トランスカナダの四半期決算|コロナの影響を受けていない?

コロナによる原油や天然ガス価格の暴落を受けて、エネルギー株に投資する人が増えています。エネルギーはPERが割安な株も多く、資源価格が戻れば利益を得られるリスクが少ない投資です。では、私たち投資家は、パイプライン事業のトランスカナダに投資するべきでしょうか?

  • 「世界各国の経済活動再開で、エネルギー株は必ず利益を得られる…」
  • 天然ガスの需要は最も高く、パイプライン事業は利益を得られる…」
  • 「原油生産者と比較して、パイプラインはコロナの影響が少ない…」

トランスカナダは、北米を中心に原油や天然ガスのパイプラインを保有し運営しています。米国内で天然ガスの発電コストは石炭よりも安く、二酸化炭素排出量も半分以下で環境にやさしく普及が進んでいます。資源の需要が増えれば、トランスカナダは確実に利益を得られる投資ですね

しかしながら、トランスカナダ株は長期で保有したい銘柄ではありません。

なぜならば、パイプライン事業は膨大な設備投資が必要で、儲かりにくいビジネスだからですトランスカナダの営業利益率は45%と高く、コロナの影響も受けない稀有な銘柄です。しかしながら、フリーCFは赤字が続き、過去8年以上も黒字化に成功していません

コロナによる天然ガスや原油価格の回復を見込んで、短期投資には向いています。しかしながら、長期投資前提ならば、業績が安定しているキンダーモルガン(KMI)やエンブリッジ(ENB)が向いています。

トランスカナダ株の投資判断したい人向け
  1. トランスカナダ株の4半期決算(2020年4-6月)は?
  2. トランスカナダ株の過去10年間の売上高や営業利益は?
  3. トランスカナダ株は、リスクが高く長期保有に向かない理由は?

 

トランスカナダ(TRP)の四半期決算は?

トランスカナダの四半期決算を紹介します。

第1Q決算(2020年3月31日)

第1Q決算の内容は...
  1. 売上高:34.18億ドル(前年比−2%
  2.  Canadian Natural Gas Pipelines:10.32億ドル(+6%
  3.  US Natural Gas Pipelines:13.55億ドル(+3%
  4.  Mexico Natural Gas Piplines:2.42億ドル(+59%
  5.  Liquids Pipelines:6.77億ドル(−8%)
  6.  Power and Storage:1.12億ドル(−67%)
  7. 営業利益:11.21億ドル(−19%
  8. 純利益:12.85億ドル(+12%
  9. 1株当たり利益:1.22億ドル(+11%

第2Q決算(2020年6月30日)

第2Q決算の内容は...
  1. 売上高:30.89億ドル(前年比−9%
  2.  Canadian Natural Gas Pipelines:10.87億ドル(+13%
  3.  US Natural Gas Pipelines:12.04億ドル(−1%)
  4.  Mexico Natural Gas Piplines:1.64億ドル(+7%
  5.  Liquids Pipelines:5.44億ドル(−33%)
  6.  Power and Storage:0.9億ドル(−63%)
  7. 営業利益:14.36億ドル(−1%
  8. 純利益:13.84億ドル(+13%
  9. 1株当たり利益:1.36億ドル(+12%

トランスカナダは、1951年に創業した老舗エネルギー会社です。北米を中心に原油や天然ガスのパイプラインを保有し運営しています。カナダのアルバータ州から米国のイリノイ州、オクラホマ州、テキサス州を結ぶ「キーストーンパイプライン」を管理しています。

20年2Qの売上高は前年比9%減で30.89億ドル、営業利益は1%減で14.36億ドルです。

天然ガスパイプラインの売上高が6割を占め、コロナの影響を受けてない事が分かりますね。米国内で需要が高い天然ガスは、20年9月にはすでにコロナ前の水準に戻しています。原油パイプラインはコロナの影響を受けているが、全体に与える影響は大きくありません。

第3Q決算(2020年11月)

2020年11月に公開予定。

では、トランスカナダの売上高や営業利益の10年間の推移はどうなっているのでしょうか?

トランスカナダの10年間の損益計算書は?

トランスカナダの株価は、2008年の原油高で40ドルを付け、シェール革命の14年に最高値56ドルを付けました。その後は株価は横ばいで推移し、コロナ後の20年9月は41ドルで推移しています。

その1:売上高と営業利益の10年間の推移は?

過去10年間の決算書を見ると、売上高も営業利益も安定して推移しています。売上高は18年にピークをつけるも、営業利益は上昇を続け45.3%まで伸びています決算書だけ見ると、超優良企業に見えますね。

その2:BPSとEPSの10年間の推移は?

過去10年間のBPS(1株あたり純資産)とEPS(1株あたり純利益)も、比較的安定していると言えますね。原油価格が暴落した15年と16は一時落ち込むも、その後は回復基調にあります。

その3:営業CFと投資CFの10年間の推移は?

好決算とは対照的に、キャッシュフローはあまり良い水準とは言えません。過去10年間でフリーCF(営業CF−投資CF)が黒字化したのは2年だけです。パイプライン事業は膨大な設備投資を必要とし、全体的に儲かりにくいビジネスだと分かりますね。

フリーCFの赤字が続くも、自己資本比率は30%と安定して推移し、健全的な財務体質だと言えます。では、私たち投資家はトランスカナダ株をどのように判断したら良いのでしょうか。

トランスカナダに投資する上での注目ポイントは?

トランスカナダに投資する上で注目すべきポイントを紹介しまます。天然ガスや原油のパイプラインを運営するトランカナダは、資源価格や需要が上向けば業績も上昇しますね。

注目1:米国は45年ぶりに世界最大の産油国になった?

参考:米国のエネルギー政策の動向とその行方

米国は2018年に世界最大の産油国になりました。

1日当たりの石油生産量は、2013年にサウジアラビアやロシアを抜いています。2018年の年間平均生産量は1095万BDとなり、45年ぶりに世界1位の産油国です。2019年も勢いは止まらず、生産量は増加を続けています。

生産量が急増した理由は、2010年代に始まったシェール革命の影響が大きいですシェール層から天然ガスを取り出す技術は、石油にも応用する事で生産量を増やしています。

また、天然ガスの生産量は、米国とロシアが中東諸国の4倍以上の生産量がありますシェール革命で天然ガスの生産量が増え続けている米国は、世界2位のロシアとも差を広げつつあります。

意外と知られてない事実だが、米国はすでに世界4番手の天然ガス輸出大国です。米国内で余った天然ガスは、液体化(LNG)して海外に輸出しています。

参考:世界の天然ガス輸出額 国別ランキング・推移

では、原油や天然ガスの将来の見通しは、どのように予測されているのでしょうか?

注目2:30年も原油やガスがエネルギーの8割を占める?

参考:世界のエネルギー消費量と人口の推移

近年の兆候としては、再生可能エネルギーが進み脱炭素化社会が言われてますね。

しかしながら、資源エネルギー庁の調査によると、2030年もエネルギーの中心は石油やガス、石炭などの炭素系が占めます。再生可能エネルギーの割合も増えるけれども、最も増加量が大きいのは安価で豊富に手に入る石炭や天然ガスですね。

再生可能エネルギーの割合は、2030年でも10%にも満たない事が分かります。

天然ガスが豊富な米国では、石炭よりも天然ガスの方が発電コストが低いです。その上、天然ガスは環境にも易しく、二酸化炭素の排出量は石炭よりも47%、石油よりも30%も低いですそのため、米国内では天然ガスの普及量が拡大するのは間違いないですね。

では、トランスカナダの事業別の売上高を見てみましょう。

注目3:北米の天然ガス事業が売上高の67%を占める?

トランスカナダは、天然ガス用と原油用のパイプラインを保有しています。

米国の天然ガスパイプラインが売上高の37%を占めます。次に多いのが、カナダの天然ガスで30%、メキシコが4%と続きます。原油パイプラインは売上高の21%で、天然ガスの3分の1程度です。また、貯蔵施設の運営も行い、売上高は全体の5%を占めます。

トランスカナダは、北米の天然ガスのパイプライン事業で売上高の67%を占めていますね。では、パイプライン事業は、20年のコロナ危機でどれくらい影響を受けたのでしょうか?

注目4:北米天然ガスPLはコロナの影響を受けてない?

事業別 19Q2 20Q1 20Q2 前年比
天然ガス カナダPL 956 1032 1,087 13%
米国PL 1,211 1355 1,204 -1%
メキシコPL 152 242 164 7%
原油 原油PL 811 677 544 -33%
その他 貯蔵施設 242 112 90 -63%
合計 3,372 3,418 3,089 -9%

トランスカナダの事業別売上高の推移です。

前年比で比較すると、パイプライン事業はコロナの影響を受けにくい事が分かりますね。特に影響が少ないのは天然ガスで、カナダとメキシコのパイプライン事業は逆に収益が増加しています。また、米国のパイプライン事業も前年比で1%マイナスだが、20年1Qは逆に増加しています。

コロナで原油価格は20ドルまで暴落し、20年9月も低迷したままです。対して、米国内で需要が高い天然ガスは、すでにコロナ前の水準まで価格を戻しています。

では、四半期毎の売り上げ成長率はどのように推移しているのでしょうか?

注目5:コロナでも売上高成長率は−8%だけ?

トランスカナダの四半期毎の売上高推移と成長率です。

16年の成長率がピークで、トランスカナダの売上高は18年Q4でピークを付けています。その後は、成長率が鈍化しマイナス成長に陥る期もあります。20年1Qと2Qは、コロナで経済停止したにも関わらず、ほぼ影響を受けてない事が分かります。

コロナの影響が少ない理由は、売上高に占める天然ガスの割合が大きいからですね。天然ガスの市場価格は、原油よりも戻りが早く、すでにコロナ前の水準に戻しています。

過去の売上高推移から将来の予想をすると、中期的には今後も低迷が続く事が推測できます。しかしながら、世界中で天然ガスの需要は伸びているため、長期的には業績も上向く可能性が高いですね。

注目6:20年2Qの配当利回りは9.84%と高い?

減配するエネルギー企業が多い中で、20年にも増配を決めた数少ない銘柄ですね。

トランスカナダは毎年増配している高配当銘柄ですね。株価は低迷するも業績は安定しているため、20年でも配当性向も安定していますね。20年の配当回りは9.84%と高水準です。20年も増配を決めた事で、トランスカナダは将来の見通しに対して明るいと示しています。

投資家はトランスカナダ株を購入するべきか?

トランスカナダ株に投資すべきでない理由は...
  1. コロナの影響は少ないが、売上高は18年をピークに低迷してる
  2. 営業利益率は45%と高いが、フリーCFは8年も赤字である
  3. パイプライン事業は、設備投資が膨大で競合者も多い
  4. 原油価格は上昇せず、原油PLはしばらく回復傾向にない

将来的に天然ガスの需要は高く、パイプライン事業も右肩上がりで成長する可能性が高いですね。米国内で天然ガスの発電コストは石炭よりも安く、二酸化炭素排出量も半分以下で環境にやさしく普及が進んできます。

しかしながら、個人的にはトランスカナダ株は保有したい銘柄ではありません。

なぜならば、決算書の数値は好調に見えるが、フリーCFは8年以上も赤字が続いているからです。北米のパイプライン事業は成長産業だが、大規模な設備投資が必要で競合者も多いです。そのため、パイプライン事業に投資するならば、業界最大手で安定した利益がある会社が望ましいですね

キンダーモルガン(KMI)やエンブリッジ(ENB)の方が、長期投資に向いてます。

ただし、将来的にはトランスカナダの株価が上昇するのは間違いないですね。20年のコロナ危機でも増配を決め、経営陣も将来の見通しは楽観的に見ています。

まとめ:トランスカナダ(TRP)の四半期決算は?

トランスカナダ株の特徴は...
  1. 1951年にカナダで創業、北米のパイプライン事業者である
  2. カナダとテキスト州を結ぶ、キーストーンパイプラインを保有する
  3. 北米の天然ガスPLが売上の67%、原油PLが21%を占める
  4. コロナの影響は少ないが、売上高は18年をピークに低迷してる
  5. 営業利益率は45%と高いが、フリーCFは8年も赤字である
  6. パイプライン事業は、設備投資が膨大で競合者も多い

トランスカナダは、北米を中心に原油や天然ガスのパイプラインを保有し運営しています。米国内で天然ガスの発電コストは石炭よりも安く、二酸化炭素排出量も半分以下で環境にやさしく普及が進んでいます。資源の需要が増えれば、トランスカナダは確実に利益を得られる投資ですね

しかしながら、トランスカナダ株は長期で保有したい銘柄ではありません。

なぜならば、パイプライン事業は膨大な設備投資が必要で、儲かりにくいビジネスだからですトランスカナダの営業利益率は45%と高く、コロナの影響も受けない稀有な銘柄です。しかしながら、フリーCFは赤字が続き、過去8年以上も黒字化に成功していません

コロナによる天然ガスや原油価格の回復を見込んで、短期投資には向いています。しかしながら、長期投資前提ならば、業績が安定しているキンダーモルガン(KMI)やエンブリッジ(ENB)が向いています。

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