レンジリソースの四半期決算|シェール革命も業績は低迷?

コロナによる原油や天然ガス価格の暴落を受けて、エネルギー株に投資する人が増えています。エネルギーは割安株が多く、資源価格が戻れば確実に利益を得られる低リスクの投資かもしれません。では、私たち投資家は、シェール生産社であるデボンエナジーに投資するべきでしょうか?

  • 「世界各国の経済活動再開で、シェール株は必ず利益を得られる…」
  • 「シェールブームの15年と比較して、株価は10分の1に暴落してる…」
  • 「配当利回りは2%と低いが、状況が変われば増配と株高が期待できる…」

シェール革命とその後の技術革新で、米国内のシェールオイルやガスの生産量は増加傾向にあります。米国は天然ガス輸出で世界4位だが、近い将来にロシアを抜くほど著しく成長していますね。また、レンジリソースは、シェール生産量が急増しているアパラチア地域に油田を持ちます。

しかしながら、個人的にはレンジリソース株は保有したい銘柄ではありません。

なぜならば、シェール企業は生産量が増えても、利益が薄く儲からないビジネスモデルだからですアパラチア地域にガス田を保有し、15年の原油暴落による低迷からいち早く回復しています。しかしながら、18年に売上高がピークを付けるも、その後は純損失額が大きく膨らみます

20年の営業利益率は−10%で、純損失額は売上高と同水準です。さらには、フリーCFは過去10年間で1度も黒字化した事はありません

シェール企業に投資するならば、輸送やパイプラインに投資した方が安全だと分かります。

レンジリソース株の投資判断したい人向け
  1. レンジリソース株の4半期決算(2020年4-6月)は?
  2. レンジリソース株の過去10年間の売上高や営業利益は?
  3. シェール革命でも、レンジリソースに投資すべきでない理由は?

レンジリソース(RRC)の四半期決算は?

レンジリソースの四半期決算を紹介します。

第1Q決算(2020年3月31日)

第1Q決算の内容は...
  1. 売上高:5.60億ドル(前年比−33%)
  2.  Natural Gas, NGL and Oil Sales:4.32億ドル(−36%)
  3.  Cash settlements on derivative:0.99億ドル(4.1倍
  4.  Brokered natural gas and marketing:0.28億ドル(−80%)
  5. 純利益:1.44億ドル(102倍
  6. 1株当たり利益:0.58ドル(58倍

第2Q決算(2020年6月30日)

第2Q決算の内容は...
  1. 売上高:5.02億ドル(前年比−28%)
  2.  Natural Gas, NGL and Oil Sales:3.49億ドル(−39%)
  3.  Cash settlements on derivative:1.19億ドル(3.6倍
  4.  Brokered natural gas and marketing:0.33億ドル(−64%)
  5. 純利益:−1.46億ドル(前年度1.15億ドル)
  6. 1株当たり利益:−0.61ドル(前年度0.46ドル

レンジリソースは、1976年に創業した天然ガスや原油の探鉱、開発、生産を行うシェール企業です。シェールガスの生産量が著しく増加しているアパラチア地域にも油田を持ちます2019年、天然ガスの推定埋蔵量は18兆立方フィートとされています。

20年2Qの売上高は28%減の5.02億ドル、純損失はマイナス1.46億ドルです。1Qと2Qで売上高が大きく落ち込んだのは、コロナで原油や天然ガスの価格が暴落したからですね主要事業である天然ガス販売の売上高が、大きく減少している事が分かります。

第3Q決算(2020年11月)

2020年11月に公開予定。

では、レンジリソースの売上高や営業利益の10年間の推移はどうでしょうか?

レンジリソース(RRC)の10年間の損益計算書は?

レンジリソースは、資源価格が高騰した2008年に71ドルまで上昇しました。その後は、シェール革命のピークである2015年に、最高値で92ドルを付けています。その後は低迷を続け、コロナ危機も経て20年9月は7ドル前後で推移しています。

その1:売上高と営業利益の10年間の推移は?

過去10年間の売上高推移を見ると、売上高も営業利益も安定してない事が分かります。売上高は15年にシェール革命のブーム後に落ち込んでいます。その後は生産量が上昇に転じ、2018年に持ち直すも、原油と天然ガスの価格低迷で再び下降しています。

18年以降は営業利益や純利益も大きく悪化している点は、大きな不安材料です。シェールビジネスは、資源価格のリスクが高く儲かりにくいビジネスだと分かりますね

その2:BPSとEPSの10年間の推移は?

過去10年間のBPS(1株あたり純資産)を見ると、18年までは順調に推移していた事が分かります。しかしながら、業績が悪化した19年以降は大きく落ち込んでいますね。

対して、EPS(1株あたり純利益)は過去10年間安定していません。特に、18年以降はより悪化している事が分かります。

その3:営業CFと投資CFの10年間の推移は?

過去10年間において、1度もフリーCF(営業CF−投資CF)が黒字化した事はありません。シェールビジネスの生産社は、CF的に儲からないビジネスだと分かりますね。生産量が拡大して営業CFが増えた年は、例外なく投資CFも拡大しています

自己資本比率は36%と高いが、積極的に投資したい銘柄ではないですね。シェールビジネスに投資するならば、生産社よりも輸送やパイプラインなどに投資する方が安全です

では、私たち投資家は、レンジリソースをどのように判断したら良いでしょうか?

レンジリソースに投資する上で注目ポイントは?

レンジリソースに投資する上で注目すべきポイントを紹介します。シェールガスやオイル生産社であるレンジリソースは、原油や天然ガスの需要が高くなれば株価も上昇します。

注目1:米国は45年ぶりに世界最大の産油国になった?

参考:米国のエネルギー政策の動向とその行方

米国は2018年に世界最大の産油国になりました。

1日当たりの石油生産量は、2013年にサウジアラビアやロシアを抜いています。2018年の年間平均生産量は1095万BDとなり、45年ぶりに世界1位の産油国です。2019年も勢いは止まらず、生産量は増加を続けています。

生産量が急増した理由は、2010年代に始まったシェール革命の影響が大きいですシェール層から天然ガスを取り出す技術は、石油にも応用する事で生産量を増やしています。

また、天然ガスの生産量は、米国とロシアが中東諸国の4倍以上の生産量がありますシェール革命で天然ガスの生産量が増え続けている米国は、世界2位のロシアとも差を広げつつあります。

意外と知られてない事実だが、米国はすでに世界4番手の天然ガス輸出大国です。米国内で余った天然ガスは、液体化(LNG)して海外に輸出しています。

参考:世界の天然ガス輸出額 国別ランキング・推移

米国の原油や天然ガスの生産量増を支えているのは、シェールオイルやガスですね。

注目2:シェールガスの生産量は右肩上がりで増加?

参考:米国のエネルギー政策の動向とその行方

シェールガスの生産量は、一貫して上昇傾向にあります。

特に生産量が著しく増えているのは、AppalachiaとPermian地方ですね。15年の原油価格暴落で、コストが高いシェールオイル やガスの生産量が一部の地域で鈍化しました。しかしながら、技術開発でコスト削減に成功した事で再び生産量は増加しています

レンジリソースは、生産量が多いAppalachia地域にもガス田を持ちます。しかしながら、レンジリソースの売上高や生産量は、2018年をピークに上昇していない点に注意が必要です。

米国内でシェールガスやオイルの生産量が増えた理由は、生産コストを大きく改善したからですでは、具体的には生産コストはどれくらい下がったのでしょうか?

注目3:生産コストは半分以下の35ドルまで減少?

参考:米国のエネルギー政策の動向とその行方

シェール革命以前と比較して、北米シェールの採算性は大幅に向上しています。

リーマンショックで原油価格が40ドルまで暴落するも、2011年は110ドルまで急上昇していました。この時のシェールガスの生産コストは、80〜120ドルと言われていましたね。しかしながら、技術革新によりコスト削減が進み、17年には35ドル前後まで落ちています

これだけ生産コストが低いと、ロシアやインドネアシアと大差がない水準です。

シェールガスやオイルは、生産コストが高いから競争力がないと言われてたのは昔の時代です。ハイテクによる技術革新と効率化経営が進めば、さらに削減できる余地もあります。

米国は天然ガスの輸出量を今後も増やす事が見込まれます。

注目4:貿易摩擦でもLNG輸出量は前年比63%増?

参考:米国のエネルギー政策の動向とその行方

米国は2016年に、中南米向けにLNGの輸出を開始しています。天然ガス(LNG)の輸出量は増加傾向にあり、2020年にはエネルギーの純輸出大国になります

米中貿易摩擦の影響で、中国のLNG輸出はゼロになりました。しかしながら、中国の穴を埋める形で、欧州や中南米の輸出量が急増しています。2019年第2四半期は、対前年同期比で63%増を記録していますアジアでは日本、台湾、韓国、インド向けの輸出が多いですね。

欧州向けの輸出が増えてる理由は、欧州諸国はロシアの天然ガス依存度を減らしたいからです。米国の輸出先は、経済成長著しいアジアや中南米が多く、今後も増加する事が予想できますね。また、中国との貿易摩擦が緩和されたら、さらに輸出量は増えるかもしれません。

では、天然ガスを生産するレンジリソースの売上高はどのように推移してるでしょうか?

注目5:コロナで売上高は前年比32%まで減少?

売上高推移を見ると、2018年をピークに下降している事が分かります。

2017年と18年は高い成長率で、売上高が上昇していますね。しかしながら、19年1Q以降は成長率が大きく低下し、2Qになるとマイナス成長まで落ち込みます。コロナ環境下では、マイナス30%前後まで落ちていますね

19年に成長率が落ちた理由は、世界の経済成長が鈍化したからです。

19年1月にWTI原油も天然ガスも大きく急落しています。原油や天然ガスの需要が落ち込めば、シェールオイル やガスの生産量も落ちます。19年の経済減速と20年のコロナで、経営破綻したシェール企業も少なくありません(参考:米石油企業破綻、29社に倍増)。

注目6:20年9月の配当利回りは2.06%しかない?

エネルギー株の多くは、高配当株として高い人気を誇ります。

しかしながら、経営難に苦しむレンジリソースは、減配傾向にある点に注意が必要です。業績悪化を受けて、2016年と20年に大きく減配していますね。20年9月の配当性向は10%未満、年間配当利回りは2.06%です

低迷が続けば、配当が終了する可能性もあります。

投資家はレンジリソース株を購入するべきか?

レンジリソース株に投資すべきでない理由は...
  1. 15年の原油暴落を乗り切るも、19年は再び売上高が低迷する
  2. 営業利益率は18年に20%を超えるも、−10%まで転落する
  3. 18年以降は、業績が低迷し純損失が拡大傾向にある
  4. 20年の純損失額は、売上高と同じ水準まで上昇してる
  5. 過去10年間で、フリーCFが黒字化した事はない
  6. シェール企業は、生産量を増やせば原油やガス価格を低迷させる
  7. コロナによる原油暴落で、破産するシェール企業が増えている
  8. シェール生産社よりも、輸送やパイプラインの方が安全に投資できる

シェール革命とその後の技術革新で、米国内のシェールオイルやガスの生産量は増加傾向にあります。米国は天然ガス輸出で世界4位だが、近い将来にロシアを抜くほど著しく成長していますね。また、レンジリソースは、シェール生産量が急増している地域に油田を持ちます

しかしながら、個人的にはレンジリソース株は保有したい銘柄ではありません。

なぜならば、売上高がピーク値に付けた18年から、純損失額が大きく膨らんでいるからです。20年の営業利益率はマイナス10%まで悪化し、純損失額は売上高と同じ水準まで拡大しています採算コストを改善しても、資源価格が下がれば業績は大きく落ち込みますね。

シェール企業は生産量を増やすほど、市場価格の低迷を招くジレンマに陥っています。業績は常に安定せず、資源価格のリスクを常に受け、全体的に儲かりにくいビジネスだと分かりますね。レンジリソースは、過去10年間で1度もキャッシュフローの黒字化に成功していません

シェール企業に投資するならば、LNG輸出やパイプラインを保有する会社に投資した方が安全です。

まとめ:レンジリソース(RRC)の四半期決算は?

レンジリソース株の特徴は...
  1. 1976年に設立された、独立系エネルギー会社である
  2. 天然ガスの割合が6割を占め、シェールガスの開発や生産会社
  3. 生産量が急増してるアパラチア地域にシェールガス田を持つ
  4. 15年の原油暴落も、すぐに持ち直し18年にピークを付ける
  5. 原油と天然ガスが再び19年に低迷し、業績は悪化している
  6. マイナス成長率が続き、コロナで20年は−30%に落ち込む

シェール革命とその後の技術革新で、米国内のシェールオイルやガスの生産量は増加傾向にあります。米国は天然ガス輸出で世界4位だが、近い将来にロシアを抜くほど著しく成長していますね。また、レンジリソースは、シェール生産量が急増しているアパラチア地域に油田を持ちます。

しかしながら、個人的にはレンジリソース株は保有したい銘柄ではありません。

なぜならば、シェール企業は生産量が増えても、利益が薄く儲からないビジネスモデルだからですアパラチア地域にガス田を保有し、15年の原油暴落による低迷からいち早く回復しています。しかしながら、18年に売上高がピークを付けるも、その後は純損失額が大きく膨らみます

20年の営業利益率は−10%で、純損失額は売上高と同水準です。さらには、フリーCFは過去10年間で1度も黒字化した事はありません

シェール企業に投資するならば、輸送やパイプラインに投資した方が安全だと分かります。

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