コロナで自宅で過ごす人が増えた事で、音楽配信サービスに注目する投資家も増えました。Sportifyは2020年1-3月期で課金会員が30%も増加し、1.3億人まで拡大しました。しかしながら、Sportiyの決算書や現状を冷静に分析すると、リスクが高い投資である事が分かります。
- 「コロナ特需で課金会員が3割増加、今すぐ購入した方が良いはず…」
- 「世界シェア1位のSportifyに投資すれば、必ず利益を得られるはず…」
- 「音楽配信市場は年率9.7%で成長し、今後も間違いなく成長を続ける…」
Sportifyは、月980円の定額で音楽配信を提供する企業ですね。
月間アクティブ会員数は2.86億人、課金課員数は1.3億人を超え、世界最大の音楽配信サービスです。コロナ環境下で自宅で過ごす人が急増した事で、Sportifyの株価も2倍に急騰しましたね。
しかしながら、Sportifyは長期で保有したい銘柄ではありません。
なぜならば、コロナ特需で一時的に高騰している可能性が高いからです。音楽市場でシェア1位だが、営業利益率は常にマイナスで赤字決算です。音楽配信は差別化できる要素がなく、先行者に有利な市場ではありません。赤字決算は、シェア維持に膨大な費用が必要である事を示唆しています。
また、近年は競争力が高いアップルやアマゾンが参入している点も不安要素です。
音楽市場全体が伸びているため、Sportiyの売上高も順調に増加しています。しかしながら、将来的にアップルやアマゾンにシェアを奪われる可能性は高いと言えます。すでに、米国市場では2019年に、アップルがSportiyの課金会員数を追い越しました。
iPhoneユーザが増えれば、Apple musicを選択する利用者も必然的に増えます。私たち投資家は、シェア1位でも利益が出ない事実を冷静に判断する必要がありますね。
- Sportify直近の4半期決算(2020年1〜3月)は?
- Sportifyの過去10年間の売上高や営業利益は?
- 競合他社のアップルとアマゾンの比較結果は?
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記事の内容を簡単に知りたい
Sportify(スポーティファイ)の四半期決算は?

Sportifyの四半期の決算を紹介します。
第1Q決算(2021年4月29日)
- 売上高:18.48億ドル(前年同期比+31%)
- Premium:17億ドル(+31%)
- Ad-Supported:1.48億ドル(+32%)
- 営業利益:−0.17億ドル(前年同期−0.47億ドル)
- 純利益:0.01億ドル(前年同期−1.42億ドル)
- 一株利益:−0.2ドル(前年同期−0.79ドル)
Sportifyは、月額980円の音楽配信サービスですね。
1-3月期は欧州の都市封鎖や在宅ワークの増加で、売上高が大きく拡大しています。前年同期比31%増で、18.48億ドルでした。有料会員であるプレミアム事業も、無料版である広告サポート事業もどちらも30%増を維持していますね。ただし、広告ありの無料版の売上高の貢献度は高くはありません。
ただし、営業利益は0.17億ドルの赤字、純利益は0.01億ドルでギリギリ黒字でした。売上高は増加しているにも関わらず、利益を伸ばせていない点はネガティブですね。
欧州や米国で都市封鎖が続けば、会員数増加で売上高を増やす可能性が高いです。ただし、現在の株価を見ると、過剰な期待感だけで暴騰しているように見えますね。
第2Q決算(2020年7月)
2020年7月に公開予定。
では、Fastlyの売上高や営業利益の10年間の推移はどうでしょうか?
Sporifyの10年間の損益計算書は?

Sportifyはコロナ特需を受けて、2020年に暴騰した銘柄です。2020年3月に122ドルだった株価は、2020年7月には278ドルまで暴騰しています。4ヶ月の短期間で2.2倍に暴騰した事が分かりますね。
Sportifyの損益計算書やキャッシュフローを紹介します。
その1:売上高と営業利益の10年間の推移は?

2015年以降の決算書を見ると、売上高を順調に伸ばしている事が分かります。しかしながら、営業利益と純利益は赤字で、年間決算でまだ1度も黒字化に成功していません。また、営業利益率は−12%から−2%に改善するも、依然として横ばいで推移しています。
音楽配信サービスは、ビジネスとして儲からない構造なのかもしれません。
その2:BPSとEPSの10年間の推移は?

過去10年間のBPS(1株あたり純資産)とEPS(1株あたり純利益)も安定しているとは言えません。EPSは依然としてマイナスです。
その3:営業CFと投資CFの10年間の推移は?

営業CFとフリーCF(営業CF−投資CF)は、順調に増加傾向にあります。キャッシュフローの流れを見る限りは、近い将来に赤字経営を脱却する可能性が高いと言えますね。自己資本比率も40%と安定して推移しています。
では、私たち投資家は、Sporifyをどのように評価すれば良いのでしょうか?
Spotifyに投資する上で注目ポイントは?

Sportifyに投資する上で、私たち投資家は何に注目すれば良いのでしょうか?
注目1:音楽市場は前年比9.7%増で成長を続ける?
世界の音楽市場は、2015年以降は右肩上がりで増加しています。
成長要因となっているのは、定額サービスのストリーミング配信ですね。Sportifyが音楽配信を開始したのは2008年からです。2008年に3億ドルしかない市場は、2018年には30倍の89億ドルまで拡大しています。対照的に、CD媒体やデジタルなどの単販売の収益は落ちています。
世界とは対照的に、世界2位の日本市場は若干の減少傾向にあります。
1990年代に、CDが100万枚売れていた時代と比較すると勢いがないですよね。世界の音楽市場が拡大しているのは、ストリーミング配信によって発展途上国のユーザを取り込めているのが大きいのかもしれません。世界の音楽市場は、ストリーミング配信が牽引し拡大傾向が続きそうです。
では、業界最大手であるSportifyは、どれくらい有料会員数がいるのでしょうか?
注目2:コロナ環境下で急増し有料会員数は1.3億人?
Sportifyの会員数は、年率30%前後で毎年順調に増加しています。
2020年1Qで、MAU(月間アクティブユーザ数)は前年同期比31%増で2.86億人、有料会員は31%増で1.3億人、広告サポート付きMAUは33%象の1.63億人でした。Sportifyは広告を表示する事で、無料会員からも課金に成功しています。
年々減少傾向にある有料会員だが、コロナによる都市封鎖や在宅ワークで大きく上昇しました。コロナで自宅待機が続くならば、会員数の増加が短期的には期待できます。
では、Sportifyはどれくらい海外進出に成功しているのでしょうか?
注目3:スウェーデン発で欧州の比率が4割を占める?
Sportifyは、米国企業ではなくスウェーデンの会社です。
そのため、有料会員で最も多いのはヨーロッパの39%ですね。その次に北アメリカ、南アメリカと続きます。欧米諸国以外のアジアや途上国は11%しかありません。インドでは2018年にサービスを開始して、初月で200万人のユーザ獲得したとも言います。
欧米諸国以外の途上国では、まだまだ伸び代があると言えるかもしれません。では、音楽市場業界のSportifyの立ち位置、競合他社はどれくらいいるのでしょうか?
注目4:音楽配信業界1位でシェアは35%を占める?

参考:世界のオンライン音楽ストリーミングの売上、2019年上半期に110億米ドルを超える
拡大を続ける音楽配信業界で、トップを走るのはSportifyです。
しかしながら、2015年に参入したAppleが勢いを伸ばしています。Sportiyのシェア35%に対し、Appleは20%までシェアを拡大していますね。また、Appleの次にはアマゾンも後続しています。Sportiyが業界1位でも、低利益なのは市場獲得にコストが発生するからです。
日本市場ではアマゾン利用者が最も多く、Appleが2番手、Lineが3番手、Sportifyが4番手です。
アマゾン会員が多い理由は、プライム会員費が年間4900円と米国よりも安いからです。配送コストが高い米国では年間1.4万円と割高ですね。プライム会員に入会すると、Amazon musicを無料で視聴できます。また、Appleが2番手なのは、日本ではiPhoneユーザが47%と世界で最も割合が高い国だからです。
日本市場のシェアを見ると、音楽配信の動向がよく分かりますね。
利用者の多くは、第一により安価な音楽配信を利用したいと思っています。また、料金が変わらないならば、より親しみがあるメーカーを利用しますね。iPhoneを利用してるユーザは、apple musicと契約する確率が高いです。これらの結果は、先行者利益は小さく音楽配信で差別化を図るのは難しい事を示唆しています。
ある意味当然ですよね、配信元が変わっても提供する中身は全く同じだからです。そのため、Sportifyが世界シェアを維持するのは費用や労力が発生すると言えます。
では、業界大手3社のサービスを比較してみましょう。
注目5:Sportify vs Apple vs Amazonの比較結果は?
音楽配信 | 価格設定 | 利用者数 | 曲数 |
---|---|---|---|
Sportify |
|
|
5000万曲 |
Apple music |
|
0.6億人(2019/11) | 6000万曲 |
Amazon Music |
|
0.55億人(2020/1) |
|
業界大手3社の価格と利用者数、曲数を比較した結果です。
Sportifyは、最も利用者が多い音楽配信サービスですね。無料プランの会員数が最も多く1.63億人、月額有料会員でも1.3億人が利用しています。有料プラン会員数の成長率は減少傾向にあるが、無料プランの成長率は安定しています。そのため、現時点で最も価格競争力が高いのは、Sportifyだと言えますね。
ただし、アマゾンのプライム会員ならば、Amazon Musicの方が有利です。
プライム会員ならばAmazon Musicは無料で利用でき、有料版も月780円と安価です。現在2番手にあるアップルだが、3番手のアマゾンも順調にユーザ数を拡大しています。ちなみに、曲数では差別化要素にはならないですね。どのサービスを利用しても、5000万曲以上が配信されています。
実は、アップルの本拠地がある米国では、2019年にSportifyを逆転しています。
注目6:米国内のApple加入者は2800万人で逆転した?
アップルは後発者にも関わらず、順調に有料会員数を増加させている事が分かります。
米国ではApple musicの有料会員が、Sportifyを逆転しています。2019年2月にApple musicが2800万人に対して、Sportifyは2600万人でした。米国はアップルの本拠地で、iPhone台数は1億100万台です。アップルユーザーが多い国では、日本市場と同様にApple musicの加入者が多いと言えそうです。
また、アップルは低価格帯路線に変更し、音楽配信を含むサービス事業の売上高の増加を狙っています。2020年現在、iPhoneのスマホシェアは世界で17%しかないが、低価格端末を販売する事で後進国でもシェア獲得に動いています。
iPhone端末の販売台数が増えれば、必然的にSpotifyではなくアップルの加入者が増えそうです。
また、アップルは音楽だけではなく、動画配信、アプリも扱い利益率が高いビジネスを展開しています。Sportify単体しかなく、利益を出せていないSpotifyは相対的に不利だと言えそうですね。
投資家はSportify株を購入するべきか?

- 音楽市場でシェア1位だが、赤字決算が多く利益が出ない
- 音楽配信は差別化できず、シェア獲得に費用を必要とする
- 課金会員の成長率は減少傾向、無料会員の成長率は横ばいである
- 競合他社であるアップルとアマゾンのブランド力が強い
- 米国市場では、2019年にアップルにシェアを奪われた
個人的には、Sportifyは長期で保有したい銘柄ではありません。
なぜならば、音楽市場でシェア1位だが、ビジネス的に利益が出ない構造だからです。音楽配信は商品で差別化できる要素がなく、価格帯や供給社のプラットフォーム力に大きく依存します。Sportifyが売上高を増やしても利益を確保できないのは、市場獲得に費用が掛かるからです。
また、課金会員の成長率は減少傾向にある点にも注意が必要です。
課金ユーザの潜在顧客は、Sportifyの広告版の無料会員、もしくはアップルやアマゾンに流れています。実際に米国ではSportifyを抜いて、Apple musicの有料会員が追い越しました。日本市場でもみられる減少ですが、iPhone販売台数が多い国はApple musicの割合も高くなります。
アップルはiPhone製品の単価を抑えて、サービス売上高を増やす戦略です。そのため、将来的にはSportifyは大きくシェアを奪われる可能性が高いと言えそうですね。また、アマゾンプライム会員数も年々増加傾向にあるため、Sportifyとして不安材料は少なくありません。
利益を出せない体質である以上は、Sportifyに投資する理由はないですね。
▼▼21年2月に資産が2700万円を超える▼▼

32歳の時に、突発的に会社員を辞めて無収入になります。その1年4ヶ月後に、1人で生活できる最低限の収入をアフィリエイトで得られました。
20年2月から本格的に米国株に参入し、10ヶ月で資産を2.5倍に増やす事に成功します。21年2月時点の資産は2700万円です。ただし、最初から順調だった訳ではなく、会社員時代は10年間も負け続け200万円も損しています。
株式投資は、経済的自由を目的に楽しく取り組んでいます。
将来的に、会社員の経済的自由獲得をサポートする仕事をしたいと思っています。なぜならば、20代の頃に私自身がお金と時間がなく苦労したからです。そのため、投資や副業で相談があれば、気軽に問い合わせやコメント頂けると幸いです。
まとめ:Sportify(SPOT)の四半期決算は?

- 世界の音楽市場は、前年比9.7%で成長している
- Sportify利用者は、コロナで急増し前年比30%増えた
- Sportifyは音楽配信業界でシェア1位、35%を占める
- 競合社のアップルとアマゾンは、強力なプラットフォームがある
- 米国のApple加入者は2600万人、Sportifyを逆転した
Sportifyは、月980円の定額で音楽配信を提供する企業ですね。
月間アクティブ会員数は2.86億人、課金課員数は1.3億人を超え、世界最大の音楽配信サービスです。コロナ環境下で自宅で過ごす人が急増した事で、Sportifyの株価も2倍に急騰しましたね。
しかしながら、Sportifyは長期で保有したい銘柄ではありません。
なぜならば、コロナ特需で一時的に高騰している可能性が高いからです。音楽市場でシェア1位だが、営業利益率は常にマイナスで赤字決算です。音楽配信は差別化できる要素がなく、先行者に有利な市場ではありません。赤字決算は、シェア維持に膨大な費用が必要である事を示唆しています。
また、近年は競争力が高いアップルやアマゾンが参入している点も不安要素です。
音楽市場全体が伸びているため、Sportiyの売上高も順調に増加しています。しかしながら、将来的にアップルやアマゾンにシェアを奪われる可能性は高いと言えます。すでに、米国市場では2019年に、アップルがSportiyの課金会員数を追い越しました。
iPhoneユーザが増えれば、Apple musicを選択する利用者も必然的に増えます。私たち投資家は、シェア1位でも利益が出ない事実を冷静に判断する必要がありますね。
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