ザイリンクスの四半期決算|5G特需でもリスクが高い理由は?

5G銘柄として高い人気を集める半導体メーカーですね。5G向け基地局で需要が高いFPGAの市場シェア1位を獲得しています。しかしながら、中国比率が最も高く、期待される5G向けの輸出は大きく鈍化傾向にありますそれでも、5Gの期待値が高いザイリンクス株を購入するべきでしょうか?

  • 5G特需を受けるはずが、期待通り決算が伸びていかない…」
  • PERは37倍と割高だが、5Gで株価は上昇するはずだ…」
  • 「米中摩擦があるけれども、FPGAの世界的な需要な後押しするはず…」

5G銘柄として、クアルコム株と同様に注目を集める銘柄のひとつですね。FPGAで世界シェア1位のザイリンクスは、5Gの基地局向けに半導体を供給しています。

しかしながら、個人的には2020年時点でも保有したい銘柄ではありません。

なぜならば、2019年に期待されていた5G向け半導体が、米中摩擦で大きく落ち込んだからです。ザイリンクスはアジア太平洋向けの売上比率が54%と高く、中国が全体の2割を占めています。米中摩擦の影響を受けやすく、大型顧客の中国企業への輸出が禁止されました。

また、量産前の開発途上では優位性が高いFPGAも、開発が安定すると別の半導体が使用されます。5Gの基地局では、FPGAではないASICを採用する企業が増えてるとも聞きますね

30%を超える営業利益率も、徐々に低下傾向にある点も懸念材料ですね。

通信向けとは対照的に、クラウドや人工知能による需要でデータセンタ向けが急成長しています。しかしながら、データセンタ向けは売上比率が11%と低く、他の主力部門の不調を打ち消すほど強くはないです。

ザイリンクス株に投資するならば、営業利益を改善し成長軌道に乗るまで見極める必要があります。

ザイリンクス株の投資判断したい人向け
  1. ザイリンクス直近の4半期決算(2020年3〜5月)は?
  2. ザイリンクスの過去10年間の売上高や営業利益は?
  3. 5G特需の半導体メーカーだが、不確実性が高い理由は?

ザイリンクス(XLNX)の四半期決算は?

ザイリンクスの四半期の決算を紹介します。

第1Q決算(2020年6月27日)

第2Q決算の内容は...
  1. 売上高:7.27億ドル(前年同期比−15%)
  2.  産業機器、航空宇宙:3.26億ドル(−2.4%)
  3.  車載、放送、民生機器:0.89億ドル(−28.6%)
  4.  通信:2.34億ドル(−33.2%)
  5.  データセンター:0.86億ドル(+103.5%
  6.  チャンネル:−0.75億ドル(前年度−0.4億ドル)
  7. 営業利益:1.76億ドル(−34%)
  8. 純利益:0.94億ドル(−61%)
  9. 一株利益:0.38ドル(−40%)

ザイリンクスは、自社で工場を持たないファブレス半導体企業です。納入後に開発者が回路変更できるFPGAという半導体で世界シェア1位の会社です。

FPGAは5Gの基地局にも利用され、5G銘柄として人気を集めていますね。

しかしながら、1Qの決算は前年同期比に対して15%減と好調ではありません。営業利益は前年比で34%減で1.76億ドルでした。減収減益でも営業利益率は24%と高いが、2019年以前よりも低下傾向にありますね。事業別の売上高を見ると、好調なのはデータセンタ向けの半導体だけです。

航空宇宙や通信など主力2部門は、2019年以降は不調が続いています。コロナによる一時的な収益悪化もあるが、米中貿易摩擦の影響を大きく受ける銘柄でもあります。

第2Q決算(2020年9月)

2020年9月に公開予定。

では、ザイリンクスの売上高や営業利益の10年間の推移はどうでしょうか?

ザイリンクスの10年間の損益計算書は?

2008年に22ドルだったザイリンクスの株価は、2020年には4.8倍の107ドルまで急成長していますね。ザイリンクスに100万円を投資すれば、480万円まで増えていた事になります。では、過去10年間にどのように成長してきたのでしょうか?

ザイリンクスの損益計算書やキャッシュフローを紹介します。

その1:売上高と営業利益の10年間の推移は?

過去10年間の決算書を見ると、営業利益率が30%を超え高業績の会社だと分かりますね。2019年度(2018年)に売上高が伸びたのは、5G特需でFPGAの需要が増えたからです。しかしながら、その後は貿易摩擦の影響で中国向けの5G関連が落ち込み、高い利益率に陰りが見え始めています。

ザイリンクスに投資するならば、今後も高い利益率を維持できるかが焦点になりますね。

その2:BPSとEPSの10年間の推移は?

過去10年間のBPS(1株あたり純資産)とEPS(1株あたり純利益)は安定して推移しています。決算書と同様に2019年度が特に好調で、その後にEPSは少し失速気味です。5G特需で期待が高い分だけ、2020年の株価は割高に感じますね

その3:営業CFと投資CFの10年間の推移は?

営業CFとフリーCF(投資CF−営業CF)を見ると、安定して推移している事が分かりますね。外部に製造工程を委託するファブレス半導体企業は、営業CFが低い傾向にあります。米中貿易摩擦さえ乗り切れば、安定して推移しそうに見えますね

では、ザイリンクス株に投資する上で、私たち投資家はどのような点に注目すれば良いのでしょうか?

ザイリンクスに投資する上で注目ポイントは?

ザイリンクスに投資する上で、注目すべきポイントを紹介します。

注目1:「FPGA」半導体で市場シェアは49%で1位?

参考:FPGA大手買収でADAS市場攻略

半導体の種類は...
  1. CPU:プロセッサーの構成が、予め決められている
  2. FPGA:書き換え可能なメモリが含まれ、開発者が回路を柔軟に変えられる
  3. ASIC:CPUを利用するユーザーに合わせて、カスタマイズして製造する

ザイリンクスは、FPGAでシェア1位の半導体メーカーです。

FPGA(Field-Programmable Gate Array)とは、「現場で書き換え可能な論理回路の多数配列」という意味で、開発者が回路を現場で自由に書き換えられるCPUですFPGAの業界大手は2社だけで、2番手のAltera社は2015年にインテルに167億ドルで買収されました。

回路を自由に書き換えられるFPGAは、自動車業界と通信業界で需要が高いです。

なぜならば、開発競争が激しく量産前の開発段階では、出荷後でも自由に書き換えられる半導体が好まれるからです自動車分野では、ADAS(先進運転支援システム)や車載情報機器、電動車両の制御に使われています。インテルがAlteraを買収したのは、自動運転やIoT向けに力を入れるためです。

また、5Gの基地局向けの半導体でも、FPGAが使われています開発段階での5Gでは、複数帯域幅への接続や信号処理などの最適化で、自由に回路を変えられた方が都合がいいですね。

そのため、ザイリンクス株は5G特需としても、高い人気を集めていますね。ただし、開発が終わり量産段階に入ると、FPGAではなくASICが使われる可能性が高い点に注意が必要です

では、部門別のザイリンクスの売上高はどのように推移しているのでしょうか?

注目2:事業別売上高は全体的に減少傾向にある?

部門 20Q1 20Q2 20Q3 20Q4 21Q1 前年比
産業機器/航空宇宙 334 302 288 375 326 -2%
車載/放送/民生機器 124 132 135 117 89 -28%
通信(5G向け) 350 321 228 185 234 -33%
データセンタ 42 81 69 78 86 +103%
チャンネル -0.4 -1.9 4.2 1.8 -7.5

部門別売上高の推移を見ると、ザイリンクスは判断が難しい銘柄だと言えます。

なぜならば、個別の売上高推移を見ても、バラツキが大きく成長傾向にあるか判断できないからですね。コロナによるサプライチェーンの打撃なのか、コロナ以前から需要減なのか読みにくいです。

まず、主力部門である産業機器や航空宇宙に関しては、横ばいに推移しています。

しかしながら、最も期待されていた通信向けでは、前年比で減少傾向にあります。FPGAは5G向けで需要が急増していたが、足元では書き替えできない集積回路「ASIC」が増えていると言います。しかしながら、21Q2の四半期比では再び上昇しています。一時的な上昇か、恒久的な需要増か判断ができないですね。

唯一成長がはっきり読み取れるのは、データセンタ向けだけです。

全ての事業が前年割れする中で、データセンタ向けは103%も増加しています。好調な理由は、急成長しているクラウドや開発途上にある人工知能で需要が急増しているからです。しかしながら、売上規模は全体の11%と小さく、主力2部門の不調を打ち消す力はありません

では、ザイリンクスの海外売上の比率を見てみましょう。

注目3:アジア太平洋が54%を占め中国比率が最も高い?

地域 割合 前年比(21Q1)
北米 26% −6%
アジア太平洋 54% −9%
ヨーロッパ 13% −39%
日本 7% −18%

ザイリンクスの半導体は、中国からの売上高が北米よりも高いです。

そのため、2019年は米中の貿易摩擦の影響を大きく受ける銘柄でした。貿易摩擦の影響で、次世代高速通信規格「5G」関連を含む主力の通信機器部門は減速しましたね。特に、ファーウェイなど中国IT企業への禁輸措置による影響が大きいです

2019年7-9月期の通信機器部門の増収率は24%で、66%から大幅に減速しました

また、2020年4-6月期では、ヨーロッパと日本でも売上高が急激に落ちています。これも、コロナによる一時的な落ち込みなのか、それとも5G向けのFPGAの需要が落ちているのか判断できないですね。

注目4:FPGA市場は年平均7.6%で成長する?

参考:世界のFPGA市場、2025年に86億米ドル規模へ

米中貿易摩擦やコロナの影響で、ザイリンクスは一時的には低迷期にいます。

しかしながら、長期的な視点で見ると、今後もザイリンクスは成長する可能性が高いです。グローバルインフォメーションの調査によると、FPGA市場は2025年には86億ドルまで拡大すると言います。ザイリンクスは市場シェア1位で49%なので、最も恩恵を受ける企業ですね。

FPGAは出荷後の更新が容易な事で、近年需要を高めています。

エッジコンピューティングや5Gネットワーク、データセンター、AI(人工知能)、自動運転支援など、開発途上の分野で人気が高いですね。これら最先端技術は、まだまだ成長が期待される分野なのは間違いないです

投資家はザイリンクス株を購入するべきか?

ザイリンクス株を購入すべきでない理由は...
  1. 高い営業利益率30%だが、2019年以降は減少傾向にある
  2. 5G特需を受ける銘柄だが、需要が落ち始めている
  3. 米中貿易摩擦の影響を受けて、大口顧客の中国企業に輸出できない
  4. データセンタ向けで需要は高いが、売上比率が11%と規模が小さい

成長が見込めるザイリンクス株だが、現時点では保有した銘柄ではありません。

なぜならば、2019年は期待されていた5G向けの半導体が大きく落ち込んだからです。中国の売上比率が高く、米中摩擦の影響を最も受けやすい銘柄でもあります。また、5Gの基地局ではFPGAではなく、ASICの採用が増えているとも聞きます

30%を超える営業利益率も、徐々に低下傾向にある点も懸念材料ですね。

通信向けとは対照的に、クラウドや人工知能による需要でデータセンタ向けが急成長しています。しかしながら、データセンタ向けは売上比率が11%と低く、他の主力部門の不調を打ち消すほどではありません。ザイリンクス株に投資するのであれば、営業利益を改善し成長軌道に乗るまで見極める必要があります。

まとめ:ザイリンクス(XLNX)の四半期決算は?

ザイリンクス株の注目ポイントは...
  1. 売上高は7億ドルと小規模だが、営業利益率は30%と高い
  2. 開発者が回路を自由に変えられるFPGAで、市場シェア1位を獲得
  3. FPGAは、5Gの基地局や自動運転支援で需要が高い
  4. 高い営業利益率30%だが、2019年以降は減少傾向にある
  5. 5G特需を受ける銘柄だが、需要が落ち始めている
  6. 米中貿易摩擦の影響を受けて、大口顧客の中国企業に輸出できない

5G銘柄として、クアルコム株と同様に注目を集める銘柄のひとつですね。FPGAで世界シェア1位のザイリンクスは、5Gの基地局向けに半導体を供給しています。

しかしながら、個人的には2020年時点でも保有したい銘柄ではありません。

なぜならば、2019年に期待されていた5G向け半導体が、米中摩擦で大きく落ち込んだからです。ザイリンクスはアジア太平洋向けの売上比率が54%と高く、中国が全体の2割を占めています。米中摩擦の影響を受けやすく、大型顧客の中国企業への輸出が禁止されました。

また、量産前の開発途上では優位性が高いFPGAも、開発が安定すると別の半導体が使用されます。5Gの基地局では、FPGAではないASICを採用する企業が増えてるとも聞きますね

30%を超える営業利益率も、徐々に低下傾向にある点も懸念材料ですね。

通信向けとは対照的に、クラウドや人工知能による需要でデータセンタ向けが急成長しています。しかしながら、データセンタ向けは売上比率が11%と低く、他の主力部門の不調を打ち消すほど強くはないです。ザイリンクス株に投資するのであれば、営業利益を改善し成長軌道に乗るまで見極める必要があります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です