に投資する上で、どのような点に注目すれば良いのでしょうか?

テスラに投資する上で注目ポイントは?

テスラに投資するか決める上では、何に注目して判断すれば良いのでしょうか。

注目1:2019年の販売台数は2年連続でマイナス?

参考:【自動車市場レポート】販売台数「2年連続マイナス」の衝撃

リーマンショック以降、自動車の販売台数は右肩上がりで増えていました。

しかしながら、2019年は販売数の低迷が予測され、2018年に続き2年連続でマイナスになる可能性が高いと言います。低迷する原因は、販売台数が世界で最も多い中国のスローダウンです実際に、2019年の自動車販売台数は前年比8.2%減で終わりました(参考:2019年の自動車販売台数は前年比8.2%減)。

それでも、2020年以降は再び上昇に転じ、2023年には1億台に到達すると予測しています。

ただし、このデータはコロナ危機以前に予測されたものですね。日本自動車販売協会連合会は、コロナの影響を受けた2020年上半期の販売台数を発表しています。日本市場では前年同期比19.3%減、2年ぶりのマイナスでした(参考:コロナ禍影響大きく19.3%減の139万9694台)。

北米や欧州の先進国、新興国でも販売台数が大きく減少すると予測できますね。

ただ、コロナ危機はすでに底値を脱却したとの声もあります。コロナの影響で株価が大きく下落したならば、景気循環株である自動車株は購入するチャンスだとも捉えられますね自動車販売台数が、将来的に1億台を目指すならば過度に弱気になる必要はないのかもしれません。

では、テスラは世界でどれくらい販売されているのでしょうか?

注目2:世界販売台数でテスラはトップ10位に入らない?

参考:世界の自動車メーカー販売台数ランキング(2019年)

2020年7月に、テスラの時価総額がトヨタを抜いて世界1位になりましたね。

しかしながら、世界の販売台数を見ると、テスラは上位10社には入っていません首位フォルクスワーゲン(VW)の17分の1の規模しかない点に注意が必要ですね。VWは4年連続で1000万台を超え、2019年の販売台数は1097万台でした。VWの最大市場は中国で、アメリカやロシア、欧州でも売上を伸ばしています

次に多いのがトヨタで、1074万台を販売しました。トヨタも欧州や中国で販売台数を伸ばしています。しかしながら、トランプ政権の影響を受けて、販売台数が最も多い北米ではマイナスでした。

2019年度は、前年比で販売台数がマイナスでしたね。トップ10位の中で前年比がプラスだったのは、VW(+1.3%)とトヨタ(1.4%)だけです。

販売台数でテスラは圏外でしたが、電気自動車では圧倒的なシェアを誇ります。

注目3:テスラModel3はEV車で販売台数1位?

参考:【世界全体】EV / PHV / PHEV 販売台数ランキングTOP20【2019年上半期】

全体的に低迷する自動車業界で、電気自動車(EV)の販売台数は大きく拡大しています。

電気自動車の販売台数を見ると、世界販売台数ランキングと全く別の景色が得られます。EV車で最も売れているのが、テスラのModel3で12.8万台です次に多いのがBAIC(中国)、BYD(中国)、日産、三菱、が続きます。テスラを除けば、中国と日本勢が強い事が分かりますね。

世界のEV車の販売台数は121万台で、中国だけで70万台(58%)の市場があります。2位でアメリカの22万台、3位でノルウェーの4.6万台が続きます。中国やアメリカ、ノルウェーの市場が大きいのは国の環境対策で後押しがあるからです。

実は、EV車が普及している国は、税制優遇や補助金の給付が大きい国だけです。また、フォルクスワーゲンやトヨタがEV車に積極的でない理由は、電気自動車は儲からないビジネスだからです。

注目4:補助金なしでは電気自動車が儲からない理由は?

EV市場が大きい中国、アメリカ、ノルウェーは、政策が後押しする事で普及が進むでいます。

中国はEV購入で最大100万円の補助金、アメリカは最大80万円の税額控除、ノルウェーは取得税免除で138万円です。その他の補助金や奨励制度がない地域では、EV車は売れていません。自動車メーカーの多くは、「テスラなど一部の高級車を除き、EV車はバックアップなしでは自立して普及しない」と考えています。

現在のEV車は、補助金や奨励制度で成り立っています。

そのため、国の政策が変われば販売不振に陥る可能性が高く、将来の量産効果が予測できません。テスラが電気自動車販売で優勢なのは、フォルクスワーゲンやトヨタよりも規模が小さいからですまた、中国メーカーの販売台数が多いのは、市場が大きい中国で規制に守られているからですね。

逆に言うと、主要メーカーが本格参入を始めたら、テスラの優位性は低下する可能性が高いですね。では、テスラは地域別に見ると、どれくらい売れているのでしょうか?

注目5:テスラが売れるのはEVが優遇される地域だけ?

参考:テスラの収益内訳と地域別の売上高

地域別の売上高を見ると、北米での売上高が60%を占めます。

北米以外で売上高が大きいのは、国策でEV車の普及を進める中国とノルウェーですね。つまり、米国企業のテスラは北米市場を独占する事で、EV車の販売台数1位を獲得していますね。中国と日本メーカーは、市場が最も大きい中国で販売する事で、2〜5位を獲得しています。

大手自動車メーカーが本格参入するまでは、市場を独占する事ができますね。

注目6:2017年にテスラのEV車が爆発的に売れてる?

参考:https://motor-fan.jp/article/10012399

2014年以前は、北米市場では日産のEV車が人気が高かったです。

しかしながら、2014年以降はテスラのEVが徐々に存在感を高めています。そして、2017年に発売したテスラModel3で、爆発的に販売台数が増加しましたそれ以降も、テスラのEV車は売れ続けています。2020年だけで株価が4〜6倍に暴騰しているのは、北米市場で圧倒的なシェアを誇るからです。

日産以外にもフランスのシボレーも参入しているが、販売台数を増やせていません。

割高だと言われ続けていたテスラ株だが、2020年7月も大きく上昇し続けています。PERが10,392倍を超えるテスラ株は、これからも上昇し続けられるのでしょうか?これに関して、「株式投資の未来」の著者であるジェレミー・シーゲル教授は、強気の発言をしています。

注目7:テスラ株は本当に自動車業界の「アップル」なのか?

「(市場には)たくさんモメンタム・プレーヤーがいる。また、テスラには現実のストーリーがある。その現実のストーリーが、株価を正当化するものとは言わない。私が言いたいのは、テスラとイーロン・マスクには他の自動車メーカーに比べて強みがあり、長い間でもそれは減衰しなかった。弱気派はそれを予想していただろうか?」

「テスラはアップルのようなもの?サムソンの方がもっと良くて安いかもしれないが、関係なく、テスラが欲しい。もしもテスラが自動車業界のアップルならば、今の株価も高すぎるわけではない。個別株についてこんなことを言うなんて自分自身にただ驚いている。」

参考:テスラは自動車業界のアップル:ジェレミー・シーゲル

テスラ株について、割高だと発言する投資家やアナリストは多いです。確かに、PERが600倍を超える銘柄を正当化するのは難しいですよね

ジェレミー・シーゲル氏は、テスラ株について強気の発言をしています。

テスラ株はこれまでも割高だと言われ続けてきた銘柄のひとつです。しかしながら、CEOのイーロンマスクは市場予測に打ち勝ち、高すぎる株価を何度も正当化してきましたねこれまでのテスラ株の躍進を予想できたアナリストはほとんどいません。

また、テスラが自動車業界のアップルならば、現在の株価も高過ぎる訳ではないとも言います。現時点で割高なのは間違いないが、現在の成長ペースを維持できるならば、確かに割高とは言い切れないですね。なぜならば、株価とは将来の期待値で決まるものだからです。

著名な経済学者の意見を聞くと、確かにそうなのかなと納得できる部分もあります。

ただ、個人的にはやはりテスラ株は割高で、絶対に購入すべき銘柄ではないと思います。将来的に株価を正当化する可能性はあるにしても、今の高値で購入するのはリスクでしかないからです。投資家には見えない競争優位性が隠れているにしても、国策で支えられているテスラ株を購入するのは得策とは言えないですよね。

投資家はテスラ株を購入するべきか?

テスラ株を購入すべきでない理由は...
  1. 売上高は2桁成長だが、年決算で黒字化できていない
  2. EV車で北米シェア1位だが、営業利益率は1%未満しかない
  3. EV車は、米国、中国、ノルウェーの補助金で支えらている
  4. 政府の補助金や制度変更で、減退する可能性が高い
  5. 将来の量産効果が計算できれば、大手メーカーが参入する

テスラ株は、長期でも短期でも保有したい銘柄ではありません。

なぜならば、EV車は補助金や税優遇で支えられた国策銘柄だからですEV市場が大きい中国、米国、ノルウェーは、補助金や優遇制度が大きい国です。政府の環境政策が変われば、EV車が売れない可能性は高いです。

テスラの株価を正当化するために、自動車業界のアップルだと評価する人もいます。

しかしながら、アップルは製品の付加価値が高く、営業利益率で25%を超えます。対して、テスラは2019年にようやく営業利益が黒字化に成功し、営業利益率は0.3%に過ぎません。EVの販売台数が急増しているのも国策に守られているだけですね。アップルと比較して、PER600倍を正当化するのは無理があります。

将来的に現在の株価を正当化し競争優位性があったとしても、現時点で投資する理由は見つかりません。テスラ株は、数多くある自動車メーカーの新興株で、勢いがある1社にしか過ぎません

まとめ:テスラ(TSLA)の四半期決算は?

テスラの注目ポイントは...
  1. 売上高が2桁成長を続けるも、黒字化したのは2019年
  2. テスラは、世界販売台数でトップ10位に入らない
  3. 販売台数の規模は、VWやトヨタの17分の1しかない
  4. EV市場に絞ると、テスラの販売台数は世界1位になる
  5. EV市場では、2020年時点でテスラの競合社はいない
  6. EV市場が大きい国は、補助金や税優遇制度で守られている
  7. 営業利益率が1%未満で、アップルと比較して優位性は低い

2Q決算はアナリスト予想を大幅に上回り、前年度の営業赤字と純利益を解消しました。

しかしながら、個人的にはテスラ株は長期でも短期でも保有したい銘柄ではありません。なぜならば、EV車は補助金や税優遇で支えられた国策銘柄だからです競合他社が少なく独占状態でも、政府の政策が変わればEV車の状況はガラリと変わりますね。

世界販売台数首位のVWやトヨタが参入しないのは、将来の量産効果が予測できないからですテスラが不安定なEV市場に参入できるのは、VWやトヨタと比較して規模が17分の1と小さすぎるからです。

テスラの株価を正当化するために、自動車業界のアップルだと評価する人もいますよね。

しかしながら、アップルは製品の付加価値が高く、営業利益率で25%を超えます対して、テスラは2019年にようやく営業利益が黒字化に成功するも、営業利益率は0.3%に過ぎません(2020年2Qは5%に改善)。ブランドが高く競争優位性が高いApple製品と、規制に守られたEV車を比較するべきでないですね。

仮にテスラ株が成長率を維持して株価を正当化しても、現時点で投資する利点は見つかりません税制優遇や補助金が消えた後でも、成長を維持できるか見極める必要があります。

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