IBMの四半期決算|コロナでもクラウドは伸び悩み減収減益?

バフェット氏が2011年に、IBM株を大量に購入した事で話題になりましたね。しかしながら、2014年以降は株価が伸び悩み、2018年に全て売却しました。IBMは人工知能やクラウドにも進出し、現在のPERは8.7倍しかないですね。IBM株に投資するのは避けた方が良いのでしょうか?

  • PER8.7倍しかない、IBM株は割安なんじゃないの…」
  • 「IBM株はコロナの影響をどれくらい受けるのか…」
  • 「成長産業のクラウドと人工知能で、IBMは競争に勝てるのか…」

IBM株は短期的にも、長期的にも投資するべき銘柄ではありません。

バフェット氏が購入した頃のIBMは、まだ人口知能やクラウド事業で優位性がありました。また、事業の選択と集中を行い、積極的な自社株買いや配当を進めていた頃でもあります。しかしながら、2020年現在のIBMの決算を見ると、うまく進んでいない事が分かります。

2020年2Q決算では、唯一の成長産業であるクラウド事業も成長が鈍化傾向にあります

本来であれば、大規模インフラの構築や運用を行うIBMは、クラウド事業で最も有利な立ち位置でした。しかしながら、クラウドのインフラ市場では、IBMの市場シェアはわずか1.8%だけです。設備投資や開発研究も少なく、事業が縮小する中で巻き返しを図るのは難しいですね。

主要部門の成長は止まっているため、クラウド事業が鈍化すれば今後も低迷する可能性は高いです。また、IBMはコロナの影響を受けにくい銘柄だが、元々の業績が悪く2020年2Qでさらに減速しています

IBMの投資判断したい人向け
  1. IBM直近の4半期決算(2020年4〜6月)は?
  2. IBMの過去10年間の売上高や営業利益は?
  3. クラウドや人工知能は、今後も成長し続けられるのか?

アイビーエムIBMの四半期決算は?

IBMの四半期決算を紹介します。

第1Q決算(2020年4月20日)

第1Qの決算内容は...
  1. 売 上 高 :175.7億ドル(前年同期比−4%)
  2.  Cloud Cognitive Software:52.3億ドル(+5%
  3.  Global Business Services:41.3億ドル(−1%)
  4.  Global Technology Services:64.6億ドル(−6%)
  5.  Systems:13.6億ドル(+3%
  6.  Global Financing:2.9億ドル(−27%)
  7.  Other:0.6億ドル(−87%)
  8. 営業利益:11.7億ドル(−27%)
  9. 純 利 益 :11.7億ドル(−27%)
  10. 1株利益:1.31ドル(−27%)

IBMの四半期決算はアナリスト予想を少し下回り、減収減益で着地しました。売上高では若干の赤字に止まるも、営業利益と純利益も大幅なマイナスです。

1Q決算が悪化した理由は、唯一の成長事業であるクラウド&人工知能部門の成長が鈍化したからです。クラウド事業は利益率が高いビジネスなので、営業利益も大幅に下げる結果となりました。クラウド事業の成長鈍化が、長期的なトレンドだとすると、今後もIBM株は低迷し続けることになります

IBM株の事業内容は、現時点で魅力的とは言えません。しかしながら、積極的な自社株買いや高い配当利回り5%を期待して購入する投資家も少なくありません。

第2Q決算(2020年7月20日)

第2Qの決算内容は...
  1. 売 上 高 :181.2億ドル(前年同期比−5.7%)
  2.  Cloud Cognitive Software:57.4億ドル(+3.3%
  3.  Global Business Services:38.9億ドル(−7.8%)
  4.  Global Technology Services:63.1億ドル(−8%)
  5.  Systems:18.5億ドル(+5.6%
  6.  Global Financing:2.65億ドル(+32%
  7.  Other:0.5億ドル
  8. 営業利益:13.6億ドル(−46%)
  9. 純 利 益 :13.6億ドル(−46%)
  10. 1株利益:1.52ドル(−46%)

アナリスト予想を上回ったが、前年比−5.7%で181.2億ドルでした。営業利益も純利益も大幅にマイナスでしたね。

事業別の決算を見ると、クラウド部門とシステム部門が若干のプラス成長を維持しています。グローバルテクノロジー部門とビジネス部門は変わらずにマイナス成長ですね。これは、コロナ以前と基本的には変わりません。選択と集中を続けるIBMは、人工知能やAIに力を入れると公表しています。

また、決算表に詳細はないが、クラウド全体の売上高は63億ドルで30%成長したと言います

参考:IBM、予想上回る第2四半期決算–クラウドの売上高は30%増

第3Q決算(2020年10月)

2020年10月に公開予定。

では、IBMの売上高や営業利益の10年間の推移はどうでしょうか?

 IBMの10年間の損益計算書は?

2008年に80ドルだったIBMの株価は、2020年には1.5倍の120ドルにしか増えていません。IBMに100万円を投資しても、150万円にしかならないですね。では、過去10年間にどのように成長してきたのでしょうか?

IBMの損益計算書やキャッシュフローを紹介します。

その1:売上高と営業利益の10年間の推移は?

IBM株は2011年以降、長い低迷期に突入しています。売上高は30%近く減少し、営業利益率も13%まで落ち込んでいます。IBMは事業の選択と集中に力を入れています。しかしながら、営業利益率の減少を見ると、現時点ではうまくいっていないですね

今後もIBMの売上高や営業利益は、減少する可能性が高そうです。

その2:BPSとEPSの10年間の推移は?

過去10年間のBPS(1株あたり純資産)とEPS(1株あたり純利益)は安定とは言い難いです。ただし、EPSを見ると、2013年以前は成長軌道にあったと言えそうですね。IBMが低迷し始める原因になったのは、クラウドビジネスに乗り遅れた事が大きいです。

2014年以降は、かなり不安定に推移しています。

その3:営業CFと投資CFの10年間の推移は?

投資CFは低く抑えられているため、フリーCF(営業CFー投資CF)は安定して推移しています。IBMが積極的に自社株買いや配当を進めるのも、安定したCFの下支えがあるからですね。

開発費用が少ない事は、投資家にはプラス要因ですね。しかしながら、競争が激しい人工知能などの最先端分野では不利ですよね。人工知能でライバルにあるグーグルは、IBMの8倍の投資CFを技術開発に費やしています。

IBMに投資する上で注目ポイントは?

IBM株に投資する上で、注目すべきポイントを紹介します。

注目1:2011年にバフェットが購入し話題を集めた?

IBM株のバフェットの動向は...
  1. 2011年:170ドル近辺で6400万株、110億ドルを仕込む
  2. 2016年:最終的に8100万株、135億ドルを保有する
  3. 2018年:IBM株を全て売却し、アップル株を7500万株購入する

参考:バフェット氏が「IBM」を手放したワケ 投資の神様も失敗?

バフェット氏が、2011年にIBM株を購入した事で話題になりました。

なぜならば、バフェット氏は成長産業であるテクノロジー株への投資を避けてきたからです。2011年に6400万株購入して、発行済み株式の5.5%を保有しています。それから、2016年には8100万株で、発行済み株式の8.5%を占めると、翌々年には全て売却しています。

2018年も7年前の2011年も、株価は150ドル前後を推移しています

バフェット氏は、5%を超える高配当金で儲けているが、キャピタルゲインは得ていません。7年間も上昇しない株価を手にしていた事を考えると、IBMへの投資は完全に失敗だったと言って良いですね

バフェット氏がIBM株を購入したのは、当時先行開発していた人工知能とクラウドに魅力を感じたからだと思います。しかしながら、最終的にIBMは人工知能でもクラウドでも優位性を獲得できていません。

2018年以降のIBM株の動向を見ると、バフェット氏が売却した理由を知れますね。

注目2:3つの主要部門が売上高の9割を占めている?

部門 事業内容 収益(2020/1Q) 前年比
クラウド&AI クラウドとAI製品の開発や販売する 52.3億ドル +5%
グローバルビジネス 顧客から依頼を受けてソフトを開発し納品する 41.3億ドル 0%
グローバルテクノロジーサービス 顧客のITインフラの構築や運用する 64.6億ドル −6%
システムズ 銀行向けに大型PCや大容量ディスクを製造販売する 13.6億ドル +3%
その他 金融業を含む上記以外の事業 3.5億ドル

IBMは3つの主要事業が、売上高の9割を占めています。

成長産業であるクラウド&人工知能部門、日本のSIer業に近いグローバルビジネス部門、ITインフラの構築や運用を行うグローバルテクノロジサービス部門です。IBMの売上高が毎年減少傾向にあるのは、グローバルビジネス部門とテクノロジー部門が不調だからです

2020年1Qでは、クラウド&人工知能部門も成長が鈍化したため全体の収益を押し下げました

では、これら3つの主要部門は過去にどのように推移してきたのでしょうか?

注目3:クラウド&人工知能以外の事業が伸びていない?

過去4年間の四半期決算を見ると、事業部門別の傾向がはっきりと分かります。主要3部門の中で伸びているのは、クラウド&人工知能部門だけですね。ビジネス部門は横ばい、テクノロジー部門は減少傾向にありますね

クラウド&人工知能部門とテクノロジー部門は、お互いが競合する関係に有ります。

テクノロジー部門の売上高が減少し始めた2011年以降、IBMは苦境に陥っています。2011年は、アマゾンのクラウドAWSが拡大し始めていた時期ですね。大規模なインフラ構築で強みがあるはずのIBMが、クラウドに参入したのはアマゾンよりも7年も後です

参入が遅れた理由は、テクノロジー部門の売上を自ら奪う形になるからですね

そのため、自社のテクノロジー部門が不調が続く上に、クラウド市場でもシェアを奪えない二重苦に陥っています。その結果が、2011年以降の売上高と株価低迷の原因ですね。

では、今後はIBMクラウドの見通しは暗いのでしょうか?

注目4:IBMクラウドの市場シェアは1.8%しかない?

参考:18年4Qのクラウドインフラ市場

IBMのクラウド市場の見通しは、決して明るいものではありません。

クラウド市場(IaaS+PaaS)でシェアを伸ばしているのは、アマゾン、マイクロソフト、グーグル、アリババの4社だけです。先行者であるアマゾンが圧倒的なシェアを持ち、2番手のマイクロソフトが追随している形です。クラウドは規模が大きいほど有利なので、後発社がシェアを取るのは難しいです。

IaaS(インフラ)市場に限定すれば、IBMのシェアはわずか1.8%だけです。インフラビジネスに強いはずのIBMが、完全に出遅れた形になりました。

クラウド市場では不利な立ち位置だが、それでもIBMのクラウド&人工知能部門は成長しています。その理由は、市場シェアは減少傾向でも、クラウド市場自体は年率20%で成長し続けているからですしかしながら、クラウド市場の成長が鈍化すれば、必然的にクラウド&人工知能も苦境になりますね。

IBMはこの状況を打開するべく、マルチクラウド化(2社のクラウドを併用)やAIのワトソンをクラウドに活用するなど、独自のサービスを展開し始めています。IBM Cloudのシェア獲得に繋がるかは不明だが、今後の動向は注意深く見る必要がありますね

IBMは人工知能開発にも積極的な企業だが、ワトソンはどれくらい貢献できているでしょうか?

注目5:人工知能ワトソンは期待より成功していない?

参考:IBM Watson 事例

IBMはワトソンによる売上高を単体で公表していません。そのため、ワトソン単体でどれだけ売上に貢献しているかは不明です。しかしながら、売上高にも公表していない事からも分かる通り、貢献度は大きくないのではないかと予想しています。

日本IBMの公式サイトには、IBMワトソンの導入例を紹介しています。導入例を全て表示しても、30件しかありません。また、2016年春にワトソンを先行導入した三菱UFJ銀行も、期待したより結果が出ていないといいます

三菱UFJ銀行は2016年春からPoCを始めたが、プロジェクトは難航した。LINEの公式アカウントやWebサイトといったチャネルを通じて顧客の質問に答える取り組みなどにWatsonを導入。だが、正答率は平均5割程度にとどまったという

正答率はもっと上がるはずだ――。三菱UFJ銀行の担当者はIBMの協力を得ながら、Watsonにたくさんの回答パターンを必死に教え込んだ。だが、かけた労力に比べて学習曲線は思ったほど上に伸びなかった。

参考:理想と現実のギャップに苦しむ、IBMのWatsonユーザー

人工知能に関しては、IBMよりもグーグルの方がより活発的です。

投資費用はIBMよりも8倍も多い200億ドルです。また、投資費用が増加し続けるグーグルに反して、IBMの投資は減少傾向にありますグーグルの人工知能が自動運転に使われる事を考えると、総合的な開発力や実用性でもグーグルに有利なのかもしれません。

IBMの人工知能に関しては、過度に期待しない方が良いのかもしれません

投資家はIBM株を購入するべきか?

IBM株は、短期的にも長期的にも投資するべき銘柄ではありません。

なぜならば、2011年に低迷し始めたIBMだが、2020年も成長エンジンとなる事業が育っていないからですIBMが低迷し始めた最大の原因は、クラウド市場の参入が大幅に出遅れた事です。本来であれば、大規模なインフラ構築や運用を得意とするIBMが先行すべき事業でしたね。

IBM株を今後も悲観的に見る理由は、ライバル企業があまりにも強すぎるからです。

クラウド事業では、アマゾンとマイクロソフトが強いですね。人工知能では、GAFAMの全てが参入しています。ビジネス部門のアウトソーシングでも、IBMよりもアクセンチュアが売上高を伸ばしています。また、大規模PCやハードウェア販売では、インテルやADMがライバルです。

以上を考えると、事業が縮小傾向にあるIBMが、最先端技術に先行投資し続けるのは難しいですね劇的な変化や技術開発がなければ、IBMが再び先頭を走ることはありません。2018年にIBM株を全株売却したバフェット氏は、IBM株の未来を正確に見通していたと言えそうです。

IBMの衰退は、ハイテク企業がトップを走り続ける事がいかに難しいかを示しています。現在トップを走り続けているGAFAMも、いずれは成長が鈍化している可能性も十分にあり得ます。技術開発に膨大な投資を費やしても、必ずしも生き残れるとは限りません。

広告収入の大幅な減速で、グーグルやフェイスブックは黄色信号が出ていますね。

参考:グーグルGOOGの四半期決算|コロナで広告収入は3割減少?

まとめ:アイビーエムIBMの四半期決算は?

IBMの注目ポイントは...
  1. バフェット氏は、IBM投資に失敗して2018年に売却
  2. 3つの主要部門が、売上高の9割を占めている
  3. ビジネス部門とテクノロジー部門は、成長が鈍化している
  4. 成長産業であるクラウドも、成長が鈍化傾向にある
  5. IBMクラウドの市場シェアは、1.8%しかない
  6. 人工知能ワトソンは、期待値の割に成功してない

IBM株は短期的にも、長期的にも投資するべき銘柄ではありません。

バフェット氏が購入した頃のIBMは、まだ人口知能やクラウド事業で優位性がありました。また、事業の選択と集中を行い、積極的な自社株買いや配当を進めていた頃でもあります。しかしながら、2020年現在のIBMの決算を見ると、うまく進んでいない事が分かります。

2020年1Q決算では、唯一の成長産業であるクラウド事業も成長が鈍化傾向にあります

本来であれば、大規模インフラの構築や運用を行うIBMは、クラウド事業で最も有利な立ち位置でした。しかしながら、クラウドのインフラ市場では、IBMの市場シェアはわずか1.8%だけです。設備投資や開発研究も少なく、事業が縮小する中で巻き返しを図るのは難しいですね。

主要部門の成長は止まっているため、クラウド事業が鈍化すれば今後も低迷する可能性は高いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です