エクソンモービルの四半期決算|配当9%でも避けるべき理由は?

コロナによる原油価格暴落を見込んで、高配当かつ割安のエクソンモービルを購入する投資家が増えていますね。確かに、経済が再開し原油価格が回復すれば、確実に利益を得られる投資だと言えます。しかしながら、エクソンモービル を投資すれば本当に利益を得られるのでしょうか?

  • 「世界各国の経済活動再開で、石油企業は必ず利益を得られる…」
  • 「コロナによる株価暴落で、配当利回りが9.4%まで高騰している…」
  • 「18年の商品サイクルが一巡し、原油は25年にピークを付けるはずだ…」

結論から伝えると、エクソンモービルに投資しても利益を得られる可能性は低いですそれは、バークシャーハサウェイ率いるバフェットが、配当利回り9.4%のエクソンモービルではなくサンコアエナジー株(カナダ)を購入した事からも明らかです。

エクソンモービルを購入すべきでない理由は、コロナ以前から業績が低迷しているからです

コロナによる原油価格暴落を理由に、業績が悪化したエネルギー企業は多いですね。しかしながら、エクソンモービルの事業は11年以降から縮小し、19年には46%も売上高が減っています。売上高が縮小する上に、営業利益率も5%未満と低水準が続いています。

エクソンモービルが低迷する原因は、米国のシェール革命が原因です

シェール革命に遅れて参入したエクソンモービルだが、設備投資が膨らむため利益を出すのが難しいです。財務基盤が弱い中規模シェール企業は、社債額が膨らみ破綻する会社も少なくありません。投資CFが膨らんできる理由は、シェール事業のコスト高が影響しています。

以上を考えると、エクソンモービルよりもサンコアエナジーの方が安心して投資できそうです。

エクソンモービル株の投資判断したい人向け
  1. エクソンモービル株の4半期決算(2020年4-6月)は?
  2. エクソンモービル株の過去10年間の売上高や営業利益は?
  3. 18年の商品サイクルで、25年に株価は5倍以上になる?

エクソンモービル(XOM)の四半期決算は?

エクソンモービルの四半期決算を紹介します。

第1Q決算(2020年3月31日)

第1Q決算の内容は...
  1. 売上高:561億ドル(前年比−12%)
  2. 営業利益:−2.5億ドル(前年度42.8億ドル)
  3. 純利益:−6.1億ドル(前年度23.5億ドル
  4. 1株当たり利益:−0.14ドル(前年度0.55ドル

第2Q決算(2020年6月30日)

第2Q決算の内容は...
  1. 売上高:326億ドル(前年比−53%)
  2. 営業利益:−16.4億ドル(前年度46.3億ドル)
  3. 純利益:−10.8億ドル(前年度31.3億ドル
  4. 1株当たり利益:−0.26ドル(前年度0.73ドル

エクソンモービル は、1999年にエクソンとモービルが合併した会社です。両社は100年以上の歴史があり、ともに第二次世界大戦後から1960年代まで、石油の生産をほぼ独占状態に置いてました。原油と天然ガスの探鉱と生産、それから製造から輸送まで全てを手掛ける垂直統合です

コロナ危機による原油価格の暴落で、全ての石油企業は業績が低迷しています。

20年2Qの売上高は前年比53%減で326億ドル、営業利益は16.4億ドルの赤字です。20年1Qよりも、業績が大きく低迷している事が分かります。しかしながら、世界経済が20年4〜6月期が最悪期であるならば、3Q以降は回復する可能性が高いです。

第3Q決算(2020年11月)

2020年11月に公開予定。

では、エクソンモービルの売上高や営業利益の10年間の推移はどうでしょうか?

エクソンモービルの10年間の損益計算書は?

エクソンモービル は、原油価格が高騰した2008年に85ドル、14年に最高値103ドルを付けました。しかしながら、その後に株価は低迷し続けています。さらには、コロナ危機による原油価格暴落で、35ドル前後で推移しています。

では、エクソンモービルの損益計算書やキャッシュフローを紹介します。

その1:売上高と営業利益の10年間の推移は?

過去10年間のエクソンモービルの決算書を見ると、売上高も営業利益率も大きく低迷している事が分かります。2019年時点で売上高は11年比で46%も縮小し、営業利益率は5%前後しかありません。コロナで原油価格が暴落した20年は、さらに低迷する事が既定路線となっています。

その2:BPSとEPSの10年間の推移は?

過去10年間のBPS(1株あたり純資産)を見ると、高配当ながらもしっかりと資産を残している事が分かります。しかしながら、EPS(1株あたり純利益)は、縮小傾向にある点は注意が必要ですね特に、原油価格が低迷した16年や20年に大きく落ち込んでいます。

その3:営業CFと投資CFの10年間の推移は?

営業CFは縮小傾向にあるが、フリーCF(営業CF−投資CF)は常に黒字に推移する安定経営だと言えます。フリーCFが低下した15年や20年は、原油安による影響を受けたからです。なた、18年や19年で営業CFが増加した理由は、シェール関連の投資が増えたからかもしれません

では、私たち投資家はエクソンモービル をどのように判断すれば良いのでしょうか?

エクソンモービルに投資する上で注目ポイントは?

エクソンモービルに投資する上での注目ポイントを紹介します。

注目1:米国エクソンモービルは世界7位の石油生産者?

参考:石油業界の世界ランキング

世界の石油業界大手の石油生産量のランキングです。

エクソンモービルは米国で最大手、世界で7番目の石油会社です。1〜6位は中東系の国営企業がランクインしているため、実質世界1位の民間石油会社だと言えます。米国2番手のシェブロンは、世界で12番手にランクインしています。

一昔前は、エクソンモービル、トタル(仏国)、BP(英国)などの欧米企業が市場を支配していました。しかしながら、現在はサウジアラムコをはじめとする中東の国営企業が上位を占めています。

では、エクソンモービルの事業別の売上高を見てみましょう。

注目2:石油製品の製造販売が売上高の8割を占める?

事業別 年間売上高(億ドル) 割合
川上事業 231億ドル 9%
川下事業 2049億ドル 80%
化学事業 274億ドル 10%
金融事業 0.41億ドル 0%
合計 2554億ドル

エクソンモービルは、大きく分けて4つの事業で成り立ちます。

川上事業(Upstream)は原油の探鉱や開発をおこない、川上事業(Downstream)は石油の精製や販売を行い、化学事業は石油化学製品を扱う事業です。エクソンモービルの強みは、資源の探査・開発(川上)から石油製品の製造・販売(川下)まで一貫して行うビジネスモデルです。

事業別の売上高を見ると、精製や販売を行う川上事業が売上高の8割を占めます。

川上事業や化学事業は、共に10%未満の売上高しかありません。しかしながら、利益の9割以上は川上事業で得られていますでは、事業別の利益はどのように推移しているのでしょうか?

注目3:石油探査・開発の海外事業が利益の9割を占める?

事業別利益 19Q2 20Q1 20Q2
川上事業 米国 335 -704 -1197
海外 2926 1240 -454
川下事業 米国 310 -101 -101
海外 141 -510 1077
化学事業 米国 -6 288 171
海外 194 -144 296
金融部門 -770 -679 -872
合計 3130 -610 -1080

エクソンモービルの20年Q2の事業別利益と前年度比較です。

19年Q2の利益を見ると、海外の川上事業が全体の9割以上を稼いでいる事が分かりますね。一方で売上高の8割を占める川下事業は、10%前後しかありません。石油探査や開発(川上)は、原油価格が高ければ大きく儲かる一方で、価格が下落すれば業績が悪化します。

20年4月には、コロナで原油価格が20ドルまで暴落しました。

原油価格の暴落を受けて、川上事業が大きく打撃を受けている事が分かりますね。一方で、原油価格が暴落する中でも、海外の川上事業が好調である事が分かります。これは、米国や欧州よりも中国を含むアジア圏の方が早く景気回復しているからですね。

では、エクソンモービル は石油や天然ガスをどのような割合で生産しているでしょうか?

注目4:米国の天然ガス生産量が33%を占める?

生産高 1日生産量 1日生産量
原油(kbd) 割合 天然ガス(mcfd) 割合
米国 628 27% 2642 33%
カナダ(北米、南米) 483 20% 269 3%
ヨーロッパ 31 1% 619 7%
アフリカ 333 14% 4 0%
アジア 783 33% 3218 40%
オーストラリア、オセアニア 48 2% 1238 15%
合計 2306 7990

エクソンモービルは、米国では原油よりも天然ガスの生産量の方が多いです。

米国でシェールガスの割合は増え続け、2018年には天然ガスの6割がシェールガスによる生産です。しかしながら、シェール革命が言われ始めた2007年頃、エクソンモービル は積極的に投資していません。長期採掘計画を立てるため、サイクル期間が短いシェールガスは相性が悪かったからです。

しかしながら、現在はシェール企業を買収する事で生産量を増やしています

エクソンモービルで石油の生産量が高いのはアジア、天然ガスの割合が高いのは米国とアジアです。米国の天然ガスは、6割前後がシェール関連による生産だと想像できます

技術開発が進む米国では、年々1バレル当たりの生産コストが下がっています。

注目5:米国のシェール生産コストは23ドルしかない?

参考:Barrel Breakdown(March 2016)

技術革新によって、米国は1バレルあたりの生産コストが減少傾向にあります。

世界で最も生産コストが高い国は、北海油田があるイングランドで44ドルです。米国のシェール関連の生産コストは23ドル、シェール以外の生産コストは20ドルだけです意外かもしれないが、実はインドネシアやロシアの生産コストと大きくは変わりません。

米国の石油生産コストは、ブラジルやナイジェリアよりも低く有利です。

しかしながら、米国のシェール関連企業の多くは社債額(借金)が大幅に上昇し、経営破綻する会社も少なくありません生産コストは十分安いのに、倒産する企業が増えているのは矛盾しますよね。米国のシェール革命は両極端の意見が多く、専門家でも評価が別れます。

参考:Producers’ responses to lower oil prices

しかしながら、今後の商品高騰時代を考えれば、個人的には石油会社を楽観的に見ています。シェールガスが原油価格を抑制しているが、世界的な流れではインフレ(ドル安)が進み新興国を中心に石油の需要は増加する一方だからです。

注目6:世界の原油消費量は新興国で拡大し続けてる?

参考:エネルギー需給の概要等(資源エネルギー庁)

日本に住んでいると、石油の消費量が増えていることを実感しにくいです。

なぜならば、米国、欧州、日本などのOECDに加盟する先進国では、実際に石油消費量は微増だからです。関西電力のエネルギー予想では、2040年予想でもOECD諸国の消費量は増えていません(参考:増え続ける世界のエネルギー消費量)。

消費量が増えない理由は、技術革新による低燃費や電気自動車の普及が増えてるからです。しかしながら、先進国以外のアジア、アフリカ、中南米、中東では拡大し続けています

OECD諸国の原油消費量の割合は、70%から40%まで低下しました。関西電力の予想によると、2040年には中国が1.3倍、インドが2.4倍、世界で1.3倍の石油を消費すると言います先進国以外では、現在も人口が爆発的に増え続けているからです。

また、商品サイクルは18年周期で動くため、2025年にはピーク値を付ける可能性もあります。

注目7:原油価格は18年の商品サイクルで高騰する?

参考:comparison of commodity and equity valuations 1970-2017

原油の低価格で株価が暴落してるが、この先原油価格が高騰する可能性もあります。

株式市場と商品価格は負の相関関係があり、18年周期でトレンドが変わると言われています。過去に商品価格が高騰したのは、1973年のオイルショック、90年の湾岸戦争、2008年のリーマンショック前です。08年には原油価格は140ドルまで暴騰しています。

このトレンドが歴史的に繰り返すならば、商品価格は2025年前後に最高値をつけると予想できますもちろん、必ずしも過去と同じ道を辿る保証はないですね。

しかしながら、現在の状況は商品価格高騰(インフレ)の前触れとも言えます。08年以降の大規模な金融緩和、世界中でコロナによる給付金のバラマキ、先進国の歴史的な超低金利、新興企業の長い不況期など、トレンドが変わる転換点に来ています。

バークシャーハサウェイ率いるバフェットは、インフレにヘッジする銘柄を購入しています。

バフェットは、金鉱株や商社株の他に、エネルギー総合企業であるカナダのサンコアエナジーも購入しています。19年2月に1080万株(時価総額330億円)購入しました。また、20年8月にも買い増し合計で1920万株、発行済み株式の1.8%を保有しています。

参考:Berkshire Switches Bets on Banks, Adds Wager on Barrick Gold

歴史は繰り返す保証はないが、そうなっても困らない安全な投資をしています。

注目8:20年8月の配当利回りは9%を超える?

エクソンモービル は、高配当株として高い人気を誇ります。

1982年に配当を開始し、以降は一貫して増配を続けています。2019年の配当性向は98%もあり、コロナ環境下でも高配当を維持しています。そのため、20年8月の配当利回りは9.4%まで上昇しています

投資家はエクソンモービル株を購入するべきか?

エクソンモービルに投資すべきでない理由は...
  1. コロナ以前から、売上高は11年比較で46%も減少してる
  2. 営業利益率が低く、15年以降は5%未満で推移している
  3. 18年の原油高でも、営業利益率は8%しかない
  4. 精製販売(川下)の売上が9割だが、利益は10%未満しかない
  5. 炭鉱や開発(川上)の利益は9割だが、原油価格の影響を大きく受ける
  6. シェールガス 事業は、社債額が膨らみ破綻する会社も多い
  7. 投資CFが増加傾向にあり、コロナ以前から利益を圧迫してる

エクソンモービル は、配当目的ならば長期で保有したい銘柄です。しかしながら、原油価格が回復し株高を狙うのであれば、避けた方が良い銘柄かもしれません。

避けるべき最大の理由は、コロナ以前から業績が大きく低迷しているからです

エクソンモービルの売上高は、2011年から減少を始め19年には46%も縮小しています。さらに、コロナによる原油価格暴落の影響で、20年は11年比で55%の縮小です。事業縮小に伴い営業利益率も5%前後まで下落しています。

18年の原油高でも営業利益率は8%で、利益率が低い体質だと言えます。

また、米国内ではリスクが高いシェール関連の生産量が多い事も懸念材料です。設備投資が膨大に必要なシェール事業は、社債額が大幅に膨らみ経営破綻する会社も少なくありません。財務的にはエクソンモービル は安泰だが、シェール事業が利益を蝕んでいる可能性もあります

コロナ以前の原油価格回復と商品高騰に賭けるならば、バフェットが投資しているサンコアエナジー の方が良いですね。サンコアエナジー は営業利益率やフリーCFが高く、安心して投資できる数少ない石油企業です。

参考:サンコアエナジーの四半期決算|バフェットも商品高騰にヘッジ

まとめ:エクソンモービル(XOM)の四半期決算は?

エクソンモービル株の特徴は...
  1. エクソンとモービルが1991年に経営統合した石油会社
  2. 両企業は100年以上の歴史あり、かつて石油を独占していた会社
  3. 石油や天然ガスの炭鉱や開発、精製や販売、輸出まで全てを手掛ける
  4. 2008年以降は低迷を続け、売上高は縮小傾向にある
  5. 営業利益率が低く、15年以降は5%未満で推移している
  6. 精製販売(川下)の売上が9割だが、利益は10%未満しかない
  7. 炭鉱や開発(開発)の利益は9割だが、原油価格の影響を大きく受ける
  8. シェールガス 事業は、社債額が膨らみ破綻する会社も多い
  9. 投資CFが増加傾向にあり、コロナ以前から利益を圧迫してる

結論から伝えると、エクソンモービルに投資しても利益を得られる可能性は低いですそれは、バークシャーハサウェイ率いるバフェットが、配当利回り9.4%のエクソンモービルではなくサンコアエナジー株(カナダ)を購入した事からも明らかです。

エクソンモービルを購入すべきでない理由は、コロナ以前から業績が低迷しているからです

コロナによる原油価格暴落を理由に、業績が悪化したエネルギー企業は多いですね。しかしながら、エクソンモービルの事業は11年以降から縮小し、19年には46%も売上高が減っています。売上高が縮小する上に、営業利益率も5%未満と低水準が続いています。

エクソンモービルが低迷する原因は、米国のシェール革命が原因です

シェール革命に遅れて参入したエクソンモービルだが、設備投資が膨らむため利益を出すのが難しいです。財務基盤が弱い中規模シェール企業は、社債額が膨らみ破綻する会社も少なくありません。投資CFが膨らんできる理由は、シェール事業のコスト高が影響しています。

以上を考えると、エクソンモービルよりもサンコアエナジーの方が安心して投資できそうです。

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