ゴラールLNGの四半期決算|LNG需要増でも10年間も赤字?

コロナによる原油や天然ガス価格の暴落を受けて、エネルギー株に投資する人が増えています。エネルギーはPERが割安な株も多く、資源価格が戻れば利益を得られるリスクが少ない投資です。では、私たち投資家は、LNG関連のゴラールLNGに投資するべきでしょうか?

  • 「世界各国の経済活動再開で、エネルギー株は必ず利益を得られる…」
  • 「2040年のLNG需要は2倍、アジアや欧州で輸出量が拡大してる…」
  • PERが10倍未満と割安で、安全にバリュー株投資ができるはず…」

ゴラールLNGは、液化天然ガス(LNG)全般を扱うエネルギー企業です。タンカー船を保有しLNGの輸送や液化、それから陸上のパイプライン設備の保有やチャーターも行います。コロナで一時的に低迷するも、LNGの需要はアジアや欧州を中心に増加傾向にありますね

しかしながら、個人的にはゴラールLNGには投資したいとは思いません。

なぜならば、持分法投資損益を計上したグループ全体では、常に赤字を垂れ流し続けてる会社だからです20年2Qには、売上高以上の純損失額を計上しています。また、キャッシュフロー計算書を見ても、過去10年間に1度も黒字化したことはありません。

LNGビジネスは、巨額の設備投資が必要な上にライバル企業も多く儲からないと言えます。

ゴラールLNG株の投資判断したい人向け
  1. ゴラールLNG株の4半期決算(2020年4-6月)は?
  2. ゴラールLNG株の過去10年間の売上高や営業利益は?
  3. ゴラールLNG株は、リスクが高く長期保有に向かない理由は?

ゴラールLNG(GLNG)の四半期決算は?

ゴラールLNGの四半期決算を紹介します。

第1Q決算(2020年3月31日)

第1Q決算の内容は...
  1. 売上高:1.22億ドル(前年比+7%
  2. 営業利益:0.21億ドル(前年度−27%
  3. 純利益:−1.04億ドル

第2Q決算(2020年6月30日)

第2Q決算の内容は...
  1. 売上高:1.02億ドル(前年比+6%
  2. 営業利益:0.28 億ドル(前年度−0.23億ドル)
  3. 純利益:−1.55億ドル

バミューダ(英国領)で1946年に創業したゴラールLNGは、液化天然ガス(LNG)全般を扱う企業です。LNGの輸送、再ガス化、液化、売買に加え、LNGタンカーとFSRU(LNGを再ガス化し陸上のパイプラインに送出する設備)の運営も行っています。LNG船は26隻を保有しています。

20年2Qの売上高は前年比6%増で1.02億ドル、営業利益は0.28億ドルです。対して、純利益は売上高よりも大きく、1.55億ドルの赤字ですね。

純利益の赤字幅が大きい理由は、持分法投資損益(Equity in net losses of affiliates)を計上しているからです。持分法投資損益とは、持株会社との連結決算後の損益で、グループ全体で損失がある事を示しています。20年2Qの持分法投資損益は1.39億ドルと大きいですね。

第3Q決算(2020年11月)

2020年11月に公開予定。

では、ゴラールLNGの売上高や営業利益の10年間の推移はどうなっているのでしょうか?

ゴラールLNGの10年間の損益計算書は?

ゴラールLNGは2008年の原油高騰で25ドル、天然ガスが5ドルを付けた14年に最高値70ドルを付けています。その後は、天然ガス価格の下落とともに株価も下落していますね。コロナ後の20年9月は7ドル前後で推移しています。

では、ゴラールLNGの決算書やキャッシュフローを見てみましょう。

その1:売上高と営業利益の10年間の推移は?

過去10年間の決算書を見ると、全体的に安定していない事が分かります。ただし、18年以降は純利益を抜かせば比較的jに安定しているように見えますね。純損失額が大きいのは、持分法投資損益を計上しグループ全体では赤字だからです

その2:BPSとEPSの10年間の推移は?

過去10年間のBPS(1株あたり純資産)とEPS(1株あたり純利益)も、安定して推移している訳ではありません。BPSもEPSも、14年以降は減少傾向にありますね。

その3:営業CFと投資CFの10年間の推移は?

LNGビジネスは設備投資が大きく、利益が出にくいビジネスだと分かります。過去10年間でフリーCF(営業CF−投資CF)が黒字化した事は1度もありません16年以降は投資を抑えても、フリーCFの赤字が続いていますね。

では、私たち投資家はゴラールLNGをどうのように投資判断したら良いのでしょうか?

ゴラールLNGに投資する上での注目ポイントは?

ゴラールLNGに投資する上での注目ポイントを紹介します。ゴラールLNGの業績は、世界的に天然ガスの需要が高まり、LNGの流通量が増えれば上昇しますね。

注目1:米国は45年ぶりに世界最大の産油国になった?

参考:米国のエネルギー政策の動向とその行方

米国は2018年に世界最大の産油国になりました。

1日当たりの石油生産量は、2013年にサウジアラビアやロシアを抜いています。2018年の年間平均生産量は1095万BDとなり、45年ぶりに世界1位の産油国です。2019年も勢いは止まらず、生産量は増加を続けています。

生産量が急増した理由は、2010年代に始まったシェール革命の影響が大きいですシェール層から天然ガスを取り出す技術は、石油にも応用する事で生産量を増やしています。

また、天然ガスの生産量は、米国とロシアが中東諸国の4倍以上の生産量がありますシェール革命で天然ガスの生産量が増え続けている米国は、世界2位のロシアとも差を広げつつあります。

意外と知られてない事実だが、米国はすでに世界4番手の天然ガス輸出大国です。米国内で余った天然ガスは、液体化(LNG)して海外に輸出しています。

参考:世界の天然ガス輸出額 国別ランキング・推移

米国の原油や天然ガスの生産量増を支えているのは、シェールオイルやガスですね。実は、貿易摩擦で中国の輸出量がゼロでもLNG輸出量は増加しています

注目2:貿易摩擦でもLNG輸出量は前年比63%増?

参考:米国のエネルギー政策の動向とその行方

米国のLNG輸出量は年々増加し、19年2Qは前年比で63%増を記録しています。

シェール革命で豊富な天然ガスを生産し始めた米国は、2016年に中南米向けにLNGの輸出を開始します。アジア、欧州、中南米の地域で、輸出量は大きく増えていますね。天然ガス(LNG)の輸出量は増加傾向にあり、2020年にはエネルギーの純輸出大国になりました

中国への輸入は、2017年後半にピークを付けるも、貿易摩擦の影響で19年にはゼロです。それでも、欧州や他アジア国の需要に支えられて増加していますね。

欧州向けの輸出が増えてる理由は、欧州諸国はロシアの天然ガス依存度を減らしたいからです。日本、韓国、台湾も、中東からの依存度を減らしたいと思っていますね。中南米で需要が増えているのは、関税が掛からない上に、経済成長が著しい国が多いからです。

LNG需要は、2040年には現在の2倍に達すると言います。

注目3:LNG需要は2040年に2倍に増える?

参考:過去最低のLNGスポット価格

世界のLNG需要は、今後も増え続ける事が予想されます。

天然ガスの人気が高い理由は、石油よりも安い上に環境にやさしいからです。天然ガスは、石油よりも二酸化炭素排出量が30%少なく、石炭よりも47%も少ないですさらには、米国のシェール革命で大量に生産された事で、コストが最も低いエネルギーになりました。

米国内では、天然ガスの発電コストは石炭よりも低く、急速に普及が増えていますね。アジア諸国は、原油価格に連動したLNG価格で輸入する国が多く、LNGが普及すればコストを下げられる利点があります。

40年のLNG需要はアジアを中心に倍増し、年間8億1000万トンに達すると見込まれます

では、ゴラールLNGの事業別の売上高はどうなっているのでしょうか?

注目4:陸上パイプライン設備の運営が売上高の61%?

参考:Form 6-K Golar Lng Partners Lp

ゴーラルLNGは、大きく分けて3つの事業に別れます。

売上高が最も大きいのはFSRUで、全体の61%を占めます。FSRUとは、LNGタンカーから積み下ろし、再ガス化した天然ガスを陸上のパイプラインに送出する設備です。ゴーラルLNGは、FSRUの買収や保有、チャーターを世界的に展開しています。

次に多いのが、FLNGで31%を占めます。FLNGとは、洋上におけるLNGの液化設備および再ガス化設備全般です。最後にShippingが8%を占めていますね。ゴラールLNGは、タンカー船を26積保有しLNGの輸送や造船契約も手掛けています。

ゴラールLNGは、将来に対して強気の予想をしています。21年や22年は売上高は横ばいだが、LNG需要を見越し、23年以降は3倍近い売上高になると考えていますね。

注目5:20年2Qの配当金利回りは0%に転落?

高配当として知られているが、近年は大きく減配傾向にありますね。

配当金は16年に大きく減配、19年も減配し20年はゼロです。自己資本比率は29%と悪くはないが、長い間利益が出てない事を考えると妥当な判断だと言えますね。配当をゼロにした事からも分かる通り、経営陣は長期的な業績の低迷を見込んでいます。

投資家はゴラールLNG株を購入するべきか?

ゴラールLNG株に投資すべきでない理由は...
  1. 売上高は増加傾向にあるも、営業や純利益は安定しない
  2. 持分法投資損益を計上することで、毎年純利益は赤字である
  3. コロナの影響で、20年2Qは売上高以上の純損失を計上した
  4. 14年以降のBPSは減少を続け、EPSはずっと赤字である
  5. 過去10年間で、1度もフリーCFは黒字化していない
  6. 20年は配当金なし、経営陣の将来の見通しは明るくない

天然ガスやLNGの需要は年々増加し、2040年には現在の2倍になる事が予測されています。しかしながら、個人的にはゴラールLNG株は保有したいとは思いません。

なぜならば、LNGの流通量が増えても、ゴラールLNGの業績は安定しないからです。ゴラールLNGの営業利益は黒字でも、グループ全体の純利益は常に赤字です。コロナ危機の20年には、売上高を超える純損失額を計上していますね。

また、フリーCFも常に赤字で、過去10年間に1度も黒字化した事はありません

以上のことは、ゴラールLNGのビジネスは、巨額の設備投資が必要で儲からないビジネスだと分かります。米国のエネルギー市場は巨大だが、新規参入者やライバルが多いことも示唆してますね。将来的にLNGの需要が増えるのは間違いないが、ゴラールLNGが利益を得られる保証はありません。

まとめ:ゴラールLNG(GLNG)の四半期決算は?

ゴラールLNG株の特徴は...
  1. 2001年にバミューダで設立、LNG全般を扱うエネルギー企業
  2. 26隻のタンカー船を保有し、LNGの輸送や貸し出しも行う
  3. 陸上のパイプライン設備を運営し、世界的にチャーターも行う
  4. 持分法投資損益を計上することで、毎年純利益は赤字である
  5. 14年以降のBPSは減少を続け、EPSはずっと赤字である
  6. 過去10年間で、1度もフリーCFは黒字化していない

ゴラールLNG株は、長期で投資したい銘柄ではありません。

なぜならば、持分法投資損益を計上したグループ全体では、常に赤字を垂れ流し続けてる会社だからです20年2Qには、売上高以上の純損失額を計上しています。また、キャッシュフロー計算書を見ても、過去10年間に1度も黒字化したことはありません。

LNGビジネスは、巨額の設備投資が必要な上にライバル企業も多く儲からないと言えます。

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