シスコシステムズの四半期決算|利益率30%でもPERは16倍?

シスコシステムズは、90年代後半のバブル期には時価総額1位のグロース株でした。近年は安定した成熟株として、高い配当利回り3%、かつ営業利益率も30%近い水準を維持しています業績は好調にも関わらず、PERは16%と割安に放置されたシスコに、私たち投資家は投資するべきでしょうか?

  • 「売上高は上昇傾向で、営業利益率が30%もあるのに割安だ…」
  • 「高い利益率なのに、なぜPER16倍で放置されているのだろうか…」
  • 配当利回り3%、シスコはこの先も成長を維持できるだろうか…」

個人的には、シスコシステムズは長期で保有した銘柄のひとつです。

なぜならば、売上高は安定している上に、営業利益率は25-30%と高い水準を維持しているからです。高い営業利益率を維持する企業は、経済的な堀がある証拠のひとつと言えます。通信機器のシェアは若干の縮小傾向にあるが、それでも圧倒的な地位を確立していると言えますね。

また、配当利回りは3%、配当性向は50%を超えています。シスコの業績を見ると、PER16倍は割安に放置されていると言えるのではないでしょうか。さらには、クラウドやIoT、5Gの移行で通信量は巨大化するため、シスコ製品の需要は高まる一方です。

ただし、将来的に全く不安材料がない訳ではありません。通信機器がソフトウェア化する事で、徐々にシスコの優位性が薄れる可能性はあります

シスコシステムズの投資判断したい人向け
  1. シスコシステムズ直近の4半期決算(2020年1〜3月)は?
  2. シスコシステムズの過去10年間の売上高や営業利益は?
  3. 営業利益率が30%でも、PER16倍で割安に放置されている?

シスコシステムズ(CSCO)の四半期決算は?

シスコシステムズ の四半期決算を紹介します。

第3Q決算(2020年5月13日)

第3Q決算の内容は...
  1. 売上高:119.8億ドル(前年同期比−8%)
  2.  Product:85.9億ドル(−12%)
  3.   Infrastructure Platforms:64.2億ドル(−15%)
  4.   Applications:13.6億ドル(−5%)
  5.   Security:7.76億ドル(+6%
  6.  Service:33.8億ドル(+4%
  7. 営業利益:34.1億ドル(−3%)
  8. 純利益:27.7億ドル(−9%)
  9. 一株利益:0.65ドル(−6%)

シスコシステムズは、通信機器で世界シェア1位の企業ですね。

3Qの売上高は前年比8%減で119.8億ドル、営業利益は3%減で34.1億ドルでした売上高と営業利益が落ち込んだ理由は、コロナでサブプライムチェーンが打撃を受けたからです。主力製品であるスイッチやルータの売上高は軒並み減少しました。

減少した製品部門とは反対に、サービス部門の売上高はプラスです。

サービス部門が好調だったのは、コロナ環境下でリモートワークが増え、WebExなどの会議アプリケーションの販売が貢献したからです。また、ソフトウェアでの売上高の7割は、サブスクリプションによる売上です。シスコは、サブスクリプションの売上高の比率を高めています。

コロナで打撃を受けたシスコだが、ビジネス自体に大きな支障はないですね。

通信量は世界的に巨大化するため、シスコの優位性が消えるわけではありません。営業利益率は25-30%を維持し、安定した投資先である事に変わりはありません

第4Q決算(2020年8月)

2020年8月に公開予定。

では、シスコシステムズの売上高や営業利益の10年間の推移はどうでしょうか?

シスコシステムズの10年間の損益計算書は?

2008年に23ドルだったシスコの株価は、2020年には2倍の47ドルに増えています。シスコに100万円を投資したら、200万円に増えていた事になりますね。では、過去10年間にどのように成長してきたのでしょうか?

シスコシステムズの損益計算書やキャッシュフローを紹介します。

その1:売上高と営業利益の10年間の推移は?

シスコシステムズ の10年間の推移を見ると、安定している事が分かります。売上高が519億ドルあるにも関わらず、営業利益は25-30%と高い水準を維持しています。市場シェア1位で営業利益が高い企業は、何かしらの経済的な堀がある事を示唆しています

クラウド、IoT、5Gなど、通信量は巨大化する一方なので、今後も安定して推移する可能性は高いです。営業利益が上昇している理由は、利益率が高いサブスクビジネスに移行している可能性もあります

その2:BPSとEPSの10年間の推移は?

過去10年間のBPS(1株あたり純資産)とEPS(1株あたり純利益)も安定して推移しています。BPSが減少傾向にあるのは、配当金の支出やM&Aに資産を使っているからだと思います。EPSは安定している上に、上昇傾向にある点も好感できますね

その3:営業CFと投資CFの10年間の推移は?

シスコシステムズ のキャッシュフロー は、文句なしの高水準ですね。営業CFが高い割に投資CFが低く、高いフリーCFを叩き出しています。低い投資CFは、競合他社が少なく膨大な研究開発や設備投資を必要としない事を示唆しています

では、私たち投資家は、どのようにシスコシステムズの投資判断をすれば良いのでしょうか?

シスコシステムズに投資する上で注目ポイントは?

 

シスコシステムズに投資する上で、どのような点に注目すれば良いのでしょうか?

注目1:配当利回りは3%、配当性向が50%と高い?

シスコシステムズは、ハイテクの中では珍しく配当金をしっかり出す企業です。

2020年の配当利回りは3%前後、配当性向も直近では50%を超えていますそのため、高い成長率を期待するよりも、配当金を期待して保有する投資家が増えていますね。業績が安定しているため、継続して配当金が支払われる事が予想できますね。

かつてのグロース株は、成熟株に移行する過程で配当金を支払う企業が多いです。最近では、マイクロソフトやアップルも配当に積極的ですね成熟株に移行すると、高い成長率を維持するのが難しくなります。

注目2:シスコは世界シェアトップの通信機器事業?

参考:【米国株】シスコシステムズ(Cisco:CSCO)の銘柄分析

シスコシステムズは、通信機器で世界シェア1位の会社ですね。

ルータやスイッチ、x86ブレードサーバ、ネットワークセキュリティなど、ネットワークで重要な通信機器で圧倒的な強みを持ちます。競合他社は少なくないが、通信まわりの特許を抑える事で、安定して高い利益率を出す事に成功しています

しかしながら、近年は少しずつ状況が変わりつつあるようです。まず、クラウドの進展や低価格製品との競合は激しく、通信機器のシェアは若干低下傾向にありますね

こうした状況を反映してか、シスコシステムズは様々な取組みをしています。

豊富な資金力を活かして、オンライン会議や映像配信などSaaS系企業を買収しています。また、定額制のサブスクリプションを導入するなど、時流に合わせて報酬体系も変化させています。では、具体的にはどのような改革を行なっているのでしょうか?

注目3:SDNとNFV化でプロダクト部門の売上が減る?

シスコシステムズ の改革とは...
  1. SDNを導入し、ネットワーク制御やデータ転送をソフトウェア化する
  2. NFVを導入し、クラウド上でネットワーク機能を実現する
  3. クラウド事業者と協力して、ネットワーク環境を整備している

ネットワークの通信機器系は、SDNやNFV導入で大きな変革の時代にあります。

SDN(Software-Defined Networking)とは、通信機器で行うネットワーク制御やデータ転送をソフトウェア側で行う技術です。ソフトウェア化する理由は、通信機器を特定の企業に偏らずに利用でき、バージョンアップや仕様変更が容易になるからです

また、NFV(Network Function Virtualization)は、ネットワーク機能をクラウド上で行う技術です。クラウド上にネットワーク機能を内包する事で、利用者側は運用や導入がより簡素化されますね

SDNやNFV化は、シスコシステムズから見たらマイナス要素です。なぜならば、ソフトウェア化する事によって、シスコ製品の通信機器の販売が減少するからですね。シスコシステムズは、自社製品の売上に侵食する大変革が求められます

ただし、AWSやAzureなどのクラウド事業者と提携して開発している点はプラス材料ですね。また、シスコシステムズは、定額制のサブスクリプションモデルにも力を入れています

注目4:定額制のサブスクリプションビジネスへ移行する?

シスコシステムズ の改革とは...
  1. オンライン会議や映像配信など、SaaS系企業を買収している
  2. ビデオ会議サービス「Webex」で、利用量に応じて報酬を得る
  3. アクセスポイントやスイッチ、無線LANを定額制サブスク化で販売
  4. 主力商品のネットワーク機器も、サブスク化に広げたい

シスコシステムズは、収益化でも大規模な改革を行なっています。数年前のシスコシステムズは、通信機器の販売が主体の企業でした。しかしながら、近年はサービスを提供するビジネスモデルに徐々に移行しています。

シスコシステムズは、豊富な資金力で映像配信系のSaaS系企業を積極的に買収しました。そして、ビデオ会議サービスの従量課金制を始めています。また、ビデオ会議だけではなく、AP(アクセスポイント)やスイッチ、無線LANでも定額制サービスを始めました

例えば、APの利用料は月額3300円、光回線とセットでも月額1万円です。さらには、主力のスイッチやルーターなどのネットワーク製品、セキュリティー製品もサブスク化する事を画策しています。

では、現状のソフトウェア化やサブスク化の取組みは、どれくらい成功しているのでしょうか?

注目5:プロダクトとサービス部門の売上高推移は?

過去5年間の四半期毎のプロダクトとサービス部門の売上高推移です。

現状のシスコシステムの改革は、売上高の推移だけでは判断が難しいです。成功しているとも、失敗しているとも言えない微妙な立ち位置ですね。どちらの部門も上昇や減少傾向がはっきりと見られませんプロダクトの通信機器は安定して売れているし、サービス部門の売上高も安定しているとも言えます。

2020年2Qと3Qは、コロナの影響でサブプライムチェーンが影響を受けたからです。コロナ危機が収まれば、再び売上高は安定して推移すると予測できますね

投資家はシスコシステムズ株を購入するべきか?

シスコシステムズ株が割安である理由は...
  1. ネットワーク通信機器で、世界1位の圧倒的なシェアを誇る
  2. 売上高が安定している上に、営業利益率は25-30%を維持している
  3. サブスク化に移行し、利益率はさらに上昇傾向にある
  4. 配当利回りは3%、配当性向は50%と株主に還元している
  5. クラウド、IoT、5G移行で、シスコ製品の需要は高まる

シスコシステムズは、投資判断が難しい銘柄のひとつですね。

個人的には、配当金目的の投資であれば、長期で保有したい銘柄のひとつです。なぜならば、売上高は安定している上に、営業利益率は25-30%と高い水準を維持しているからです。通信機器のシェアは若干の縮小傾向にあるが、それでも圧倒的な地位を確立していると言えますね。

経済的な堀が高いにも関わらず、配当利回りは3%、PERは16倍と割安に放置されている銘柄でもあります

基本的には、シスコシステムの将来性は安泰だと言えます。なぜならば、クラウドやIoT、5Gの移行で通信量は巨大化する一方だからですネットワークや通信機器で地位を確立しているシスコは、他社よりも優位性があるのは間違いありません。

ただし、将来的に全く不安材料がない訳ではありません。通信機器がソフトウェア化する事で、徐々にシスコの優位性が薄れる可能性はあります。事業別売上高の推移を見る限り、現時点ではその傾向は見られません。しかしながら、将来がどうなるかは予想できないですね。

まとめ:シスコシステムズ(CSCO)の四半期決算は?

シスコシステムズの注目ポイントは...
  1. 成熟株に移行し配当利回りは3%、配当性向は50%と高い
  2. ネットワーク通信機器で、世界1位の圧倒的なシェアを誇る
  3. SNDとNFV化で、通信機器はソフトウェア化にある
  4. 製品販売だけでなく、定額制のサブスクにも力を入れている
  5. プロダクトとサービス部門の売上高は、若干の上昇傾向にある

個人的には、シスコシステムズは長期で保有した銘柄のひとつです。

なぜならば、売上高は安定している上に、営業利益率は25-30%と高い水準を維持しているからです。高い営業利益率を維持する企業は、経済的な堀がある証拠のひとつと言えます。通信機器のシェアは若干の縮小傾向にあるが、それでも圧倒的な地位を確立していると言えますね。

また、配当利回りは3%、配当性向は50%を超えています。シスコの業績を見ると、PER16倍は割安に放置されていると言えるのではないでしょうか。さらには、クラウドやIoT、5Gの移行で通信量は巨大化するため、シスコ製品の需要は高まる一方です。

ただし、将来的に全く不安材料がない訳ではありません。通信機器がソフトウェア化する事で、徐々にシスコの優位性が薄れる可能性はあります

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