シェブロンの四半期決算|配当7.6%でも避けるべき理由は?

コロナによる原油価格暴落を見込んで、高配当かつ割安のシェブロンを購入する投資家が増えていますね。確かに、経済が再開し原油価格が回復すれば、確実に利益を得られる投資だと言えます。しかしながら、シェブロンに投資すれば本当に利益を得られるのでしょうか?

  • 「世界各国の経済活動再開で、石油企業は必ず利益を得られる…」
  • 「コロナによる株価暴落で、配当利回りが7.6%まで高騰している…」
  • 「18年の商品サイクルが一巡し、原油は25年にピークを付けるはずだ…」

結論から伝えると、シェブロンに投資しても利益を得られる可能性は低いですそれは、バークシャーハサウェイ率いるバフェットが、配当利回り7.6%のシェブロンではなくサンコアエナジー株(カナダ)を購入した事からも明らかです。

シェブロンを購入すべきでない理由は、コロナ以前から業績が低迷しているからです。

コロナによる原油価格暴落を理由に、業績が悪化したエネルギー企業は多いですね。しかしながら、米国2番手のシェブロンは11年以降から縮小し、19年には44%も売上高が縮小しています売上高が縮小する上に、営業利益率も5%未満と低水準が続いています。

米国の石油会社に投資するならば、シェブロンよりもエクソンモービルにすべきです。

なぜならば、事業内容は同じでもエクソンモービルの方が、コロナから早く持ち直しています。また、両企業とも高配当銘柄だが、エクソンモービルの方が9.6%と高いですね。株高でも高配当でも、優位性がないシェブロン に投資するメリットはなさそうです。

シェブロン株の投資判断したい人向け
  1. シェブロン株の4半期決算(2020年4-6月)は?
  2. シェブロン株の過去10年間の売上高や営業利益は?
  3. 18年の商品サイクルで、2025年に株価は5倍以上になる?

シェブロン(CVX)の四半期決算は?

シェブロンの四半期決算を紹介します。

第1Q決算(2020年3月31日)

第1Q決算の内容は...
  1. 売上高:315億ドル(前年比−11%)
  2. 営業利益:41.4億ドル(前年比+4%)
  3. 純利益:35.8億ドル(前年比+35%
  4. 1株当たり利益:1.93ドル(前年比+38%

第2Q決算(2020年6月30日)

第2Q決算の内容は...
  1. 売上高:134億ドル(前年比−66%)
  2. 営業利益:−105億ドル(前年度59.3億ドル)
  3. 純利益:−82億ドル(前年度43.05億ドル
  4. 1株当たり利益:−4.44ドル(前年度0.73ドル

シェブロン は、1926年に設立された石油企業です。エクソンモービルに次ぐ、米国2番手の石油メジャーですね。石油事業は原油・天然ガスの生産のほか、石油精製品の販売に加え、原油や天然ガスのパイプライン輸送を手掛ける総合エネルギー企業です。

コロナ危機による原油価格の暴落で、全ての石油企業は業績が低迷しています

20年2Qの売上高は前年比66%減で134億ドル、営業利益は105億ドルの赤字です20年1Qよりも、業績が大きく低迷している事が分かります。しかしながら、世界経済が20年4〜6月期が最悪期であるならば、3Q以降は回復する可能性が高いです。

第3Q決算(2020年11月)

2020年11月に公開予定。

では、シェブロンの売上高や営業利益の10年間の推移はどうでしょうか?

シェブロン(CVX)の10年間の損益計算書は?

シェブロンは、原油価格が高騰した2008年に97ドル、14年に最高値130ドルを付けました。しかしながら、その後に株価は低迷し続けています。さらには、コロナ危機による原油価格暴落で、75ドル前後で推移しています。

では、シェブロンの損益計算書やキャッシュフローを紹介します。

その1:売上高と営業利益の10年間の推移は?

過去10年間のシェブロンの決算書を見ると、売上高も営業利益率も大きく低迷している事が分かります。2019年時点で売上高は11年比で44%も縮小し、営業利益率は5%前後しかありません。15年、16年と赤字に陥った理由は、原油価格が暴落したからですね。

原油価格に依存するエクソンモービルとほぼ同じ業績内容です。しかし、エクソンモービルは赤字に陥らずに耐えているため、危機に強いのはエクソンモービルですね

その2:BPSとEPSの10年間の推移は?

過去10年間のBPS(1株あたり純資産)を見ると、高配当ながらもしっかりと資産を残している事が分かります。しかしながら、EPS(1株あたり純利益)は、縮小傾向にある点は注意が必要ですね特に、原油価格が低迷した16年や20年に大きく落ち込んでいます。

その3:営業CFと投資CFの10年間の推移は?

シェブロン は13〜16年で、フリーCF(営業CF−投資CF)がマイナスに落ち込んでいます。しかしながら、17年以降は再び黒字化に成功していますね。CF決算書を見ると、売上高縮小に合わせて設備投資を抑制している事が分かりますね。

黒字化体質に転換した点は評価できるが、今後も売上高を伸ばすのは難しそうですでは、私たち投資家はシェブロン株をどのように判断すれば良いのでしょうか?

シェブロンに投資する上で注目ポイントは?

シェブロンに投資する上での注目ポイントを紹介します。

注目1:米国シェブロンは世界12位の石油生産者?

参考:石油業界の世界ランキング

世界の石油業界大手の石油生産量のランキングです。

エクソンモービルは米国で最大手、世界で7番目の石油会社です。米国2番手のシェブロンは、世界で12番手にランクインしています1〜6位は中東系の国営企業がランクインしているため、シェブロンは実質世界5位の民間石油会社ですね。

一昔前は、エクソンモービルとシェブロン、トタル(仏国)、BP(英国)などの欧米企業が市場を支配していました。しかしながら、現在はサウジアラムコをはじめとする中東の国営企業が上位を占めています。

では、シェブロン の事業別の売上高を見てみましょう。

注目2:石油探査・開発の海外事業が利益の6割を占める?

事業別利益 19Q2 20Q1 20Q2
川上事業 米国 896 241 -2066
海外 2587 2679 -4023
川下事業 米国 465 450 -988
海外 264 653 -22
その他 93 -424 -1171
合計 4305 3,599 -8270

事業内容は、米国最大手のエクソンモービルとほぼ同じです。

川上事業(Upstream)は原油の探鉱や開発をおこない、川上事業(Downstream)は石油の精製や販売を行い、化学事業は石油化学製品を扱う事業です。シェブロンの強みは、資源の探査・開発(川上)から石油製品の製造・販売(川下)まで一貫して行うビジネスモデルです

事業別の利益を見ると、石油探査・開発の海外事業が利益の6割を占めています。

しかしながら、石油探査・開発事業は、原油価格の影響を大きく受けます。コロナで原油価格が暴落した状況では、特に赤字幅が拡大していますね。また、コロナの感染者が8月でも沈静しない米国は、川下の石油販売事業も大きくマイナスでした。

エクソンモービルと同じ事業内容だが両社を比較すると、シェブロンの方が立ち直りが遅いです。

注目3:海外の天然ガス生産量が右肩上がりに増加?

参考:annual report

シェブロンの原油と天然ガスの生産量です。

原油では、米国内の生産量が海外に対して増加しています。対して、天然ガスは、海外の生産量が大きく増加していますねこれは、米国内で発展した採掘技術を海外に持ち込む事で、生産量を大きく増加させている事が予想できます。

天然ガスは原油よりも安価で環境にもやさしいため、消費量が増えてるエネルギーですね。コロナ危機が起きる2019年までは、順調に生産していた事も分かります。

注目4:米国のシェール生産コストは23ドルしかない?

参考:Barrel Breakdown

技術革新によって、米国は1バレルあたりの生産コストが減少傾向にあります。

世界で最も生産コストが高い国は、北海油田があるイングランドで44ドルです。米国のシェール関連の生産コストは23ドル、シェール以外の生産コストは20ドルだけです意外かもしれないが、実はインドネシアやロシアの生産コストと大きくは変わりません。

米国の石油生産コストは、ブラジルやナイジェリアよりも低く有利です。

しかしながら、米国のシェール関連企業の多くは社債額(借金)が大幅に上昇し、経営破綻する会社も少なくありません生産コストは十分安いのに、倒産する企業が増えているのは矛盾しますよね。米国のシェール革命は両極端の意見が多く、専門家でも評価が別れます。

参考:Producers’ responses to lower oil prices

しかしながら、今後の商品高騰時代を考えれば、個人的には石油会社を楽観的に見ています。シェールガスが原油価格を抑制しているが、世界的な流れではインフレ(ドル安)が進み新興国を中心に石油の需要は増加する一方だからです。

注目5:世界の原油消費量は新興国で拡大し続けてる?

参考:エネルギー需給の概要等(資源エネルギー庁)

日本に住んでいると、石油の消費量が増えていることを実感しにくいです。

なぜならば、米国、欧州、日本などのOECDに加盟する先進国では、実際に石油消費量は微増だからです。関西電力のエネルギー予想では、2040年予想でもOECD諸国の消費量は増えていません(参考:増え続ける世界のエネルギー消費量)。

消費量が増えない理由は、技術革新による低燃費や電気自動車の普及が増えてるからです。しかしながら、先進国以外のアジア、アフリカ、中南米、中東では拡大し続けています

OECD諸国の原油消費量の割合は、70%から40%まで低下しました。関西電力の予想によると、2040年には中国が1.3倍、インドが2.4倍、世界で1.3倍の石油を消費すると言います先進国以外では、現在も人口が爆発的に増え続けているからです。

また、商品サイクルは18年周期で動くため、2025年にはピーク値を付ける可能性もあります。

注目6:原油価格は18年の商品サイクルで高騰する?

参考:comparison of commodity and equity valuations 1970-2017

原油の低価格で株価が暴落してるが、この先原油価格が高騰する可能性もあります。

株式市場と商品価格は負の相関関係があり、18年周期でトレンドが変わると言われています。過去に商品価格が高騰したのは、1973年のオイルショック、90年の湾岸戦争、2008年のリーマンショック前です。08年には原油価格は140ドルまで暴騰しています。

このトレンドが歴史的に繰り返すならば、商品価格は2025年前後に最高値をつけると予想できますもちろん、必ずしも過去と同じ道を辿る保証はないですね。

しかしながら、現在の状況は商品価格高騰(インフレ)の前触れとも言えます。08年以降の大規模な金融緩和、世界中でコロナによる給付金のバラマキ、先進国の歴史的な超低金利、新興企業の長い不況期など、トレンドが変わる転換点に来ています。

バークシャーハサウェイ率いるバフェットは、インフレにヘッジする銘柄を購入しています。

バフェットは、金鉱株や商社株の他に、エネルギー総合企業であるカナダのサンコアエナジーも購入しています。19年2月に1080万株(時価総額330億円)購入しました。また、20年8月にも買い増し合計で1920万株、発行済み株式の1.8%を保有しています。

参考:Berkshire Switches Bets on Banks, Adds Wager on Barrick Gold

歴史は繰り返す保証はないが、そうなっても困らない安全な投資をしています

注目7:20年8月の配当利回りは6.7%を超える?

シェブロン は、高配当株として高い人気を誇ります。

1988年に配当を開始し、以降は一貫して増配を続けています。2019年の配当性向は67%と高く、コロナ環境下でも高配当を維持しています。そのため、20年8月の配当利回りは6.7%まで上昇しています

投資家はシェブロン株を購入するべきか?

シェブロン株に投資すべきでない理由は...
  1. コロナ以前から、売上高は11年比較で44%も減少してる
  2. 営業利益率が低く、15年以降は5%未満で推移している
  3. 18年の原油高でも、営業利益率は8%しかない
  4. 石油探索や開発の利益が75%で、原油価格の影響を受け易い
  5. 売上高は縮小傾向にあり、設備投資などの投資CFも縮小してる
  6. コロナからの回復が、エクソンモービルより遅れている
  7. 事業内容が同じでも、配当はエクソンモービルより2〜3%低い

シェブロンは、配当目的ならば長期で保有したい銘柄です。しかしながら、原油価格が回復し株高を狙うのであれば、避けた方が良い銘柄かもしれません。

避けるべき最大の理由は、コロナ以前から業績が大きく低迷しているからです

シェブロンの売上高は、2011年から減少を始め19年には44%も縮小しています。さらに、コロナによる原油価格暴落の影響で、20年は19年比で54%の縮小です。事業縮小に伴い営業利益率も5%未満に下落しています。

18年の原油高でも営業利益率は8%で、全体的に利益率が低い体質だと言えます。

業界最大手のエクソンモービルと比較すると、2番手は優位性に欠けますね。事業内容はほぼ同じだが、エクソンモービルの方が少し早く持ち直しています。また、両企業とも高配当銘柄だが、エクソンモービルの方が業績低迷で9.6%と高いですね

同じ事業内容であれば、エクソンモービルに優位性があります。

また、コロナ以前の原油価格回復と商品高騰に賭けるなら、バフェットが投資しているサンコアエナジー の方が良いですね。サンコアエナジー は営業利益率やフリーCFが高く、安心して投資できる数少ない石油企業です。

参考:サンコアエナジーの四半期決算|バフェットも商品高騰にヘッジ

まとめ:シェブロン(CVX)の四半期決算は?

シェブロン株の特徴は...
  1. 1926年に設立された米国2番手の総合エネルギー会社である
  2. 石油や天然ガスの炭鉱や開発、精製や販売、輸出まで全てを手掛ける
  3. 2008年以降は低迷を続け、売上高は縮小傾向にある
  4. 営業利益率が低く、15年以降は5%未満で推移している
  5. 炭鉱や開発(開発)の利益は75%で、原油価格の影響を大きく受ける
  6. シェールガス 事業は、社債額が膨らみ破綻する会社も多い
  7. 売上高縮小に合わせて、設備投資などの投資CFも抑制している

結論から伝えると、シェブロンに投資しても利益を得られる可能性は低いですそれは、バークシャーハサウェイ率いるバフェットが、配当利回り7.6%のシェブロンではなくサンコアエナジー株(カナダ)を購入した事からも明らかです。

シェブロンを購入すべきでない理由は、コロナ以前から業績が低迷しているからです。

コロナによる原油価格暴落を理由に、業績が悪化したエネルギー企業は多いですね。しかしながら、米国2番手のシェブロンは11年以降から縮小し、19年には44%も売上高が縮小しています売上高が縮小する上に、営業利益率も5%未満と低水準が続いています。

米国の石油会社に投資するならば、シェブロンよりもエクソンモービルにすべきです。

なぜならば、事業内容は同じでもエクソンモービルの方が、コロナから早く持ち直しています。また、両企業とも高配当銘柄だが、エクソンモービルの方が9.6%と高いですね。株高でも高配当でも、優位性がないシェブロン に投資するメリットはなさそうです。

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