バラードパワーの四半期決算|水素銘柄でも危ない理由は?

欧州や米国ではクリーンエネルギー対策で国債を発行し、EVや燃料電池がブームになりつつあります。バラードパワーは、公共交通機関やフォークリフト用の燃料電池を開発するカナダ企業です。しかしながら、バラードパワーの決算書を見ると、投資するべきではない銘柄だと分かります

  • 「エネルギー対策で米国で2兆ドル、燃料電池に投資した方が良い…」
  • 「コロナでも燃料電池の需要は高く、株価は2倍に暴騰した…」
  • 創業以来1度も黒字化してないが、21年には株価が10倍になるかも…

電気自動車や水素燃料電池は、20年で最もホットなテーマのひとつです。

ヨーロッパは「欧州復興基金」で7500億ユーロ(92兆円)、米国では脱炭素化に2兆ドル投資すると発表しましたそのため、20〜21年はEVや水素燃料への投資家加熱化する可能性が高いです。これらの対策費用のうち、3〜5割が電解槽や燃料電池に流れると言われています。

しかしながら、個人的にはバラードパワー株は投資したい銘柄ではありません。

なぜならば、1979年に創業し歴史ある会社だが、売上高は10年で1.6倍にしか増えていないからです。競合社であるプラグパワー社は、10年間で12倍に売上高を拡大しています。また、粗利益率と営業利益率も10年以上も低迷し、改善傾向にない点も大きくマイナスです

プラグパワーの売上高比率が最も高いのは中国です。そのため、欧州や米国企業がクリーンエネルギーで盛り上がっても、カナダ企業であるブラッドパワーへの投資は限定的だと思います。水素燃料に投資するならば、12倍に急成長した米国のプラグパワーの方が良いですね

バラードパワーの投資判断したい人向け
  1. バラードパワーの4半期決算(2020年4-6月)は?
  2. バラードパワーの過去10年間の売上高や営業利益は?
  3. バラードパワーよりも、米国のプラグパワー株に投資するべき?

バラードパワー(BLDP)の四半期決算は?

バラードパワーの四半期決算を紹介します。

第1Q決算(2020年3月31日)

第1Q決算の内容は...
  1. 売上高:2402万ドル(前年比+50%
  2. 営業利益:−1051万ドル(前年度−852万ドル)
  3. 純利益:−1350万ドル(前年度−1202万ドル
  4. 一株利益:−0.06ドル(前年度ー0.05)

第2Q決算(2020年6月30日)

第2Q決算の内容は...
  1. 売上高:2581万ドル(前年比+9%
  2. 営業利益:−866万ドル(前年度−459万ドル)
  3. 純利益:−1136万ドル(前年度−697万ドル
  4. 一株利益:−0.05ドル(前年度ー0.03)

バラードパワーは、交通機関やフォークリフ向けに燃料電池を開発、販売するカナダ企業です。創業は1979年と古く、燃料電池開発では老舗に当たりますね。

2Qの売上高は前年比9%増で2581万ドル、営業利益率はマイナス1136万ドルです。営業利益率はマイナス44%と、創業して以来黒字化したことはありません。ただし、水素エネルギー関連は大半が赤字経営です。環境にやさしい水素社会の実現のために、必要な企業として社会的に受け入れられてるからです。

1Qの前年比50%増に対して大きく落ち込んだ理由は、コロナによる景気後退の影響が考えられます。水素社会の需要は年々増加しているため、3Qでは再び成長率が加速する可能性は高いです。

第3Q決算(2020年10月)

2020年11月に公開予定。

では、バラードパワー社の売上高や営業利益の10年間の推移はどうなっているのでしょうか?

バラードパワー(BLDP)の10年間の損益計算書は?

2000年のネットバブルで129ドルまで上昇したが、その後は1ドル未満で放置されていた銘柄です。しかしながら、2020年に再び注目を浴び始め、コロナ後に株価は2倍の15ドルまで急上昇しています。では、過去10年間どのように成長してきたのでしょうか?

プラグパワーの損益計算書やキャッシュフローを紹介します。

その1:売上高と営業利益の10年間の推移は?

過去10年間の売上高を見ると、上げ下げしながらも売上高は上昇傾向にあります。しかしながら、営業利益と純利益は大きくマイナスですね。営業利益率は一貫性なく低く、2019年はマイナス24%です。現在の売上高や営業利益の動向を見ると、黒字化する見込みはまだまだ見えません。

その2:BPSとEPSの10年間の推移は?

過去10年間のBPS(1株あたり純資産)もEPS(1株あたり純利益)も、順調に推移しているとは言えません。全体的にバラツキが多く、成長傾向にあるとは言えないですね。

その3:営業CFと投資CFの10年間の推移は?

プラグパワーは、営業CFもフリーCF(営業CF−投資CF)も大きくマイナスです。また、フリーCFは2018年で大きく膨らみ、4200万ドルの現金が流出しています。自己資本比率は14%しかなく、倒産する可能性も否定できないですね

では、私たち投資家はバラードパワーをどのように判断したら良いのでしょうか?

バラードパワーに投資する上で注目ポイントは?

バラードパワーに投資する上で注目すべきポイントを紹介します。

注目1:2030年に流通する水素量は1500倍に増える?

2018年 2020年 2030年
水素量 0.02万トン 0.4万トン 30万トン
コスト 〜100円/Nm3 〜100円/Nm3 30円/Nm3
発電 開発段階 開発段階 17円/kWh
水素ステーション 100カ所 160カ所 900カ所
FCV(自動車) 2000台 4万台 80万台
FCバス 2台 100台 1200台
FCフォークリフト 40台 500台 1万台
家庭用燃料電池 20万台 140万台 530万台

参考:日本の国家戦略「水素エネルギー」で飛躍するビジネス: 198社の最新動向

日本を始め欧米や欧州の先進国では、水素社会の実現を国策で目指しています。

日本政府が作成したロードマップでは、2030年に水素の流通量を1500倍の30万トンを目指しています。流通量を増やす事で水素価格を押し下げ、ガソリンと同じレベルまで下げる狙いです。水素燃料で動くFCV(自動車)は、80万台を目標としています。

また、欧州や米国は、日本以上に水素社会の実現に力を入れています。

例えば、欧州は新型コロナ「欧州復興基金」向けEU共同債の資金の30%をグリーンエネルギーに投資すると言います。また、米国でバイデン大統領候補は、脱炭素化に2兆ドル投資すると言います。電気自動車や水素燃料電池に、かなりの金額が投資されますね(参考:2兆ドルのクリーンエネルギー投資計画

水素社会が注目される理由は、水素と酸素から電気を発生させても水しか排出されないからです。現在のEV車だけに頼らない理由は、電気自動車は走行距離や充電時間でデメリットがあるからです

同じ電気自動車であるEVと比較して、FCVには次の利便性があります。

  • 電気を蓄電するEVと違い、走行しながら電気を作り出せる
  • EVの走行距離は短く200km、FCVは650km走れる
  • EVは満タン充電で最大10時間、急速充電でも45分掛かる
  • 水素Stの数は少ないが、水素を補充するのに3分しか掛からない
  • 蓄電と違いバッテリーの劣化がなく、モーターも劣化しない

バラードパワーは、トラックやバス、鉄道など交通機関向けの燃料電池を開発しています。また、プラグパワーと同様に、工場向けにフォークリフト用の燃料電池も開発しています。

では、バラードパワーはどれくらい売上高を増やせているのでしょうか?

注目2:20年2Qの売上高成長率は9%だけだった?

1979年に設立した老舗企業だが、順調に成長してきた訳ではありません。

四半期毎の売上高推移を見ると、2018年と19年に大きく低迷している事が分かりますね。19年4Q以降は、水素社会の需要が高まり、50%前後の高い成長率を記録しています。しかしながら、20年2Qはコロナの影響で成長率が再び鈍化していますね。

2Qの成長鈍化がコロナによる影響ならば、20年3Qは上向く可能性が高いです。競合社であるプラグパワーが強気のガイダンスを出しているため、おそらくバラードパワーも好決算になると思います

では、粗利益率と営業利益率を見てみましょう。

注目3:2桁成長でも営業利益率は−33%もある?

流通量が少ない水素燃料は価格が高く、現時点で利益が出ないビジネスです。

バラードパワーの粗利益率を見ると20%、営業利益率はマイナス33%です。人件費や仕入れがないハイテク企業は、粗利益率で80%を超える企業も少なくありません。それでも、燃料電池事業に資金が集まる理由は、将来的には水素の価格が安くなる事が期待されているからです

しかしながら、バラードパワーの投資に関しては悲観的に見ています。なぜならば、水素の社会的な需要は上昇していても、粗利益率や営業利益率が改善傾向にないからです。毎年売上高を順調に伸ばし、利益率を改善しているプラグパワーとは対照的です

では、地域別の売上高を見てみましょう。

注目4:地域別売上高は中国が全体の43%を占める?

地域 19Q2(千ドル) 20Q2 成長率
中国 8104 11263 +38%
ヨーロッパ 11737 9004 -23%
北米 3182 3916 +23%
その他 628 1635 +160%

地域別の売上高を見ると、中国向けが全体の43%を占めます。

その次に多いのがヨーロッパ地域で、カナダを含む北米は3番手ですね。昨年比で売上高の伸び率が高いのは中国で38%、次に多いのが北米で23%です。中国でも他の先進国と同様に、水素社会の実現を国が後押ししています。中国と北米とは対照的に、ヨーロッパでは縮小傾向にありますね。

投資家はバラードパワー株を購入するべきか?

バラードパワー株を購入すべきでない理由は...
  1. 燃料電池で老舗だが、売上高は10年で1.6倍しか増えてない
  2. 競合他社である米国プラグパワーと比較して、成長率が低い
  3. 粗利益率と営業利益は低い上に、改善傾向が見られてない
  4. カナダ企業のため、米国のエネルギー投資の恩恵を受けにくい

電気や水素などのクリーンエネルギーは、最もホットな投資テーマですね。欧州や米国では、数兆ドル規模の社債を発行し電気自動車や燃料電池に流れます。

しかしながら、バラードパワー株は保有したい銘柄ではありません。

なぜならば、1979年に創業し歴史ある会社だが、売上高は10年で1.6倍にしか増えていないからです。競合社のプラグパワーは、10年間で12倍に売上高を拡大しています。また、粗利益率と営業利益率は長年低く、改善傾向にない点も大きくマイナスです

さらには、中国の売上比率が高いカナダ企業なので、欧州や米国のエネルギー投資の恩恵を受けない点もマイナスです。燃料電池に投資するのであれば、事業規模が2倍のプラグパワーを購入した方が良いですね。

まとめ:バラードパワー(BLDP)の四半期決算は?

バラードパワー株の注目ポイントは...
  1. 1979年創業で歴史があり、燃料電池を開発するカナダ企業である
  2. 2030年に流通する水素量は、1500倍に増える
  3. 売上高成長率は、競合のプラグパワーと比較して低い
  4. 2桁成長でも、粗利益率と営業利益率は改善傾向にない
  5. 中国の売上高が43%、米国や欧州のエネルギー対策の恩恵を受けにくい

電気自動車や水素燃料電池は、20年で最もホットなテーマのひとつです。

ヨーロッパは「欧州復興基金」で7500億ユーロ(92兆円)、米国では脱炭素化に2兆ドル投資すると発表しましたそのため、20〜21年はEVや水素燃料への投資家加熱化する可能性が高いです。これらの対策費用のうち、3〜5割が電解槽や燃料電池に流れると言われています。

しかしながら、個人的にはバラードパワー株は投資したい銘柄ではありません。

なぜならば、1979年に創業し歴史ある会社だが、売上高は10年で1.6倍にしか増えていないからです。競合社であるプラグパワー社は、10年間で12倍に売上高を拡大しています。また、粗利益率と営業利益率も10年以上も低迷し、改善傾向にない点も大きくマイナスです

プラグパワーの売上高比率が最も高いのは中国です。そのため、欧州や米国企業がクリーンエネルギーで盛り上がっても、カナダ企業であるブラッドパワーへの投資は限定的だと思います。水素燃料に投資するならば、12倍に急成長した米国のプラグパワーの方が良いですね

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