クアルコムの四半期決算|5G特需でもリスクが高い理由は?

5G銘柄として高い人気を集める半導体メーカーですね。3Gや4Gで圧倒的な市場シェアを持ち、5Gでも高い競争力を持ちます。2019年にはアップルとも和解し、5G対応iPhoneの携帯チップもクアルコムが製造します。しかしながら、常に訴訟リスクが高く、投資判断が難しい銘柄のひとつでもあります。

  • 「PERは37倍だが、5G特需で恩恵を受ける銘柄だ…」
  • 「5Gで軌道に乗ると表明し、決算後に株価が10%も上昇した…」
  • 訴訟リスクはあるが、5G特需で株価は爆上げするはずだ…」

5G銘柄として、注目を集める半導体メーカーの1社ですね。

しかしながら、クアルコムは投資判断が難しく、5G銘柄だからと安易に飛びつくべきではありません。個人的には、高配当の配当金狙いであれば長期で保有したいが、今の段階では保有したい銘柄ではありません

なぜならば、度重なる訴訟で、以前ほど高い競争優位性を持っていないからです。

2020年時点では、技術的にはまだまだ高い競争力があるのは間違いないです。インテルがスマホ向けの5G開発から撤退した事からも分かる通り、5Gの携帯チップの開発は容易ではないですねインテルが撤退した事で、アップルはクアルコムの5Gを採用する決断をしました。

しかしながら、中国や台湾などの訴訟により、以前ほど存在感がないのも事実です。

2014年に100%近い市場シェアは、18年で50%まで低下しています。また、2019年に米連邦取引委員会に敗訴した事も、大きなマイナス材料です。かつては30%台だった営業利益率も、2018年には3.3%まで低下しています。これは、経済的な堀が高くはない事を示唆しています。

5Gでどれだけ挽回できるかは、まだまだ不確実性が高いと言えます。特許やライセンス収入を維持できなければ、中国や台湾勢に差を埋められる可能性もありますね。クアルコムの5Gに期待するならば、営業利益率の推移を観察する必要があります

クアルコム株の投資判断したい人向け
  1. クアルコム直近の4半期決算(2020年4〜6月)は?
  2. クアルコムの過去10年間の売上高や営業利益は?
  3. 5G特需の半導体メーカーだが、不確実性が高い理由は?

クアルコム(CRM)の四半期決算は?

クアルコムの四半期決算を紹介します。

第2Q決算(2020年4月29日)

第2Q決算の内容は...
  1. 売上高:52.2億ドル(前年同期比+4%
  2.  Equipment and services:40.5億ドル(+7%
  3.  Licensing:11.1億ドル(−6%)
  4. 営業利益:9.91億ドル(+5%
  5. 純利益:4.68億ドル(−30%)
  6. 一株利益:0.41ドル(−26%)

第3Q決算(2020年7月29日)

第3Q決算の内容は...
  1. 売上高:48.9億ドル(前年同期比−50%)
  2.  Equipment and services:37.9億ドル(+7%
  3.  Licensing:10.9億ドル(ー82%)
  4. 営業利益:7.82億ドル(ー14%)
  5. 純利益:8.45億ドル(−30%)
  6. 一株利益:0.74ドル(−58%)

クアルコムの売上高は、前年比50%減の48.9億ドルでしたただし、昨年の臨時収入を調整した売上高は横ばいで、ビジネス上で大きな問題があったわけではありません。2019年3Qは、アップルとの和解で47億ドルのライセンス収入を計上したからです

営業利益率は、前年比14%減で7.82億ドルです。

クアルコムは次四半期の決算を強気に予想しています。5G向け半導体が軌道に乗りつつあり、売上高は55-63億ドルになると予想しています。この強気予想を受けて、翌日のクアルコムの株価は10%も上昇しました。次四半期の決算は好調かもしれないが、訴訟リスクもあり投資判断は難しいですね。

参考:クアルコム 、7-9月売上高に強気の見通し

第4Q決算(2020年10月)

2020年10月に公開予定。

では、クアルコムの売上高や営業利益の10年間の推移はどうでしょうか?

クアルコムの10年間の損益計算書は?

2008年に40ドルだったクアルコムの株価は、2020年には2.7倍の109ドルまで急成長していますね。クアルコムに100万円を投資すれば、270万円まで増えていた事になります。では、過去10年間にどのように成長してきたのでしょうか?

クアルコムの損益計算書やキャッシュフローを紹介します。

その1:売上高と営業利益の10年間の推移は?

10年間の推移を見ると、売上高は2015年以降は減少傾向にある事が分かります。これは、スマホ端末の販売不振と他のメーカーに市場シェアを奪われているからです。営業利益率も2017年以降は大きく減少しています。これは、以前ほどは特許の力が強くない事を示していますね

2019年に再び営業利益率が30%を超えたのは、アップルから和解金で47億ドルを計上したからです。2020年の四半期で見ると、営業利益率は15〜20%で推移しています

通信規格で競争優位性は高いが、以前ほどは高くない点に注意が必要です。

その2:BPSとEPSの10年間の推移は?

過去10年間のBPS(1株あたり純資産)は、2018年までは安定して推移しています。EPS(1株あたり純利益)は安定しているとは言えないですね。2018年は訴訟リスクもあり、一時的にマイナスに落ち込んでいます。今後は5G端末の普及で、安定して成長できるか見極める必要があります。

その3:営業CFと投資CFの10年間の推移は?

キャッシュフローは波があるものの、フリーC F(営業CF−投資CF)が常にプラスなのは好感できますね。また、設備投資や研究開発が大きいはずの半導体事業でも、営業CFが低く抑えられている点もプラス材料です。クアルコムにとって唯一の不安材料は、訴訟リスクが常につきまとう事ですね。

訴訟リスクさえなければ、特許やライセンスで経済的な堀を維持できたのは間違いありません

では、クアルコム株に投資する上で、私たち投資家はどのような点に注目すれば良いのでしょうか?

クアルコムに投資する上で注目ポイントは?

クアルコムに投資する上で、注目すべき点を紹介します。

注目1:クアルコムは世界で7位の半導体メーカー?

参考:2019年半導体企業ランキング、Intelが首位返り咲き

2019年の半導体企業の売上高では、クアルコムは世界7位の半導体メーカーです。

クアルコムは、モバイル端末向けの携帯チップを開発します。そのため、事業規模はインテルの5分の1程度しかないですね。2018年の売上高比を見ると、サムソンは−29%、クアルコムはー13%と大きくマイナスですね。一部の半導体企業の売上げ落ちた理由は、スマホが飽和状態で販売が落ち込んでるからです。

対して、データセンター向け大型PCの需要が増し、パソコン向けの半導体は好調ですね。スマホ端末の販売不振で直近の売上は不調だが、クアルコムはモバイル市場で圧倒的に有利なポジションにいます。

注目2:市場シェアは100%から49%に低下?

参考:FTCのQualcomm訴訟、判決次第で5Gに多大な影響も 

クアルコムは、携帯向けのモデムチップ市場で高い市場占有率を誇っています。

WCDMAやLTEの携帯電話チップで圧倒的な強みがある理由は、創業者のアンドリュー・ビタビ氏が通信規格であるCDMAの策定に関わったからです世界中で使用されている携帯電話の中には、必ずと言って良いほどクアルコムの製品が内蔵されています。

クアルコムが高い市場占有率を維持できるのは、移動体通信機器の特許を広く網羅しているからです。特許から得られるライセンス収入は、売上高の25〜30%を占めるほどです。通信規格3Gや4Gで数多くの特許を取得したが、5Gでもその多くが継承されると言われています

しかしながら、2015年以降は圧倒的な市場シェアにも陰りが見えています。

その理由は、高すぎる市場占有率ゆえに、常に訴訟リスクを抱えているからです。2015年には中国から独占禁止法で訴訟され、多額の賠償金を支払っています。また、中国だけではなく、韓国、台湾からも訴訟リスクがあります。アップルからも訴えられていて、これは2019年にようやく和解しましたね。

また、2019年には米連邦取引委員会に敗訴し、これが決定打になるかもしれません(参考:クアルコム完敗、ライセンス料の大幅低下も 米判決徹底分析)。

しかしながら、5Gを含めた通信規格では、技術的にもクアルコムはまだまだ強いです。

注目3:5Gスマホの通信半導体はクアルコムの独壇場?

参考:アップル、クアルコムと苦渋の和解

常に訴訟リスクがあるが、2020年時点でもクアルコムは高い優位性があります。

2018年以降、5Gスマホの通信半導体の多くはクアルコム製です。5G向けの携帯チップは、開発や製造の難易度が高く、4Gを開発する企業でさえ容易ではありません。例えば、iPhone向けの5Gを開発しようとしたインテルは、アップルの要求が高く撤退したと表明しました。

インテルが5Gの開発を断念した事で、アップルとクアルコムは和解に至りました。クアルコムは、アップルから賠償金を受け取った上で最大8年のライセンス契約に至り、2020年に発売されるiPhoneの5G開発に着手しています2020年以降も、クアルコム製の5Gスマホが量産される可能性は高いですね。

では、直近のクアルコムの四半期決算は、どのように推移しているのでしょうか?

注目4:事業別で半導体の売上高は減少傾向にある?

直近の四半期決算の売上高を見ると、2020年時点ではまだまだ好調とは言えません。

世界的なスマホ端末の販売不振もあり、売上高は引き続き減少傾向にあります。2019年3Qでライセンス収入が大幅に増えた理由は、アップルから47億ドルの和解金を手にしたからです。クアルコムは5G向けチップが軌道に乗りつつあり、2020年3Qの売上高を強気に予想しています。

ただし、四半期の半導体売上の推移とライバルの動向を見ながら、どれだけ優位性があるのか見極めてから投資判断した方が良いですね。

注目5:配当性向は80%で利回りは3%と高い?

クアルコムの配当性向は80%、利回りは3%前後で高配当株として知られています。

2013年から2016年まで、配当金は右肩上がりで切り上がっていますね。2016年以前は、世界的なスマホ販売の需要が高く、高い利益率で売上高を増やしていた時期ですね。現在は売上高はやや下降気味だが、それでも配当性向は70%以上を維持しています

投資家はクアルコム株を購入するべきか?

クアルコム株を購入すべきでない理由は...
  1. 2019年の営業利益率は高いが、訴求リスクで利益を圧迫している
  2. 2019年にアップルとは和解するも、米国取引委員会に敗訴した
  3. 2016年以降は営業利益が落ち込み、以前ほど経済的な堀はない
  4. 5G通信規格にまだ強みはあるが、アジア勢が追い上げる可能性が高い

クアルコムは、投資判断がかなり難しい銘柄だと言えます。個人的には、高配当の配当金狙いであれば長期で保有したいが、今の段階では保有したい銘柄ではありません投資するにしても、持ち金の低い比率に抑えるべきです。

クアルコムは、5Gの特需を受ける半導体銘柄として高い人気を集めていますね3Gや4Gなどの通信規格で特許と高い技術力を保有し、5G分野でも高い競争優位性を持つのは間違いありません。2020年までに発売開始してる5Gスマホ端末でも、ほとんどがクアルコム製ですね。

2020年に発売されるアップルの5G端末も、クアルコム製です。

ただし、依然として訴求リスクも高く、強気にはなれない兆候も見え隠れします。2020年時点では、技術力を必要とする5Gの通信規格でも高い競争優位性があります。しかしながら、米連邦取引委員会に敗訴した事で、特許によるロイヤリティ収入は今後薄れていく可能性は高いです。

技術的な優位性は、いずれは競争力が高い韓国や中国、台湾の半導体メーカーと大差なくなりますね。

5G目的でクアルコムに投資するならば、営業利益率を高く維持できるかがキモになりますね。高い営業利益率を維持できるという事は、競争優位性が隠れている可能性が高いからです。

まとめ:クアルコム(QCOM)の四半期決算は?

クアルコム株の注目ポイントは...
  1. 3Gと4Gの通信規格に強く、5Gでも技術的な強みがある
  2. スマホ向け携帯チップで、市場シェアは50%を占める
  3. 2019年の営業利益率は高いが、訴求リスクで利益を圧迫している
  4. 2019年にアップルと和解し、アップルの5G向けを受注した
  5. 2019年に米国取引委員会に敗訴し、ライセンス収入は減るかも

5G銘柄として、注目を集める半導体メーカーの1社ですね。

しかしながら、クアルコムは投資判断が難しく、5G銘柄だからと安易に飛びつくべきではありません。個人的には、高配当の配当金狙いであれば長期で保有したいが、今の段階では保有したい銘柄ではありません

なぜならば、度重なる訴訟で、以前ほど高い競争優位性を持っていないからです。

2020年時点では、技術的にはまだまだ高い競争力があるのは間違いないです。インテルがスマホ向けの5G開発から撤退した事からも分かる通り、5Gの携帯チップの開発は容易ではないですねインテルが撤退した事で、アップルはクアルコムの5Gを採用する決断をしました。

しかしながら、中国や台湾などの訴訟により、以前ほど存在感がないのも事実です。

2014年に100%近い市場シェアは、18年で50%まで低下しています。また、2019年に米連邦取引委員会に敗訴した事も、大きなマイナス材料です。かつては30%台だった営業利益率も、2018年には3.3%まで低下しています。これは、経済的な堀が高くはない事を示唆しています。

5Gでどれだけ挽回できるかは、まだまだ不確実性が高いと言えます。特許やライセンス収入を維持できなければ、中国や台湾勢に差を埋められる可能性もありますね。クアルコムの5Gに期待するならば、営業利益率の推移を観察する必要があります

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