Netflixの四半期決算|2Qは増収増益でも株価は10%も下落?

1-3月期(1Q)の四半期決算に引き続き、4-6月期(2Q)の四半期決算も大幅な増収増益でした。前年同期比で22%増、新規会員数も1009万人の増加です。しかしながら、決算発表後の時間外取引で株価は10%近く暴落していますなぜ、好決算にも関わらず暴落したのでしょうか?

  • PERが96倍を超えるけど、株価は割高なのだろうか…」
  • コロナ特需を受けて、どれくらい業績が改善したのか…」
  • 「動画配信市場は世界中で拡大しているが、どこまで増え続けるのか…」

コロナ特需もあり、2Qも大幅な増収増益で着地しています。

しかしながら、好調な決算とは対照的に、株価は時間外取引で10%も下落しましたね。ネットフリックス株が暴落した理由は、1-3月期よりも新規会員数の純増数が1009万人と63%も鈍化したからです。経済活動の再開が始まり、コロナがおさまりつつある事を示唆しています。

また、3Qの純増数は250万人になると予測している事もマイナス要因です。コロナ特需で暴騰している銘柄は、コロナ特需がなくなれば勢いがなくなるのは当然ですね。

投資家の期待値やアナリスト予想を下回ったが、全体的に悪い決算ではありません。10%前後だった営業利益率は、コロナ環境下で20%と大きく改善しています動画配信サービスで圧倒的なシェアを持つネットフリックスに、注目している投資家は多いです。

ただし、個人的にはネットフリックス株は保有したい銘柄ではありません。

なぜならば、制作費用が膨大で営業CFが常に大幅な赤字だからですキャッシュフローを見ると、毎年30億ドルの現金が流出し、足りない資金は社債発行で補っています。動画配信サービスは、アップルやディズニー、AT&Tと競合他社が多く、市場1位でも膨大な投資が必要とするからです。

巨額の先行投資が必要ならば、経済的な堀が高いとは言えないですね。

ネットフリックスの投資判断したい人向け
  1. ネットフリックス直近の4半期決算(2020年1〜3月)は?
  2. ネットフリックスの過去10年間の売上高や営業利益は?
  3. 営業利益が黒字でも、営業CFがマイナスに陥る理由は?

ネットフリックスの四半期決算は?

ネットフリックスの四半期の決算を紹介します。

第1Q決算(2020年3月31日)

第1Qの決算内容は...
  1. 売 上 高 :57.67億ドル(前年同期比27%増
  2. 営業利益:9.58億ドル+108%
  3. 純 利 益 :7.09億ドル(106%
  4. 1株利益:1.57ドル(106%
  5. 新規会員数:1577万人増

コロナの影響もあり、四半期決算は大幅な増益と増収でした。

1-3月期で新規会員数は1577万人も増え、前年比で22.8%増の1.82億人でした。その結果、売上高は27%増で57億ドル、営業利益と純利益は共に2倍以上に増えています毎年の営業利益率は10%前後だが、この四半期で16%まで上昇していますね。

2016年以降は、営業利益率は上昇傾向にあります。

コロナによる都市封鎖や自宅待機が長引けば、さらに収益を大きく伸ばすことが期待できます。しかしながら、長期的な視点で見れば、会員数増加の流れが止まる、新作ドラマの撮影ができないなど、負の側面もあるかもしれないですね。

第2Q決算(2020年7月16日)

第1Qの決算内容は...
  1. 売 上 高 :61.4億ドル(前年同期比+24%
  2. 営業利益:13.5億ドル+92%
  3. 純 利 益 :7.2億ドル(2.6倍
  4. 1株利益:1.63ドル(2.6倍
  5. 有料会員数:1.92億人(+27.3%
  6. 新規会員数:1009万人増

前四半期に引き続き、4-6月期の決算も好調でした。

売上高は前年同期比24%増で61.4億ドル、営業利益は92%増で13.5億ドル、純利益は2.6倍も増えています。売上高も営業利益も1Qよりも大きく改善していますね。営業利益率も大きく改善し、21.9%と過去最高水準です。

しかしながら、決算結果が好調な反面、株価は時間外取引で10%も下落しています

株価が下落した原因は、新規会員数の伸び率が鈍化したからです。1Q(1-3月期)はコロナによる都市封鎖の開始で、新規会員の純増数は1577万人でした。しかしながら、2Q(4-6月期)は1009万人の増加に留まりますこれは、経済活動再開により、コロナの影響が弱まった事を示していますね。

好決算なのは間違いないが、投資家の期待値を下回る結果だったのは間違いありません。また、3Qの純増数は250万人の増加になると予測した事も、株価下落の要因だと考えられます

コロナ特需で、営業利益が大幅に改善しているのはプラスですね。

第3Q決算(2020年10月)

2020年10月に公開予定。

では、ネットフリックスの売上高や営業利益の10年間の推移はどうでしょうか?

ネットフリックスの10年間の損益計算書は?

2008年に3ドルだったネットフリックスの株価は、2020年には158倍の476ドルまで急成長していますね。ネットフリックスに100万円を投資すれば、1580万円まで増えていた事になります。では、過去10年間はどのように成長してきたのでしょうか?

ネットフリックスの損益計算書やキャッシュフローを紹介します。

その1:売上高と営業利益の10年間の推移は?

ネットフリックスの売上高は、過去10年間で10倍に成長しています。また、2016年以降は、少しずつ利益を出す体質に変わりつつあります。2016年に4%だった営業利益率も、2019年には12%まで上昇していますね

営業利益を出せるかどうかが、今後も重要なポイントになりますね。

その2:BPSとEPSの10年間の推移は?

BPS(1株あたり純資産)は、10年間で安定して推移しています。しかしながら、EPS(1株あたり純利益)が安定して増加傾向にあるのは、2016年以降ですね。現在の水準を維持できれば、BPSもEPSも安定すると言えそうです。

その3:営業CFと投資CFの10年間の推移は?

キャッシュフローに関しては、悲観的な結果に陥っています。投資CFも営業CFもマイナス幅が増え続け、2019年には31億ドルのキャッシュが消えています。ネットフリックスの営業利益は26億ドルなので、マイナス額は決して小さくありません

営業利益が黒字でも営業CFがマイナスなのは、コンテンツ制作費用(Additions to content assets)を営業CFに計上しているからです。

自己資本比率は毎年20%前後で安定しているため、倒産を心配する水準ではありません。しかしながら、営業CFとフリーCFが大幅なマイナスである点を考慮して、投資判断する必要があります

それでは、私たち投資家はどのような点に注目して投資判断を行えば良いのでしょうか?

ネットフリックスに投資する上で注目ポイントは?

ネットフリックスに投資する上で、注目すべきポイントを紹介します。

注目1:世界の動画配信市場は7年で9倍に拡大した?

参考:世界の動画・音楽配信の市場規模実情をさぐる

定額制の動画配信市場は、右肩上がりに伸び続けています。

注目すべき点は、定額制の動画配信だけが右肩上がりで拡大している事です。単作品単位のダウンロード課金制の動画配信サービスは縮小傾向にありますね。2021年に定額制の契約者数は10倍の18.7億、売上高は9倍の637億ドルまで増えると予測しています

動画配信市場の拡大は、先進国だけでなくネット環境が悪い途上国でも見られます。

ネットフリックスの有料会員数は、北米市場が50%を占めています。しかしながら、欧州、中東、南米、アジアのエリアでも大きく拡大しています途上国のネット環境が改善されれば、さらに爆発的に増加する事が予測できます。

では、ネットフリックスのユーザー数は、どれくらい増えているのでしょうか?

注目2:NTFXの契約者数は7年で7倍に拡大した?

参考:ネットフリックスの日本300万契約の影響力は黒船と呼ぶべきものなのか

ネットフリックスの契約者数は、7年で7倍に拡大し1.5億を超えています。

契約者数の推移を見ると、アメリカ国内以上に世界の契約者数が伸びている事が分かりますね。内訳を見えると、欧州・中東が3割、南米が2割、アジアが1割を占めます。世界の人口は77億人いるので、アメリカ国内よりも遥かに伸び代が高いですよね

米国の契約者数は6000万、アメリカ人の5人に1人が契約しています

しかしながら、アメリカには1.3億世帯しかないため、すでに2人に1人がネットフリックスを見れる環境にあります。2017年時点で、50.8%の世帯がネットフリックスに契約しています。

アメリカと比較すると、日本の普及率は10分の1程度しかありません

しかしながら、日本でもネットフリックス利用者は拡大傾向にあります。日本は動画配信サービスが乱立しています。DAZN、プライムビデオ、Hulu、dTV、その他にも20社以上あります。ネットフリックスは13.8%で国内シェア1位を獲得しました(参考:2019年前年比22.4%増の2,692億円)。

では、世界の動画配信市場で見た場合、ネットフリックスはどこに位置するのでしょうか?

注目3:NTFXの契約者数は世界1位、売上高では世界5位?

参考:動画配信サービス市場を徹底解説、勝者はアマゾン?Netflix?ディズニー?

ネットフリックスの契約者数は、2018年に1.3億で世界1位になりました。

2位と3位と4位は中国系、5位は英国のコムキャスト、6位がアマゾン、7位がAT&Tです。意外かも知れないが、最近主流の動画配信サービスよりも、実は通信事業者の方が存在感がありますねネットの大容量が普及する前は、衛星放送やケーブルテレビが主流だったからですね。

ネットフリックスは契約者数で1位だが、売上高ベースにすると5位まで転落します

ネットフリックス以外の上位4社は、衛星放送やケーブルテレビの有料チャンネルで稼いでいます。動画配信ビジネスに限定した場合、ネットフリックス社がダントツで1位ですね。上位10社の中には、契約者の多いアマゾンプライムやHuluはランクインしていません。

ライバルの上位者が衛星放送やケーブルが多いことは、ネットフリックスから見たらプラス要因ですね。なぜならば、動画配信では潜在的な顧客がまだまだ多い事を表しているからです。

北米などの先進国では、衛星放送やケーブルテレビからオンラインに切り替える消費者が増えていますね。また、通信ケーブルが脆弱な発展途上国では、設備コストが発生しないオンラインの方が有利です。月額制の動画配信に限定した場合、ネットフリックスは1人勝ち状態にあると言えます。

しかしながら、動画配信市場では、新たな参入社が増え始めています。他の参入社が増えた場合でも、ネットフリックスにはどれくらいの優位性があるのでしょうか

注目4:動画配信サービスの競合他社は増え続けている?

動画配信サービスのライバルは...人向け
  1. ディズニー:「Disney+」は月6.99ドルで動画サービスに参入した
  2. アップル:「AppleTV+」は月4.99ドルで最安値で参入した
  3. AT&T:売上高1位の「HBO Max」は月14.99ドルで参入した
  4. アマゾン:プライム会員特典で、無料で動画を視聴できる
  5. その他:dTV、Hulu、U-NEXTなど、20社以上のライバルがいる

定額動画配信では、ネットフリックスが圧倒的に有利なポジションにいますね。契約者数は1.5億、売上高は150億ドル、衛星などの有料チャンネルを除くとダントツです。

しかしながら、動画配信ビジネスの問題点は、ライバル企業が多い事です

2019年にも新たな新規参入社が増えていますね。「Disney+」は月6.99ドル、「Apple+」は月4.99ドル、ネットフリックスのスタンダードプラン月12.99ドルよりも安いです。AT&Tは業界最大手の有料チャンネルで、HBOのドラマを独自制作しています。

新規企業が参入することで、ネットフリックスのコンテンツを停止しますね。2019年の4-6月期決算では、契約者数の減少を報告しています。動画配信市場が右肩上がりで成長を続けるならば、今後も新規参入者が減ることはありません。

ネットフリックスに投資する上では、営業CFがマイナスである点に注意が必要です。

注目5:コンテンツ制作費用に300億ドルを計上してる?

ネットフリックスに投資する上で注意する点は、巨額な投資費用をどう考えるかです。

2020年1Qの営業利益は、95億ドルの黒字でした。しかしながら、営業CFの内訳を見ると、コンテンツ制作費用(Additions to content assets)に300〜400億ドルを計上しています。日本テレビ5社の制作費を合計しても38億ドルだけなので、いかに先行投資が大きい事が分かりますね。

コンテンツ制作に費やした結果、営業CFは毎年赤字を計上しています営業利益は黒字でも、お金の流れを表すキャッシュフローは常にマイナスである点に注意が必要です。足りない資金は、社債発行することで調達していますね(参考:社債発行でさらに20億ドルの資金調達)。

ネットフリックスの自己資本比率は20%前後、長期社債の借入金は増加傾向にあります。

では、私たち投資家は、ネットフリックスの株を購入するべきなのでしょうか?

ネットフリックスの株は購入するべきか?

購入するべきでない理由は...
  1. 動画制作など先行投資で、四半期毎に300〜400億ドル計上してる
  2. ディズニー、アップル、アマゾンなど競合他社が多い上に強い
  3. 営業利益率は10%前後、ライバルが多く利益を出しにくい
  4. 営業CFとフリーCFが、本業で稼ぐ以上にマイナスである

長期的な視点で見るのであれば、ネットフリックス株は購入するべきではないと思います。

ネットフリックスに投資する人の多くは、世界中で急拡大している動画配信市場に魅力を感じているからですね。確かに、北米や欧州などの先進国以外にも、中東、南米、アジアの市場が拡大しているのは魅力的です。しかしながら、莫大な先行投資を必要とする点は大きなマイナス要素ですね。

また、アップルやディズニー、AT&T、アマゾンなどの競合他社も多いです。独自の優位性を保つために、300億ドルの先行投資が必要ならば、それは安定したビジネスモデルではありません。つまりは、動画配信ビジネスの経済的な堀は低いと言えます。

短期的にはコロナ特需で高収益を上げたとしても、長期的な視点では買いたい銘柄ではありません。

まとめ:ネットフリックスの四半期決算は?

ネットフリックスの注目ポイントは...
  1. 世界の動画配信市場は、7年間で9倍に拡大している
  2. NTFXの契約者数は、7年間で7倍に拡大している
  3. NTFXの契約者数は世界1位、売上高は世界5位である
  4. 南米、中東、アジアなどの新興国で、伸び代はまだまだ大きい
  5. 動画配信サービスの競争他社は、今も増え続けている
  6. コンテンツ制作費用に、3000億ドルも投資している

コロナ特需もあり、ネットフリックスの四半期は大幅な増収増益でした。

1-3月期だけで新規会員数は1577万人も増加し、売上高は2.7%増、営業利益と純利益は共に2倍も上昇しています都市封鎖が続く4-6月期は、金四半期よりも大幅に業績を伸ばしている可能性が高いです。

しかしながら、長期的な視点で見た場合、保有したい株ではありません。

なぜならば、制作費用が大き過ぎるため、営業利益が黒字でも営業CFが大幅な赤字だからです。ネットフリックスのキャッシュフロー計算書を見ると、毎年30億ドル前後の現金を垂れ流している事が分かります。足りない資金は、社債を大量に発行することで資金調達していますね。

また、2019年にアップルやディズニー、AT&Tが参入した事で、競争はますます激化します。競争優位性を保つために巨額の先行投資が必要ならば、ネットフリックスが経済的な堀があるとは言えないですね世界中で契約者数を順調に増やしているとしても、投資家は慎重に投資判断する必要があります。

アマゾンやグーグルも先行投資が大きいが、キャッシュフローがマイナスに陥る事はないです。

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