グラクソスミスクラインは世界5位、英国1位の大手製薬会社です。現代社会は不健康な食生活や世界中で高齢化が進む事で、医薬品の需要は年々増加する一方ですね。では、グラクソスミスクラインに投資すれば、私たち投資家は利益を得られるでしょうか?
- 「高齢化や現代病で、医薬品開発の需要はますます伸びるはず…」
- 「PERは37倍と高いが、配当利回りは常に5%を超えている…」
- 「過去10年の営業利益率は、安定して20%を超える優良企業だ…」
しかしながら、個人的にはアストラゼネカは投資したい銘柄ではありません。
なぜならば、成熟した高配当銘柄として知られるが、株高を狙える銘柄ではないからです。製薬開発、ワクチン、一般消費向けなど、事業は分散されているが、主力となる製品は少ないです。買収以外で売上高は伸びず、株価も最高値を付けた98年から低迷しています。
大手製薬会社でキャピタルを狙うならば、主力製品の売上高が伸びているメルクに投資したいです。もしくは、競争が激しい製薬業界で安心して投資するならば、ヘルスセクターの「VHT」が良いですね。
- GSKの4半期決算(2020年7-9月)は?
- GSKの過去10年間の売上高や営業利益は?
- 5%を超える高配当銘柄だが、PER37倍は割高なのか?
記事の内容を簡単に知りたい
アストラゼネカの10年間の四半期決算は?

グラクソスミスクラインの四半期の決算を紹介します。
20年1Qの決算(2020年3月30日)
- 売上高:90.90億ユーロ(前年比+19%)
- Pharmaceuticals:43.96億ユーロ(+6%)
- Vaccines:18.05億ユーロ(+19%)
- Consumer Healthcare:28.62億ユーロ(+44%)
- 営業利益:20.14億ユーロ(+41%)
- 純利益:16.79億ユーロ(+70%)
- 1株当たり利益:31.5ユーロ(+87%)
20年2Qの決算(2020年6月30日)
- 売上高:76.24億ユーロ(前年比−2%)
- Pharmaceuticals:41.02億ユーロ(−5%)
- Vaccines:11.33億ユーロ(−29%)
- Consumer Healthcare:23.89億ユーロ(+25%)
- 営業利益:28.50億ユーロ(+92%)
- 純利益:24.40億ユーロ(2.3倍)
- 1株当たり利益:45.5ユーロ(2.3倍)
20年3Qの決算(2020年9月30日)
- 売上高:86.46億ユーロ(前年比−8%)
- Pharmaceuticals:41.92億ユーロ(−7%)
- Vaccines:20.32億ユーロ(−12%)
- Consumer Healthcare:24.22億ユーロ(−4%)
- 営業利益:18.58億ユーロ(−13%)
- 純利益:14.30億ユーロ(−17%)
- 1株当たり利益:25ユーロ(−21%)
グラクソスミスクラインは、1999年に英国で設立した世界5位の製薬会社です。グラクソスミスクラインも他の製薬会社と同様に合弁を繰り返しています。グラクソは粉ミルクの商標、スミスは薬局経営者の名前、クラインはその薬局に参加したパートナーの名前です。
前身の会社を巡ると、1715年のプラウ・コート・ファーマシーまで遡ります。
20年3Qの売上高は前年比8%減で86.46億ユーロ、営業利益は13%減で18.58億ユーロです。3つの事業から成り、製薬、ワクチン、一般消費者向けなど、バランスが良いです。しかしながら、2Qや3Qはコロナによる外出規制で大きく影響を受けてますね。
20年4Qの決算(2020年12月)
2021年1月27日に公開予定。
では、グラクソスミスクラインの売上高や営業利益の10年間の推移はどうでしょうか?
グラクソスミスクラインの10年間の損益計算書は?

グラクソスミスクラインは、1980年に0.6ドルでNYSEに上場しています。株価は順調に上昇し、1999年に最高値75ドルを付けています。しかしながら、その後の株価は長く低迷を続け、コロナ後の20年11月は37ドルで推移しています。
では、グラクソスミスクラインの売上高と営業利益はどうでしょうか?
その1:売上高と営業利益の10年間の推移は?

過去10年間の決算書を見ると、比較的に安定した業績だと言えます。14年に底値を付けるも、買収などで売上高は反転していますね。営業利益率は20%を超える事が多く、高い利益率を上げていると言えます。
その2:BPSとEPSの10年間の推移は?

過去10年間のBPS(1株あたり純資産)とEPS(1株あたりの純利益)は、安定しているとは言えないですね。製薬会社は買収などでBPSは一時的に減少します。税制や法改正などで、1株あたりの利益も変わりやすいです。
ただし、16年を起点とすると、力強く成長している事が分かります。
その3:営業CFと投資CFの10年間の推移は?

過去10年間の営業CFとフリーCF(営業CF−投資CF)も、安定しているとは言えないですね。横ばいかもしくは、一時的にキャッシュが悪化していることが分かります。ただし、全体的に見ると投資CFが大きすぎず、安定したビジネスである事も分かります。
では、私たち投資家はグラクソスミスクラインをどのように判断すれば良いでしょうか?
グラクソスミスクラインの注目ポイントは?

グラクソスミスクラインに投資する上で注目すべきポイントを紹介します。
注目1:製薬会社ランキング世界11位で243億ドル?
2019年度の製薬会社売上高ランキングです。
世界最大の製薬会社はスイスのロシュで618億ドルです。2番手は米ファイザーで517億ドル、3番手はスイスのノボノルディスクで474億ドルと続きます。英グラクソスミスクラインは世界で5番手で431億ドルの会社です。
高配当銘柄として知られており、利回り5%以上の配当金を出します。では、グラクソスミスクラインはどのような製薬を開発しているのでしょうか?
注目2:HIV治療薬が売上高を牽引している?
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参考:GSKの企業研究
- テリルジー:5.18億ユーロ(US特許2027年)
- トリーメク:25.49億ユーロ(US特許2027年)
- ジングリックス:18.1億ユーロ(US特許2026年)
グラクソスミスクラインの主要製品は、「テリルジー」「トリーメク」「ジングリックス」の3つです。
肺炎症などのCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療薬テリルジーの売上高は5.18億ユーロ、US特許は27年です。HIV治療薬トリーメクの売上高は25.49億ドル、US特許は27年です。帯状疱疹予防薬ジングリックスは18.1億ユーロ、US特許は26年ですね。
グラクソスミスクラインの売上を牽引してるのは、HIV関連のテビケイやトリーメクです。しかしながら、HIV関連の治療薬はギリアド社と競合します。また、年間10億ドルを超えるブロックバスターが4製品しかないことも懸念材料です。
新薬が成長しなければ、グラクソスミスクラインの売上高は先細ります。
参考:ギリアド・サイエンシズの四半期決算|世界2位のバイオ医薬品
では、グラクソミスクラインの地域別の売上高はどうでしょうか?
注目3:北米市場が売上高の39%を占める?
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参考:GSKの企業研究
グラクソスミスクラインの売上高は、全体的にバランスが良いですね。
売上高が最も高いのは米国市場で39%、次に欧州が26%と続きます。また、米国や欧州以外のその他地域が35%もありますね。人口過密地域である中国やアジア地域で、売上高を伸ばせるかで今後の業績も変わりますね。
グラクソスミスクライン株を購入するべきか?

- 15年以降に売上高は反転し、4年で46%も増えた
- 営業利益率は比較的に安定し、20%以上を維持している
- 年間10億ドルのブロックバスターは、4製品しかない
- 株価は低迷し続け、1998年の最高値を下回る
- 主力のHIV治療薬は、バイオ大手のギリアドと競合している
- 高配当銘柄のため、PERは37倍と製薬会社では割高である
グラクソスミスクラインは世界5位、英国1位の大手製薬会社です。現代社会は不健康な食生活や世界中で高齢化が進む事で、医薬品の需要は年々増加する一方ですね。特許ビジネスである製薬会社は、利益率が30%を超える会社もあります。
しかしながら、個人的にはアストラゼネカは投資したい銘柄ではありません。
なぜならば、成熟した高配当銘柄として知られるが、株高を狙える銘柄ではないからです。製薬開発、ワクチン、一般消費向けなど、事業は分散されているが、主力となる製品は少ないです。買収以外で売上高は伸びず、株価も最高値を付けた98年から低迷しています。
大手製薬会社でキャピタルを狙うならば、主力製品の売上高が伸びているメルクに投資したいです。もしくは、競争が激しい製薬業界で安心して投資するならば、ヘルスセクターの「VHT」が良いですね。
まとめ:グラクソスミスクラインの四半期決算は?

- 1999年に英国で設立、世界5位の製薬会社である
- 前身の会社は、1715年のプラウ・コート・ファーマシー
- 高配当成熟株として知られ、配当利回りは5%以上である
- 年間10億ドルのブロックバスターは、4製品しかない
- 株価は低迷し続け、1998年の最高値を下回る
- 主力のHIV治療薬は、バイオ大手のギリアドと競合している
- 高配当銘柄のため、PERは37倍と製薬会社では割高である
グラクソスミスクラインは、1999年に英国で設立した世界5位の製薬会社です。グラクソスミスクラインも他の製薬会社と同様に合弁を繰り返しています。グラクソは粉ミルクの商標、スミスは薬局経営者の名前、クラインはその薬局に参加したパートナーの名前です。
しかしながら、個人的にはアストラゼネカは投資したい銘柄ではありません。
なぜならば、成熟した高配当銘柄として知られるが、株高を狙える銘柄ではないからです。製薬開発、ワクチン、一般消費向けなど、事業は分散されているが、主力となる製品は少ないです。買収以外で売上高は伸びず、株価も最高値を付けた98年から低迷しています。
大手製薬会社でキャピタルを狙うならば、主力製品の売上高が伸びているメルクに投資したいです。もしくは、競争が激しい製薬業界で安心して投資するならば、ヘルスセクターの「VHT」が良いですね。
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