ボーイングの四半期決算|コロナ危機以前から債務超過にある?

コロナ危機以降、逆張り狙いでボーイング株を購入する投資家が増えています。確かに、大型旅客機の製造は2社が独占し、航空業界が立ち直るならば株価も元の水準に戻る可能性が高いですしかしながら、現在のボーイング株は、本当に割安水準にあると言えるのでしょうか?

  • 世界各国が経済活動再開すれば、航空業界はまた元に戻るはずだ…」
  • 「民間機の需要が戻るから、ボーイング株はダブルバガーが約束されてる…」
  • 「割安なボーイング株を今仕込めば、株高に加えて配当2%も手に入る…」

逆張り狙いで、業績が落ち込んだボーイング株に投資する人が増えていますね。しかしながら、個人的にはボーイング株には投資したいとは思いません。

なぜならば、民間機の需要が完全に回復しても、ボーイングの業績は赤字だからですコロナ危機が原因で、ボーイングの株価が半分になったと評価する投資家は多いですよね。しかしながら、19年時点で営業利益率は−3.5%、自己資本比率は−6.5%と債務超過にあります

つまりは、コロナ危機がなくても、株価が暴落していた可能性は高いですね。

コロナで半値になったボーイングだが、現在の株価でも割高である可能性が高いです。なぜならば、配当金が廃止されれば、過大評価された株価がさらに暴落するからです。19年から赤字である事を考えると、本来ならば配当金を出すべきではありません

20年後半も赤字決算が続く事を考えると、配当金が廃止される可能性は十分に高いです。ボーイングが優良株なのは間違いなが、逆張りで狙うならば完全に底打つまで待つ必要があります

ボーイング株の投資判断したい人向け
  1. ボーイング株の4半期決算(2020年4-6月)は?
  2. ボーイング株の過去10年間の売上高や営業利益は?
  3. コロナ後に株価が暴落するも、まだ割高である理由は?

ボーイング(BA)の四半期決算は?

ボーイングの四半期決算を紹介します。

第1Q決算(2020年3月31日)

第1Q決算の内容は...
  1. 売上高:169.08億ドル(前年比−26%
  2.  Commercial Airplanes:62.05億ドル(−48%)
  3.  Defense, Space & Security:60.42億ドル(−9%)
  4.  Global Services:46.28億ドル(0%)
  5.  Additional Financial Information:0.98億ドル(前年度−93億ドル)
  6. 営業利益:−13.53億ドル(前年度23.50億ドル
  7. 純利益:−6.41億ドル(前年度21.49億ドル)
  8. 1株当たり利益:−1.11ドル(前年度3.75ドル)

第2Q決算(2020年6月30日)

第2Q決算の内容は...
  1. 売上高:118.07億ドル(前年比−26%
  2.  Commercial Airplanes:16.33億ドル(−66%)
  3.  Defense, Space & Security:65.88億ドル(0%)
  4.  Global Services:34.88億ドル(−24%)
  5.  Additional Financial Information:0.98億ドル(前年度−93億ドル)
  6. 営業利益:−29.64億ドル(前年度−33.80億ドル
  7. 純利益:−23.95億ドル(前年度−29.42億ドル)
  8. 1株当たり利益:−4.20ドル(前年度−5.21ドル)

ボーイングは、1916年に創業された世界最大の航空宇宙機器開発会社です。アメリカで唯一の大型旅客機メーカーであり、ヨーロッパのエアバス社と世界市場を二分する巨大企業です。また、旅客機だけでなく、軍用機、ミサイル、宇宙船や宇宙機器などの研究開発、設計製造も行います。

20年2Qの売上高は26%減で118.07億ドル、営業利益は29.64億ドルの赤字です。

民間航空機を開発するボーイングは、コロナの影響を最も受ける産業のひとつです。民間航空機部門は、前年同期比で66%も減少していますね対して、政府向けの軍用機は景気動向の影響を受けず、前年比と同じ水準を維持しています。

軍需産業があるおかげで、航空会社ほどはコロナの影響は受けていません。しかしながら、20年5月にバフェットが売却するなど、将来に対して悲観的に見る投資家は多いですね

第3Q決算(2020年11月28日)

2020年11月に公開予定。

では、ボーイングの売上高や営業利益の10年間の推移はどうなっているのでしょうか?

ボーイング(BA)の10年間の損益計算書は?

2008年に98ドルをつけた株価は、ようやく13年に超えていますね。その後は、16年以降に株価が大きく上昇を始め、3年間で3倍にも急上昇しています。19年2月に最高値440ドルを付けています。その後は、コロナ危機で大きく低迷し20年10月は160ドル前後で推移しています。

では、ボーイングの決算書やキャッシュフローはどうでしょうか?

その1:売上高と営業利益の10年間の推移は?

過去10年間の決算書を見ると、売上高や利益が安定している事が分かりますね。ただし、製造業は営業利益率が全体的に低く、10%を超えない水準です。19年は2度の墜落事故で、民間機の納入台数が大きく落ち込んでいます

追い討ちをかけるようにコロナ危機が発生し、営業利益率は8.5%まで急落していますね

その2:BPSとEPSの10年間の推移は?

過去10年間のBPS(1株あたり純資産)とEPS(1株あたり純利益)は、安定しているとは言えないですね。ボーイング社は自社株買いや増配をする事で、BPSは低下傾向にあります。19年以降は債務超過に陥り、マイナス幅は拡大しています。

EPSに関しては、18年以前は順調に成長させてきたと言えます。しかしながら、墜落事故で業績が悪化して以降は、EPSも赤字です

その3:営業CFと投資CFの10年間の推移は?

18年以前のCF決算を見ると、フリーCF(営業CF−赤字CF)はプラスで順調に推移してきたと言えますね。ボーイングの株価が短期間で3倍に増えたのは、健全なCFがあったからです。しかしながら、19年の墜落事故以降は状況が大きく変わっていますね

コロナ危機の影響がなかったとしても、CFがマイナスである点に私たちは注意する必要があります。では、私たち投資家は、ボーイング株をどのように判断すればいいのでしょうか?

ボーイング(BA)に投資する上での注目ポイントは?

ボーイングに投資する上で注目すべきポイントを紹介します。ボーイングは、主に民間航空機の製造と米国政府向けに軍用機の開発で売上を立てています。

注目1:民間機納入数は18年が最大で806機?

参考:2月の民間航空機受注納入統計

2020年2月の民間航空機納入機数です。

大型旅客機では、ボーイングと欧州連合体であるエアバスが市場を独占しています。航空機の開発には多大な費用がかかるため、この2社で業界の寡占化が進んでいます。また、膨大な費用が掛かるため、国際分業体制が進んでる業界でもあります。

過去の納入機数を見ると、2000年以降はエアバスに勢いがある事が分かります。また、ボーイングの納入機数は、19年と20年で大きく落ち込んでいる事が分かります

19年に販売不振に陥った理由は、3月に737MAXが2度目の墜落事故を起こしたからです。この機体は出荷が停止され、4月以降の納入ペースは7割近く低下します(参考:ボーイングの19年納入機数5割減 エアバス8年ぶり首位)。

20年には、コロナによる旅行需要の停止で売上が大きく落ち込んでいますね。こうした事情もあり、軍用機の売上高比率は年々上昇しています。

では、軍需産業でボーイングはどのような地位にいるのでしょうか?

注目2:軍需企業でボーイングは世界2位で269億ドル?

参考:年間売上5兆円を誇る、世界No.1軍需企業「Lockheed Martin」

ストックホルム国際平和研究所が発表した、2017年の軍需企業の売上高ランキングです。

軍需企業で世界1位は、米国のロッキードマーチン(LMT)で449億ドルですその次がボーイングで、売上高は269億ドルですね。1位と3位は軍需向けに特化した会社です。ボーイング社は民間航空機も製造し、18年の売上高は1000億ドルを超えていますね。

軍需産業は、ハイテク企業のように爆発的に成長する産業ではありません。しかしながら、成長速度は緩やかでも、確実に拡大し続ける産業ですね戦後の中東やロシアの脅威、近年では中国との対立が続き、安全保障対策費が削減されることはないからです。

では、米国や主要国の軍事費用はどれくらい増加しているのでしょうか?

注目3:米国は軍事費1位で7318億ドルに達する?

参考:主要国の軍事費推移をグラフ化してみる

2019年時点の上位5カ国の軍事費推移です。

軍事費は米国が7318億ドルと、ダントツで高い事が分かりますね。オバマ大統領の12〜14年は減少するも、それ以外の年は一貫して上昇傾向にあります。米国の次に特出して多いのは中国です。中国は急激な経済成長に伴い、軍事費を急速に拡大していますね。

中国のような後進国に対応するためにも、今後も米国の軍需費は増え続ける事が予想できます

ただし、GDP比で見た場合に、米国の軍事費が特出して高い訳ではありません。米国の軍事費の割合は、GDP比で3.41%です。これは、サウジアラビアの7.98%やロシアの3.88%よりも低いですね。軍事費が急拡大している中国は1.89%、自衛隊を持つ日本は0.93%です(参考:軍事費の対GDP動向をグラフ化してみる)。

米国と中国は、まだ伸び代があるとも言えます。では、ボーイングの事業別の売上高はどうなっているのでしょうか?

注目4:事業別売上高は民間航空機部門が42%?

2019年度の事業別売上高の割合です。

民間航空機部門が42%と最も高く、軍用機部門が34%、最後にグローバルサービス部門が18%と続きます。グローバルサービス部門とは、ボーイングが持つ民間航空や防衛、宇宙分野の技術や知識を世界中の企業に提供する事です。

近年、景気動向や需給に影響を受ける民間航空機部門は急激に縮小しています

18年の民間航空機部門が占める割合は57%でした。墜落事故の影響で販売不振が続き、19年には32%まで縮小しています。また、20年にはコロナ危機でさらに縮小する事が予想できますね。

では、民間機を製造するボーイングは、コロナでどれくらい影響を受けたのでしょうか?

注目5:民間航空機部門はコロナで前年比66%減?

事業別 19Q2 20Q1 20Q2 前年比
民間航空機部門 4,722 6,205 1,633 -66%
軍用機部門 6,579 6,042 6,588 0%
グローバルサービス 4,543 4,628 3,488 -24%
合計 15,751 16,908 11,807 -26%

主要3事業の前年比と前四半期の売上高の推移です。

民間航空機部門は、コロナの影響を最も大きく受ける部門です。なぜならば、国際的な移動が禁止された事で航空会社の業績が悪化し、新しい航空機の発注が急激に縮小したからです。前年同期比で66%も減少している事が分かります。

対して、政府向けの軍用機部門は景気の影響を受けません。

前年比でほぼ増減がなく、前四半期比では逆に増えている事が分かります。軍用機部門の売上のおかげで、売上高は26%減で済んだとも言えますね

では、20年2Qのボーイングは、財務的にはどのような状態にあるのでしょうか?

注目6:19年から債務超過で資本比率は−6.5%?

ボーイングの負債総額と自己資本比率の推移です。

通常時でも、ボーイングの自己資本比率は10%を切っています。16年は1%未満になり、19年にはマイナス6.5%で債務超過に陥りましたコロナ危機の20年はさらに悪化し、政府援助や社債発行で切り抜けようとしています(参考:ボーイングが自力で2.7兆円調達)。

コロナによる経済停止を利用して、ボーイング社に逆張りする投資家が増えています。

コロナ危機は一時的な不況なので、経済活動が再開すれば株価が元の水準に戻ると期待する投資家が多いからです。確かに、大型旅客機を製造できる大手2社の独占企業で、優良企業なのは間違いないですね。しかしながら、19年から債務超過にある事を考えると楽観的にはなれません

逆張りするにしても、財務が健全で健全に成長しているエアバスやレイセオンテクノロジー(RTX)の方が優良株に見えます。また、軍需産業に投資するならば、業界最大手のロッキードマーチンの方が安全ですね。

注目7:債務超過でも配当利回りは2.4%もある?

ボーイングは、高配当銘柄として知られています。

配当金は19年に8.22ドルで、過去10年間一貫して増配傾向にあります。しかしながら、コロナによる業績不振で20年は減配し、配当利回りは2.4%となっています。

ただし、ボーイングが債務超過にある事を考えると、本来ならば配当金は出すべきではありません。債務超過で政府から支援を受けながら配当金を出すのは矛盾しますよね。だからこそ、ボーイングは政府の支援を受けずに、社債発行で乗り切ろうとしています。

もしも、ボーイングが無配を決めた場合、株価が大きく下落する事が予測できます。そのため、逆張り投資するにしても、もう少し待つ方が安全に投資できますよね。

投資家はボーイング株を購入するべきか?

ボーイング株に投資すべきでない理由は...
  1. 製造業の営業利益率は低く、独占企業でも10%を超えていない
  2. コロナ危機以前の20年から、営業利益率は−3.5%と赤字である
  3. 墜落事故により、18年以降からEPSはマイナスである
  4. ライバルであるエアバスに、大型旅客機のシェアを取られている
  5. 自己資本比率は19年に-6.5%、20年に−7.2%である
  6. 配当を辞めれば、株価は大きく下落する可能性が高い
  7. 政府から資金支援を受けたら、無配に転じる可能性がある

コロナ危機以降、逆張り狙いでボーイング株を購入する投資家が増えています。確かに、大型旅客機の製造は2社が独占し、航空業界が立ち直れば株価も元の水準に戻る可能性が高いです。元に戻る前提ならば、1年や2年後には株価は現在の2倍以上に増えます

しかしながら、個人的にはボーイング株を購入したいとは思いません。

なぜならば、ボーイング社は19年から業績が悪化し債務超過に陥っているからです19年時点で営業利益率は3.5%の赤字、自己資本比率はマイナス6.5%です。好調だった旅客機の市場シェアは、ライバルであるエアバス社に奪われ続けています。

そのため、コロナ危機から完全に立ち直っても業績は赤字のままですね

ボーイング社は軍用機で利益を上げてるという人もいます。その場合は、業界最大手であるロッキードマーチン(LMT)に投資した方が確実に利益を得られますね。

19年や20年が債務超過にも関わらず、ボーイングは配当金を出しています。20年後半や21年にも債務超過が続くならば、配当金は停止される可能性もあります。増配から無配に転じた場合、更に大きく株価が暴落しますね。

ボーイングに逆張りするタイミングは今ではありません。業績が反転する事をしっかりと確認してからですね優良株なのは間違いないが、必ずしも利益を得られるとは限らない点に注意が必要です。

まとめ:ボーイング(BA)の四半期決算は?

ボーイング株の特徴は...
  1. 1916年に創業された、世界最大の航空宇宙機器開発会社
  2. 米国唯一の大型旅客機製造メーカーであり、2社で業界を独占している
  3. 軍用機、ミサイル、宇宙船や宇宙機器などの研究開発も行う
  4. 製造業の営業利益率は低く、独占企業でも10%を超えていない
  5. 19年以降は墜落事故で、シェアを奪われ業績が悪化している
  6. コロナ危機以前の20年から、営業利益率は−3.5%と赤字である
  7. 墜落事故により、18年以降からEPSはマイナスである

ボーイングは、1916年に創業された世界最大の航空宇宙機器開発会社です。アメリカで唯一の大型旅客機メーカーであり、ヨーロッパのエアバス社と世界市場を二分する巨大企業です。また、旅客機だけでなく、軍用機、ミサイル、宇宙船や宇宙機器などの研究開発、設計製造も行います。

なぜならば、民間機の需要が完全に回復しても、ボーイングの業績は赤字だからですコロナ危機が原因で、ボーイングの株価が半分になったと評価する投資家は多いですよね。しかしながら、19年時点で営業利益率は−3.5%、自己資本比率は−6.5%と債務超過にあります

つまりは、コロナ危機がなくても、株価が暴落していた可能性は高いですね。

コロナで半値になったボーイングだが、現在の株価でも割高である可能性が高いです。なぜならば、配当金が廃止されれば、過大評価された株価がさらに暴落するからです。19年から赤字である事を考えると、本来ならば配当金を出すべきではありません

20年後半も赤字決算が続く事を考えると、配当金が廃止される可能性は十分に高いです。ボーイングが優良株なのは間違いなが、逆張りで狙うならば完全に底打つまで待つ必要があります

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