JDドットコム の四半期決算|営業利益率は1.7%しかない?

JD (NYSE:JD、HKG:9618)は、中国でアリババに次ぐ2番手のEC事業者です。アリババと違い、自社で流通網を持ち、完全無人化の倉庫や配送ドローンに成功している革新的な企業ですしかしながら、米国と中国との対立もあり、世界中の投資家に敬遠されてる株でもあります。

  • 「アマゾン並みに成長するかもだが、PERは500倍と高い…」
  • 「27年に米国GDPを超えるなら、間違いなく中国株は買いだ…」
  • 「米中対立や反資本主義など、中国株に投資するのはリスクが高い…」

個人的には、20年10月時点ではJDは長期保有したい銘柄ではありません。

なぜならば、競合他社であるアリババと比較して、営業利益率があまりにも低すぎるからですアリババのE Cコマースの利益率が33%に対して、JDは1.7%しかありません市場を独占しても利益率が低い理由は、自社で流通網を整備するために先行投資が必要だからです。

アマゾンは同じビジネスモデルだが、営業利益率は5%以上ありますアマゾンと違いクラウド事業を持たないJDが、EC事業だけでアリババに逆転するのは難しいと言えますね。

ただし、中国全土に配送網を持つJDは、ポテンシャルが最も高いとも言えます。先行投資している完全無人化の倉庫や配送ドローンは、EC化が進んだ中国で高い競争優位性を持ちます。

JD株の投資判断したい人向け
  1. JD株の4半期決算(2020年7-9月)は?
  2. JD株の過去10年間の売上高や営業利益は?
  3. アリババやアマゾンと比較して、優良株ではない理由は?

JDドットコム(JD)の四半期決算は?

JDの四半期決算を紹介します。

20年1Q決算(2020年3月31日)

第1Q決算の内容は...
  1. 売上高:1462億元(前年比+20%)
  2.  Net product revenues:1300億元(+20%)
  3.  Net service revenues:161億元(+33)
  4. 営業利益:23.2億元(+89%
  5. 純利益:10.5億元(−86%
  6. 1株当たり利益:782元(+4%)

20年2Q決算(2020年6月30日)

第1Q決算の内容は...
  1. 売上高:2010億元(前年比+33%)
  2.  Net product revenues:1781億元(+33%)
  3.  Net service revenues:228億元(+36%)
  4. 営業利益:50.4億元(2.2倍
  5. 純利益:164.1億元(+28%
  6. 1株当たり利益:794元(30倍)

JDは中国でECサイトを運営する、アリババに次ぐ2番手のEC事業者です。業界最大手アリババとの違いは、自社で流通網を持ち基本的には自社製品を直販している事です。アマゾンと同様に、他事業社に配送網を提供するマーケットプレイスも行っています。

20年2Qの売上高は前年比33%増で2010億元、営業利益は2.2倍の50.4億元です。アリババと同様に、コロナの影響で1Qは落ち込むも、2Qで大きく持ち直している事が分かります。営業利益率が2%と低いのは、コロナ以前からです。

第4Q決算(2021年2月…)

2020年10月に公開予定。

では、JDの売上高や営業利益の10年間の推移はどうでしょうか?

JDドットコム (JD)の10年間の損益計算書は?

JDは2014年に、20ドルで上場しています。米中対立リスクもあり株価は伸び悩むも、19年から上昇に転じましたね。コロナ危機後に最高値83ドルをつけ、現在も上昇傾向にあります。

では、JDの売上高や営業利益の10年間の推移はどうでしょうか?

その1:売上高と営業利益の10年間の推移は?

過去10年間のJDの決算書を見ると、売上高は順調に推移している事が分かりますね。過去8年間で売上高は27倍まで急拡大しています。コロナ危機である20年でも、変わらずに売上高は成長していますね。

しかしながら、売上高とは対照的に営業利益率は1.7%と低いです。営業利益率が低い理由は、アマゾンと同様に自社で流通網を整備しているからですね。出店者による手数料で稼ぐアリババと違い、純粋な小売業は利益率が低いビジネスです。

その2:BPSとEPSの10年間の推移は?

過去10年間のBPS(1株あたり純資産)もEPS(1株あたり純利益)も、順調に拡大しているとは言えないですね。ただし、EPSは18年以降に黒字化に成功しています。20年TTMはコロナにも関わらず、BPSもEPSも好調でした。

その3:営業CFと投資CFの10年間の推移は?

過去10年間のフリーCF(営業CF−投資CF)も安定しているとは言えません。フリーCFの黒字化に成功したのは、直近5年間だけですね。また、自社で流通網を整備するJDは、どうしても投資CFがかさみます。しかしながら、将来的に人工知能やドローンの配送に成功すれば、設備投資はミニマムになりますね

JDの決算書を見ると、アリババや楽天ではなく、米国のアマゾンに近いビジネスだと分かります。では、私たち投資家は、JD株をどのように判断すれば良いのでしょうか?

JD.com(JD)航空に投資する上で注目ポイントは?

JDに投資する上での注目すべきポイントを紹介します。JDはアリババと同様に、ECコマースを運営する会社です。そのため、ECコマースの市場規模が拡大すれば、JDの売上高も増えます。

注目1:中国のEC市場は米国の4倍、成長率は2倍?

参考:圧倒的に強い!世界を牽引する中国EC市場

中国は米国を抜いて、世界最大のEC市場です。

中国のEC市場規模は1兆9348億ドル、2位の米国は5869億ドルと大きく離している事が分かりますね。前年比でも中国は27%増、アメリカは14%増と成長率でも負けています

経済大国である日本のEC市場は1154億ドルとかなり小さいです。中国のEC市場と比較して、16分の1の大きさしかありません。また、前年比でも6%増など、今後もEC化が進まない事が分かっています。

2023年の中国のEC市場は、2倍の4兆1000億ドルにも拡大すると予測されています

中国は農村部を中心にオンラインショッピンが活発化すると見られています。また、経済成長が7%前後で進み、1人あたりのGDPは米国の6分の1しかありません。そのため、EC市場の伸び代はまだまだ大きいのが実情ですね。

では、中国のEC化率はどれくらい進んでいるのでしょうか?

注目2:中国のEC化率は36%、米国は13%だけ?

参考:主要国のEC化率の推移(小売りのネット取引割合の推移)

2017年の小売売買でネットを利用した割合の推移です。

中国は2010年以降に、EC率が爆発的に増加している事が分かります。中国はネット決済が進み、アリババ などのECサイトで買い物する人が増えたからです。2017年には20%を超え、最もEC化率が高い国となっていますね。次いで、韓国や英国、米国と続きます。

19年時点の中国のEC化率は36.6%まで拡大しています。米国でもアマゾンを中心にEC化が進んできるが、それでも21年予想で13.6%に留まります。

以上からも分かる通り、中国は他国の追随を許さないほどEC化が進んでいる言えます。では、中国のEC市場において、JDはどれほどのシェアを獲得しているのでしょうか?

注目3:中国のEC市場は2社が83.8%を独占してる?

参考:【2019年版】中国のECサイト市場の取引額ベスト5のサイトとは?

中国のECマーケットは、アリババ(Tmall)とJDの2強が独占しています。

アリババ のTmallのシェアは52.5%、JDは31.3%です。両企業を合わせると、2社だけで83.8%を占めていますね。つまりは、中国のEC化が爆発的に増えて、その恩恵を最も受けているのがアリババとJDだと言えます。

アメリカのEC市場はアマゾンが独占的だと言われているが、それでも35.9%だけです。2番手のeBayは6.8%しかありません。いかに、アリババ とJDの存在感が中国で大きいかが分かりますね。

ちなみに、アリババ は買い手と売り手をつなぐ仲介業者に対して、JDは自社製品も販売して自社独自の流通網を持ちます。アリババは楽天に近く、JDはアマゾン寄りです。しかしながら、JDはアマゾンと違い利益率が高いクラウド事業がなく、営業利益率は2%未満です。

売上高ではアリババ に迫る勢いだが、ビジネス的には成功しているとは言えません今後の利益率は、自社自社独自の流通網の活かし方次第だと言えます。

ただし、近年のJDの勢いはとどまる事を知りません。

注目4:「独身の日」取扱高は2社合計で556億ドル?

参考:1日で約6兆円の取扱高を生んだ中国EC大手2社

アマゾンのプライムデーと同様に、中国では「独身の日」というネットイベントがあります。

中国EC最大手のアリババ陣営とJD運営の取扱高(GMV)は、2社合計で556億ドルでした。2019年の楽天のEC流通総額は374億ドルだけです。1日だけで、楽天の365日分の取扱高を軽く超えています。いかに、アリババとJDの規模が大きいかが分かりますね。

また、近年はJDがアリババに迫る勢いで上昇している事が分かりますそれだけ、中国国内では後発者ながらもJDの存在感が増しているという事です。

では、JDはどれくらいのペースで増加しているのでしょうか?

注目5:JDは中国トップの小売業で年率40%で拡大?

参考:Top 10 listed retailers in China and US, by 2017 revenue

2017年の中国と米国の小売業のマーケットシェアです。

アマゾンは米国で最大のEC企業です。しかしながら、小売業全体の売上高は2番手で、ウオールマートの28%しかありませんただし、年間成長率は競合他社を圧倒し、33%と高いですね。米国でアマゾンが脅威なのは、ライバル企業のシェアを奪いながら成長しているからです

一方で、中国市場では直販ECのJDがトップで、売上高成長率も40%と高いです。中国市場はまだまだ右肩上がりで成長しているため、業界トップであるJDが最も高いですね。

ちなみに、アリババが小売業でランクインしないのは、直接的に自社製品を販売していないからです。アリババは、グループ参加者の売買を促す事で収益を上げています。

JDはアマゾンと同様に、自社で倉庫を保有し流通網を持ちます。

注目6:倉庫の完全無人化とドローンで配達を実現?

JDは自社で流通網を持つ、中国で最大のロジスティクス企業です。

物流施設を「完全無人化」した様子をYoutubeにアップしています。JDは完全無人化した物流施設を稼働させている。人工知能のAI半導体が得意なNVIDIAと提携し、100万台のドローンで無人配送まで行うことにも成功しています。

中国13億人の半分は農村部に住んでいます。そのため、物流コストが高い地方農村部は、ドローンとの相性が良いですね。米国のアマゾンも、技術的には完全無人化は難しくありません。しかしながら、米国の雇用問題や社員の反対も配慮すると簡単には実現できないですね。

中国のEC市場は、スマホとネットが全国民に行き渡り若干の飽和状態にあります

現在は利益率が3%未満と低迷しているJDだが、自社のロジスティクスを活用する事でアリババに形成逆転する可能性もあります。先行投資で自社流通網を持つJDは、まだまだポテンシャルが高い企業だと言えますね。

注目7:米中対立で中国ADRは投資リスクが高い?

トランプ政権後に米国と中国の対立が深まり、中国ADRは避けた方が良いと考える投資家が多いですね。米国はファーウェイなどの中国ハイテク企業に輸出規制にしています。また、tiktokやウィーチャットの中国アプリのダウンロード禁止もしています。

さらには、アメリカは外国企業を排除できる「外国企業説明責任法」を制定し、外国政府の支配下にある企業は米国市場から追い出すことを可能とする法律も作りました。現在の米政権は、資本主義自由経済からはどんどん遠くなっているとも解釈できます

しかしながら、それでも投資家は過剰に心配する必要はありません。

現実問題として、米国政府が中国株(ADR)のNYSE市場の上場廃止を強行する可能性は極めて低いです。これをしてしまうと、米国は資本主義ではなくなり、大量の資金が海外に流出するからです。特定の国の企業を排除する国に、安心して資産を預けたい投資家はいないですよね。

本当に廃止するにしても、米中が戦争を開始するなど未曾有の事態になってからです

また、実際に上場廃止されたとしても、株券が紙切れになる訳ではありません現在の株価で現金として支払われるか、もしくは香港にも上場していれば、香港株に割当てられるなどの処置が取られますね。実際には戦争になる可能性は少ないし、現時点でそうなる兆候もありません。

ただし、それでも中国株は政治的リスクが高いと考える人は多いですよね。確かに、中国の悪いニュースが出る度に株価が下がるのは精神的にも良くないですね。米中対立が心配な人は、香港株に上場してる中国株を買う事を強くお勧めします。

例えば、アリババ のように米国と香港で上場していれば、政治リスクないと言えます。

なぜならば、米国は香港の証券取引所に介入する権利がないからです香港としては、中国のハイテク株が米国から香港に回帰するためメリットしかありません。元々は、中国企業の多くは米国ではなく、香港市場に上場するのが一般的でした。

アリババの香港に上場したニュースは、米政権が一部の中国ADRを締め出しても意味がない事を示していますそのため、これから中国株に投資するならば、香港に上場している株を購入すれば安心して投資できますね。現在、中国ADRの株を持っている人は、わざわざ乗り換えなくても良いと思います。

私ならば、中国株に投資するならば次のポイントを抑えて投資します。

  • NYSEだけではなく、香港市場にも上場している
  • 米国など、海外の売上高に依存していない企業に投資する
  • 中国政権が関与している可能性があるスパイ企業には投資しない

例えば、アリババ 株は香港でも上場しているため、米国で上場廃止されても問題ありません。また、アリババ 株は海外の売上高がほぼないため、仮に米国の輸出規制を受けても影響を受けません。アリババ の事業は、基本的には小売業なので、米国のスパイ企業に認定される可能性も極めて低いですね。

ただし、クラウド事業などは今後どう判断されるかは分かりませんが。

いずれにしても、香港市場で上場している企業は問題ないと判断していますまた、米中の対立を受けて、香港株に回帰する中国株は今後も増えていきますね。中国リスクがあると言う事は、逆に言うと中国株は割安に抑えられている事でもあります。

中国株でも安心な銘柄を拾っていけば、高い投資効果を得られると個人的には思います。

投資家はJD株を購入するべきか?

JD株に投資すべきでない理由は...
  1. 売上高は成長軌道にあるが、営業利益率は1.7%と低い
  2. EPSが黒字に転じたのは19年、安定して利益を得ていない
  3. フリーCFも不安定で、安定してキャッシュを稼げていない
  4. アマゾンと違い、クラウド事業のような安定したビジネスがない
  5. アリババECの営業利益率は33%と、競合他社に負けている
  6. EPSが低いため、PERは564倍と割高水準である

個人的には、20年10月時点ではJDは長期保有したい銘柄ではありません。

なぜならば、競合他社であるアリババと比較して、営業利益率があまりにも低すぎるからですアリババのE Cコマースの利益率が33%に対して、JDは1.7%しかありません市場を独占しても利益率が低い理由は、自社で流通網を整備するために先行投資が必要だからです。

アマゾンは同じビジネスモデルだが、営業利益率は5%以上ありますアマゾンと違いクラウド事業を持たないJDが、EC事業だけでアリババに逆転するのは難しいかもしれないですね。

しかしながら、中国全土に配送網を持つJDは、ポテンシャルが最も高いとも言えます。アリババやJDのビジネスモデルや決算を観察しながら、投資するチャンスを伺えば良いですね。少なくとも、現時点では長期保有したい銘柄ではありません。

まとめ:アメリカン航空(AAL)の四半期決算は?

アメリカン航空株の特徴は...
  1. 1988年にサイトを開設、中国2番手のEC事業者である
  2. アリババと違い、自社製品を販売し自社流通網を持つ
  3. アマゾンと同様に、第三者販売でも手数料を得ている
  4. 売上高は成長軌道にあるが、営業利益率は1.7%と低い
  5. EPSが黒字に転じたのは19年、安定して利益を得ていない
  6. フリーCFも不安定で、安定してキャッシュを稼げていない

経済成長が著しい中国株だが、JD株は長期保有したい銘柄ではありません。

なぜならば、競合他社であるアリババと比較して、営業利益率があまりにも低すぎるからですアリババのE Cコマースの利益率が33%に対して、JDは1.7%しかありません市場を独占しても利益率が低い理由は、自社で流通網を整備するために先行投資が必要だからです。

アマゾンは同じビジネスモデルだが、営業利益率は5%以上ありますアマゾンと違いクラウド事業を持たないJDが、EC事業だけでアリババに逆転するのは難しいと言えますね。

ただし、中国全土に配送網を持つJDは、ポテンシャルが最も高いとも言えます。先行投資している完全無人化の倉庫や配送ドローンは、EC化が進んだ中国で高い競争優位性を持ちます。

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